「桜くん、今日の放課後、残って資料室の整理よろしく」  
「え?」  
 放課後になった途端、どこから現れたのか、クラスメイトの南さんが当たり前のように言ってきました。  
 僕は草壁桜。この聖ゲルニカ学園の二年生です。  
 ここでの南さんの登場は助かりました。  
 だって、目の前でエスカリボルグを振ろうとしていた天使のドクロちゃんを制止させていたのですから。  
 でも、ちょっと気がかりな事があります。  
「でも、それってクラス委員の南さんの仕事じゃないの?」  
 そうです。  
 この資料室の整理は、先ほど先生が南さんに頼んだ仕事です。  
 決して、僕にお願いしていた訳じゃないのです。  
「私は他にやることがあって、忙しいから」  
「他にって何?」  
「……文句あるの?」  
 いきなり、得体の知れない雰囲気が南さんを包み込みます。  
 僕は、御託を並べるのを止めて、ふるふると首を振りました。  
 ですが、隣でわいわい騒いでいたドクロちゃんが乱入してきます。  
「桜くん、早く帰って遊ぼうよー」  
 エスカリボルグをブンブン振り回すドクロちゃんは危険極まりありません。  
 このアホ天使の要望に従わなかったら、僕を待っているのは勿論撲殺でしょう。  
 ですが、ここでも、また思わぬ事が起きます。  
「今日は確か『初恋』の限定コロッケの販売日……だったはずね」  
 ポツリと呟く南さん。  
 すかさず、それが好物のドクロちゃんは反応しました。  
「でも、今から行っても全然間に合わないよー、南さん」  
「はい、これ」  
 南さんは制服のポケットから何やら小さな紙切れを出してきました。  
 しかし、それはよく見ると……。  
「これ、今日の日の分の優待券。持っていけば無条件で一個交換してもらえるわ」  
「うわーー! 南さん、ありがとうーー! ボク、早速行ってくるーー! じゃあねー、桜くん!」  
 優待券を受け取ったがすぐさま、ドクロちゃんは文字通り、光速の速さで窓をブチ破り目的地向かって一目散に消えて行きました。  
「それじゃ、よろしく。頼んだわよ」  
「え、あ。ちょっと、南さん?」  
「……サボったらタダじゃ済まさない」  
 またしても、妙な雰囲気が僕を拘束します。  
 僕はパブロフの犬の如く、手を上げ指定された資料室にダッシュして行きました。  
 
 着いた先の資料室では、予想以上に散らかっていました。  
 元より資料室はそんなに広くもなく、カーテンで日が遮られているので散らかっている様子は余計にひどいものです。  
 取り合えず、僕は南さんに言われたように散らかった資料などなどを指定されたように整理していきます。  
 最初は文句も色々あったけど、黙々とやっていく内に案外、資料整理はすぐ終わりそうです。  
 と、作業が半分くらい終わった所で、資料室のドアがノックされました。  
「はーい」  
 と返事をして、入ってきたのは南さんです。  
 彼女は部屋をキョロキョロと見回して、僕に向き直りました。  
「進んでる?」  
「うん。今、大体半分くらい終わったのかな」  
「そう……」  
 と、不意にガチャという音がしました。  
 何だろうと考えていると南さんが、無言の威圧を持って、こちらに近寄ってきます。  
 僕は駆り立てられたように立ち上がり、南さんの接近に備えました。  
 しかし、南さんは足を止めず、僕に近寄ります。  
 僕は条件反射のように、後ずさりますが、あっという間に壁に背中が当たりました。  
 そして、南さんは僕に密着するまで近づいてきました。  
 南さんの体が正面からぎゅうっと押し付けられ、シーンと静まり返って一分くらい経過。  
「ねえ、南さん……どうして、密着してるの?」  
 僕は心臓バクバクの状態で、チグハグに言葉を紡ぎます。  
