放課後。僕は借りた本を返す為に、図書室に向かいました。  
図書館のドアをくぐると、カウンターにいるのは―  
「あ、桜君。本の返却?」天使の微笑みを浮かべた静希ちゃんです。  
「うん。試験も近いから、古文の資料なんかを借りてたんだ」  
ちなみに僕は、毎回静希ちゃんが受付にいるときを狙って本を借りる(+返す)ようにしています。  
こうすれば、静希ちゃんは近い内に僕の知性派な一面に気付くのに違いありません。  
「あ、そうそう」静希ちゃんが僕から本を受け取りながら言いました。  
「ちえりちゃんと宮本君。今、一緒にここで勉強してるよ」  
何ですと!?ううむ…どうやらあの二人は順調にやっているようです。  
そのうちきっと、彼らはラブを語り合い、その後は…その後はぁぁぁ!!  
「ちょっと、桜君、桜君!そのおでこから出てる緑色の液体は何!?」  
「え…?あぁ、ごめん静希ちゃん。ダイジョウブダイジョウブ」  
僕としたことが、少々取り乱してしまったようです。  
額から垂れた粘液をぴっぴっと払い、二人の様子を覗き見ることにします。  
静希ちゃんに場所を聞き、影の如くこっそりと移動。  
「いた…」  
勉強関連の本棚の近くに、宮本とちえりちゃんの姿がありました。  
遠目に見ても、『カップルしてる』といった雰囲気を発しています。  
うんうん。それでこそ、静希ちゃんと協力して作戦を実行した甲斐があったというものです。  
少し離れた所からそれを見続ける自分が大分切ない感じですが、それは考えないようにします。  
あぁ、宮本のやつ…あんなに爽やか200%なスマイルしやがって。  
と、その時。ちえりちゃんが机から消しゴムか何かを落としてしまいました。  
二人は同時に拾おうとして、ごちん、と頭をぶつけました。  
宮本もちえりちゃんも照れたように笑っています。全くもってほほえましいやりとりで…って、えぇっ!?  
何と二人は、見つめあった姿勢から動こうとはしません。  
これは。まさか・・・。  
 
頭同士とはいえ直に触れ合い、何かのスイッチが入ったのでしょうか。  
宮本は真剣な眼差しでちえりちゃんを見つめ、ちえりちゃんは頬を桃色に染めつつも、その視線をきちんと受け止めています。  
今はちょうど、誰も(僕除き)そちらを見ていません。  
やがて二人は目を細め、顔と顔、唇同士がだんだんと―  
 
だがっしゃぁぁぁぁん!!  
 
静かな図書室に、突如豪音が響き渡りました。  
今の衝撃音の発生源は一体…?すぐに見つかりました。  
宮本たちの近くの棚が倒れ、本を巻き散らしています。棚の上には一人の天使。  
「この、馬鹿天使いぃぃ!」僕はダッシュでドクロちゃんに駆け寄りました。  
「何やってるのドクロちゃん!この前あれ程図書室では静かにって言ったでしょ!?」  
ドクロちゃんは悪びれた風もなく  
「だってボク、どうしてもこの本に手が届かなかったんだもん」  
と、一冊の本の表紙を僕に見せてきます。何々・・・。  
『おとこのことおんなのこ からだのひみつ その2』  
「二冊目あったんだ!?いや、そうじゃない。  
こんな本ばっか読んでるんじゃありませんよ破廉恥なって、ちょっと待てえぇぇ!」  
あろうことか、ドクロちゃんは宮本たちの方へと近づいていくのです。  
「あー、やっぱりちえりちゃんと宮本君だー!ねぇねぇこれは何て読むぐふ」  
何とか僕はドクロちゃんに追い付き、口を塞いで図書館の出口へとひきずっていきました。  
倒れた本棚の事も気掛かりではありますが・・・ただでさえ二人のキスを遮ってしまったのに、  
これ以上場を引っかきまわす訳にはいきません。  
「桜君、さっきの音…」「うん。でも、ごめん!ちょっと急ぐから!」  
僕は静希ちゃんに後のフォローを頼み、展開に着いてこれていないドクロちゃんを担ぎあげ、  
脱兎の如く家路に着いたのです。  
 
