DNANGEL  
「う…ん」  
ボンヤリとした意識がハッキリしてきた。  
――― あれ?…此処は何処?  
なんだか古風な部屋のに自分がいることに気付いた梨紅は、まだハッキリしない頭で考えた。  
――― えーと、うーんと思い出せないなぁ……  
まあ、まずは此処が何処か確認すればいいと部屋の外へ行こうとしたが……  
「えっ、躰が動かないって……キャー!!なんで私、裸なのよ」  
梨紅は自分が全裸の姿で部屋の中央に立っている事に気付くとパニックに陥った。  
「なっなななんで裸で、どっどどどうして動けないの」  
躰はロープで縛っても無いのに全く動かない。それどころか一糸まとわぬ裸なのだ。  
「だれ…か………」  
思わず大きな声で助けを呼ぼうとしたが、今の自分の姿を思い出し声が消えて無くなった。  
――― どうしよう……  
このままでいるわけにも行かず。しかし、この姿では助けを呼ぶことも躊躇われる。  
梨紅は途方に暮れてしまった。  
 
ガチャガチャ  
 
「えっ。だ、だれ!」  
扉の鍵を開ける音に梨紅はあせって声を掛けた。  
しかし、返事のないまま扉が開くと人が入ってきた。  
「に、丹羽くん……? いやっ!見ないでっ!!」  
部屋に入ってきたのは大助だった。  
大助は、まっすぐ梨紅の方を見ると、まっすぐ近づいてくる。  
「いやぁ〜、お願い見ないでぇ」  
梨紅は羞恥の叫びをあげたが、大助は全く気にしないように躰を見つめていた。  
――― 丹羽君どうして?  
梨紅はまるで自分に気付かないかのような大助の態度に困惑した。  
「これが日渡君の家から寄贈された暁の乙女か、綺麗だなぁ」  
「??!!」  
梨紅は大助の言葉に再びパニックを起こしかけた。  
――― えっ私が? 暁の乙女?  
昨日、日渡家から学校に美術の教材として使って欲しいと寄贈された事は知っていた。  
しかし、何故それが自分と重なるのかが解らない。梨紅の頭は混乱しておかしくなりかけた。  
そうしているうちに、大助はキャンバスを準備して自分の姿を絵に描こうとしていた。  
 
「丹羽君、丹羽君っ」  
梨紅の必死の呼びかけも大助には届かないようで、いつものように椅子に座ると、じっと此方を見つ 
めてきた。  
「やだっ、見ないで」  
大助の目には暁の乙女に見えていても、梨紅にとっては自分の裸を見られているのと同じ思いで、恥 
ずかしくてたまらない。  
――― ああ、見られている…  
大助の絵を描くときの真剣な眼差しに、梨紅は視姦されているような感覚を覚えた。  
今自分の何処を見ているのかが解るくらい、梨紅は自分の肌に大助の視線を感じる。  
顔から首筋、胸へと大助の視線による愛撫を受け、梨紅は自分が羞恥と共に快感を得ている事に戸惑 
っていた。  
大助に見られることの恥ずかしさと、自分のことをもっと見てもらいたいという思い……。  
そして、自分のことを書いてもらいたいという隠れた欲求などが複雑に絡み合っていく。  
そんな気持ちが自分の中で膨らむのと、今感じている大助の視線とが、梨紅の心をかき乱していた。  
そう思っているうちに大助の視線が下腹部に降りていくのを感じると、梨紅の躰は熱く燃えるように 
なった。  
恥ずかしさと大助の視線による愛撫の快感、それによって梨紅のアソコは濡れていた。  
その事実と、それを見られているという思いが、よりいっそう梨紅の躰と心を官能で満たしていった。  
――― いやぁっ、だめぇ!  
丹羽君に自分の恥ずかしいところを全てを見られたという思いが梨紅の心を満たした瞬間、梨紅の意 
識が真っ白に薄れていった。  
 
 
「…り…く…さん、梨紅さん」  
――― あれ?丹羽君の声がする……  
目を開くと、目の前に心配そうに自分を見つめる大助の顔があった。  
「丹羽君……あ、見ないでっ」  
梨紅は、自分の躰を腕で隠すようにして躰を縮めた。  
「?…梨紅さん、どうしたんですか?」  
「見ないでって、あれ?私……服着てる」  
手にいつもの制服の感触を確かめると、梨紅は自分の躰を確かめた。  
「梨紅さん、大丈夫?だいぶうなされてたけど」  
「夢だったのかな……夢だよね」  
「夢って?」  
不思議そうに自分を見つめる大助に、梨紅は慌てて  
「なんでもないの」  
と言うと、自分の寝ていたソファーに座り直した。  
ふと、部屋の中央を見ると、布をかけた等身大の像が立っていた。  
「これってあの……」  
「ああ、梨紅さん。これが見たいって行ってた『暁の乙女』ですよ」  
大助が布を外そうとしたとき、日渡が部屋に入ってきた。  
「丹羽君、すまないけど布を外すのは待ってくれないか」  
「え?」  
「チョットした手違いがあってその像を持って返ることになったんだ」  
「そう、描いてみたかったんだけど。残念だな」  
「また、別の作品をもってくるから」  
「うん、元々日渡君の家のだしね」  
「すまない、じゃあ運んでくれ」  
日渡がそう言うと、何時来たのか廊下から運搬業者が入ってきて、像を梱包して運び出していった。  
 
 
「じゃあ、僕はこれで……」  
そう言い残して日渡が帰ると、部屋には2人だけが残った。  
「残念だったな、暁の乙女を一度だけでも見たかった」  
「ふ〜ん、見るだけじゃなく描きたかったんでしょ」  
「うん、でも僕は………」  
「??なによ」  
「うん……僕は……」  
「ハッキリ言いなさいよ、もう」  
モジモジしながら言いどもる大助に梨紅は思わず大きな声を出してしまった。  
大助は梨紅の方をまっすぐ見つめると意を決したように口を開いた。  
「僕は暁の乙女より梨紅さんが描きたいんだ」  
「え……わたし……」  
梨紅は夢と同じ大助の真剣な眼差しに見つめられ、真っ赤になって俯いてしまった。  
「梨紅さん…」  
「あ……」  
大助が俯いた梨紅を抱き締め優しくキスをしたとき、外を走る車の内で日渡が小さく呟いていた。  
「後……………だったのに……」  
その言葉は日渡のみにしか聞こえなかった。  
 
 
おわり  
 

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