D・N・ANGEL

「おはよう、梨紅さん」  
「あ、丹羽君!おはよう。今来たの?」  
「うん。一緒に教室まで行こうか」  
朝、学校に着いた大助は下駄箱で梨紅と出会った。  

「梨紅さん、今日は元気そうだね」  
「え?そ、そう?」  
大助の言葉に少し狼狽した。ほんの僅かな変化を大助は感じているようだ。  
(丹羽君って、妙に勘がいい時あるなー……)  
無意味に感心する梨紅をよそに話し続ける。  
「うん。何か昨日までよりすこし雰囲気が軽くなったみたいだよ」  
「あ、なにそれー。私が尻の軽い女だってこと?」  
「ええっ?!ち、違うよ!全然、そんな意味じゃないよ!」  
慌てて否定する大助を半眼で睨み、そしてふっ、と笑みをこぼした。  
「わかってるよ、それくらい。ほら、教室行こう!」  
そう言って梨紅は駆け出した。  
「え………あ、ま、待ってよ!」  
その後を追って大助も走り出した。  

「あ、原田さん!」  
廊下を駆けている途中で大助は見知った人影を発見したので声を掛けた。  
「丹羽君……」  
その声に全く元気がないことに大助は気づいた。  
「あれ、どうしたの?元気ないよ」  
「………え?」  
大助から掛けられた優しい言葉に梨紗の胸はどくん、と高鳴った。  
(私を、心配してくれてる……?)  
それは大助がお人好しで優しいからだ。  
(あなたを、振っちゃったのに……)  
大助はすでにそのことをあまり気にしていない。彼は既に幸せだからだ。  
今の梨紗には、その大助の優しい言葉意外に頼れそうになかった。  
ぎゅっ、と大助の制服の裾を掴む。  
「原田さん?」  
俯いている梨紗の表情は分からない。掴んだ手は少し震えている。  
「…丹羽君、……私……私は…」  
「どうしたの?」  
不意に二人の背後から声が掛けられた。大助は振り返り、梨紗はびくっと手を離した。  
「梨紅……」  
大助は見ていないが、梨紗の顔には明らかな恐怖の色が浮かんでいた。  
「何で梨紅さんが後ろから現れるの?」  
「ん、ちょっとお手洗いにね」  
二人を見ていた梨紗は一歩、二歩とあとずさった。  
「私、先に行くね……」  
そう言い残して梨紗は教室へと去って行った。  
「あ、原田さん…」  
「……梨紗がいたの?」  
「うん。何か元気なさそうだったから…。梨紅さん何か知らない?」  
「知らない」  
素っ気無く即答。奇妙な感じを大助は受けた。しかし、知らないといったときの梨紅はそれを突き通す。  
「…そう」  
それが分かっていたから、大助はそれ以上追及しなかった。  

 

「どういうつもり?」  
「べ、別に……何も…」  
女子トイレの個室で梨紗は梨紅に問いただされていた。  
「何もないなら丹羽君に話し掛けないで」  
「………うん」  
しばし梨紗を睨みつけ、梨紅はそこを後にした。  
個室に一人取り残された梨紗は膝を折り、がっくりとうな垂れるように頭を抱え込んだ。  
(わかってる。…わかってるわよ、そんなこと――)  
しかしいくら頭で判っていても、梨紗にはさっきの大助の優しさがとても恋しかった。  
(私は……私は………)  
大助が梨紅だけに向ける感情が羨ましい。――――それが欲しい。  
梨紅だけが、特別な存在であることに我慢ならない。  

二人の中を裂ければ、私はそれで満足だ。  

梨紅は部活に行った。練習試合が近いのだと大助は聞いた。  
(そうだ、美術室で貸してもらいたい本があったんだっけ)  
それは全く無名の、大助も知らない絵描きの画集だった。図書館にも置いていなかった。  
美術準備室で偶然その画集を見て、大助は心惹かれた。  
特に技巧に凝ったわけでもなく、筆使いが個性的であったわけでもない。  
ただ感性と感性が共鳴しあったように大助はその画風が気に入った。  
職員室で美術担当の教師から入室の許可をもらい大介は美術室へ入った。  
さすがに貸し出しは許してもらえなかったので、本を手に椅子に腰掛けページを繰り出した。  
すぐに引き込まれた。やはりこの画家の絵は自分に合ってるな、と大介は思った。  

