「さ、沢村…」
「あー、なに西村」
西村祐次は意を決して話しかけた。案の定沢村みゆきはつれない態度を示す。
いつもなら彼も彼女に合わせて適当に話すところだ。
だが、今日の彼はいつもと違う。
「お前放課後は暇かっ!?」
「うーん……別に何もないけど」
「じっっ、じゃあよかったらっっっ、オレと」
「おーい委員ちょー!」
冴原が西村に駆け寄っていく。
「なっ、なんだよ冴原、脅かすな!」
「別に脅かしてねえだろ。先生が呼んでたから親切なオレが教えてやったんだぞ」
「先生が?」
「……ねえ、用がないんなら私行くけど」
「え、あ、いや、その…」
はっきりとしない沢村に冴原が続けた。
「さっさと先生んとこ行けよ」
「そうしなよ」
沢村も同意する。そして去っていった。
「んじゃ、オレも行くわ」
「あ………」
一人取り残される西村。
「………ちくしょおおぉぉぉぉっっっっっ!!」
魂の叫びだった
「なあ沢村」
「なによ、また」
気だるそうに西村を半眼で捉える沢村。いつもどおりの反応だ。
だが、今日の彼は一味違う。
「さっきも言ったけどさ、放課後用事ないんだろ」
「ああ…それがどうかした?」
「あっ、あのさっっ、お、おお、オレと」
「西村。ちょっといいか」
西村の言葉を遮るように横やりが入れられる。
「日渡っ!お前もオレの邪魔をっっ!」
手提げのバックを持った日渡がいた。
「何を言っている?俺は君に聞きたいことがあるだけだ」
「………じゃあ私行くよ」
「い、いや…少しっ、少しだけ待ってくれ!」
機は逃せない。西村は食らいついた。
「じゃあさっさと済ませてよ」
「わかってる!それで、お前の用件ってなんだ!?」
「ああ。女性の前では少し言いにくいんだが…」
「いいから早くっ!」
「……そうか」
ごそごそとバックの中から何かを取り出す。それは一冊の本のようだ。
「先日君から借りた西洋文学作品の中にこんなものが混じっていた」
タイトルは『ぷるぷるっ、萌えっ娘大行進』。明らかにその手の人向けの萌え絵が表紙に描かれた小説だった。
「ひいぃぃぃいぃぃぃっっっっ――――」
「…………サイテー」
沢村の一言が胸をごっそりと抉り取った。すたすたと去っていく。
「だから女性の前では言いにくいと言ったんだがな、これは返す。………続き…貸してくれ」
日渡の頼みも彼の耳には届いていなかった。
「沢村ぁっ!」
「なによロリコン」
沢村に意気込んで話しかけたがいきなり挫けそうになった。
「違う!断じてオレはそんなんじゃないっっ!!」
「言い訳?見苦しいやつ」
「ぐ…」
いつもならここで二人の言い争いが始まるところだ。
だが、今日の彼はめげない。
「さっきから言ってるけどな、よかったら、放課後、オレと」
「西村ー、こんなとこにいたのか」
三度彼と彼女を引き裂く魔の手が迫る。
「貴様か関本ぉぉぉっっっ!!」
「な、なに怒ってんだよ?」
「…………はぁ」
「まま、待ってくれ沢村!」
返りそうな沢村をなんとかつなぎ止める。
「……いいけどさ」
「それでお前の用件はなんだ!」
「あ…いや、沢村が側にいると言いにくいんだけ」
「言わないでくれっっっ!!」
先刻の悪夢が甦る。慌てて関本の口を塞ぐ。
「むぐっ?!んごごぐぅ…」
「こ、これはなんでもないんだぞ沢村、……沢村?」
すでに彼女の姿はなかった。
「丹羽ぁぁぁあぅぅうわあああぁぁっっっっ」
「な、泣くなよ西村」
放課後一人で帰ろうとしていた大助に西村が泣きついた。
「とにかく離れて!」
抱きつくようにして泣いていた西村を引き剥がした。
