南さんに襲われ、制服もたくさん汚してしまった僕は自分の家にも帰れず、南さんの家に行くことにしました。  
 代えの服を持ってなかった僕は、何故か南さんが持ってきていた女子制服に着替える破目になったのです。  
 幸い、結構遅い時間だったので校内には人はいなく、人目に着かずに帰ることができました。  
 南さんの家で洗濯して貰えれば、すぐにでも僕は帰るつもりです。  
 ですが、今はもう別の問題に直面していました。  
「じゃあ、桜くんの制服、洗濯機にかけてくるからしばらく待ってて。ジュースでも飲みながらね」  
「うん、分かった」  
 南さんの家に着き、彼女の部屋に招き入れられて、すぐに南さんは僕の制服を洗濯しにかかってくれました。  
 と言っても、僕はいまだに南さんの女子制服を着たままです。  
 外に出た時は、恐ろしく恥ずかしい思いをしましたが、誰にも見られなかったのは助かりました。  
 南さんは出て行き、部屋の中で一人になった僕はようやく落ち着ける事ができました。  
 ふうと一息着いて、僕は南さんが持ってきてくれたオレンジジュースのコップに手を伸ばしました。  
「ごくごくごく……あーおいしいー」  
 やたらと喉が渇いていたのか、コップに注がれたオレンジジュースはあっという間に僕の胃の中に。  
 ふと、急に欠伸を上げる僕。  
「んーなんだろう……ジュース飲んだら眠くなってきたな」  
 瞼がトロンとしてきましたが、ハっとします。  
「ジュース飲んだらって……そんな、まさか……」  
 僕は何かが閃いたように覚醒し、ぐっと襲い掛かる眠気に耐えようとしましたが、全然歯が立ちません。  
 強力な睡魔は僕を包み込み、僕は敢え無く床に突っ伏しる事になってしまいました。  
 
「桜くん、早く起きないと遅刻するよ!」  
 聞き覚えのあるロリータボイスが僕の鼓膜を刺激しています。  
 僕は重たい瞼を手で擦りながらゆっくり開けると、目の前にはドクロちゃんがいました。  
「もうお寝坊さんなんだからー! 早く学校行こうよ!」  
 ドクロちゃんはぷんぷんしながら僕の布団を剥ぎ取りました。  
 布団?  
 僕は、え?と思いながら周りを見ると、そこは僕の家の自室でした。  
 そして、僕は自分の布団でパジャマ姿で寝ていたのです。  
「あれ、南さんは……」  
「もう桜くん、何寝ぼけてるの? 南さんがいるわけないじゃない」  
 ドクロちゃんのロリータボイスがより一層響きました。  
 そして、僕は思いました。  
 そっか、夢だったんだ。  
 そうだよね、あんな事が現実に起きる訳ないもんね。  
 僕は南さんに貞操を奪われる悪夢から解放されたと理解し、ふうっと胸を撫で下ろしました。  
「桜くん、いい加減に起きないと置いてっちゃうよ!」  
 目の前でエスカリボルグを構えるドクロちゃんを前に僕は布団から飛び起きました。  
 何故か、元気ハツラツです。  
「分かったよ、ドクロちゃん! いい朝だね、今日は!」  
 そう言って僕は制服に着替えようとしたら、何故か急に腕が動くなくなってしまいました。  
「あれ……なんで」  
 とか思っていると、両腕は勝手に背中に回ってしまい、両手首をテープか何かでぐるぐる巻きにされて拘束されてしまいました。  
 何が起きているのか分からないまま、今度は両足の自由も奪われました。  
 敬礼のようにピシッと両足をつけ、またしても両足首をテープか何かで拘束されてしまいました。  
 そして、両手両足を拘束された僕はバランスを崩して、仰向けに倒れてしまいます。  
「これは何!? もしかして、ザクロちゃんのエッケルザクス!?」  
「もう桜くん、ボク、先に行っているよー」  
「待って、ドクロちゃん! 体が動かないんだ、助けて!」  
「じゃーねー」  
「ドクロちゃー……むぐっ!」  
 ドクロちゃんの名を呼ぼうとした僕の口はテープか何かを張られてしまいました。  
 体も動かせない、何も喋れない。  
 まさに手も足も出ないとはこのことを言うのでしょう。  
 なんて、呑気な事を考えていると僕の視界はあっという間にブラックアウトしていきました。  
 