「丹羽君、まだいたの?」  
不意に掛けられた声に大介はびくっと身体を強張らせて顔を上げた。  
「あ、原田さん」  
声の持ち主を確認すると、ふうっと一息ついた。  
「絵の勉強?」  
指を身体の後ろで絡ませ梨紗が歩み寄る。  
「うん。この人の絵見てると勉強になるんだ」  
心底楽しそうに大助は話す。  
「ふーん……」  
梨紗は大助の後ろに立つとその画集を覗き込むように見た。  
大助のページを繰る音以外は何も聞こえない。穏やかな沈黙が続く。  
梨紗は室内を見回し、そして後ろに飾られた絵を見て視線が止まった。  
「ねえ、あの絵……」  
「え?…ああ、あれ」  
読むのを中断して机の上に置き、そして梨紗が視線を向けている絵のところに歩き出した。  
梨紗もそれに続いた。  
「この前課題で提出した絵なんだ。先生がいい作品だからって一昨日飾ってくれたんだよ」  
その絵に描かれているのは海、そしてそこにある岬と数基の風車だった。  
「すごい、上手だね」  
「ありがと」  
しばし無言で絵を見詰め続けた。先に口を開いたのは梨紗だ。  
「――――丹羽君……」  
「何?……え」  
振り向いた大助の頬に梨紗の手が触れる。  
「な――」  
大助の声は、重ねられた梨紗の唇によって消された。  

(――――おい、大助!!)  
「――……っっ!!」  
大助の思考が行き巡るより早くダークの声が頭に響いた。  
その声に反応し、慌てて大介は梨紗を振りほどいた。  
右手が梨紗の頬に当たってしまった。  
「あ、ご、ごめん原田さん……」  
「………」  
頬を押さえたまま梨紗は俯いて沈黙している。  
(おい、大助。どういうこった!?)  
問われても判るはずがない。突然の梨紗からのキスに大助は混乱した。  
「…な、なんで……こんな…」  
「丹羽君は」  
すっと顔を上げた梨紗の瞳が真っ直ぐに大助を捉えた。  
「梨紅のこと、好きなの?」  
「なっ……」  
なぜいきなりそんな問いをされたか全く判らない。しかし梨紗の目は真剣だった。  
大助は、不振に思いながらも迷わず答えた。  
「…好きだよ」  
その返事に僅かながら梨紗の眉が顰められた。  
「……そう」  
梨紗は大助のほうに歩み寄る。  
大助は間合いを一定に保ちながら後退していった。  
がたっ、と美術室の角に行き当たった。  

「あ――」  
一瞬だけ後ろに気を取られた。そしてその隙に、  
ばさっ  
大助の身体に梨紗の身体が抱きついてきた。  
(おいおいおいおい、どうなってんだよこれは?!)  
ダークもまだ混乱しているようだ。しかし当の大助のほうがさらにしている。  
「は、原田さん?!」  
声が裏返った。身体を捩り何とか振りほどこうとするがしっかりと後ろで手が組まれていた。  
はずれない――――。  
「私じゃ、私じゃダメなの?」  
耳元で息を吹きかけるように囁かれた。  

――――どくんっ  

「?!」  
突然胸が激しく動悸しだした。  
(――くっ、どうして…?!)  
大助は驚いた。既に梨紅だけにしか反応することはないと思っていた感覚が今疼いているからだ。  
力任せに梨紗を引き剥がした。梨紗が転倒し尻餅をついたが構わずトイレまで走り出した。  