 
時刻は午後六時、場所は僕んち二階の僕の部屋。  
僕はドクロちゃんと向かい合って座っていました。今からお説教なのです。  
「ドクロちゃん。ドクロちゃんはね、とーってもいけないコトをしちゃったんだよ?」  
「ふーん」  
「ふーんじゃないでしょ!何でそんな他人事みたいな反応するのかなこの天使は!!」  
僕はたまらなくやりきれない気持ちになりますが、彼女はそんなことなど微塵も意に介さないのです。  
本当に、少しは人の(主に僕の)迷惑というものを考えて欲しいです。  
全く…あんな事をしておいて。  
「あの時、図書室には宮本とちえりちゃんがいたよね」  
仕方なく、僕は一から説明することにしました。  
「知ってるよ。何かうつむいちゃってたけど」  
「うん。二人はね…」  
意を決して、言いました。ええ、言ってやりましたとも。  
「キスするところだったんだよ」  
「き……」  
ドクロちゃんは真っ赤になり、石像のように硬直してしまいました。  
ドクロちゃんはそのダイナマイトなボディに似合わず、かなりの恥ずかしがり屋さんなのです。  
「だからね。それを大きな音を立てて邪魔したり、あんな本でセクハラしちゃ駄目なんだよ?」  
「…」  
ドクロちゃんもさすがに、これにはしゅんとしてしまいました。  
「ま、まぁ、あの二人はこれからまたチャンスがあるんだから、ね。大丈夫だろうとは思うけど」  
ドクロちゃんが黙ってしまったので、僕はすかさず早口でフォローを入れます。  
「これから…」うん?  
「これから…ボクは…」何でしょう。何か言いたそうにしています。  
「だったら、これからボクは誰にこれを読んでもらえばいいの!?」  
ドクロちゃんはどこからか例の本を取り出し(服の背中側に仕込んでいたようです)、僕に突き付けました。  
「はぁ?」  
このぶっ飛び天使は今度は何を言い出すのでしょうか。  
「だってだって、ちえりちゃんには聞いちゃいけないんでしょ!?」  
「それはそうだけど、何も人に訊いてまで読む本じゃないでしょうが」  
ドクロちゃんは僕のもっともな言い分にも耳を貸さず、じりじりと詰め寄ってきます。  
 
「もちろん、桜君が責任を取ってくれるんだよね?」  
追い詰められ、僕の背中が壁に当たりました。  
「いや責任って言葉の意味分かってる?僕には何の責任も…」  
 
ゴガァッ!  
 
エスカリボルグが僕の右頬すれすれを通過して、壁にめりこみました。  
ドクロちゃんはエスカリボルグをそのまま放置し(せめて抜かないんでしょうか)、ぺらぺらと本をめくりました。  
「さぁ桜君、まずはこれから読んで―あれ?」  
どうしたのでしょう?彼女から発せられていたどす黒いオーラが消えました。  
「ふりがな…入ってる」  
「えぇっ!?あ、ホントだ!思いっきり振り仮名がながってええぇぇ!?」  
僕も既に読破した一冊目にも載っていた、「前立腺」はまあギリギリセーフとしましょう。  
けれどドクロちゃんが開いたそのページには、少年誌にはとても載せられないような  
単語がびっしりと書いてあるのです。それもリアルなイラスト付きで!  
「ド、ドクロちゃん…振り仮名ふってあるんだから、一人で読めるよね?」  
「…うん」  
よし、これはいけそうです。純情な僕はなるべく本を見ないようにしながら続けました。  
「だったら僕に一定の間合を保持する権利をくれないかなぁ。  
何かまた意味不明な理由で撲殺されそうだし」  
言いつつ僕はにじりにじりとドクロちゃんの横を通り過ぎあべし。  
足を掴まれ、成す術も無く床と接吻しました。  
「痛たたた…何するのドクロちゃん!」  
俯せに倒れたままドクロちゃんを見上げると、彼女は物分かりの悪い息子を叱りつける  
母親のような表情をしています。  
「それはそれ、これはこれ。桜君はまだ自分の責任を取ってないでしょ?」  
僕の足を掴んだままベッドに歩いていくドクロちゃん。  
 