「いきなり泣かれてもわけわかんないよ。落ち着いて説明してよ」
「丹羽ぁ……ぐずっ、じ、実はな…かくかくしかじかで」
「そっか。でもなんで僕を頼ってきたの?」
「だってさぁ、お前、と原田は…うまく付き合ってるじゃないか?」
西村はぐずぐずと鼻を鳴らしながら喋り続けた。
「冴原も、日渡も関本もさ…オレの邪魔ばっかしてさぁ…ずずっ」
「そっか……。わかった、僕が協力するよ」
「丹羽ぁぁ……お前本当にいいやつだな、ぐすんっ」
西村が強く大助の手を握ってきた。大助も握り返す。
(これはこれで面白くなりそうだし、ね)
「んぐ、はぁう、ぷっ、くちゅ…はぁ」
自室の椅子に腰掛け、大助はどのようにするか考えていた。
「考え事ですか?」
奉仕していた口を休めてトワちゃんが尋ねた。
口に代わって手で大助のものをしごき続ける。
「うん。いろいろと面白いことをしようと思ってさ」
計画はもうほとんど決まっていた。
後はアシスタントとして誰かの手を借りようかと考えていたが、それも目星をつけていた。
「トワちゃん」
「なんです?」
「明日学校に来て欲しいんだけど」
「あらま、もしかしてわたくしと学校で制服プレイを!?キャッ」
頬を赤らめるトワちゃん。まんざらでもない様子だ。
「それはもう梨紅さんだけで十分だよ。それに自分の歳も考えてよ」
「それはわたくしに言っているのでしょうか?」
「イタイイタイッ!ご、ごめんなさいっ」
顔は笑っているが手はものを握りつぶそうと万力のように締め付ける。
「わかればよろしいんですよ」
「はぁ……。とにかく、明日はトワちゃんに手伝ってもらうから」
「明日とは急ですね」
「こういうのはすぐ実行したいからね」
「わかりましたわ」
「じゃあ、続けて」
大助が促がすと従順なほど素直にトワちゃんの口が大助の大きめのものに吸いついた。
「んふぅ…やっぱり、っん…若い子のおちんちんは、美味しいですわ……むぷぅ」
翌日、西村は放課後に美術室へ来るようにと大助に言われた。
(何でそんなところなんだよ)
西村も少しばかりよからぬ妄想を抱いてしまう。
だがそこは委員長。すぐさまその煩悩を振り払った。
とにかく丹羽ならちゃんとしてくれるだろうという信用からその疑念は次第に薄れていった。
「に、丹羽っ。本当に沢村がっっ!?」
「うん、美術室の中にいるよ」
美術室前で出迎えた丹羽大助はにこにこしたままそう告げた。
「………」
「緊張してるの?」
「ん、あぁ……」
どうして沢村が美術室にいるか、どうして大助が沢村を呼び出せたか、
そんなことを考える余裕は今の西村にはなかった。
中に沢村がいて、大助がそのお膳立てをしてくれたということで気がはやっていた。
「まだ入らないのか?」
「うん。ちょっと準備があるんだけど、もういいかな」
僅かにドアを開けて中を覗いた。
「もういいみたい」
「じゃあ……」
「それじゃあ入ろうか」
大助がドアをくぐり、西村も後をつけて美術室へと入室した。ぴしゃりとドアが閉められた。
「っ……!!」
美術室の中の光景を見た瞬間、西村の身体は硬直した。
「はぐッ……、ぶ、う゛ぅぅ」
獣のような声を上げているのはアイマスクを付けられ、口枷によって声を奪われた女子だった。
裸にひん剥かれた彼女は手枷と開脚足枷で身体を拘束されて転がされている。
「な……にを……」
目の前の女性の非現実的な姿に目を奪われ、西村は完全にパニックに陥っていた。
「大助、こっちの準備は万端ですわよ」
裸の女子の傍らには東野第二中学校の制服を着た白髪の女性がいた。
「うん」
女子は必死に声を荒らげるが、大助とその横の女性は気にもせずに笑いあう。
