D・N・ANGEL  

「・・・ん、痛っ・・・」  
体が痛む。状況を整理するための思考が中断させられる。  
(今は――どうなってるんだっけ?)  
必死になって今の状況を分析する。痛みはこの際無視するしかない。  
(美術館から、『主無き魔剣』を盗んで、それで・・・)  
それで、大助は自分の頭が何か柔らかいものの上にあるということに気づいた。  
痛覚以外の感覚が急速に覚醒していくのがわかる。  
「――わくん、丹羽君」  
聴覚が聞き慣れた声を伝える。そして視覚がその声の主を捉えた。  
「梨紅さん・・・っ!?」  
「あ、無理しないで」  
跳ね起きようとして、体が痛みを訴えたので結局梨紅の太ももに頭を戻すしかなかった。  
(・・・え、じゃあこれってもしかして)  
「り、梨紅さん。これって、その、膝まく・・・」  
最後のほうはほとんど呟くような声だったが、梨紅には聞こえていた。  
「だ、だってしょうがないじゃない!丹羽君が倒れてたから、ベンチまで運んできて、それで・・・」  
言ってから梨紅は自分がしていることが次第に恥ずかしくなり俯いてしまった。  
しかしそれは今の大助の位置からは梨紅の赤面がはっきり見て取れるようになっただけだった。  
(うわっ、可愛い・・・!でもこれじゃすぐ変身しちゃうよ――って、あれ?)  
変身は、しなかった。  

 

10分前、美術館から直線距離にして500メートルほどの位置にある公園上空。  
『主なき魔剣』を背にダークは帰途についていた。  
そして正にそこで魔剣はその能力を発動した。  
その能力――魔力を喰らい己の糧としていく――をまともに受けたダークは魔力の大半を喪失した。  
「ちぃ、味なまねしやがる!」  
油断していた、と言えばそうかもしれない。能力を隠した魔剣に対する封印の術が弱すぎた。  
それが原因である。そして今も徐々に魔力は奪われ続けている。  
そのまま戦っても勝算はあった。が、  
(このままじゃ大助がもつかどうか・・・)  
そこでダークはある策を提案した。  
「大助、替わるぞ!」  
(え。どうしていきなり・・・)  
「あいつは魔力に反応してその力を発動するタイプだ。だからお前になれば元通りただの剣に戻る」  
(うん、わかった!)  
そして次の瞬間、ダークは大助へと入れ替わり、それと同時に魔剣は糸が切れたように地上へと落下して行った。  
(それから・・・)  
ダークが大助に話しかけてくる。  
(懐に入ってる札をあれに貼っとけ・・・。俺の魔力持って行きやがったから、な)  
何かその声はひどく弱々しく聞こえている  
(・・・もう一つ。今回は疲れたから寝る。しばらく起きねえからな・・・)  
「ダーク?」  
呼びかけてももう返事は返ってこない。すでに、奪われた魔力を回復するために深い眠りについたのだろう。  
だが魔力の喪失は大助の体にも不調を訴える。何とか意識を集中し、漆黒の翼を羽ばたかせ落下の速度を緩める。  
(よし、これなら何とかなりそうだ)  
そして地表まで10メートルというところで大助は気づいた。  
(梨紅さん?!何でこんなところに・・・・・)  
一旦乱れた集中力は戻ることなく、ウィズのコントロールがうまくできなくなった大助はそのまま地上へと――。  

 

(――そうか。だからダーク出てこれないのか)  
今まで忘れていた事実をようやく大助は思い出した。  
この体の痛みもそれほどひどくない。擦り傷はあるが極度の疲労が痛みを増幅して感じさせていただけだった。  
(あ、じゃあこのどきどきは僕だけのもの・・・)  
「どうしたの丹羽君?」  
「え、いやなんでもないよ」  
急に黙り込んだ大助を訝しく思い梨紅は尋ねた。  
大助はかぶりを振ったが、自分だけが梨紅と接しているということに一層胸が高鳴った。  
「そ、そうだ。梨紅さんは何でこんなところに来たの?」  
自分へ向けられる不振を逸らすために大助はそのことを聞いた。  
「あー!そうそう聞いてよ丹羽君。梨紗ったらね――」  
大助の狙いはうまくいき、梨紅はなぜ今日ここに来たかを話し出した。  

