―さらに前回の続き―
放課後になって、やっと練習が終わり、みんなも帰り始めました。
だけど、大助はセリフを中々覚えれなくて、一人教室に残って練習していました。
「う〜ん…やっぱり、難しいなぁ……。そうだ、雰囲気だけでも掴むように、嫌だ
けど、カツラをかぶっておこう……」
一人で居る教室は、自分の声がキレイに響きました。
「……丹羽君…練習熱心だね……」
「り…梨紅さんッ!?どうしたの?もぅ、みんな帰ってるよ……?」
「え…あ、良いの。私も、残って衣装作りしてただけだし。」
「そう?…あ、じゃぁ一緒に…帰る……?」
少し、照れる様子で大助が梨紅に言いました。
その言葉に、梨紅も少し照れながら応えました。
「…うん。…あ、ちょっと待って……」
「何?」
大助が、カツラをとって荷物を片付け様とすると、梨紅が止めました。
「あ…あの……。丹羽君、忙しそうで…何か、私にしてあげられないかなって考えた
んだけど…」
「え…そ、そんなッ!全然ー……」
と、大助が焦った瞬間、梨紅は大助にキスをしました。
「………ぁ…ンッ…」
突然の出来事で、大助は息を整えられず甘い声を漏らしてしまいました。
少しすると、梨紅は大助を解放しました。
「り……梨紅…さん……?」
「あ…ご、ゴメン!!た…ただ、そ…その……。か…彼女として、彼氏が喜んでく
れる事って何だろうって思ってたんだけど…。」
「え、あ…そう。う。うん。何か、梨紅さんからってのが…ちょっと嬉しかった……
あ、アリガトッ!」
「ホント?良かった〜。あたし、これで嫌われたらどうしようって思ってた。」
「ううん。でも、こんなカツラかぶってると、僕、女っぽぃよね……;」
アハハと笑いながら、大助が言うと梨紅はニッコリ笑って言いました。
「じゃぁ、今日だけ丹羽君がお姫様だね!!さっ!帰ろーーッ!!」
「え、あ…うん!!!」
そうして、二人は教室から出て行きました。
――おまけ―――
そんな様子を見ていた一人の人物―その名も日渡 怜
「ちっ!丹羽にさきを越された!って感じだ……。俺は、こんなにカッコ良くて優雅
で頭も良くてモテる・・なのに、何故!彼女が出来ないんだーーーーーッ!!」
見まわりの人意外、誰もいない校舎に、彼女居ない暦14年の少年の声が響き渡った。
――学祭編・終了――