時刻はもうすぐ午後5時をまわる夕暮れ時。  
 
『アバランチ公園』、その憩いの広場の片隅にあるみすぼらしいダンボールの建物がありました。  
 
「はぅぅ……。 す、凄いんですぅ」  
 
通称『サバトちゃんハウス』から熱のこもった声が聞こえます。  
 
中を覗けば居るのはクリーム色の髪の毛に羊みたいな角を生やした女の子。  
 
『サバトちゃんハウス』の主、サバトちゃんです。  
 
サバトちゃんの頬は夕日よりも鮮やかに朱が差していました。  
 
火照りは両耳まで徐々に移動、そのワインレッドなカラーは彼女が着ている聖ゲルニカ学園の制服を思わせます。  
 
「つ、次のページは……? はぅぅ、も、もっと大胆なんですぅ。 もう見てられないですよぉ」  
 
言葉とはウラハラにサバトちゃんの金色の瞳は一冊の本に釘付けになっていました。  
 
いつもは眠たげにクマを作っている目元も今は、ぱっちりと見開かれているのです。  
 
この本は今朝、サバトちゃんが日課のゴミ箱あさりをしているときに、底の方で発見した代物です。  
 
何日も放置されていたであろうその本は、すっかり湿ってしまい、ホトンドのページがシワクチャです。  
 
食料は見つかりませんでしたが、サバトちゃんはその本を代わりに『サバトちゃんハウス』へと持ち帰ったのです。  
 
そこそこ長いホームレス生活でサバトちゃんはすっかり『MOTTAINAI』精神が身についていたのです。  
 
乾かせばメモ帳にだってなります。  
 
ちょっと硬くて痛いかもしれませんが、トイレットペーパー代わりにもなるかもしれません。  
 
生きることとはそれすなわち戦い。 サバトちゃんは日に日に逞しくなっているようです。  
 
しかしサバトちゃんがシワクチャのページを伸ばそうと本を開いたとき、事件は起きてしまいました。  
 
「な、なんですぅ!? この本はぁ!?」  
 
瞬間的に両手で顔を覆うサバトちゃん、けれども指と指との間はフルオープン。  
 
「ど、どうして登場人物の男女が裸なんですぅ? そ、それにそんなトコロを触ったりしたら・・・・・・ダ、ダメですよぉ!」  
 
これは読んでは行けない本だとサバトちゃんは思いました。  
 
ですから、両手で持った本を腕を限界まで伸ばし、顔から遠ざけます。  
でも不思議です。 肱の関節が次第に曲がっていき、『読んではいけない本』がサバトちゃんへと急接近。  
 
「はぅぅ、ち、違うんですよぉ? さ、サバトの意志じゃないんですぅ?」  
 
見えない誰かに弁解し、サバトちゃんは『読んではいけない本』をダンボールの床にそっと置きます。  
深呼吸で激しい動悸を落ち着かせます。 しかしなかなか収まってはくれません。  
収まるどころか、  
 
―――ドキドキ。  
 
胸打つ音がサバトちゃんの耳まで届くほどに大きくなっていきます。  
気づいたときにはサバトちゃんは正座の体勢。 『読んではいけない本』に右手が伸びていきます。  
 
「は、はぅ! サバト、『読んではいけない本』を読んでいますぅ。   
 さ、サバトはいけない子なんですぅ。 でも止められないんですぅ」  
 
読み進める程に体に熱が篭ります。  
朝食のししゃもを奪ったノラネコを追い回したわけでもないのに、息遣いだって荒いのです。  
 
いつの間にか頭には『彼』の姿が浮かんでいました。  
 
いつも優しくて。  
ちょっと頼りないけど……、それでもやっぱり逞しくて。  
そんな『彼』がサバトちゃんは大好きで―――。  
 
(サクラくん、サクラくぅん・・・・・・!)  
 
左手でスカートをたくし上げ、胸を押さえていた右手をゆっくりと体を沿わせながら、下へ下へ降ろしていく。  
こんな気分になったのは初めてです。  
どうすればいいのかなんて、サバトちゃんには分かるハズもありませんでした。  
ただ分かっているのは、  
 
(―――サバトはサクラくんが・・・・・・。 サクラくんのことが・・・・・・!)  
 