 

ダークを一目見ようと犯行予告のあった美術館前には大勢の野次馬がいた。  
もちろん原田姉妹も――妹に引っ張り出された姉、と言うほうが正しいが――もその場にいた。  
犯行予告の9時、ちょうどその時間に梨紗は公園のほうに飛んで行く黒い影が見えたと言った。  
その影は確かにダークだった。しかし梨紗以外に見えたと言う人はいなかったため本人も自信がなくなっていた。  
「それじゃ私が行って確かめてくるわよ」  
「あ、待ってよ梨紅・・・」  
止めようとする梨紗の静止も聞かず梨紅はその場を抜け出した。  
(阿呆らし。付き合ってらんないわよ、まったく)  
公園の方まで歩いて梨紅は美術館のほうを振り返った。  
明々とサーチライトで照らされた建物がある。あとは適当に時間をつぶして梨紗と落ち合えばいい、そう思った。  
(みんなあんな変態に踊らされて、馬鹿みたい)  
世間では大怪盗と称されているダークも梨紅からすればただの変態に成り下がってしまう。  
(何であんなやつに、あんなやつに・・・)  
反芻しながら、自分の唇にそっと指を触れさせた。  
(あれが、本当に丹羽君だったら・・・)  
それは心の底から梨紅が望むことだった。  
付き合いだして数ヶ月過ぎた今でも大助とは恋人らしい行為は数えるほどしかない。  
(そういえば、何であの時おでこにチューだったんだろ・・・)  
唇に這わせていた指を今度は自分の額に持っていく。  
本当ならあの時口にしてもらいたかった。ダークに汚された部分を大助に上塗りして欲しかった。  
(もし、もし今度あんな雰囲気になったら――)  

ばきっ、ぱきっ、――っどさ。  

少しはなれたところで木の枝が折れる音、そして何かが落ちる音が聞こえてきた。  
この事態に梨紅は不安が募ったが足はそっちに向いていた。  
何もないかもしれないし、何か事件が起きたのかもしれない。  
(事件――もしかしてダーク?!)  
そう思ったときには足を止めようと思った、思って、しかしその前に梨紅は見つけた。  
「に、丹羽君!!」  
見間違えるはずがない、赤髪の彼。  
普段の彼には到底似合いそうもない黒ずくめの服を着ている。  
「とにかく、どこかに運ばなきゃ・・・」  
気を失っている大助を背に担ぐ。  
(う・・・、ちょっと重いかも)  
ここが公園ならベンチがある。そこで休ませるのが妥当だとふんだ梨紅はベンチまで移動しようとして、  
すぐそばに剣が一振り落ちていることに気づいた。  
何でこんなものがここに・・・、と思ったがすぐにピンときた。  
今日のダークの標的、『主なき魔剣』のことである。  
(じゃあこれ、ダークが落としたの?)  
そのまま放置していてもよかったが、それもある意味いろいろまずい気がした。  
(あーもう!何でこう面倒ばかりかけるのよ、あの変態!)  

 

「でも丹羽君も災難だね。ダークにぶつかられるなんて」  
「え・・・?」  
「あれ、違うの?渡してっきりそう思ったんだけど」  
「あ、そうそう!僕ダークにぶつかって、それで気を失ったんだ!」  
梨紅の中ではそうなっているらしい、話がこじれる前に同意しておこうと大助は思った。  
「それに盗んだ物も落としていくなんて。あいつ絶対泥棒に向いてないよ」  
そういうと梨紅は横に顔を向けた。大助もそれを追うように目線を走らせた。  
そこにはベンチの背に立て掛けられた剣があった。  
(そうだ、札)  
大助は懐に手を伸ばし、一枚の札を取り出した。それを剣の柄の部分に貼り付けた。  
「丹羽君、それ何?」  
「ん、ちょっとしたおまじないかな」  
適当なことを言って微笑んでみせる。ひどく疲れきったその笑顔に梨紅はそれ以上の追求はしなかった。  
「・・・・・・」  
「・・・・・・」  
「・・・・・・・・・・・・」  
「・・・・・・・・・・・・」  
(うぅ、どうしよう・・・)  
沈黙の中で大助は自問した。胸の動悸が治まらない。そわそわと目線を泳がせる。  
動かす目線が梨紅と交差した。  
『あ・・・・・・』  
同時に声を上げ、そして梨紅が先に視線を逸らした。  

