「ザクロちゃん、好きだよ……」
「はい……わたくしだって」
「桜さん、もっと頭なでなでしてください……」
「ん、こう……かな?」
「はい、ありがとうございます……」
「ザクロちゃんの髪、サラサラだね、いい匂いもするし」
「匂いをかがれるのは……、すこし恥ずかしいです……」
「できればもうちょっとかいでたいなぁ……、くんかくんか」
「桜さん、恥ずかしいですよぉ……」
「ちゅ……、これでもまだ恥ずかしいかな?」
「桜さん、ずるいですよぉ……」
―ちゅぅ。
今までよりも少し長めに、唇をリリースする時に少しだけ妹天使のくちびるを舌先でなぞるのが最後の合図。
「ん……そろそろごはんの支度を……」
「そんなに急ぎじゃなくていいよ。僕以外いないんだしさ」
「そう……ですか? でしたら、もう少しだけ桜さんと……」
「いや、ちょっと待って。それじゃぁ、お話が進まないから」
「うぅ、わたくしは桜さんの彼女さんなのにぃ……」
ちょっぴり頬を膨らませて、いじけて見せる妹天使。
こんな表情が見られるのも、ザクロちゃんの彼氏さんたる特権なのかもしれません。
「ねぇ、桜さん」
いつもよりちょっとだけ甘えた声で、
「だめぇ……ですか?」
目が合った者全てを篭絡するであろう、『殺人上目遣い』で。
「わかった、もう少しだけこうしていよっか?」
「はい、桜さん」
こんな反応が見られるのだったら、あえてネガティヴな選択肢を選ぶのも有りだと思った草壁桜であった。(王ムル談)
…
……
………
「今日の予定ですか? 今日はお買い物くらいしかありませんが……」
「その買い物に僕もついて行っていいかな?」
「あ、そ、それは、で、でーとのお誘いですか!?」
「デートとはちょっと違うかなぁ……」
「桜さんとでーとかぁ……。えへへへぇ……」
「あの、ザクロちゃん? 今すごく緩みきった顔してるよ?」
「
『桜さん、あのきらびやかな建物は何ですか?』
『あれかい? あれは恋人同士が休憩したり、宿泊するためにある建物だよ』
『桜さんとわたくしは、恋人同士ですから……』
『そうだね、少し休んでいこうか』
『桜さん、昼間からえっちすぎますよぉ』
『ザクロちゃんは嫌なのかい?』
『桜さんのそういう聞き方はずるいですよぉ』
『それじゃぁ、気が変わらないうちに入ろうか』
『あぅぅ、おしりを撫で回さないでください』
『もう期待しちゃってるのかなぁ、この娘は』
」
―プスプスプス……
「ザクロちゃん!出てる!頭から黒い煙出てるよ!」
「
『桜さんが元気すぎて、足腰が立たなくなってしまいましたぁ……』
『もう、だらしがないなぁ……そんなことで、僕の彼女さんが務まると思ってるのかい?』
『うぅぅ、申し訳ありません……、わたくしが未熟でした……』
『しょうがないなぁ、じゃぁ、僕のペースで愉しませてもらうとしようか』
『あぅぅ、この格好、恥ずかしすぎますぅ』
『何を言ってるんだい? 恥ずかしくなきゃ、罰にならないだろう?』
『でもこんな、動物さんみたいな姿勢で……』
『さぁ、自分の未熟さをたっぷりと悔いてもらおうか』
」
「―きゅぅっ。」
「ザクロちゃん、しっかりして!……っていうか、ザクロちゃんの妄想の中で僕はどんだけ変態なの!?」
これは1回表に飛び出した2番打者のソロホームランの1−0で試合が決するような、まったりゆるゆるな休日を過ごす少年と妹天使の物語である。(田ロトモロヲ風に)