やっぱりどうしようもなく大好きで。  
 
「はぅぅ・・・・・・! ん・・・・・・っ!」  
 
見よう見まねで本に描かれている内容を実践に移すます。  
未知の快感にサバトちゃんの体が大きく反り返ります。  
抑えていた声も気を抜いたら漏れてしまいそう。  
声だけではありません、この気持ちだって、この想いだって、もう我慢出来そうにありません。  
 
「こんばんはー。 サバトちゃん、中に居る? 入ってもいいかな?」  
 
「あぅ・・・…っ! もうダメなんですぅ! 我慢出来いですぅ! 来て欲しいですぅ!」  
 
「あ、匂いで分かちゃったかな? ザクロちゃん特製の揚げたてコロッケのお裾分け。  
 それにしてもサバトちゃんも食いしん坊だなあ。 『我慢出来ない』なんて・・・・・・」  
 
「は、早くですぅ! 早くしてくれないと、サバト、イっちゃいますぅ・・・・・・!」  
 
「ソンナニオナカガヘッテイタノデスカ!? くっ、そうとも知らずに僕は何を暢気にっ!  
 ごめん、サバトちゃん、今すぐ行くから逝っちゃダメだ! とりゃあ、お邪魔しま―――おぉぉヲヲぉああああ!?」  
 
どうも皆さん、おはようございます、こんにちは、こんばんわ。  
ビックリしすぎて三人称から一人称に強制チェンジ。イマイチ自体を把握できていない僕は、何を隠そう草壁桜その人です。  
 
ナンナノデスカコレハ?  
サバトちゃんが曰く形容し難いお姿で頬を染めて、瞳を潤ませつつァァリャオッ嗚呼!  
 
「た、大変だ! 僕の耳から何だかよく分からない黄緑色のジェル状のものが溢れて!?  
 気をしっかり! 落ち着くんだ草壁桜!」  
 
誰も指摘してくれる人がいないので、機転を利かせ自分の体の異変に突っ込みを入れてくれたナイスな僕のおかげで、  
僕は何とか我に帰ることが出来ました。  
危ないところでした。  
中二男子には刺激的すぎるこの状況。  
 
外は真っ暗、様子のおかしいサバトちゃんと二人きり、部屋は密室(ダンボール製)  
この難解なパズルを解くにはやはり英国紳士探偵おうムルの力を借りるしかありません。  
彼ならばきっと何事をも正しい道へと導いてくれるでしょう。  
僕は彼を信頼しています、ですからおうムルの言うことは疑うことなく受け入れる次第です。  
その事と次第によっては取り返しのつかないことになるかもしれませが、それすらも僕は甘んじて受けてやるのです。  
だから、おうムル! 僕のハートビートをときめかすような助言を!  
 
と、僕はおうムルとの交信を図った時でした。  
 
「さ、サクラくくくくくん。 ももももももしかして見てたたたたですかかかかかぁ?」  
 
涙目のサバトちゃんが僕に向かって訴えるのです。  
どうやら彼女も我に帰った様子、それはそれで良くもあり残念でもあるのですが、今一番気になるのは、  
サバトが震える両手で握っているステッキです。  
あれは超電磁スタンロッド『ドゥリンダルテ』に間違いありません!  
 
<カシカシカシン!>とコンパクトだったドゥリンダルテが多段式に真っ直ぐ伸びて僕の喉元をチェックメイト!  
 
