「あ、あの・・・桜さん?」  
その事件は何の前触れもなく突然やってきました。  
「ん?どうしたの?ザクロちゃん。」  
「ちょっっ・・・あっ・・・手を貸してもらいたいのですが・・・」  
なんだか様子のおかしいザクロちゃん。  
「あっっ・・・やっぱりっ!・・・いいで・・・ああぁっっ!!」  
がくがくと崩れ落ちるザクロちゃん。  
「だ、大丈夫!?」  
僕はあわてて駆け寄ります。  
「あ、あぁぁっ・・・さ・・・わら・・・ひぅっ!!ないでくだ、さ・・・い・・・」  
なぜでしょうか、僕はザクロちゃんのこの症状にすごく覚えがあるのですが・・・  
「・・・もしかして、ザクロちゃん・・・?」  
「はい・・・んあっ・・・さ、くら・・・さんのおも、ってい・・・あんっっ!!いるとおり・・・か、と・・・」  
僕の想像通りってことはつまり、ものすごく"びんかん"になっちゃったってことですか?  
 
これは、多分自分はもう普通じゃないんだろうと自覚してきた中学生の僕と、  
まだ一人でお風呂に入ることの出来ない幼い天使の繰り広げる低刺激(?)な物語。  
 
さて、どうしたものでしょう。こういうときはザンスさんに来てもらってさっさと治してもらうべきなのでしょうけど、こういうときに限って連絡がつきません。  
ホンッと役に立たないな。あの変態天使。  
「あのっ・・・桜・・・さん?」  
「ごめん、ザクロちゃん。ザンスさんと連絡つかなっかったよ・・・」  
とりあえずザクロちゃんには横になってもらいました。  
僕もアレは体験済みなのですが、たまったものじゃありません。服が肌に擦れるだけでびくびくがくがく、立っていられなるのです。  
だから、極力運動量の少なくてすむ姿勢でいてもらうことにしたのです。  
「すみませっ・・・ん、桜さ・・・んぐら・・・いしかそうだ、んっ・・・出来る人が、はぁ、はぁ・・・いなくてっ・・・」  
そうですよね。さすがに『体中がびんかんになった』なんて相談しにくいですよね。  
僕が経験者でよかったとはじめて思えました。  
「謝らなくても平気だよ。とりあえずザンスさんと連絡取れるまでがんばって。残念だけど今の僕は無力だ・・・」  
「そんなことっ・・・ありま・・・せ、んん・・・桜さ、あっ・・・んは、よく、うんっ、やってくれ・・・て、ま・・・す。」  
いまさら気づいたのですが、今のザクロちゃんすごく色っぽいです。  
上気した頬、身悶える時の表情や仕草、そして声。普段見られないザクロちゃんです。  
「さ・・・くら・・・さ、ん・・・?そんなにっ・・・見つめられ、んっ・・・ると、なんだか、よけいに・・・ひっ・・・びくびくしてし・・・まうのです、が・・・」  
「あっ、ご、ごめん!!」  
なぜか一瞬でに真っ赤になる僕の顔。  
「な、なにか飲み物をとってくるね。疲れたでしょ?」  
なんだか、これ以上ここにいるとおかしくなりそうだったので、あわてて立ち上がります。  
・・・と、ついた手に不思議な感触。  
「・・・ふに?って・・・」  
僕の手が触れてたのはザクロちゃんの胸のふくらみ。  
「ああぁあぁぁぁぁぁぁぁあ嗚呼ぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!?????」  
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」  
しゅぱーん、とザクロちゃんから放たれたオレンジ色の濡れタオル。  
魔法のアイテム『殺人濡れタオル エッケルザクス』です。ザクロちゃんが放った濡れタオルは的確に僕をとらえ、僕は一気に宙吊りに・・・なってない。  
 
「・・・あれ?」  
なんだか様子が変です。  
「あ、あぁぁ・・・あ・・・」  
「ざ、ザクロちゃん?」  
「こ、こっち・・・にっ・・・こないっ、で、くだ・・・さ、い・・・」  
「ど、どういうこと?」  
ザクロちゃんは必死に何かに耐えているようでした。  
「エッケ、ルザクス・・・が、言うこ・・・と、をきかなっ、あっ・・・いんです。」  
「な・・・!!」  
「たぶ・・・んっ!この、からだのっ・・・せい・・・です、んうっ!・・・精神が、エッケルザ・・・クスを操ること・・・に、までまわ・・・ら、な・・・」  
え、それってすごく大変なコトなんじゃあ・・・?  
「だか・・・ら、はなれ・・・て下さい・・・。き、ひぃっ!?危険、です、から」  
うぞうぞと卑猥に蠢くエッケルザクス。たしかに危険そうです。でも、こんな状態のザクロちゃんをほったらかしにしておいていいのでしょうか。  
「ああぁっ!もう、なんでどうでもいいときだけ現れて肝心なときに連絡すら取れないんだよ。あの変態天使は!!」  
ここにはいないザンスさんにやつあたり。役に立たないのは僕も一緒ですから人のことは言えません。でも、でも・・・!!  
「あぁっ、いやっ・・・!!」  
え・・・?  
エッケルザクスが主であるはずのザクロちゃんに襲い掛かり、びんかんになってしまったザクロちゃんの体を這い回ります。  
 