(うわ〜〜、何やってるの私ったら)  
周囲には美術館に人が集中しているため誰もいない。二人っきり。静か。いい雰囲気。  
恋人にとっては絶好のシチュエーションである。  
しかしこういった雰囲気になれていない二人はお互いに沈黙を続けていた。  
(とにかく何か話さなくちゃ)  
さっき大助から逸らした視線の先、そこにはダークが落としていった(と思い込んでいる)盗品があった。  
「で、でもダークってこんなもの盗んで何する気だったんだろうね」  
手を剣に伸ばしもう少しで触れるというところで、  
「だ、ダメっ!」  
「え・・・?」  

ここに剣があるということは梨紅が持ってきたということだ。それについさっき力を封じる札も貼った。  
安心していいはずだったが、梨紅がそれに触れようとしたときとっさに体が動いた。  
まだそれほど自由にできる状態でない体は梨紅を押し倒すかたちで剣に触れることを防いだ。  

「・・・・・・丹羽君・・・」  
「あ・・・、ごめん梨紅さん。大丈夫?」  
「うん、平気・・・」  
大助は体を起こそうとした、がしなかった。  
もし体を離せば、もうこうやって触れ合うことが二度と来ない気がしたからだ。  
先日の修学旅行の日、ダークが正体を明かそうとした暴走をまたしないとも限らない。  
そうなれば、もう梨紅との幸せな日々が送れない、そう思ったからだ。  
(でも、どうすれば・・・・・・)  
周囲には美術館に人が集中しているため誰もいない。二人っきり。静か。いい雰囲気。  
そして何よりダークが出てこない。  
大助と梨紅、二人にとっては絶好のシチュエーションである。  
だが、こんな状況に対処できるほど大助は場数を踏んでいない。  
本能のおもむくまま?もしそうやって梨紅に嫌われたらどうする。  
ひどいジレンマが大助を襲う。もうどうしようもないのか・・・・・・。  
「・・・丹羽君・・・・・・!」  

体を離そうとした大助は不意にかかった力に為すすべもなく流された。  
流された先、そこは梨紅の体だった。  
「!!?り、梨紅さん」  
急なことに声が裏返る。二人の体が密着し、梨紅の顔が大助の顔の真横に来る。  
「な、何を・・・」  
顔を少しだけ浮かし何とか梨紅の顔を捉える位置に持ってきた。そして次の瞬間、  
「――――!?」  
喋りかけた大助の口を梨紅の口が塞いだ。突然のことに理解ができない大助。  
二人の唇が繋がったのはほんの数秒に満たないことだった。  
「・・・・・・梨紅さん」  
離れた口から大助が声を漏らす。梨紅は大助を見つめている。その目には涙がうっすらたまっている。  
「丹羽君、私ね、不安だったんだよ・・・。すごく、ほんとにすごく・・・」  
「・・・・・・」  
「丹羽君、こういう雰囲気になるの、無理に避けてるみたいな気がしてたから・・・」  
「・・・・・・」  
「だからさ・・・、だから・・・・・・」  
梨紅は目を逸らした。その目からは涙が一筋こぼれ落ちた。  
「・・・梨紅さん。僕も・・・不安、だったんだ」  
「丹羽く――」  
そして次は大助のほうから梨紅の口を塞いだ。  
お互いを求めるよう、さっきよりも長い時間をかけたキスだった。  
唇を離すとお互い顔を真っ赤にして微笑んだ。  

「ねえ、丹羽君。・・・続きは向こうのほうでして・・・」  

公園の茂みの方へと二人は場所を移した。  
さっきまで体を動かすのが辛かった大助だったが今は動ける程度になっている。  
「丹羽君、先に座って」  
言われるままにその場に腰を下ろす。そして大助の上に座るように陸も腰を下ろす。  
大助の目の前には梨紅の豊かな二つの膨らみがある。  
「り、梨紅さん?!いきなりこんなかっこで・・・」  
「だって、丹羽君辛そうだったから、下のほうがいいかなって・・・」  
最後は消え入るような声だった。そして沈黙が続くかと思われたが、  
「えっと、それじゃあ・・・」  
言いながら大助は梨紅の左の胸へと触れた。  
「!っん・・・」  
声を漏らしながらも梨紅はその行為を受け入れた。  
「こうすると気持ち、いいのかな?」  
「うん・・・。でも、服の上からじゃちょっと・・・」  
「じゃあ、服、とってもいい?」  
「う、うん」  
返事を聞くと大助は梨紅の着ていた上着を捲り上げ、そしてその下のスポーツブラも同じく捲り上げた。  
梨紅の双房を初めて大助はその目で捉えた。  
そして、それまでまったく反応しなかった大助の下半身は急激にいきり立った。  
勃起した大助の肉棒は上に座っていた梨紅の秘裂をズボン越しに圧迫した。  