「痛い熱い擦れてるよドクロちゃん!それにさっきも言ったけど、僕には何の責任もないでしょ!?」  
「言い訳しないの!めっ!!」  
ドクロちゃんは僕をベッドに寝かせると、僕のお腹にちょこんと跨がりました。  
これは…いつぞやもやられたマウントポジションではありませんか!  
「あのー、ドクロちゃん?」  
「これには振り仮名がふってあるから…桜君には本を読む代わりに、  
書いてある事が本当か確かめるのに協力してもらうからね」  
当たり前のように言い放ちました。  
「ドク―」  
ドクロちゃんは僕の唇に人指し指をあて、言葉を紡ごうとする僕を制止しました。  
「桜君、ダメだよ。こういうのはムードが大事なんだから」  
そう言って、ウインクを一つ。  
「えっと…『ふふっ。こんな簡単に女の子に押さえつけられちゃって、恥ずかしくないの?』桜君」  
「えぇ!?」  
ドクロちゃんの口からそんなアダルティな台詞が出る筈がありません。これはどうしたことでしょう?  
ぐぐぐと首を無理矢理回して、開かれた本を見てみました。  
そこにはゴシックの太字で『たまには男の子を可愛がっちゃおう。実践テクニック』  
と書いてあるのが読みとれました。  
「な…何じゃこりゃあぁぁ!」  
さすがあの『からだのひみつ』というべきか、二冊目にはそんなオトナな事まで載っているようです。  
っと。感心してる場合じゃありません!猛烈に嫌な予感がします。  
僕はじたばたともがいてみましたが、腕を両膝で挟まれているので殆ど意味がありませんでした。  
「『ほぉら、もう逃げられないんだから。諦めて楽しんじゃいなさい(まずは相手の羞恥心を煽ろう)』」  
「ドクロちゃん、そんなの読まないの!早くどいてよ!」  
たどたどしい棒読みとはいえ、ドクロちゃんのくりくりロリータボイスでそんな事を言われては、  
僕は変な気持ちになってしまいます。  
しかしドクロちゃんは僕の体から離れる気配もみせず、にやーっと笑いました。  
「そんな生意気な態度とっちゃって、いいのかなぁ・・・桜君?  
ボクは今、桜君をどうにでもできるんだよ?」  
 
「どうにでもって・・・くぁっっ!?」  
あろうことか、ドクロちゃんは右手を僕の胸に置き、Tシャツごしに僕の乳首を摘んだのです。  
「駄目駄目やめなさいドクロちゃん!駄目だったら…ひぃっ!お願いだからやめてえぇぇ!」  
ドクロちゃんは僕の必死の懇願も気にせず、両手で悪戯を続けます。  
人指し指の腹で円を描いたり、親指と人指し指の爪で挟んで軽く引っ張りあげたり…  
エスカリボルグを振り回している時の豪快さとはうってかわって、繊細な力加減です。  
僕は反応するまいと口元をひきしめますが、ドクロちゃんの巧みな指使いに  
ついつい甲高い声を漏らしてしまいます。  
「あ、ホントだ。桜君の乳首、膨らんできてるー!」  
責めないでやって下さい。こんな非日常的なシチュエーションにおいて、  
健康な男子の体が反応せずにいられる訳があろうか、いやない!  
僕の乳首はシャツ越しでも分かる程に勃ってしまったようです。  
「やっぱり桜君はそういう人なんだねー。  
ここだけで声を出しちゃうような男の子は真性奴隷タイプって書いてあるよ?」  
ドクロちゃんは僕の乳首を弄っていましたが、しばらくすると飽きてしまったようで、  
本の続きに目をやりました。  
「ふんふん。次はそうしてから…へー。そんな事するんだ」  
どんな事だよ。僕はせめてそうツッコミを入れようとしましたが、それも叶いませんでした。  
「むぐっ!?」  
気付いた時には、ドクロちゃんの顔が目の前に。唇と唇が触れ合っています。  
「も…もぉふろはん(ドクロちゃん)…」  
逃れようにも、両手で顔を挟まれていて全く動けません。  
みずみずしいドクロちゃんの唇の感触が、僕のそれに伝わってきます。  
こんなに……柔らかいんだ…。  
僕は初めての体験に、頭がボーっとしてしまいました。  
頬にあてられた両手も、温かさを伝えてきています。  
ですが、そんなふわふわとした感覚も長くは続きませんでした。  
 