大助はその女性が身につけている服に目を留めた。
「その制服どうしたの?」
「はいっ、この娘のですわ。なんとサイズもぴったり」
それを聞いて西村ははっとした。
「さ、沢村か!?」
西村の声にその女子が反応した。声をうーうーとあげて懸命に西村に話しかけようとする。
「丹羽!お前何をしてるんだよっっ!!」
ようやく思考が動いた。同時に身体も動いて大助に掴みかかった。
襟元を掴むその手を大助が握ると簡単に外され、そのまま後ろ手に捻り上げた。
「やめてよね。西村が僕に適うはずないだろ」
「大助、喧嘩はよくありませんわ。みゆきちゃんが怯えてしまっています」
「う゛ぅ、ぐぅぅーーッ」
「そうだね。ゴメンね西村」
突き放すように開放し、倒れそうになる西村に告げる。
「僕ができるのはここまでだよ。お膳立ては十分だろ?」
「ふっ、ふざけるな!!こんな酷いことして、それで、沢村が可愛そうだろっっ!!」
尚も大助に噛みついた。西村の必死な叫びを涼しげな顔で受け止める。
「でもこういうのを望んだのは西村のほうじゃないか」
その言葉に沢村の身体が怯えるように縮み上がった。
「違うっっ!オレはこんなこと頼んじゃいない!!」
そう言って西村自身それが自己弁護に満ちたものに聞こえた。
沢村の身体で妄想をしたことは何度もあった。そう思うと今の状況はそれとさほど変わらない。
しかし彼はただ彼女に告白し、普通に付き合いたかっただけだった。
沢村を助けなければという使命感が西村を突き動かしていた。
「安心しろ沢村。オレがすぐに助けてやる!」
そう言葉をかけるとさっきまで胸を上下させて声を上げていた彼女が少しだけ落ち着いていった。
「このことは先生に報告するからな」
大助には適わない。まして相手は二人だ。
沢村を置いていくのはかなり不安だが、それが確実に助け出せる方法だった。
「別にいいけどさ」
大助の余裕に満ちた態度が西村の怒りを煽る。
踵を返してドアに手をかけて思いっきり開けてやる。
「外に出られればの話だけどね」
(――なっ……)
開かない。ドアがびくともしない。鍵がかけられているとかそういったレベルではない。
ドアが動かないのだ。
「何をしたんだよ!?」
「ちょっとそういう細工をね……ありがとうトワちゃん」
「いぃえー、これくらいどってこととないですわ」
「疲れてるに決まってるよ。お礼にいつもみたいにしていいよ」
大助が机の上に腰掛けると彼の股間にトワちゃんが顔を埋めた。
ズボンの上から熱い吐息を吹きかけ、唇で丹念に甘噛みして大助のペニスを弄り回す。
「あ、ああ……」
目の前でいきなり開始された淫行に西村は言葉を失った。
「西村もさ、沢村さんにしてあげたら?」
大助が西村と沢村に交互に視線を向けながらそう言った。
「ぅくっ、そんなことするかよっっ!!」
「なんで?」
「なんでって……、そんな酷いこと、沢村にできるわけないだろっ」
「女の子が裸で誘ってるのにさ、それに乗らないのは失礼だよ」
「さそっ……、お前らが無理矢理こんな格好させたんだろっっっ!!」
怒りに任せてそのまま飛び出そうとするが適わないということはわかっている。
「く……」
結局その場で大助たちを睨みつけるしかできない。己の弱さに苛立ちがつのる。
「西村がしないんなら僕が代わりに沢村さんとしちゃうよ?」
その台詞に誰よりも早く反応したのは沢村自身だった。
再び胸中が乱れてじたばたと身体を揺すりだす。
「トワちゃん」
トワちゃんが股間に埋めていた顔を上げた。
「はい。その娘は処女ですわ。間違いありません。確認しましたから」