「ねえ、ど、どうしたら気持ちよくなるのかな?」  
「そ、そうだね・・・。とりあえず触ってみて」  
促されるまま梨紅の細い指が大助の陰茎へと絡みつく。  
「ん、ああっ・・・!」  
「ご、ごめん丹羽君!痛かった?」  
「違うよ!すごく・・・気持ちいいです・・・」  
「本当?」  
梨紅はそのまま絡ませた指を上下に動かし始めた。  
「うぁ・・・、はぁ、はぁ・・・・・・んんっ」  
それに呼応するように大助も強く乳首に吸い付き、激しく胸を揉みだした。  
二人の荒い息遣いだけが、夜の静寂に包まれた公園に響いている――。  

 

「・・・私のと同じように、舐めたら気持ちよくなる?」  
大助の陰茎、そして睾丸に指を這わせながら梨紅は問いかけた。  
「うん、きっと・・・とってもいいと思うよ」  
梨紅の胸を舐めるのをやめて大助は言った。  
大助の上から移動し、四つん這いになり顔を肉棒に近づける梨紅。  
目の前のそれを右手で握る。  
「あ、あんまり強く握らないで」  
「う、・・・ごめん」  
我知らず力が入り過ぎていたようである。幾分力を抜き、そしてさらに顔を近づけていく。  
甘ったるい吐息が大助の亀頭をくすぐる。梨紅は口を少し開いた。  
その舌が大助の裏筋から尿道にかけてチロッ、と触れた。  

ビクッ  

痙攣したように大助は体を反らす。今までより数倍の刺激が体を駆け巡る。  
その様子に気づかず必死に梨紅は亀頭の先端に舌を走らせる。  
「先の方だけじゃなくて、もっと・・・」  
「ん・・・」  
それだけで理解した梨紅は舌を亀頭全体へと滑らせる。  
広い範囲に与えられる刺激は快楽となり大助の脳を麻痺させる。  
「う・・・、あ、あぁ梨紅さん・・・!」  
大助は梨紅の頭を両手で挟み込み、僅かに腰を突き出した。  
「んあ・・・、んぷぅ」  
ほんの少し抵抗の色を示したが、梨紅は大助の亀頭の口内への進入を許した。  
入ってきたモノに今までより速く、激しく舌を絡ませる。  
「すごく、・・・いいよ」  
荒い息遣いで大助は応えた。梨紅の懸命な舌使いに大助は限界を迎えつつあった。  
が、しばらくして舌の動きが止まった。慣れない動きに舌が疲れ切っていた。  
「んー・・・」  
口に含んだまま、上目遣いに梨紅は大助のほうに目をやった。  
「もういいよ。僕、十分気持ちよくなったから」  
梨紅の口から自分のモノを引き抜く。つー、と粘着性のある液が糸を引いた。  
「次は、どうすればいいの?」  
「立って、梨紅さん」  
言われたままに立ち上がる。  
「次は僕が気持ちよくする番だよ」  
そう言うと大助は梨紅のズボンへ手を掛け、ゆっくりと下ろした。  
「やだ、・・・恥ずかしい」  
顔を赤くして呟く梨紅。しかしそれはさらに大助を興奮させた。  