ぬるり。  
「っ!!」  
舌が。ドクロちゃんの生暖かい舌が、僕の口の中にいぃぃ!  
「んむむむ…」  
僕は慌てて歯をしっかりと噛み合わせました。  
これで隙間を作らない限りは―  
れろれろれろ……  
くはぁっ!!僕は喋れない状態で、声なき悲鳴をあげました。  
ドクロちゃんはその真っ赤な舌の先で、僕の歯茎を優しく舐めているのです。  
これは何とも…いや、目覚めている場合ではないのですが。  
僕は予想外の攻撃に一瞬戸惑ってしまい、  
きつく閉じてした歯に僅かな隙間を作ってしまったのです。  
その瞬間を逃さず、ドクロちゃんの舌は僕の口内に侵入を果たしました。  
ドクロちゃんの舌はそれだけで一つの生き物であるかのように、僕の口の中を自由に蹂躙します。  
「んん……うぅ…」  
抵抗虚しく、数秒後には僕の舌はドクロちゃんの舌に絡めとられてしまいました。  
実際にはそんな筈はないのですが、何となく甘いような感じがします。  
ぶっちゃけ、とっても気持ちいいです、はい。とろけそうです。  
部屋に、舌がくっついては離れるぴちゃぴちゃという音だけが響きます。  
まるまる二・三分はそうしていたでしょうか・・・ようやくドクロちゃんは顔を離してくれました。  
 
「ぷはぁ…」  
僕はようやく息苦しさから解放され、酸素を求めて喘ぎました。  
「どう?桜君、気持ち良かった?」  
「なっ!?」  
そんな質問に答えられるワケがありません。  
僕が無言でいると、ドクロちゃんは僕の首筋に指を這わせ、からかうように言いました。  
「そんなにぐったりしてるんだもんね…それじゃ、言わなくても同じだよ」  
ぐぅ。これでは完全にドクロちゃんのペースです。  
考えてみれば、勿体な過ぎる話じゃあないですか。  
この状況のきっかけは『からだのしくみ』の本です。  
ならば事の運びが少し違えば、今の僕とドクロちゃんの位置は逆だった筈です。  
『「桜君…何でボクを押し倒すの?」  
「この本の内容が正しいか知りたいんでしょ?僕がたっぷりと協力してあげるよ」  
「ダメだよ、桜君……あっ…ヤだ、そんな所はぁっ!」』  
とまあ、そんな感じに。  
それなのに何ですか、この体たらくは。僕は決心し、反撃に移る事にしました。  
「ドクロちゃん」  
「何?」  
「パンツ見えてるよ」  
そう。帰ってきたばかりなので、ドクロちゃんは制服のまま。  
マウントポジションなんかとったら、その水色しましまパンツ(小さいリボン一つ付き)が  
丸見えになるのは当然です。  
さぁドクロちゃん、恥ずかしさにうち震えるがいいです!  
っていうかどいて下さい。  
 
「…え?それで?」  
あれぇ?ドクロちゃんは平然としています。  
「いや、それでって。恥ずかしくないの!?」  
僕の問いかけに、ドクロちゃんは呆れたように言いました。  
「第一話を忘れたの?」  
アウチ!しまったあぁぁ!!  
そういえば、ドクロちゃんは第一話で自らワンピースをめくり上げていたではないですか!  
初登場時こそパンチラを見て撲殺されましたが(記念すべき初撲殺)。  
それ以降は、パンツを見られたからといってどうってことはないのでした。早い話がチャメシゴトなのです。  
「それに、桜君の方はもっともっと恥ずかしい目に合うんだから…」  
ドクロちゃんは体を少し後ろに傾け、僕の下腹部へと手を伸ばし―  
 
ぎゅっ。  
 
「あqwせdrftgyふじこlp!!!」  
あまりの激痛に、僕は痙攣しながら奇声を上げました。  
ドクロちゃんは、僕のズボンに張られたテントの支柱を、手加減無く握りやがったのです。  
「え?あ、ごめん桜君!そんなに弱いとは思わなかったから」  
「死ぬ所だったよ…」  
ドクロちゃんは続いてじじーっとズボンのチャックを下ろし、  
僕の堅くなったソレを外気に晒しました。  
「うわー。キモくてグロいね」  
むきだしになった肉棒を見る為、ドクロちゃんは「よっ」と  
僕の体に反対向きに跨がり直しました。  
ちょっとちょっと。いくら何でもヤバ過ぎます。デンジャーです。  
 