「だってさ。僕が沢村さんの初めての相手になっちゃうんだ」
途端に西村の頭に血が上った。
つのった苛立ちが爆発して大助に跳びかかった。
「はぁーい、お子様は横で見ていてくださいませ」
力任せに突っ込む西村の背後をいつの間にかトワちゃんが取り、すっと締め上げた。
「ぐっ!?放せ……」
必死に暴れてその腕から逃れようとするが、もがけばもがくほど締め上げがきつくなっていく。
「邪魔しないでね」
にこっと微笑みかける。罪悪感の欠片も感じさせないその笑顔が憎らしい。
「――――ッ!!」
沢村は声を上げずにただひたすらに床の上で暴れていた。
そんな彼女の太腿の付け根をぐっと押さえつける。それだけで暴れていた下半身が動かなくなった。
「ねえ、処女喪失する前に言いたいことある?」
「う、う゛ぐぅ!はぐ、はぅぅッ!!」
「ああゴメン、喋れなかったんだよね」
大助が片手で口枷を外してやる。
「ぶぁッ……西村ぁ!!助けて、お願いっっ!!」
開口一番に西村に助けを求めた。
「沢村、沢村っっっ!!」
「にしむらぁぁ……」
今すぐにでも助けてやりたい。しかし、こんな不利な状況で彼女を助け出すことは無理だと悟っていた。
「言いたいことは済んだ?」
大助の温和な声がお互いの名前を呼び合う二人を遮った。
「それじゃあ入れるよ」
大助の腰が少しだけ迫った。
「ひィッ――!!」
先端が僅かに触れただけで沢村は大げさに身体を震わせた。
「いやっ、いやぁぁ!!西村、助けてぇっっっ!!」
彼女の悲痛な叫びが美術室中に響く。だが西村本人には聞こえていなかった。
今まで片思いをしてきた相手の初めてが目の前で、理不尽に行われようとしている。
その事実が彼の思考を極限までに掻き乱す。
そして、掻き乱された思考は一つの結論を導いた。
こんなことがされるなら、
(なら……それなら、いっそ……)
いっそのこと、自分の手で――。
「――――丹羽」
大助の亀頭が半分ほど中まで入ったとき、西村が口を開いた。
「どうしたの?」
いつもの調子で聞き返す大助に、今は怒りも何も湧いてこない。
代わりにどうしようもなく膨れ上がった感情が彼の口を動かす。
「オレと……代わってくれ……」
俯き、ゆっくりとそう言った。
「うんいいよ」
相変わらず笑ったままの大助は腰を引いた。
「トワちゃん」
今まで西村を締め付けていた腕の束縛が解かれて身体に自由が戻った。
「西村……?あんた、なに言ってんの……」
沢村の声は震えている。その声が西村の胸にずしんと応える。
「ゴメン、沢村……」
それだけ言うのが精一杯だった。
「ゴメンじゃないわよ……ねえ、やめてよ、お願いだからっ!」
恐怖のせいか、まったく声に覇気がない。怯えている。
「悪い……。でもオレ、もう我慢できないんだよ」
ズボンのファスナーを開け、自分の盛っている欲棒を突き出した。
「お前の裸見たせいで、ずっとオレ興奮してたんだよ」
先端があまり湿っていない沢村の入り口に近づく。
「いやぁ、いやぁ……っ。こんなの、間違ってるっ」
「オレ……っ!」
お前のことが好きだ、そう言おうとして言葉を喉で止めた。
自分にそれを言う資格がないと感じたせいだ。
「ゴメン……」
やはりそれだけ言うのが精一杯だった。
沢村の腰を押さえつけ、自分の身体を彼女に重ねていった。
「やっ、やめてよ西村!!んぐッ、ぐうぅ……」
無理矢理に挿入されてくる苦痛に沢村の口が歪む。
西村は小さくゴメンと呟きながらじわじわと腰を埋没させていく。
「いぐ……ッ、や、うぅぐ!?」
「はいはい、ちょっと黙っていてくださいね」