「起きた?」  
「!?」  
 クールなハスキーボイスで僕は二度目の目覚めを迎えました。  
 まず目を開けたら、目の前には南さんがいました。  
 次には、その南さんが、仰向けになった僕の体に乗っかっている事が分かりました。  
 その僕はベッドらしき上で、体が動きません。  
「んー! んー! んー!」  
 挙句の果てには喋れません。  
 両手足首はガムテープでぐるぐる巻きにされて拘束いる上に、その拘束部分を更にベッドの柱にくくりつけてある。  
 この厳重さ、僕の力では絶対に外す事はできません。  
 挙句の果てには、口にもガムテープが張られていて、まともに喋ることもできません。  
 そして、トドメは南さんは下着姿であること。  
 だけど、一番最悪なのは、これが現実世界であるということでした。  
 更には、僕はまだ南さんの女子制服を着たままであるというこも。  
「桜くん、なかなか起きないから上に乗っちゃった」  
「んー! んー!」  
 周りは南さんの部屋、僕が拘束されているのは、その南さんのベッド。  
 南さんは長い髪をかき上げると、少し後ろにずれて僕が履いているスカートに手を伸ばしました。  
「じゃあ、始めるわね」  
「んー!」  
 そう言って、南さんはスカートをめくって、その下のパンツを躊躇なくずり下ろしました。  
 言うまでもなく、姿を現した僕のアレは、南さんの手にすぐさま掴まれてしまいます。  
「何もしてないのに……少し大きくなってる。いやらしい……桜くん」  
「んー! んー! んー!」  
 僕は口答えすることも許されず、首をふるふると振るだけしかできませんでした。  
 南さんはアレをしばらくじっと見ていると、握っている手を上下に動かし始めました。  
 否応なく刺激が僕の体を伝わり、一瞬、回転する思考の輪を崩します。  
「桜くん、こういう状況でも反応するのね……。どういう神経してるの?」  
「ん! んん……!」  
 南さんは擦るスピードを段々と上げていき、アレはあっという間に最高峰にまで昇ってしまいます。  
 僕は身動きできずに、ただ南さんの愛撫を受けるだけで、呼吸するのも苦しくなってくるほどです。  
「あーあ、大きくなっちゃった……どうしよう、コレ」  
「んー!」  
 そう言って、硬くなったアレをピンと指で弾く南さん。  
 僕は顔を真っ赤にしたまま、明後日の方向に向くことしかできません。  
 恥ずかしくて死んでしまいそうです。  
「そうだ、いいこと思いついた」  
 そう言って、下着姿の南さんはベッドから降りると何やら机の方に向かって行きました。  
 僕も視線を追って机を見てみます。  
 
 しかし、その机に置いてあるのは……ポラロイドカメラです。  
 南さんは、そのカメラを手にして、僕の方に振り返ります。  
「桜くん、折角、そんな格好しているんだし、記念写真でも撮ろう?」  
「んんんんんんーー!」  
 その瞬間、僕は全身から血の気が引きました。  
 顔は当然のように青くなり、僕は必死で首を横に振り続けます。  
 こんな醜態を残されるなんて、それこそ僕の人生は終わってしまいます。  
 ですが、南さんは僕の抵抗なんて聞く気も毛頭なく、カメラを構えます。  
「フラッシュ焚くから、目、つむらないでね」  
「んんー!」  
 