「おおおおおぉぉおおおぉぉ!!」  
僕は人斬り抜刀斎の如く叫び、再び全力をもってドクロちゃんをどけにかかりました。  
「あっ!?」  
姿勢を変えたばかりで不安定なのもあってか、ドクロちゃんの体が僅かに前のめりになります。  
今だ!僕は押さえつけられていた両腕を引き抜き―  
立ち膝の姿勢になっているドクロちゃんの、スカートの中へと突貫させました。  
「ひゃうっ!?」  
いきなりお尻に触れられ、ドクロちゃんが声をあげました。  
「こら、桜君…っ!くすぐったいよぉ……ふぁっ!」  
僕は、かわいらしいドクロちゃんのお尻をむにむにと揉み始めました。  
小ぶりながら、柔らかくて充分な弾力です。  
いくらドクロちゃんといえど、お尻を揉まれては平静を保てるわけがありません。  
――これです!これなのです!!  
僕の望んでいた展開はこういうのなんですよ!  
乗っかられたうえで自分からは触れないだなんて、生殺しもいいところです。  
さながら見ているだけの回転寿司!もしくは肉を額に張り付けるという中世の拷問!  
しかしそれも過ぎた話。僕はこうして栄光(イコールお尻)に辿りついたのです。  
もみもみもみ…  
とりあえず、このフィンガーテクニックで体力を奪わせてもらいましょう。  
ドクロちゃんは「やめ…あっ…きゃうっ!」といったようなステキな声をあげながら、  
体を浮かせて僕の手から逃れようとします。  
ですが彼女は、膝立ちで後ろに倒れかけた姿勢です。  
力が満足に入らない状態では、起き上がることはとうていかなわない事なのです。  
とりあえず腰を降ろせばいいのですが、混乱してそこまでは頭が回らないのでしょう。  
「んっ……ダメ、だよぉ…」  
責めを続けると、ドクロちゃんの声にも幾分甘い響きが混じってきたような気がします。  
僕がひときわ強くお尻に指を食い込ませると、ドクロちゃんは「あぁっ!」っと声をあげ、体を跳ねさせました。  
そしてドクロちゃんは、糸の切れた人形のようにすとんと腰を落とし―  
斜め上から僕の肉棒の上に着地。  
「ぽきり」と、僕の息子さんが曲げてはイケナイ方向に曲がりました。  
 
「ぬがあぁぁぁあぁぁ!」  
「…?」  
「ドクロちゃんどいてどいてどいて!子孫を残せない体になっちゃうよおぉぉ!!」  
激痛とかそんなんじゃありません。痛いとか痛くないとか超越しています。痛さヤバイ。  
頑張れ。肉棒超頑張れ。生きろ。  
ですがドクロちゃんは「やだ」と、きっぱり僕の要求を拒絶しました。  
「何でぇぇ!?」  
「お尻触ったから」  
ドクロちゃんはさらに、そこに体重を預けました。  
「あああぁぁあぁ!死兆星が見えるっ!?ユリアぁぁぁ!!」  
経験はありませんが、ケンシロウに秘孔を突かれたってこんなには痛くはないでしょう。  
「ごめんなさい僕が悪かったから許して早くうぅゥぅっ!」  
「じゃあ『ドクロちゃん様哀れな下僕にお慈悲を』って、言って?」  
「ドクロちゃん様哀れな下僕にお慈悲をぉぉ!」  
僕がそう叫ぶと、ドクロちゃんはようやく体の位置を元の位置に戻しました。  
そして、いつもの呪文です。  
 
ぴぴるぴるぴ―  
 
「あ」  
呪文が途切れました。  
「何々どうしたのドクロちゃん!?頼むから早く治してよぉっ!!」  
「エスカリボルグ、あっちだから…」  
ドクロちゃんの指差す方向を見ると、壁には相変わらず鋼鉄バットが突き立っています。  
治す為にはあれが必要な訳で。で、ここからは手が届かない訳です。  
「てへっ☆」  
「舌出してごまかしても駄目っ!使い物にならなくなったら大変でしょ!?  
一回立って取ってくればいいじゃない!」  
「面倒なんだもん」  
ドクロちゃんはうるさそうに応え、  
「…じゃあ、こうして治療してあげるよ」と、僕の下腹部に顔を近づけました。  
 