「さ、サバトの大切なトコロを見られたからにはサクラくんだって生かしてはおけないですぅ!  
 も、物事には順序があるんでよぅ。 い、いきなりはダメなんですぅ・・・・・・!(少し顔を赤らめながら)」  
 
「そ、そうだね、モノゴトにもナニゴトにも順序はある! それは凄く大切な事!  
 だから僕がここで黒こげになるのは順序的にも間違ってる!   
 お、落ち着こう、サバトちゃん! そして話し合おう! それがきっとあるべき順序ガべバガホゲッ!」  
 
 
興奮状態からクールダウンしたサバトちゃんの目の前には、ミルモムザンな光景が広がっていました。辺りに充満する焦げ臭い匂い。  
サバトちゃんの足元で桜くんが炭のようにくすぶっています。  
いきなり現れた桜くんにあられもない姿を見られて、ついカーっとなってドゥリンダルテを構えてしまったことを思い出します。  
いろんな意味で乱れていたとはいえ、大変な事としてしまいました。  
桜くんの口からは<モワー>っと白い煙が吐き出され、それに混じって狐火のように曖昧に揺らめくモノが。  
桜くんの姿を形どったソレは「ウフフ、アハハ」と意味も無く透き通った笑いを浮かべ、一目散にお空を目指します。  
 
「さ、桜くんの魂が恍惚そうな表情で天国に逝ってしまいますぅ! はわわ、だ、だめなんですぅぅぅッ!」  
 
慌てたサバトちゃんは<シュバっ!>とコブラを捕獲する蛇使いのような素早さで桜くんの魂を掴み取ります。  
そして一気に桜くんの口の中へと、  
 
「むぐぐぐ!? ごへあっ! むごっ!?(桜くん)」  
 
押し込むのです。  
胃カメラを入れられたときのように苦しむ桜くんですが、形振り構ってはいられません。  
抵抗する桜くんの魂と必死に格闘し、何とか事なきを得ることが出来ました。  
意識こそないものの桜くんの口元からは安らかな寝息が聞こえます。  
しかしそれを確認したサバトちゃんは急に恥ずかしくなってしまいました。  
呼吸があるか確かめるとはいえ、桜くんの顔を今までに無いくらい近くで見てしまったからです。  
一度は収まった火照りが再燃、心臓の音だって凄く速くなってしまいます。  
咄嗟に桜くんから距離を取ろうとサバトちゃんは立ち上がります。  
けれでも立ち上がったところで、何をか踏んづけてしまい、大きくバランスを崩してしまいました。  
倒れこんだしまったサバトちゃんを桜くんの体がクッションとなって受け止めます。  
偶然とはいえ桜くんに覆いかぶさる形になってしまいました。  
今の姿を誰かに見られたらサバトちゃんが桜くんを押し倒したと誤解されても不思議ではありません。  
 
「サ、サバトが桜くんを・・・・・・」  
 
―――オシタオス!?  
 
余計な妄想が頭を満たしてサバトちゃんは<かあぁぁぁ>っと体が熱くなるのを感じました。  
すぐに体を起こそうと思いましたが、なかなか行動に移せません。  
桜くんと密着している。  
その事実がサバトちゃんの思考を溶かしていきます。  
桜くんの匂いを感じて。 桜くんの温もりを感じて。  
もう少しだけこうしていたいという素直な気持ちに従って、サバトちゃんは桜くんの胸に顔を埋めて静かに目を閉じました。  
 
<パラパラパラ>と静寂だった『サバトちゃんハウス』に乾いた音が聞こえました。  
サバトちゃんが音のする方へ振り返ると、サバトちゃんがさきほど足を躓かせたときに入り口近くまで飛ばされていた、  
『読んではいけない本』のページが風に扇がれて捲れてます。  
開かれたページでは男の人の女の人が唇と唇を重ねていました。  
唇だけではありません、舌を絡ませたり、お互いの唾液を味わったり。  
それは濃厚な大人のキスです。  
 
―――トクン、トクン  
 
胸が大きく、  
 
―――トクン、トクン!  
 
大きく跳ねます。  
 
頭の中まで熱がまわってしまったようです。  
ボーッと視界が揺らぎ、頭の中は白に塗りつぶされます。  
もはや理性はほとんど失われている状況。  
サバトちゃんを突き動かすのは未知なる刺激と快感の好奇。  
それに真っ直ぐで純粋な変わることのない気持ちです。  
 
―――サバトは  
 
「んっ」  
 
―――桜くんが  
 
「ちゅっ・・・…んっ」  
 
―――大好きなんですぅ!!  
 