 パシャ  
 
 悪夢の瞬間でした。  
 フラッシュが瞬いた時、僕は一緒に精気を吸い取られたのではないかと思うくらい呆然としていました。  
 南さんは写した写真を手に取り、満足そうでした。  
「よく撮れてる。桜くんも見て?」  
 事もあろうに南さんは、その写真を僕の顔に突きつけてきました。  
 僕は条件反射のように顔をそむけ、目をぎゅっと瞑りました。  
 だけど、南さんはそれに構うこともなく、またカメラを構えたのです。  
「じゃあ、もっと別のアングルからも取ってみよう。ね、変態桜くん?」  
「ん!! んんんんんー!!」  
「うるさいわね。仕方ないから、それ、外してあげるわ」  
 南さんはベッドにのしかかり、僕の口に張られたガムテープを掴みました。  
 テープは一気に剥がれ、僕はようやく口から呼吸を行うことができました。  
「南さん、止めて! 写真なんか撮らないで!」  
「どうして? 勿体無いじゃない」  
「勿体なくないよ! とにかく止めて!」  
「別の桜くんの意見なんかどうでもいいの。じゃあ、続き撮るね」  
「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」  
「あんまり、うるさくすると、この写真見せるわよ」  
「!?」  
「例えば……水上さんに、とかね」  
「なっ!」  
 南さんは写した一枚の写真をピラピラと靡かせながら言い放ちました。  
 僕は一瞬にして全身が凍りつきました。  
 女子制服を着て、ベッドに拘束されて、天津さえ、アレを大きくした姿を納めた写真。  
 それが静希ちゃんに見られる事があったら、僕は破滅です。  
 そして、僕は水を打ったように悲鳴を上げるのを止めて、無抵抗状態になりました。  
「桜くんって聞き分けがいいのね。じゃあ、撮るからね」  
「…………」  
 南さんは生き生きとして、カメラを手に取り文字通り、色々なアングルから僕の痴態を写真に撮って行きます。  
 結局、十枚以上の写真を撮られ、僕は呆然と天井を見つめることしかできません。  
 
「南さん……なんで、こんなことするの……?」  
 僕は泣く寸前の心境で南さんに尋ねます。  
 けど、彼女はポーカーフェイスのまま平然と答えます。  
「楽しいから。桜くんだって気持ちいいんでしょ?」  
「そ、そんな事ない……僕は気持ちよくなんか……」  
「ふーん……」  
 南さんはまたベッドの僕の上にのしかかり、舌を出しながら、僕の首元に寄ってきました。  
 案の定、南さんは僕の首筋を舐め回して来ました。  
「んん……み、南さん……」  
「ちゅ……」  
 正直に言ってしまうと、南さんの舌の愛撫は気持ちがいい。  
 ゆっくりとした動作で舐め回して、的確にツボを押さえるような感じです。  
 しかも、目の前の南さんは下着姿で、どうしても興奮をそそられます。  
 彼女の肌を直に合わせていることもあって、僕は快感を抑える事ができません。  
「ちゅ……ちゅ……ぴちゃ……」  
 ふと、南さんの手が僕の着ているシャツに伸びてきました。  
 すると、ボタンを一つ一つ丁寧に外し、シャツを広げて、僕の上半身を露にしてきました。  
 そして、南さんは首筋に這わせていた舌をゆっくりと僕の胸に伝わらせてきました。  
 上半身からゾクッと電撃が走ったかのような錯覚を覚えます。  
「あああ……南さん……」  
「桜くん、感じてる……すごい感度……」  
 ポーカーフェイスのままで呟き、南さんは僕の胸板全体をつーっと舌を走らせて行きます。  
 次には僕の乳首を舐め回して、赤ちゃんのように吸い上げてきました。  
「あ、あ、ああああ……」  
「ちゅちゅぅぅぅぅ……」  
 頭の中にモヤがかかって、正常な思考がどんどん狂い始めてくる僕。  
 ただのポーカーフェイスをしている南さんが、綺麗に見え始める瞬間。  
「ちゅ……ぴちゃぴちゃ……」  
「はぁぁぁ……ふぁぁ……」  
「ねえ、桜くん……気持ちいい……?」  
「気持ちいい……南さん……」  
 もはや、本能のままに口が勝手に言葉を言い、理性というものはとっくに砕けていました。  
 南さんは、僕の胸から口を離し、下のパンティーを脱ぎ捨てました。  
「じゃあ……私にもして……」  
「え……どうやって……」  
 南さんは、露にしたお尻を僕の顔の上に持ってきました。  
 そして、そのお尻を僕の顔に被せるかのように降ろしてきたのです。  
 南さんの割れ目が僕の目の前に迫っています。  
「桜くんだって知ってるでしょ……」  
「南さん……」  
「舐めて……」  
「うん……」  
 僕は催眠術にかかったかのように頷き、舌を伸ばして、南さんの割れ目に走られます。  
 舌が触れた瞬間、南さんの体が一瞬震えた気がしました。  
 僕はゆっくりと彼女のソコを舐めて行きます。  
 苦いような匂いもしたけど、それが逆に興奮するような気もしました。  
「あ、あ、あ、あああ……」  
 南さんが艶やかな声で喘いでいる。  
 今、南さんはどんな顔をしているのだろう。  
 そんな事を思い浮かべ、僕は南さんへの愛撫に集中します。  
「あ、あああ……ダメ……もっと強くしてくれなきゃ……」  
 南さんの微かな声が聞こえ、僕は彼女の要望に応えました。  
 舌を強く押し当てるように舐め、時にはその中に入れ込むかのような勢いもつけました。  
 すると、南さんは一層強くビクンと体を震わせました。  
「ああああっ! さ、桜くん……いい……よー……」  
 南さんが悦んでくれています。  
 僕はまるで自分のことのように気分が高揚し、南さんの愛撫に夢中になります。  
 