「――ハァッ、ハァッ…。っはあぁぁーー」  
トイレに駆け込んで鏡で姿を確認した。映っていたのは黒髪長身の男、ダークだった。  
「あ、危なかったぁー」  
まさに間一髪だった。  
(でも、どうして僕原田さんに……)  
それだけがどうしても腑に落ちなかった。もう梨紗のことは吹っ切れたと思っていたが、それは間違っていたのか…。  
(………もしかして)  
「ねえ、ダーク」  
しかしダークは答えなかった。  
「どうしたのダーク?」  
再び話しかける。  
(……悪い、少し寝るわ)  
「あ、おい……。ったくぅ」  
結局その日、大助はダークと話ができなかった。  

腰を落としたまま梨紗は一人美術室にいた。  
独り、そう、いつも独り取り残される。自分だけが独りだけ…。  
「…ぅ、うぅぅッ……。ぐすっ」  
あまりにも自分が惨めだった。  
(どうして…どうしてこうなっちゃうの………)  
止めどなく涙が流れ出てくる。  

 

「え、合宿?」  
突然梨紅からそう告げられた大助は思わず聞き返した。  
「うん。もうすぐ大会が近いから、練習試合の調整も兼ねてもうすぐやるんだって」  
「そっか…」  
「もう、そんな暗い顔しないで!」  
バシッと梨紅に背中を叩かれた。  
「大丈夫。2泊3日なんてホントすぐだし」  
「そっか…、そうだね。出発はいつ?」  
「今度の木曜日」  
「木曜、ってことは土曜に帰ってくるんだ」  
うん、と頷く梨紅。  
「ねえ、丹羽君。日曜日暇ならデートしようよ」  
「いいけど、でも帰ってきたばっかりじゃ梨紅さんがきついんじゃ…」  
「大丈夫大丈夫、丹羽君と一緒にいるほうが疲れもとれるよ、きっと」  
そして二人は日曜日のことを話し合った。  
「――――丹羽君」  
別れ際に呼び止められたので大助は振り返った。  
「あっ……」  
梨紗の柔らかな唇の感触が大助の唇に伝わってきた。  
しばらくそれが続いた後、梨紅は体を離してばっ、と身を翻した。  
「じゃあね、丹羽君!」  
そう言って去って行く梨紅の後姿を、大助はその場に突っ立ったまま見届けた。  
(………いきなりは、卑怯だよ)  
そう思いながらも顔が綻ぶのは抑えられなかった。  

木曜日の朝のホームルームが終わったあともやはり梨紅の席は空席だった。  
「はぁーー……」  
溜め息が漏れる。わかってはいたが、やはり梨紅に会えないというのは少し寂しかった。  
「どうした大助、元気ねーぞ!」  
冴原が絡んできた。大助は一瞥し、それだけだった。  
「……なあ、ホントに大丈夫か?」  
「うん、大丈夫だから心配しなくていいよ」  
本気で心配しだした冴原に対してようやく大助は反応した。  
「まあ、原田姉がいなくて悲しがるのはわかるけど、落ち込んでてもどうにもなんねえぞ」  
「うん、ありがと」  
冴原がさって行くと、再び溜め息が漏れる。  
(わかってるけど、やっぱり辛いかな…)  
この前の一件以来ダークも出てこず、おかげで怪盗家業のほうもなおざりになっている。  
「っはぁぁーーー………」  
梨紅ともダークとも噛み合っていないことが少しばかり孤独に感じられた。  
「丹羽くぅ〜〜ん」  
「は、は、原田さん」  
声の主が原田梨紗だと確認すると、大助は少し身構えた。  
何かされると思ったわけでもないが、やはり美術室での一件がそうさせずにはいられなかった。  
「どうしたの、そんなに驚いて?」  
まるでそのことなんか気にしてないよ、と言いたげな口調で梨紗は話し掛ける。  
前屈みになり大助と視線が同じ高さに来るようにした。  
その時、前屈みになった梨紗の胸の谷間が少しだけ目に入った。  
(な、何かいつもより必要以上に強調されてる……!?)  
「ごめんっ、原田さん!!」  
何故か謝ると大助はそのまま席を飛び出し廊下へと逃げて行った。  