「いっ・・・ひぁっ・・・やめっ、やめぇ・・・!!」  
ザクロちゃんは必死に抵抗しますが、思うように体に力が入らないようです。  
「んぁっ、ふく・・・服の中は、あっ・・・らめぇ・・・!!」  
エッケルザクスは何か奇妙な触手のようにザクロちゃんの体を嘗め回し、服の中にまで進入しようとしています。  
助けなきゃ。でも、どうやって?  
そうこうしているあいだもその濡れタオルは主の体をどんどん犯していきます。  
「ひっ、ひやぁ・・・!!そこ・・・は・・・」  
すると、意思のないはずの濡れタオルは見事な連携でザクロちゃんを剥いていきます。  
「いやっ・・・桜さっ・・・見ないでく、くださ・・・んんっ!?」  
ザクロちゃんから服を剥ぎ取った濡れタオルはザクロちゃんの口をふさぎ、あの・・・その、下着に覆われた一番敏感であろう部分を愛撫します。  
「んんーっ!!んっ、んんっ!!」  
びくびくと跳ねまわるザクロちゃん。  
その美しい肌はうっすら汗ばんでいて、形のいい乳房の先端にある乳首は充血してピンとたっていて・・・  
僕は、ザクロちゃんを助けなきゃいけないのに、男性的興奮のせいかその光景から目を離せなくなっていました。  
「助けなきゃ、ザクロちゃんを・・・」  
自分に言い聞かせるようにして僕は一歩前に出ます。  
しかし、まだこの光景を見ていたいのかそれ以上歩は進まず、僕はその光景に見とれてしまっています。  
「んんっ!?んー、んっんっんっ!」  
ザクロちゃんは半泣きで、僕に向かって首をふるふるふってきます。見ないで欲しいという意思表示でしょう。  
でも、もう僕は、首も、視線も、手も、足も、動かない・・・。情けないことに僕の意思は、欲望に勝てなかったようです。  
普段なら僕を助けてくれるはずの僕妖精たちもすべてデビル化。誰も助けてくれる人がいないのです。  
 
「んんっ、んんっ、んんんーっ!!!??」  
ザクロちゃんの下着はびっしょり濡れていて、はりついた布からはその中に隠された肉の丘が透けて見えます。  
それが、タオルに含まれていた水分でないのはもはや明らかです。  
 
ザクロちゃんの股間から滴る液体は、さっきまでザクロちゃんが横になったいた布団を汚します。  
その様子を見ていたら、なんだか僕の足元まで湿っぽくなってきた気が・・・  
ってあれ?なんで僕の足にまでエッケルザクスは巻きついているの?  
僕が、その足元にある濡れタオルに気づいたときにはもう手遅れでした。  
そのままエッケルザクスは僕にまで巻きついて・・・  
「ああぁっ!そんな大胆な!いやっ!僕はこんな事望んじゃいない!望んじゃいないのに勝手に体が・・・いやあああああぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁアァァァァァァァァ・・・!!!」  
 
僕の意識があったのははそこまででした。  
だって、突然乱入してきたドクロちゃんが顔を真っ赤にして僕を手にした魔法のバットでただの肉片に変えてしまったのですから。  
「あぁっ!桜くんがただのたんぱく質のかたまりにっっ!!」  
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜  
「ひどいやドクロちゃん!入ってくるなり僕をバラバラにしてっ!!」  
「だって桜くんがザクロちゃんに変なことを・・・」  
「してない!断じてしてない!エッケルザクスが急に暴れだして・・・僕も襲われたんだよ?僕だって被害者です!」  
いつもと大して変わらないやりとり。  
しかし、ドクロちゃんの様子はいつものそれとは全然違いました。  
「・・・あの、ドクロ・・・ちゃん?」  
なぜか、背中が盛り上がって見えるほどの闘気を放って見えるのは僕の見間違いでしょうか?  
「桜くん。どこで、エッケルザクスが暴れてたの?」  
「え?今だってあっちで・・・ってえぇっ!?」  
さっきまで暴れていたはずのエッケルザクスはきれいさっぱりなくなっています。あとに残ったのは半裸で失神しているザクロちゃん。  
これは・・・  
ま る で 僕 が 襲 っ た み た い じ ゃ な い か ! ! !  
「ねエ、おシえてヨ?どうしタらザクロちゃんハああナるの?」  
「あ、あはは・・・なんだか変だよドクロちゃん?話せばわかる!話せばわかるからっ!!だからお願い、その物騒なバットをしまってよ!!  
ねえ、聞いてる?だから僕はむじ・・・」  
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜  
 

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