「私の事、気持ちよくしてくれたら……桜くんももっと気持ちよくしてあげる……あはぁっ」  
 南さんの言葉で、僕の煩悩に火がつき、どうしようもないくらいに舐め回します。  
 部屋にはピチャピチャという音と南さんの喘ぎ声が響き、南さんは体をくねらせています。  
「あああっ! あああああっ……!」  
 突然、南さんの体が大きく伸びたかと思うと、南さんはグッタリと僕の体に倒れてきました。  
 そして、気がつけば、僕の顔は南さんのソコから溢れ出た液体でびしょびしょでした。  
 南さんはしばらく、倒れたまま肩で息をして、すっと起き上がりました。  
 その南さんの顔は、ほんのりと赤くなっているのが分かりました。  
「桜くん、良かった……。今度は……私が……」  
「え……?」  
 南さんは、うわ言のように呟き、今度は僕の下半身の方に体を移動させました。  
 そして、自分の割れ目の部分を、僕のアレの上に持ってきたのです。  
 南さんが熱っぽい視線を僕に向けてきます。  
「桜くん……」  
「うん……」  
 僕が頷いたと同時に、南さんは腰を下ろし始めました。  
 南さんの割れ目が僕のアレを吸い込み……。  
 
 RuRuRuRuRuRuRuRu!!  
 
 吸い込もうとした直前、突如にして棚の上に置いてある電話の子機からコール音が鳴ったのです。  
 南さんは同時に動きを止めて、いつものポーカーフェイスに顔を戻すと、そのままの格好で子機を手に取りました。  
「はい、もしもし」  
 南さんは何でもなかったかのように、いつもの口調に戻って電話に対応しています。  
 僕は呆然と、それを見続けていました。  
「うん、そうなの……分かったわ、ありがとう」  
 話が進んでいき、そろそろ電話が終わるかと思ったら、思いがけない一言が出ました。  
「今ね、桜くんが私の家に遊びに来てるの」  
「!?」  
 どうして、わざわざ僕の名前を!?  
 一瞬、現実に引き戻された僕は目を丸くして、南さんを見据えます。  
 その視線に南さんも気づき、何かしら口元に笑みを浮かべていました。  
 嫌な予感がします。  
「ちょっと桜くんに代わるわね」  
 そう言って、子機を僕の顔元に持ってきます。  
「だ、誰からなの?」  
「水上さんよ」  
「!?」  
 僕は失言しました。  
 よりにもよって静希ちゃんから!  
「ちゃんと話さないとダメよ」  
 そう言って、南さんは子機を僕の顔のすぐ横に置きました。  
 僕は何て言っていいのか、分からず、冷や汗が出てきます。  
『もしもし、桜くんなの?』  
 子機の向こうの声は確かに静希ちゃんのものでした。  
 僕はハッとして応答します。  
「もしもし、静希ちゃん?」  
『うん、そう。珍しいのね、桜くんが南さんの家に遊びに行っているなんて』  
「そ、そうなんだよ。実は勉強で分からないとこがあって……ああうっ!」  
 突然として、僕は悲鳴に近い声を上げました。  
 何だと思い、視線をずらすと、何と南さんが僕のアレを舌で舐めていたのです。  
 その南さんの顔には、わずかながら笑みがありました。  
『ど、どうしたの、桜くん?』  
「い、いや、何でも……あああはああ……何でもないよ、大丈夫大丈夫……ああっ」  
 全然、言葉になっていません。  
 南さんは丹念にアレを舐め上げ、それにキスの雨を降らせます。  
 これは胸や首の愛撫とは全然違う。気持ちよすぎる。  
「ぴちゃぴちゃ……ん、ぺろ……」  
 南さんの愛撫にまたしても意識が遠くなりそうな僕。  
 