トワちゃんが沢村に口枷をはめ、再び口の自由を奪った。
異物がゆっくりと沢村の中に入っていく。
口枷をぎりぎりと噛み締める。
苦痛に歪むマスクの下の表情を想像し、大助は口の端を吊り上げた。
「西村、気持ちいいだろ?」
大助が訊ねるが彼には答える余裕はなかった。
ぎちぎちと、締めつけというより挿入を拒絶するように中はかたくなに閉ざされていた。
新品のビニールのようにぴったりと閉ざされたそこを少しずつ引き剥がしていく。
沢村の胎温を感じながら強引に犯していく。
とうとう奥にまで到達し、彼女と一つに繋がったことを実感する。
その思いを噛み締めていた時、彼女の喉からは嗚咽が漏れ出した。
「あらあら。彼女も悦んでいますわよ」
嗚咽の意味を考えるより早くトワちゃんがそう耳打ちした。
「ああ……ああ、そうか」
西村はもう考えない。とにかく今は沢村としよう。それだけだった。
腰を引こうとすると、がっちりと喰らいつかれてなかなか動けない。
腰を乱暴に引き抜くと粘液もほとんどない膣壁との直の摩擦が感じられた。
西村は喘ぎ沢村は叫んだ。
今度は腰を一気に突き挿す。同じように二人が声を上げた。
彼はその快楽にすぐさま虜となり貪るように一方的に腰を抽迭した。
彼女はその痛みから逃れることもできずに自分の穴を犯され続けた。
その様子を大助はじっと見ていた。
「見てるだけじゃ満足できないんじゃありませんか?」
トワちゃんが聞いてきた。その手は誘うように股間から突き出たのを撫でさすっている。
「じゃあ頼むよ」
「はいですわ」
顔を股間へと近づけるとがぷっと喉奥まで咥え込み、激しく頭と手を動かしてしごき始めた。
「ははっ、よっぽど我慢してたみたいだね」
いきなりの激しい責めも余裕で受け止め、視線は床で行われている強姦劇を捉えている。
「他人のセックスはいいね。見てるだけでぞくぞくするよ」
トワちゃんもそれに相槌を打つが咥えたものは放さないのでうまく喋れていない。
こん、こん、こん
二組の男女が絡み合っている美術室のドアがノックされた。
「開いてるよ」
その言葉を聞いてノックをした人物がドアをいとも簡単に開けた。
「お邪魔しまーす……って、なんかすごいことになってるね」
あははと呆れたように笑う人物は原田梨紅だった。
ドアを閉めて大助のほうに歩み寄る。
その股間に顔を埋めている女生徒に一瞬顔をしかめたがすぐにそれが誰かわかった。
「トワちゃん久しぶり。何で制服着てんの?」
またトワちゃんがもぐもぐと口を動かす。どうやら説明したいようだ。でも口は放さない。
「いろいろあってね。ほら」
大助が床で絡み合う、というより男のほうが一方的に絡み付いているだけに見えるが、
男女を見るように促がした。
「うわわっ、西村とみゆきだ!何でこの二人が!?」
「西村って沢村さんのこと好きだったんだよ。知らなかったの?」
「全然。みゆきが西村のこと好きだったなんて……」
実は西村の片思いだったわけだが、えっちなことをしている二人を見て単純に両思いだと思い込んだ。
「そんでどうして私を呼んだの?」
「二人のえっちを見ながらするのもいいかなって思っちゃって」
「え゛ーーっ!さすがにそれはちょっと……」
梨紅は大助の発言にちょっと、いやかなりしりごみした。
「他人のえっちなんて見るもんじゃないし……あっ!?」
嫌がっていた梨紅を抱き寄せると唇を塞いだ。
「僕、梨紅さんとしたいんだ」
口を離して見つめ、最初に言ったのがそれだ。
これをやられると梨紅はいつも断れない。嫌だといっても最後はこれでしてやられる。