 だって、南さんの胸が僕の胸板にモロに当たっているのです。  
 慌てます、どうしようもないほどに。  
「何、意識しているの? 桜くんは十二歳の子にしか反応しないんでしょ?」  
 突然、妄想から現実に吹き飛ばされた僕はフライパンで後頭部を殴られたようでした。  
「ちょっと待って! だから、それは違うよ! 僕はもっと健全的な男の子だよ!」  
「未来で、世界中の女の子は十二歳で止めてしまうんでしょ?」  
「そんなこともしないよ! 僕はもっと素晴らしい方向に、その力を活かすよ!」  
「桜くんの素晴らしい方向は変態の道でしょ?」  
「どうして、南さんはそんな事をキッパリ言えるの!? ひどすぎるよ!」  
「別に桜くんだし……慣れてるでしょ?」  
「慣れてない! こんなこと慣れたくないよ!」  
「でも、最終的には十二歳がいいのよね?」  
「そんな話を戻すような事言わないで……うあぐ!」  
 突然、下半身から変な感じがしました。  
 驚くことに僕の股間辺りを南さんがズボン越しから、さわさわと触っているのです。  
 そこで、僕と南さんが密着しているという状況に引き戻されます。  
「み、南さん! 何やってるの……」  
「何って……ここ、触ってるの」  
 当然のように言い放つ南さんはやはり怖いものを感じます。  
「桜くんは十二歳の子にしか反応しないんでしょ」  
 先ほどの言葉を耳に囁き、南さんは更に捏ね繰り返すように、僕の股間を触ってきます。  
 ズボンの下に生息している僕のアレは、ぐうの音も出ずに剃り上がってきました。  
 南さんはそれでも表情一つ変えずに、更に自分の体を僕に押し付けてきました。  
 何がどうなっているのか途中で理解できなくなり、僕は南さんの為すがままでした。  
 しかし、僕だって男の子です。好きな子だっています。  
 そう、幼馴染の水上静希ちゃんです。  
 彼女の爽やかな笑顔が脳裏を過ぎった瞬間、僕はハッと我に帰りました。  
「南さん、やめて!」  
「……!」  
 僕は両手で南さんの両肩を掴むと、密着していた南さんの体を引き離しました。  
 ハァハァと荒い呼吸の僕ですが、なんとか理性だけは消えるのを食い止めました。  
 南さんはまたしても表情を変えずに、寧ろ、何ともなかったかのように僕をじっと見ていました。  
「抵抗するの……?」  
 彼女の静けさを伴った言葉は今や、ナイフのように僕を突き立ててきます。  
 しかし、僕だって男の子。たじろぎながらも言い返します。  
「あ、当たり前じゃないか! なんで、こんな事するのさ!」  
「ふーん、そう……」  
 しかし、僕の言葉なんかどうでもいいように南さんは呟きました。  
 するとどうでしょうか。  
 
 南さんは自分の制服に手をかけ、事もあろうに上着を脱ぎ捨て、シャツのボタンを外していきました。  
 僕は呆気に取られ、南さんの脱衣を目を丸くして見ていました。  
 シャツのボタンを全部外すと下にあるブラジャーが姿を現しました。  
 南さんは、それとグイッと無造作に上に剥いでしまったのです。  
 瞬く間に南さんは自分の胸を露わにしてしまいました。  
 まだ、呆然としている僕に向かって、南さんは冷ややかに言い放ちます。  
「今度、また抵抗したら……大声出すわよ」  
「え?」  
 またしても現実に引き戻された僕は、ポカンと口を開けてしまいます。  
 頭がパニックして、南さんの言っている事がよく理解できません。  
 しかし、二秒後には、それがどういう意味なのかを理解できました。  
 まずいです、この上なくまずいです。  
「み、南さん……止めてよ……。そういう脅すような事言うの……」  
「……脅しだと思う?」  
「そりゃ脅しなんじゃ……」  
「きゃぁぁぁぁっ! ……むぐっ」  