梨紅のパンツを、今度はズボンのときより時間をかけて下ろす。  
無毛の秘部が曝け出された。  
大助の視線がそこに釘付けになる。興奮がさらに増し、ペニスがより硬くそそり立った。  
「梨紅さんは、どうやったら気持ちよくなるの?」  
「そこ・・・触って」  
大助は梨紅の淡い桜色の縦筋に沿って右手の中指を這わせた。  
「ひっ!あぁ・・・」  
声を上げ梨紅は上体を倒し大助に寄りかかった。  
一度滑らせただけで、大助の指は梨紅の中から溢れ出した愛液でねっとりとなった。  
さらに数度、大助は指を動かし秘裂を擦りつけた。  
「あぁ・・・、はぁ、はぁ・・・」  
耳元で梨紅が淫猥な声を漏らす。  
「梨紅さん、どう?」  
「んん・・・、にあく・・・はぁあ・・・!」  
愛液がさらに溢れる。大助の指を、手を伝い糸を引き地面へ落ちる。  
「僕、もう我慢できないよ・・・」  
欲望のままにその言葉を口にする。  
「私も・・・。お願い、早くして」  

足にかかっていたズボンとパンツを脱ぎ終えると、梨紅は上着だけを着た姿で腰を下ろした。  
その正面に大助は移動した。ちょうど対面座位のようなポーズである。  
すでにびしょ濡れの割れ目にもう一度指を伸ばす。  
再び艶のある声を出す梨紅。しかし今度の愛撫は梨紅を悦ばせるためではない。  
自分のペニスを入れる秘所を探るためである。  
2、3度梨紅をなぞる。そして――、  

つぷっ  

指の第一関節までがある所で滑り込むように入っていった。  
「痛っ・・・!」  
「あ・・・・・・」  
大助の細い指の侵入を拒むかのように、梨紅の膣壁はきつく締め付けてきた。  
「本当に、してもいいの?」  
指でさえこんなにきついのに、果たして大助のペニスが受け付けられるかどうか、それが気にかかった。  
「平気。私、平気だから・・・。丹羽君が心配しなくてもいいんだよ・・・」  
目にうっすら涙を浮かべながら、それでも梨紅はそう言った。  
聞くだけ無粋だった。大助もわかっていた、この機を逃すことはできないと。  
指を引き抜き、陸の腰に手を回す。指を抜いたところに亀頭をあてがった。  
梨紅は腕を大助の首にかけ、目を閉じ、歯を食いしばっていた。  
「それじゃ、いくよ」  
告げて、ゆっくりと腰を突き出した。  

ずぶっ、ずぶっ、っと少しずつ大助の亀頭が梨紅の膣へと没入していく。  
頭の半分ほどが埋まったあたりで進入が止まった。  
梨紅が苦痛に顔を歪めている。大助は一瞬引き抜こうとして、そして思いとどまった。  
「大丈夫?」  
「うん、うん・・・大丈夫。だから、止めないで」  
「・・・わかったよ」  
言葉を交わし終えると、再度腰を動かそうとする。  
しかし拒まれた進入はなかなか受け入れられない。  
「くぅ・・・!」  
力を込め、一気に突き出す。すると、  

ずずずぶっ  

ぎゅうぎゅうの肉壁を突き破るように大助の肉棒が飲み込まれていく。  
同時に梨紅が一際甲高い声を上げた。  

途中でまた突っかかろうとしたが、勢いに任せて貫いていった。  
「んん――はぁあ・・・」  
根元まで挿入するとそこで梨紅はようやく声を漏らした。そこで一旦動きが止まった。  
首に巻かれた腕は大助にしがみつくように強く力が入っていた。  
痛みのためか、梨紅は体を震わせている。  
しばらくその体勢のままでいたが、やがて、  
「――動くよ」  
そう言うと大助は奥まで挿入したペニスを引き始めた。  
引き抜こうとすると、さっきは進入を拒んでいたのに、今度は出て行くのを拒むかのように  
大助のペニスを咥えこんだまま放そうとしなかった。  
引こうとすればするほど肉壁が絡みつくように快楽の波を与えてくる。  
梨紅のフェラチオで経験した射精感が再び大助を襲ってきた。  
ペニスを雁首の辺りまで引き抜いた。そして同じようにまた膣内へと挿入していく。  
大量の愛液が溢れ、一度貫通した梨紅の膣は、それでもなおきつく大助を攻め立てる。  
刺激の中で、大助は何度も腰を動かした。そのペースは一回ごとに少しずつ速くなっている。  
「んあっ、あっ、あっ、あっ――」  
合わせるように梨紅もリズムよく声を上げる。  
自分の限界がもう我慢できないと悟った大助はそのことを告げようとした。  
「あぁ、っもうだめ!わ、わた・・・いっちゃぅ――」  
が、先に限界を告げてきたのは痛みしか感じていないと思っていた梨紅のほうだった。  