「…………トワちゃんにしてもらってるのにそう言われても説得力ないよぉ」
「あはは、ゴメン……」
結局、照れ笑いを浮かべる大助の前にひざまずいてトワちゃんと一緒にぺろぺろと舌を這わせた。
アイマスクがしてあって本当によかったと西村は思った。
(泣いてんだろうな……)
沢村の目で見つめられたら間違いなくこんなひどいことはできなかった。
胸が痛い。ずきずきと内側から破られそうだ。
だがそう思うだけだ。思考が止まる代わりに腰は止まらない。
沢村はすでにぐったりとして声を上げる気力もないようだ。されるがままに犯され続ける。
無心になって彼女を犯していくうちに射精感が湧いてきた。
「沢村……くぅッ」
「ちゃんと中に出すんだよ」
その言葉にも沢村は死んだように反応しない。自我が崩れ始めていた。
「出る、出るぞ沢村…………ッ!!」
胎内でびくびくと律動を刻み、沢村の中を濡らし、汚していく。
「沢村……」
出してしまって気がついたのは激しい虚脱感。そして彼女を犯したという現実。後悔。
無意識に頬を涙が伝っていた。
「終った?」
「ああ」
そう言ってふらふらと立ち上がった。ファスナーを閉じようとする手をトワちゃんが止めた。
「ダメですわ。ちゃんと清潔にして差し上げます」
「う……」
大助にしていたのと同じように西村の萎えてしまったものを咥えこんでじゅぽじゅぽと吸い始めた。
出した後のものを蹂躪され、苦しげに呻いた。
すぐに勃ち直すことはないが、それでも訪れた虚脱感を払拭するには十分な威力を持っていた。
砕けそうになる腰を何とか支え、名も知らない女生徒の頭を両手で掴みこんだ。
「うわっ、西村大胆……」
積極的に奉仕を受け容れる彼を見て梨紅が思わず呟いた。
「梨紅さん」
そんな彼女に大助が耳打ちすると顔を真赤にして俯いた。
それでも拒むことはできないとわかっている彼女は大助から離れて制服を脱ぎだした。
「靴下は履いててね」
「変なこだわり……」
言われたとおり靴下以外の衣服をすべて脱ぎ去った。
そして指示されたとおりに沢村に取り付けられた種々の拘束具を取り外していく。
「あ……」
開放された沢村の目は涙のせいか、赤く腫れあがっていた。
そしてその目がクラスメイトの原田梨紅の顔を捉えた。
梨紅は憐れむような視線を向けて声をかける。
「かわいそう……。無理矢理こんなことされちゃって」
梨紅の指が沢村の膣穴から流れ出す精液を掬い取り、それを彼女の眼前にかざした。
「梨紅……う、うぅ」
まるで何年も経ったような気分がして、涙が次から次へとこぼれだした。
「私はあんたの味方だよ。安心して」
そして梨紅が唇を重ねた。
梨紅の姿を見て心底安心している彼女はそれを悦んで受け容れる。
沢村の中で決定的な何かが崩壊した瞬間である。
床上で絡み合う女子の姿を、大助は満足そうに眺めている。
その行為を見て彼自身も欲求が股間と連動して膨れ上がってきた。
机に預けていた腰を上げるとトワちゃんのほうへと近づいていった。
西村のペニスをしゃぶり続けるトワちゃんがのお尻を突き出すように持ち上げた。
トワちゃんがもごもごと何かを言う。やはりペニスはしゃぶり続ける。
スカートを捲くって形のよいつるつるなお尻を掌でねっとりと撫で回す。
トワちゃんの性感を知り尽くしたその手の動きには無駄がない。
パンツにできていた縦筋に沿ったしみが一層大きくなる。
パンツを脱がすと前戯もすることなくそのまま貫いた。
相変わらず口からペニスを開放することなくもごもごと喘ぎ続ける。
「ああ……ッ」
トワちゃんの喘ぎが咥え込んだ西村のペニスを痺れさせる。