 不意打ちの如く、叫び声を上げた南さんの口を、僕は反射的に手で塞ぎました。  
 一瞬にして、僕の額からはいくつもの冷や汗が噴き出してきました。  
 この瞬間、南さんが一番怖いと感じたことはありませんでした。  
 南さんは、僕の手を跳ね除け、平然としています。  
「大声出したら誰か来るかもね……鍵はかけたけど、鍵自体は職員室にあるから」  
「み、南さん!?」  
 ここで大声を出されて、誰か来たら、間違いなく僕が南さんを襲ったと誤解されるでしょう。  
 しかも、南さんの制服のはだけている様が、それを強調しています。  
 もし、この現場を見られれば、退学はないにしろ、停学は充分有り得るでしょう。  
 もしかしたら、校長先生と担任の先生を前にして両親を呼び出されるかもしれません。  
 何より、こんな事が静希ちゃんの耳に入りでもしたら、それこそ顔合わせができません。  
 想像するだけでゾッとする状況。  
「もう一度言うわよ……また抵抗したら大声上げるから……」  
「み、南さん……」  
 南さんは静かに詰め寄ってきます。  
 上半身の制服がはだけ、露出している胸についつい目が行ってしまいます。  
 南さんの胸は形が整って綺麗な胸でした。  
 そして、再び密着してくる南さんの柔らかい体。  
 今度は黙って、南さんの体を受け止め、胸の感触がより一層ダイレクトに感じられます。  
 ギュッと押し付けられる南さんの体から、いい香りが漂ってきます。  
「桜くん……どこ見てるの?」  
「ど、どこって……」  
「私の胸……見ているんでしょ? 変態だもんね」  
「ち、違うよ……」  
「嘘……。もっと見たいんでしょ……?」  
 はだけかけたシャツを広げて、南さんは僕に自分の胸を更に押し付けてきました。  
 僕は頭がクラクラしそうで意識を保つのがやっとの状態です。  
 けど、南さんは勢いを止めるつもりもなく、また僕の股間を触ってきました。  
 しかも、南さんはポーカーフェイスのままで、です。  
「桜くんは十二歳にしか反応しないのに……どうして、これで反応してるの?」  
 否応なく、グリグリと捏ね回す南さんの手はいやらしい手つきだった。  
 僕は言い返す気力も徐々になくなっていき、ただ荒い呼吸を繰り返すだけ。  
 体を押し付ける勢いも、股間をまさぐる手の動きも止まる所か、増していくだけ。  
 南さんは相変わらず、ポーカーフェイスのまま、言いつめよってきます。  
「なんで、反応しているかって聞いているの……!」  
「あくう……!」  
 語尾の部分を若干強い調子で言うと、南さんはまさぐっていた手で、僕の大きくなったアレを捕らえ、力任せに強く握ってきました。  
 ズボン越しとは言え、強く握られた僕は堪らず声を上げてしまいました。  
 そして、南さんの手はまた、絶妙な動作で僕の下半身を攻めてきます。  
「ふーん、黙ったままでいるのね……」  
 南さんは絶対ワザとこう言っているとしか思えない。  
 僕は既に心臓はバクバク状態、頭の中もロクな思考もできないで足元もふらついています。  
 いまだにポーカーフェイスでいられる南さんが逆に怖かったのです。  
 
「結局、桜くんは変態だから何でも反応してしまうのね」  
「ち、が……ああああ……!」  
 何とか抵抗を試みようする僕ですが、敢え無く無駄に終わります。  
 なんと、南さんは体を伸ばして、今度は僕の首元に吸いついてきたのです。  
「ちゅ……ぺろぺろ……」  
「あああ……ふあ……」  
 南さんの舌が僕の首筋を這い回る。  
 ぴちゃぴちゃと所々に、音を鳴らしつつ、南さんは執拗に小さな舌で舐め回して行きます。  
 足はおろか、腕さえも痙攣のように震え、快楽が高揚するだけの僕。  
「ぴちゃ……ちゅぅぅ……」  
「南さん……はぁ……はぁ……」  