(やっぱりこの程度じゃ丹羽君は振り向かないか…)  
顎に手を当て考えるしぐさをする梨紗。  
(……さ、次はどうしよっかな)  

今日の体育は男女合同のマラソンである。適当にセーブして大助は走っている。  
黙々と、大助は規定のグラウンド6周をこなしていた。  
セーブしているとはいえかなりの運動能力があるため順位としては中の上あたりをキープしている。  
(…それにしても)  
気にかかるのはやはり梨紗のことだった。  
(うーん、何か変だよな、原田さん……)  
どうしたのだろう、と考えても結局わかるはずも無い。雲をも掴む、といった感じだ。  
そして大助の前方数十メートルのところには周回遅れとなる梨紗がいた。  

(もう少し…もう少し……)  
ちらちらと後方を確認をしながら梨紗はのろのろ走っている。確認しているのはもちろん大助だ。  
(チャンスは一回。がんばれ、私!)  

(やっぱり、不自然に間合いを取りすぎるのは変だよね…)  
そう思うことにした。そんなにあからさまに避けるようなことは逆に怪しいだろうと。  
(大丈夫、大丈夫。原田さんは何もしてこないはず…)  
そして大助は梨紗の横に並び、すっ、と抜き去った。  
(ほ、ほらね!全く、僕って心配しすぎ――)  
「っきゃ!!」  
「――え」  
後ろから聞こえた小さな悲鳴に大助は首だけ振り返った。  
そこには躓いたのだろうか、大きく体勢を崩す梨紗の姿が、  
(っていうかこっちに突っ込んでる!!?)  
咄嗟に梨紗を守るように手を伸ばした。  
手は飛ぶように突っ込んでくる梨紗の腰に絡まり、そのまま大助を下敷きにして倒れ込んだ。  

後頭部を強く打ちつけた大助は一瞬目の前が暗くなるのを感じた。  
「ぐ、っぐぐぐぅ…」  
打ち付けた後頭部がひどく痛み出した。同時に視界が戻るのを感じた。  
「んぐ、ぅぐ?ふ、ふが…」  
戻ったと思った視界は未だに暗いままだった。それにさっきから妙に息苦しい。  
息苦しいだけでなく、顔全体がふにふにとしたものに押されている感じがしている。  
「あふ…丹羽君、くすぐったい……」  
梨紗の声が頭上から降ってきた。と思ったらぎゅうっ、と締め付けられるように顔が圧迫された。  
柔らかな弾力を持ったものが一層強く押し付けられてきた。  
「んがぁ!ぐ、ぐるぅ…、ふはぁ!」  
大助が悶絶していると、側にいた数名のクラスメイトが駆け寄ってきた。  
「梨紗、大丈夫!?」  
「どっか怪我とかしてない?」  
「お、おい丹羽!」  
「あーしまった!カメラ持ってくりゃよかったぁぁ」  
朦朧としてきた意識にそんなやり取りが聞こえた。  
(ぼ、僕…もうダメ……)  
そう覚悟を決めた時、ふっ、と身体が軽くなった。  
梨紗が大助から身を離し、倒れている大助を覗き込むようにして声を掛ける。  
「ごめん丹羽君!平気?」  
「けほっ、けほっ……。う、うん。僕は大丈夫」  
上体を起こし、梨紗に笑顔で答える。そこで大助は梨紗の胸元が湿っていることに気づいた。  
(もしかしてあれ、僕がもがいてた時……!?)  
大助の顔を圧迫していたのは梨紗の豊満で柔らかな胸だった。  
それが判ると急に大助は恥ずかしくなった。顔が熱く火照ってきたのが判る。  
「だ、大丈夫だから!先に行くね!」  
大助は再びマラソンへと戻っていった。集まったクラスメイトもそそくさと解散していく。  
梨紗も立ち上がり、倒れる前と同じようにのろのろと走り出した。  
(……今のは、結構ポイント高かったかな?)  
心の中でそう呟いた。早速次の手を思案し始めた。  
(次はもうちょっと過激にいこうかな……)  

