「おかえりなさいませぇ、ご主人さ……」
『おぅ、久しぶりだなあやめ』
「先ほど学校で会ったばかりだろう。しかしキミ…最近妙に店に来てないか?」」
席に通すのも通されるのも慣れた感のある二人。
ちょうど他の客が居なかったので、あやめもある程度素のままの対応が出来るのはある意味幸いだった。
『そうか?…なんかここのオムライスが気に入ってさ』
「ふむ、たしかにウチの店は料理も自慢だが、オムライスくらいならわざわざウチに来なくても…」
『おいおい、店員が客にそんな事言っていいのかよ!』
「し、しかし…こう毎日キミにこの格好を見られるのは何だか…」
『何だか?』
「そんな事はいい!早く注文を取ってさっさと帰れ!」
『それがご主人への対応かよ…じゃオムライスセットな』
と、すごい剣幕だった顔つきがコロっと変わった。
「かしこまりましたぁ。」
ニッコリ笑って歩いていくあやめをアクジはしばし見送る。
『真面目なんだか不真面目なんだか…』
「オムライスセットをお待ちのご主人さまぁ?」
『はいはい、と』
「ごゆっくりお召し上がりください」
(…さっさと帰れって言ったのどこの誰だよ…)『あ、あやめ』
「はい?お呼びですかご主人さま?」
『ここにミルクックマのシールが6枚ほどあるんだが…やろうか?』
「ミル…!?ほ、本当に頂いてよろしいのですか!?」
『まぁ俺は別に集めてないからな。今渡すのも邪魔になるし、バイト終わったらウチに来てくれないか?』
真剣な表情がピタッと止まり、周りに客の存在がないかキョロキョロと確認すると耳元に小声で語りかけてきた。
ゴニョゴニョ(待て。それなら明日学校で渡してくれればいいだろう)
ゴニョゴニョ(でも今日シールがあれば家に帰るついでにミルクックマがもらえるだろ?)
ゴニョゴニョ(それはそうだが…)
ゴニョゴニョ(それにウチに来ればまほが飼ってるネコにも会えるぞ?)
ゴニョゴニョ(くっ…キミというヤツは…シールをもらったらすぐに帰るからな)
ゴニョゴニョ(ネコはいいのか?)
ゴニョゴニョ(誰が会わないと言った!わざわざ出向く以上存分に愛でて帰ってやる!)
『ま、まぁ…じゃあバイト終わるまでここで待ってるからな』
「はぁい、ごゆっくりどうぞー」
(…よし。後は…)
(ネコネコネコネコ…ミルクックマミルクックマ…)
「か…かわいい…」
家にお邪魔するなり目の当たりにしたネコを存分に愛でるあやめ。
しかしこれはアクジの巧妙な罠だった…。
『あやめ、何か飲むか?』
「………」
へんじがない。ただむちゅうに なっているようだ。
『あやめ?おーい』
「はっ!…呼んだか?」
『…何か飲むか?』
「あぁ、お茶を頼む。そこに置いておいてくれ。…むっ、この毛並み、この耳…これは……くぅっ…」
『なんて集中ぶりだ…これならうまくいくかな』
『あやめ』
「…………」
へんじが(ry
『……あやめ』
「あぁっ…このつぶらな瞳が…」
『…あやめ!』
「な、なんだ?」
『……体はそのままで両手を後ろで組んでみてくれ』
「??こうか?」
あやめの背後でガチャッと金属音が鳴る
「!?キミ…今何をした?」
『手錠をかけただけだ。普段のお前じゃ警戒するだろうからネコを囮にした』
「な!?なんでキミがそんな物を…」
『ん、まぁ俺はチョイ悪だからな』
「そうか…」
(納得するのかよ!)
「…いや、そんな事よりどうしてこんな事!」
『理由はいっぱいあるぞ?これまで殴られた仕返しとか、久しぶりにまたお前の体をいじり倒したくなって…とか』
「くっ、卑怯な!そういうことは正々堂々とやれ!」
『正々堂々体をいじっていいのか?それってつまり×××…』
「×××!?だ、誰がそんな…」
(なんで×××で通じてるんだ…)『まぁとにかく今までの借りは返させてもらうぜ』
「くっ…覚えておけ…!」
『じゃ始める前に…よっと』
腕の自由が効かないあやめを、アクジはお姫様だっこで持ち上げた。
「な!お、降ろせ!」
『わ、暴れるな!ほら、床の上じゃそれっぽくないだろ?よっ』
ソファーの上へ仰向けに寝かされる。
『これでよし。さ、始めるか』
悔しさがにじみ出ているあやめの顔に、アクジの顔が近づいていく。
「……ま、待て!やめ……んんっ」
唇が触れ、アクジの舌があやめの唇に割って入り込む。
「ん……はぁっ……あっ…」
十数秒が経過、依然としてアクジの舌攻めは続いている。
「あ……んっ…はぁっ…、………っ!」
負けず嫌いが出たか、あやめが舌を入れ返す。
『んむっ!ん…ふぅ…』
互いの舌が絡み、垂れた糸があやめの首筋をつたる。
『ぐ…ん…くっ…ぶはぁっ!ハァ…フゥ…』
「ハァ…ハ…ァ…フフッ…あたしの勝ちだな…」
呼吸が途切れ先に顔を離すアクジを見て、同じく途切れ呼吸ながらも勝ち誇った顔であやめが笑う。
特に勝負事ではなかったはずだが、二人の因縁は視聴覚室の蹴り合いを筆頭とする深いもの。
お互い負けず嫌いのせいか自然とそういう形式になってしまうのだ。
『くそっ…次は負けねぇ…いや…むしろこっからはずっと俺のターンだ!』
あやめの制服のスカートにアクジの手が入り込む。下着の膨らみの部分を指で強めに撫で回してみる。
「きゃっ…や、やめろ!やっ…ん…」
『よし、降参か?』
「くっ…降参?誰が…!」
『これでもダメか…ならダイレクトアタックだ!』
あやめの下着があっさり脱ぎ取られる。
『ちょっと背伸びパンツを手に入れ…』
「キミはさっきから何を言っている!?は…早く返せ!」
必死の懇願も聞かず下着をポケットにしまい込むと、魔女神判のごとく目で秘部の観察をはじめた。
『へぇ…あやめの…っていうか女子のってこうなってんだな…』
「や、やめろ!そんなにジロジロ見るなケダモノ!」
『嬉しいこと言ってくれるじゃないの』
「……キミ…どこか小田に似てきてないか?」
『なんか自然と言葉が浮かんでくるんだよな…と見せかけてバカめ!』
一瞬のスキを突いてアクジの指が割れ目に入り込み、これでもかというまでにかき回す。
「あっ!あ…あぁ……ん…」
『ん?あやめ…まさか感じてるのか?』手の動作はそのままにアクジが問いかける。
「あ…何を言って…あたしは…感じて…など…」
『君はこの動作を続けるよう願ってもいいし、怒って中断させてもいい。さぁ、選びたまえ』
「お、小田の真似事はもうやめろ…」
『で、どうする?終わりにするか、続けるか!あやめ!』
「………好きにしろ…その代わり明日は覚悟しておけ」
『じゃ…続けるぞ?』
「………うむ」
翌朝。「シモベよ、愚民アクジよ、もう朝ですよー」
『あれ?あやめは…帰ったんだっけ…?』
「何寝ぼけてるですかー!…ところでシモベよ。」
『ん?なんだよ?』
「ゆうべは おたのしみ でしたね」
終わり