彼は目の前でトワちゃんをバックから攻め立てる大助の姿に己の欲望を照らし合わせた。
「沢村さんにも、こうしたいだろ」
素直に首を縦に振る。
「もう少し待ってね。梨紅さんが沢村さんの身体をほぐしてるから」
大助と西村が向けた視線の先には、梨紅の指戯で喘ぎまくる沢村の姿だった。
西村は自分の時は声を上げて悦んでくれなかった彼女があれほど悦んでいる姿を見てちょっと悔しくなった。
「みゆき、気持ちいい?」
「うん、うんいいよ梨紅ッ!!」
沢村は梨紅の右手人差し指と中指だけでいいように弄ばれていた。
二人の汗ばんだ肌と肌が密着する。
柔らかな双房が擦れあい、乳首もぴんと勃起している。
手が、脚が、四肢が妖艶に絡み合う様は芸術的に美しい。
「みゆき、みゆき……」
「はんッ、んぷぅ、あんん」
梨紅は執拗に沢村の唇の柔肉を嬲り続ける。
唇を塞ぎ、舌を入れ、口内で自分の唾液と沢村のそれを混ぜ合わせるように舐め回す。
じゅぷじゅぷと水音が上と下から聞こえてくる。
「どう、イきそう?」
「うん、うんッ!熱いよ梨紅!!」
「そう」
梨紅の指が沢村の膣穴から抜き取られた。
「あ……?」
急に下半身が寂しくなったことに沢村が梨紅にすがるような視線を向けた。
「寂しい?」
「うん。早く、早く埋めてよっ」
「だってさ。呼ばれてるよ西村」
「え?」
梨紅に呼ばれるとは思っていなかった西村は驚いたように顔を上げた。
「みゆきちゃんがお呼びですわよ」
ようやくトワちゃんが口を放した。
「トワちゃん。二人のフォローお願い」
「はいですわ。ささ、どうぞこっちへ」
西村の背中を押してトワちゃんが全裸で横たわる沢村の側へ連れていった。
「西村っ、早くここにいれてッ!!」
まったく違う豹変っぷりに西村は気圧されそうになった。
「ほらほら。女性を待たせては失礼ですわよ」
ここでもトワちゃんがうまく導いていく。
指で拡げて待ち受ける沢村の中を一思いに貫いた。
「あう――ッ!!」
つい先ほどまで処女だったとは思えないほど簡単に貫けた。
貫かれると今度は腰をくねくねと動かし、股間の異物に波がうねるような刺激を与えていく。
「うう……」
さっきまでとはまるで違う沢村の積極的な攻めに負けないように西村も腰を送り出す。
「お待ちを。やはり愛する二人はこの体位でしたほうがよろしいかと」
正上位でしていた二人にトワちゃんが口を挟む。
寝そべっている沢村を起こして二人が抱き合うように体位を変えた。
「さ、どうですか?」
「すごいよ、西村が奥まできてる!!」
「お、オレもわかるよ」
腰が上の沢村がリードするように二人の腰が上下に動く。
「いいッ、いいよ!私、もうイっちゃうよッッ!!」
「沢村、また、中に出る……」
「いいから、どこでもいいから出してぇぇッ!!」
梨紅に焦らされていた沢村は呆気なくイき、膣壁の蠢動の激しさに耐え切れなかった西村も同時に果てた。
「梨紅さん」
二人が力尽きて崩れ落ちるのを見届けてから梨紅に声をかけた。
「はい制服」
「ありがと」
手渡された制服を受け取る。
「って、上しかないよ」
「だってスカート穿いちゃったらやりにくいから」
「こ、これからするの!?」
「うん。二人に見とれちゃっててするの忘れてたから」
「……うん。わかった」
おずおずと頷くとカッターシャツを着てから机に腰掛け、大助を受け容れるために股を開いた。
「それじゃあいくよ」
「ん……」
こうしてまた、二人に新たなプレイスタイルが加わった。
ちなみにトワちゃんは興奮しすぎで力尽きて鳥姿のまま連れて帰られましたとさ。