「はあぁっ!?」  
僕の口内を蹂躙していた舌が、今度は肉棒を舐め上げています。  
当然ながら、初めての体験です。  
ときには舌先が先っちょを掠め、ときには舌全体が側面に擦りつけられ…  
とても素人とは思えないワザ。どこでそんなのを覚えてきたのでしょう。  
ふと、例の本が視界に入りました。開かれたページの見出しには―  
『☆舐めかた咥えかた☆』  
「嘘おぉぉ!?」  
何でこんな本が学校の図書館に置いてあるんでしょうか。  
「桜君の、凄いね…ビクビクしてるよ?」  
そんな事をされたら当然です。  
ちなみにドクロちゃんはぺろぺろと舐め続けるだけで、くわえる様子はありません。  
いくら彼女でも、初めて間近で見る男性器を口に運ぶのは、さすがに抵抗があるのでしょう。  
なので、とっても気持ち良いのに絶頂に達することができません。  
悶々としたまま、妙にゆっくりと時間が過ぎていきます。  
「桜君…もっと気持ちいい事、して欲しいよね?」  
答は言うまでもありません。けれどドクロちゃんは  
「ちゃんと言わないと分からないよ?」と、僕を催促します。  
「もっと…」仕方なく僕は  
「凄い事、して欲しいよ」  
と、赤面しつつ正直に答えました。  
するとドクロちゃんは満足気に「正直でよろしいっ!」と言い、  
ぱっと僕の体から立ち上がりました。  
 
「え…?」  
唐突に気持ち良さが途絶え、僕は呆けた声を出してしまいました。  
見上げると、ドクロちゃんが心底楽しそうにに笑っています。  
「ふふっ。桜君、自分から凄いことして欲しいなんて言っちゃうなんて大胆ー!  
とんだエロガッパだねっ☆」  
ぐぬぅ。草壁桜中学二年生。そんな死語で辱められる日が来るとは思いもしませんでした。  
この羞恥、いつかドクロちゃんに10倍返し…おや?  
「ドクロちゃん、何してるの?」  
ドクロちゃんは丸出しな僕を放って、自分の寝床の押し入れをごそごそやっています。  
「探し物〜」  
上半身を押し入れに突っ込んで足をぱたぱたさせている姿は、  
中々にマニアックな萌えオーラを放っています。  
「ドークーローちゃん?」  
あそこまでやっておいてここで終わりというのは、さすがに酷過ぎるというものでしょう。  
十五秒程するとドクロちゃんは「あったー」と、押し入れから取り出した物体を掲げました。  
それは、一見何の変哲も無いオレンジ色のタオル。  
それが何か尋ねる前に、ドクロちゃんの右手が霞み…  
ジュパァァッ!  
「あああぁぁっ!これはまさか、エッケルザクス!?」  
僕は一瞬にして、両腕を頭の上に縛りあげられてしまいました。  
 
「ドクロちゃん…ちょっと展開についていけないんだけど。どういう事かなぁ?」  
流れからして『正直でよろしい』というのは、希望を叶えてくれるという事では…?  
「うーんとね。あのまま桜君を満足させてあげても良かったんだけど」  
ドクロちゃんは僕を見下ろして言いました。  
「ボクのお尻を触った罰を与えなきゃいけないからね」  
僕の局部に激痛を味あわせた自分については、どうやら棚上げのようです。  
勝手気ままな撲殺天使だなぁと思いましたが、命が惜しい僕は黙っておきました。  
「具体的に…どうするの?」  
勇気を振り絞って、訊いてみました。  
「まずは桜君のが大人しくなってからだよ」  
言われて自分の体を見下ろすと、僕の下半身はまだまだ元気なようです。  
「それが元通りになってからじゃないと、勿体ないから…」  
ドクロちゃんはくふふ、と悪企み全開な笑みを浮かべました。  
それから待つこと一分と三十秒。ようやく僕のカラダは落ち着きを取り戻しました。  
「それで、ドクロちゃん?」  
「うん。もういいよね」  
ドクロちゃんはうきうきと僕の足元に腰を降ろしました。  
わざわざ一旦休ませるなんて、これから何をされてしまうのやら。  
期待半分恐怖半分な心持ちです。  
とりあえず、神様に「もげませんように」と祈りを捧げておきました。  
「いくよー」  
ドクロちゃんはがしっ!っと僕の足首を掴み、自分の方へ引っ張りながら大きく開脚させました。  
そして、僕の両足の間に自分の左足を滑り込ませます。  
これはまさか、あの―  
 
ガガガガガガガ……!  
 