大助は自分の射精を防ぐため動きを止めた。  
そしてそのまま梨紅を地面へと寝かせ、せい上位のポーズへと移行した。  
「僕も、もういきそうだよ・・・」  
「本当・・・?」  
「うん。だから一緒に・・・」  
言葉の途中で大助は腰の動きを再開させた。  
そのペースは少しの休憩を取ったためか、少し上がっている。  
梨紅の膣内もまだきついが幾分動きやすくなってきている。  
雁まで引き抜き、一気に貫く。大きな動作で挿入を繰り返す。  
くちゅくちゅと、さっきまで聞こえなかった卑猥な音が響く。  
時折漏れる梨紅の喘ぎ、最初のほうとは違い苦痛の中に悦びの感情が混ざっている。  
「はぁっ、あぁ、い・・・きそ」  
その声を聞いた大助はさらにペースを上げた。大きかった動作は次第に小刻みになっていく。  
狩まで引き抜くことはせず、奥に入れたペニスを少し引き抜き、そして奥に。  
「い、いい・・・!それ・・・んああぁ!」  
奥を重点的に攻められ、梨紅は嬌声を上げた。  
大助自身も、ペニスに与えられる快感に爆発寸前だった。  
「くぅ・・・、り、梨紅さん・・・!」  
「に、丹羽く・・・あぁっぁ!」  
先に梨紅が絶頂を向かえ、背を反らし、膣全体が収縮し、多量の体液が分泌された。  
同時に大助も、ペニスを全方向から握りつぶされるほどの肉壁の衝撃から与えられた快感に、  
2度絶頂を耐えたモノは白濁液を梨紅の中へとぶちまけた。  
射精感は引くことなく、何度も何度も多量に精液を噴き出した。  

しばらくそのままで二人は抱き合っていた。  
どれほどか時間が過ぎ、大助はすっかり萎えきった自分のモノを梨紅の膣から引き抜いた。  
引き抜いたあと、膣口からは二人の交わった多量の体液がとろっ、と流れた。  
薄くピンク色がかった液体はとめどなくそこから溢れ出した。  
「――しちゃった、ね」  
「――うん」  
「初めてだったけど、どうだった?気持ちよかった?」  
「んー、よく覚えてない。・・・けど、嬉しかった、かな」  

「あ、ねぇ丹羽君、今何時かわかる?」  
「え、っと・・・9時55分だよ」  
「えー、もうそんな時間だったの?!梨紗のやつもう帰ったかもしれないなー」  
「じゃあ家まで送って行こうか?」  
「ん、いいよいいよ。気にしないで。」  
「でも――」  
「へーきだって!もぉ、丹羽君って心配性なんだから」  
そう言うと梨紅は大助に背を向けて走り出した。  
「じゃあね、丹羽君。また明日」  
「うん、それじゃ」  
言って大助は走る陸の背を見届けた、と、  
「・・・・・・丹羽君」  
梨紅がその足を止め大助のほうに向き直った。  
「何?」  
「えと、あのその・・・」  
言い辛そうにもじもじと下を向き赤くなる梨紅。それを見た大助は、  
「また、いつかしようね!」  
力を込めてそう言った。梨紅が顔を上げ、一瞬真っ赤に顔を染めたがすぐに、  
「うん!」  
そう返事をして、彼女は再び走り出した。  
(またいつか、その日が来るかわからない。けど――)  

 
 

おまけ  

「でも何か忘れてるような・・・って、あー!魔剣!」  
大助は初めにいたベンチに立て掛けてあった魔剣を取りに行った。  
「ふぅ、今日のターゲットのこと忘れてるなんて、僕もまだまだだな」  
一人呟くと大助はそれを背に帰路へ着いた。  

 
 

「くきゅうぅぅーーーーー」  
大助の落下地点。そこにある一本の木の枝にその生き物はいた。  
紅い目に長くたれた大きな耳、およそ地球上のどの生物にも似ていない。  
強いてあげるならぬいぐるみのようなそれである。  
「くきゅぅぅぅぅ・・・」  

結局大助がその忘れ物に気づいたのは翌朝のことだった。  

                              終  

 
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