 どこでこんな事を覚えたのだろうかと思うくらい南さんの愛撫は強烈でした。  
 首を舐め回すだけでなく、下半身の方もお留守になってない辺りが怪しいです。  
 南さんの愛撫は気持ちいいけど、実際には素直にはそう思えません。  
 僕は、ぼやけた視界の向こうに映るドアがいつ開くか心配で仕方ありません。  
 こんな姿を誰かに見られでもしたら恥ずかしくて死にそうです。  
「ちゅ……ちゅ……ぺろぺろ……」  
「はぁぁぁ……す、すご……」  
 南さんは首筋から舌をつーっと這わせ、今度の耳元を舐めて来ました。  
 ゾワゾワするくらいのゆっくりさと舌遣いが全身を震わせます。  
 耳をペロペロと舐められていると思ったら、不意にその感触が消えました。  
 ですが、それは一瞬の事です。  
「ちゅぅぅぅぅぅぅぅっ」  
「ああああああ……!」  
 また首筋に強烈な感触が襲ってきました。  
 先ほどとは全く違う勢い。  
 まるで吸血鬼に血を吸われているんじゃないかと思うくらいに、南さんの唇で吸引されています。  
 痛いのか気持ちいいのかも分からず、僕は声を上げ、南さんは吸い上げ続けます。  
「ちゅぅぅぅぅぅ……ちゅ……」  
 どれくらいの間、南さんが僕の首筋の一部を吸い上げたのかは定かではありませんでした。  
 南さんはようやく、その唇を離し、もう一度吸い上げた部分に口付けしてきました。  
 そして、首元から離れ、僕の顔を見上げてきます。  
「キスマーク……」  
「え……」  
 呆然としている僕に、教えるかのように南さんは、吸引した部分に指を走らせました。  
 そうか、さっきの長い吸引はキスマークをつけていたんだ……。  
 首筋に南さんのキスマーク。  
 僕は覚束ない思考で、そんな事をぼんやりと考えていました。  
 しかし、また奇襲のように新たな感触が沸いてきました。  
 下半身に何かを感じ、ハッと見下ろしてみると。  
 
「直接してあげる……」  
 さっきまでズボン越しに触っていた南さんの手が僕のズボンの中に進入していたのです。  
 その南さんの手は僕の下着を軽く乗り越え……。  
「み、南さん……!」  
 しかし、僕は渾身の力で彼女を腕を手にとって止めました。  
 すかさず、南さんが僕の目を覗き込みます。  
「……抵抗する気?」  
「あ……」  
 彼女の目に何か、さっきまでにはない恐ろしい物を感じ、僕はビクンと震えました。  
 抵抗してしまったら何もかもが終わる。  
 そんな被害妄想を脳裏に浮かべてしまった僕は、南さんの腕を捕らえた手をすっと離してしまいました。  
 その時、ふと南さんが笑った気がしました。それはまるで絶対勝利を確信したかのように。  
「熱い……変態桜くんね……」  
 自由になった南さんの手は、難なく僕のアレをぎゅっと掴んで来ました。  
 直に南さんの小さな手で触られ、ピストン運動のように、擦ってきます。  
 ただでさえ、たくさん愛撫を受けているっていうのに……。  
「はぁ……はぁぁぁ……はぁはぁああぁぁぁ……」  
 僕の吐息は荒く、下手をしたら外に聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい大きくなっています。  
 もう限界が近い。  
「桜くん……桜くん……はぁぁぁ……」  
 尚も激しい手つきでアレを刺激してくる南さんは執拗に僕に体を擦り付けてきます。  
 押し付けるだけではなく、胸なんか揺らしながら本当に擦り付けてくる感じです。  
 しかも、心なしか南さんの口調も興奮している気がします。  
 でも、僕はそれ以上に興奮し、いつ限界に達してもおかしくありません。  
「南さん……すごい……よ……」  
「桜くん……あああ……いい……」  
 ふと、頭が真っ白になっていく中、南さんのもう一つの手が妙な所に伸びているのが見えました。  