「ああぁぁあっ!!」  
電気按摩。説明する間でもなく、究極の禁じ手なあの技です。  
白いソックスに包まれたドクロちゃんの足の裏が、僕の局部全体から前立腺にまで  
強烈な振動を送り込んでいます。  
 
「ドク…ロ……ちゃ…あぁっ!」  
「桜君の、もう元気になってきたねー。若い若い」  
振動と同時に伝わってくる快感に、僕はどうする事もできません。  
再び大きくなった僕の息子を、ドクロちゃんの足が責めたてます。  
最初はシンプルに足をバイブレーションさせるだけでしたが、  
しばらくすると足の動きに変化が生まれてきました。  
まずは親指と人指し指を棒に強くあて、しゅっしゅっと上下に擦り始めます。  
自分の手でするときとは比べものにならない快感に僕はのけぞってしまい、  
必死に本能的な衝動を押さえこみます。  
「思ったより我慢するねー…じゃあ、これはどう?」  
今度は踵が、大切な袋を下からぐいぐいと責めたてます。  
「ぐ…ぁ……あぁぁあぁぁぁ…」  
僕は電流のように脳を貫くあまりの刺激に、ただただ悶える事しかできません。  
汗ばんできた靴下が、よりフィット感を高めます。  
「桜君の、もう限界みたいだね。出したい?出したいよね?」  
当然です。口でするのも途中でやめられてしまった上に、この電気按摩です。  
僕は既に、いつイってもおかしくない状態です。  
そして、ついに…最強レベルの振動が与えられました。  
「か…はっ……あぁっ!」  
気持ち良すぎて―もう ―  限 ―  界 ――― っっっ!!  
「があぁっっ!?」  
僕は叫びと言っていいような呻き声を上げ、全身をピクピクと痙攣させました。  
射精を無理矢理押さえ込まれた、圧倒的なまでの圧迫感。  
ドクロちゃんが僕の局部を足の指でぐっと押さえ、精液の流れをせき止めたのです。  
「危なかったぁ…そのまま出したら、ボクの制服まで汚しちゃうでしょ?それに」  
射精の衝動が過ぎ去ったのを見計らって、足が振動を再開しました。  
「こんなに楽しいの、まだ終わらせたくないから☆」  
僕は終わりの見えない快感の渦に飲まれ、口を半開きにして喘ぐばかりです。  
ドクロちゃんの足は巧みに僕の肉棒に様々な快感を与え、  
かつ絶頂が近づくと焦らすように責めを緩めるのですから。  
 
ガガガガガガガガ……   ガガガガガガ……  
        しゅっ……しゅっ…  
  グイッ…ギュギュッ…    きゅっ……!  
 
震わされ、擦られ、こねられ、押し付けられ。  
どの位の時間が経ったのでしょうか。  
「そろそろ出させてあげようかな〜?」  
やっと…やっと、待ち望んでいた台詞が出ました。  
 
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪  
 
ドクロちゃんが呪文を唱えると、僕の肉棒に「ふわぁっ」と布のような物が被さり、  
包み込むように巻きつきます。  
「これは…女の子のパンツ?」  
どう見ても、それ以外の物には見えません。  
「うん。これならボクの服、汚れないから」  
ナイスアイデアでしょ、と言わんばかりの誇らしげな笑みです。  
なるほど。そっか、うん。なるほどなぁ。納得…できるかぁぁ!  
「何でパンツなの!?僕はそういう趣味を表明してはいなかった筈だよ!?  
それが事実かどうかはさておいて!!」  
「静希ちゃんのだよ」  
「静希ちゃんのとかそういう問題じゃなくって……え?」  
僕の息子さんに巻きついてるこれが、静希ちゃんのパンツ?  
「ボクからのサービス、みたいな」  
「いらないからいらないから!せめてハンカチぐらいにしてよ!!」  
考えようによっては靴下なんかも…いや、だからそういう問題じゃあありません。  
「もう、わがまま言っちゃダメでしょ?ホントに桜君はへ理屈屋さんなんだから…」  
僕の抗議も空しく、再び破壊的な振動が。  
「ぐっ……ああぁあぁぁぁ…ああああぁぁっ!!」  
 
いけません!このままでは、僕は静希ちゃんのパンツの中に…パンツの中にィっ!!  
 