唇が重なります。 甘い感触。  
眠っている桜くん相手に何をやっているのでしょう。  
自分でも疑問に思い、止めなければいけないとも思います。  
それでもサバトちゃんは桜くんを求めずにはいれれませんでした。  
ゆっくりと舌を差込み、桜くんの舌に絡ませます。  
体温の温もり、絡まった舌の感触、続けざまに快感がサバトちゃんを揺さぶります。  
 
「んあっ! あうぅ……ちゅっ…………はあっ!」  
 
呼吸も忘れ限界まで桜くんを味わいます。  
唇を離すと二人の唾液が名残を惜しむかのように、糸を引くのです。  
 
<ジイイイイ>  
 
考える前に体が動いていました。  
桜くんのズボンのジッパーがゆっくりと降ろされます。  
手を休めずに一気にズボンを脱がせてしまいました。  
トランクス越しに桜くんの股間を優しく擦っていきます。  
「だんだん……硬くなってきてますぅ」  
感触の変化にサバトちゃんはどこかうっとした表情。  
待ちきれなくなり、トランスも剥ぎ取ります。  
露わになった桜くんのペニス。   
右手で包むように肉棒に触れると<ビクンビクン>と桜くんが脈を打つのを感じます。  
火傷しそうになるくらいの熱を桜くんのイチモツは帯びています。  
「サバトが今……気持ちよくしてあげますよぅ」  
肉棒を上下に擦りながら、顔を桜くんのペニスへと近づけていきます。  
サバトちゃんの荒い息遣いを感じたペニスがサバトちゃんの手の中で跳ね上がりました。  
桜くんが感じれくれている。 それだけでサバトちゃんは嬉しくなってしまいます。  
ペニスの先端にチュっ、と軽めのキス。  
溢れていた先走り汁を舌先で綺麗にすると、金色の瞳を淫靡に歪ませ、サバトちゃんは笑うのです。  
「もっとなんですぅ。 サバトはもっと桜くんを気持ちよくさせてあげたいんですぅ」  
言い終えるや否や、ペニスを口に頬張ります。  
「んっ……はむっ……ちゅっ……」  
唾液を絡ませ、チュブチュブとイヤラシイ音を立てながら、一心不乱にしゃぶり続けます。  
「ちゅぶっ……ちゅっ……ん…んっ……ぷはっ」  
キャンディーを舐めるように舌を転がし、亀頭を舐めとります。  
丹念に丹念に舐めまわし、カリ裏を刺激、続けてペニスを喉の奥まで飲み込みます。  
「ん、はあっ……げほっ、げほっ!」  
むせてしまったサバトちゃんは涙目になりながら、何度か呼吸を繰り返しました。  
「サバト……いやらしいことをして感じてますぅ。 あ、アソコが変なんですぅ」  
桜くんへの奉仕がサバトちゃん自身の体へも快感を与えていました。  
サバトちゃんの秘部からは愛液が溢れ始め、パンツを濡らしていました。  
ずっと火照ったままの体はサバトちゃんを切ない気分へと促します。  
制服の上着を脱ぎ、ブラウスのボタンを空いている左手で一つ一つ外していきます。  
その間も桜くんへの奉仕は忘れません。  
ねっととした舌の動きで亀頭を、右手の緩急のある動きで肉棒を同時に攻め立てます。  
それに耐え切れなくなった桜くんのペニスが勢いよく射精し、サバトちゃんの口の中を犯します。  
「ふあぁッ! ん……ごくっ、んくっ」  
ペニスが痙攣するたびに飛び出る精液をサバトちゃんは一滴たりとも逃すまいと喉を鳴らして飲み込んでいきます。  
苦くてネトネトして、とても変な味でした。  
けど、とってもエッチな味で。  
そして何より桜くんの味がして。  
それだけでサバトちゃんは幸せなのです。  
ブラウスボタンが全て外れ、サバトちゃんの白い肌が外気に触れます。  
ブラジャーのホックに手を掛けて、大きな胸がはだけさせます。  
興奮で荒くなった息を落ち着かせ、サバトちゃんは柔らかな胸で、  
「胸でも……気持ちよくなって欲しいんですぅ」  
桜くんのペニスをすっぽりと覆いました。  
 

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