 僕のアレをしごいているとは違う、もう一つの南さんの手は彼女自身の股間部分に届いていたような気がしました。  
 僕と南さんはお互い、呼吸が荒れるに荒れて、限界はすぐそこでした。  
 ズボンの中での南さんの手はそれほどまでに加速していたのです。  
「南さん……もう……ダメ……!」  
「わ、私も……あああああっ……!」  
 その瞬間、僕の中で世界が全て真っ白になりました。  
 ただ、下半身から何か熱い塊が放出される感覚がありましたが、深くは分かりません。  
 それと同時に南さんも何やら、グッタリした様子で、いまだズボンの中に腕を入れたまま、僕に体重を預けてきたのです。  
 そして、遂には立つ力さえも足から消えていき、僕は南さんの両肩を持って、二人で一緒にその場に崩れ落ちました。  
 
「はぁ……はぁ……はぁはぁ……」  
 僕と南さんはただ呼吸だけを繰り返し、お互い俯いたままです。  
 そのままの状態がしばらく続き、南さんが僕のズボンから手を抜いた事が僕も調子を取り戻しました。  
 ズボンから抜いた南さんの手には白い液体がまとわりついていました。  
 南さんは、その液体の一部を小さな舌でペロリと舐め取って見せました。  
 何故だか、その仕草はとても色っぽく見えました。  
「苦い……」  
 そう彼女は呟いて、僕の顔を覗き込んで来ました。  
「変態桜くん……」  
「……違うよ……」  
 精一杯の反論です。  
「でも、ズボン、こんなに汚しちゃったね……」  
「……うん、シミだらけになっちゃったよ」  
「キスマークもまだ全然残ってるわよ……」  
「僕が付けたんじゃないよ……」  
 南さんは何故か、二コリと僅かに笑みを浮かべました。  
「それで、このまま家に帰れるの……?」  
 南さんの問いに僕は即答しました。  
「帰れない」  
「じゃあ、私の家に来たら? 洗濯してあげる」  
「でも……」  
「大丈夫。今日は私以外、家に誰もいないから……」  
 なんだかマズイような気もしたけど、この状態をどうにかしないと家には本当に帰れないみたいです。  
 僕は観念して、首を縦に振りました。  
「そう。じゃあ、行きましょう……」  
「でも、僕……これじゃ外にも出れないよ……」  
 すっかりシミだらけになったズボンを見下ろします。  
 それはくっきりはっきりシミになっているのが誰にでも分かります。  
「桜くん、何も着替えはないの?」  
「ないよ、持ってきてないもん」  
「じゃあ、これ、貸してあげる」  
 と言って、南さんが近くに置いてあったカバン(?)から何やら服を取り出して僕に手渡してきました。  
 ですが、それは……。  
「これ……女子制服じゃないか!」  
「そう、私の予備の制服」  
「待ってよ! これ、僕が着なきゃいけないの!?」  
「じゃあ、その格好のままで外に出るの?」  
「…………」  
 言葉に詰まります。  
 しかし、いくら何でも女子制服に着替えるのは抵抗があります。  
 僕がまごまごと考えていると南さんが、すくっと立ち上がりました。  
「別に無理にとは言わないわ。それじゃ」  
 と言って無情に僕に背を向けて、ドアに向かって歩いて行きます。  
 ひぃぃっとばかりに僕は一瞬、怯えて叫びます。  
「わ、分かったよ! 着替えて出るから……置いていかないで!」  
 こんな状態で一人ぼっちにされたら、それこそ途方に暮れる他ありません。  
 それを聞いた南さんは、こちらに振り返り、ニッコリと笑みを向けてきました。  
 何故か、今の僕には南さんの言葉に逆らう事はできませんでした。  
 
 
 おしまい  
 

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