「っっっ――――――――!!」  
ド ク   ン ド  ク  ン ド  ク ン  ド ク   ン ・ ・  ・・ ・ ・・  
 
僕は頭の中が真っ白になる感覚とともに、パンツの中に性を放ちました。  
「はぁ……はぁ…」  
体内の全ての水分が抜けてしまったかのような浮遊感です。  
「桜君、凄いねっ!ちゃんと被せたのに、ちょっと漏れちゃってるよ?」  
ドクロちゃんの声も、どこか遠くから聞こえてくるかのようです。  
やっと、終わった…。  
「出す」というより「出させられた」訳ですが、気持ちよかったから良しとします。  
もう済んでしまった事ですから。  
次の機会こそ、僕がドクロちゃんにあんなコトやこんなコトをしてみせますとも!  
僕は堅くそう決意したのち、唐突に襲ってきた睡魔に意識を委ねる事にしました。  
こうして、このエピソードは幕を閉じ――――  
 
ガガガガガガ……  
 
「あああああぁぁぁっ!!ちょっ…ドクロちゃん!?」  
「ボクに勝手で話を終わらせようだなんて百万光年早いよ桜君!  
部長に向かってそんな態度とってると、木工用ボンドで先っちょ固めちゃうよ?」  
「そんな…もう出ないから!出ないからあぁぁぁーーーーー!!!」  
いくら僕が若いからって、そんな…あぁっ!もう勃ってる!?この体が憎い!!  
ああああぁぁぁ―――――  
 
 
目を覚ますと、僕はベットの上でした。  
「まさか…夢オチ?」  
布団をめくってみると、ちゃんとパンツもズボンも履いています。  
枕もとの時計を見ると、時刻は午後の9時。  
ええと……あれ?いまいち脳が上手く回転していません。  
あれが夢であろうと何だろうと、午後9時といったら夕飯も終えて  
お風呂にでも入っている時間です。  
これはどういうことなのでしょうか?  
―がちゃ。  
ドアが開きました。  
「さーくーら君っ!目、覚めた?」  
「うん…あの、ドクロちゃん。お母さん達は?あと晩御飯とか…」  
「今日の朝『二人でお出かけしてくるから、夕飯は二人で適当にすませなさい』  
って言ってたの、聞いてなかったの?」  
そうでした。二人はいい年して、ディズニーシーにお泊りなのでした。  
帰ってくるのは明日になってからの筈です。  
「それより桜君、マック買ってきたから早く食べようよ。冷めちゃうよ?それとも…」  
とてとてと、ドクロちゃんが僕に近づいてきます。  
「さっきの続き、して欲しい?」  
「おあああああぁぁぁぁっ!!」  
僕はオタケビをあげてベットから跳ね起きました。  
―夢ではなかったようです。  
階段を降りながら、僕はドクロちゃんに言いました。  
「ドクロちゃん。着替えさせてくれたのはいいけど、ああいうのはもうやめて欲しいなぁ」  
「えへへ、ちょっと調子に乗っちゃったかな。でも、気持ちよかったでしょ?」  
「まぁ…ね。」「あはは」  
僕たちは互いに、ちょっとだけ頬を紅潮させました。  
 
「と、とにかくドクロちゃん!次の機会は僕に同じぐらいのアドバンテージをくれないと  
不公平だよね?少なくともエッケルザクスの使用は許可してもらうよ!?」  
そうです。今日のお返しとして、僕にだってドクロちゃんを自由にする権利がある筈です。  
僕は照れくささを振り払うように言いました。  
ですがドクロちゃんは  
「…ねぇ。桜君は、ボクのこと、好き?」  
と、僕に背を向けたまま、急に質問を投げかけてきました。  
え?いきなり何ですか?  
僕は戸惑いました。あらたまって訊かれると照れてしまうではないですか。  
それでも…僕は正直に答えました。僕達はもう、あんな事をした仲なのですから。  
「好きだよ、ドクロちゃん。大好き」  
僕がそう答えると、ドクロちゃんは弾けるような笑顔で振り向きました。  
「ボクも大好きだよ、桜君!  
だから、今度は…うん。桜君の、好きにしていいよ」  
僕たちは触れるだけの、軽いキスをして。  
仲良く、ハンバーガーの匂いの漂うにリビングに足を踏み入れました。  
 
 
                                                 おしまい。  
 

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