『桜くん……一体、どうしたの?』  
 受話器の向こうの静希ちゃんの声にも不安げなものが混じっています。  
「な、何にもないよ。僕はいつもどおり……くああ……あああ……」  
 ダメです。南さんの愛撫を受けては声を上げずにいられません。  
 南さんは僕の反応を楽しむかのように、更に愛撫を強めます。  
 そして、舐め回していくのを止めて、今度は口の中に入れ込み、口全体での愛撫をしてきました。  
「ん、ん、ん……ちゅぅぅぅぅ」  
「はぁ……あああはぁぁぁ……!」  
『桜くん……何だかすごく切なそう……どうしたの?』  
「し、静希ちゃん……その……ああああっ」  
 もはや、言い訳の言葉も出ずに、僕の頭は快楽とパニックで一杯です。  
 南さんは尚も激しい愛撫を続けて、僕を攻め立ててきます。  
「んん、ん……んんっ」  
 顔自体を上下に動かす南さん。  
 僕の中で何かが昇りつめてきます。限界に近い。  
『桜くん……私……』  
「え、静希ちゃん……」  
『そんな声出されたら……私……』  
「……静希ちゃん……?」  
 その時、僕の中で何かが弾けました。  
「あああああああああっ……!」  
 限界でした。  
 子機の受話器にも思い切り響くような声を上げて、僕は果ててしまいました。  
 南さんは髪をかき上げながら、僕が放出したものを口で受け止め、近くにあったティッシュを数枚取り出して、そこに吐き出しました。  
 僕は、はぁはぁと乱れた息を整えようとしますが、どうにもなりません。  
「電話、切れちゃってる」  
 南さんの一言で僕は子機に視線を戻しました。  
 彼女の言う通り、電話は切れていました。  
 恐らく、静希ちゃんから切ったのでしょう。  
 でも、今の僕は放出した快楽に酔いしれることしかできませんでした。  
 まだ荒い呼吸のまま天井を見続け、僕は呆然としています。  
 南さんはポーカーフェイスのまま、ベッドから降り、そそくさと着替えを始めました。  
 下着を身に着け、家での部屋着に着替えました。  
 そして、僕の手足を拘束しているテープをハサミで切り、彼女は言いました。  
「桜くんの制服、もう洗濯終わって乾いているわ」  
「あ、うん……」  
 自由になった僕は何か名残惜しい物を感じつつ、ベッドから降りました。  
 そして、南さんが持ってきてくれた僕の制服に着替えます。  
「桜くん」  
「ん、何、南さん?」  
 着替えの途中、南さんが僕の傍に寄ってきます。  
 シャツに腕を通した僕は何かと思いましたが、南さんはまだ外気に触れている僕の胸元に顔を近づけました。  
 そして、すっと唇を寄せると。  
「ちゅぅぅぅぅぅぅ」  
「あ、ああ……」  
 僕の胸に吸い付いてきました。  
 音を響かせながら、しばらく経って南さんは唇を離しました。  
 そこには南さんのキスマークがハッキリ映っていました。  
「首のは消えたから……今度は見えない場所に」  
「う、うん……」  
 僕はコメントに困り、さっさと着替えを終わらせました。  
 そして、南さんの部屋を出て、玄関まで見送って貰いました。  
「じゃあね、桜くん。遅いから気をつけて」  
「うん……ばいばい、南さん」  
 僕は落ち着かない気分で、南さんにさよならを告げるとドアから出て行きました。  
 
 桜くんの姿が消えた後すぐ、南さんは電話機の受話器を手にとっていました。  
 ダイヤルボタンをプッシュし、コール音がなる。  
 そして、相手が電話に出た。  
「はい、もしもし、水上ですが」  
 
 
 続くかも?  
 

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