ベッドの上でごろりと横になり、大助は今日一日のことを思い返していた。  
(変だ!絶対変だよ、原田さん!なんであんなにおかしくなっちゃったんだろ?)  
もちろん大助にわかるはずも無い。しかし梨紗が自分に絡んでくるには何か理由があるはずだ、と思っている。  
仰向けになり天井を見るとも無くぼー、としながら考える。考えても、まとまらない。  
(ダークも全然反応しないし、一体どうしたんだろう…)  
何度呼びかけてもダークは応えない。今まではなかったことだ。  
「っっはあぁぁーーーー………」  
今日幾度と無く繰り返した溜め息をした。それを最後に大助はそのまま眠りについた。  

「はあぁ、あん!く、は、い…い…き、もちい」  
ベッドの上でパンツを穿いたまま秘部を弄り回しながら梨紗は大声で感じていた。  
両親は旅行、姉は合宿。家には一人っきりという状況が梨紗を開放的にさせている。  
「ふぁあ!んあ、ひゃぁあ!」  
既に梨紗のパンツはぐしょぐしょに濡れ、ベッドのシーツにはいくつもの点々としたシミができている。  
「だ、…め、もういっ、ちゃいそ……」  
割れ目に沿って滑らせていた指がパンツをずらして直接肉襞を刺激した。  
「ふぅぁぁああ……!!」  
高まっていた感覚が一気に突き抜けるように駆け巡り、梨紗の身体がびくん、と震えた。  
とろとろと溢れる愛汁が指とパンツ、シーツを濡らす。  
体液が付着した指を口に咥えちゅぱちゅぱと音を立てて吸い付いた。  
「ん……んは、ちゅ…」  
そうやって濡れた指全ての体液を舐め取るようにして綺麗にしていった。  
(……明日はこのパンツ使ってみよっかな)  
梨紗はもう大助と梨紅の仲を裂こうなどと考えてはいない。ただ、一度でいいから大助を自分の虜にしてみたい。  
それは姉に対する対抗心からくるものだった。  
(明日こそは丹羽君の身体を私の好きにしてみせるわ!)  

金曜日。梨紗を少し警戒していつもより遅く登校する大助。  
(うん、時間もぎりぎりホームルームに間に合うくらいだ。これなら原田さんに会わなくてすむはず)  
登校する人の姿は既にちらほらといる程度だ。  
少しだけ駆け足気味に昇降口まで行き自分の下駄箱を開けた。  
っばん!!  
激しい音を立てて大助は閉めた。  
(…………)  
もう一度、確認するようにゆっくりと開ける。  
いつもなら上靴しか入っていないはずなのに、今日は何故か上靴の上に薄い布切れが置いてある。  
一度見た時にはもしかしたら、と思ったが、二度目にしっかりと視認し、その思いが間違いで無いことがわかった。  
(…ぱんつ……?)  
それも女性用のものだ。飾り気の無い白の無地である。  
(どうしてこんなのがあるんだよ!……まさか)  
きょろきょろと周囲に目を配った。  
(……原田さんはいないか…)  
こんな妙なことをするのは最近何かおかしい梨紗以外に思いつかなかった。  

(とにかく、まずはこれをどうにかしないと)  
このまま放置しておくわけにはいかない。清掃の時に見つかる可能性が高すぎるからだ。  
まさか誰かに相談することなどできるはずも無い。  
(…やっぱり自分で持っておいたほうが安全か)  
鞄を少しだけ開けた。周囲の気配を探る。大丈夫、今は誰も来ていない。  
ふぅ、と息をついて心を落ち着けた。  
(っよし!!)  
一気に手を突っ込み、それを掴んで引き出した。すかさず鞄に手を突っ込んだ。  
「…………ふぅ」  
再び息をついた。仕事を一つやり遂げた後の、そういった感じだ。  
(全く、なんだってこんなこと…)  
靴を履き替え、教室に向かおうとしたところで大助は固まった。  
廊下側の通路、その左の角からカメラを構えた人の頭が覗いていたからだ。  
「…ぁ、はぁ…は、は」  
(原田さん!!?)  
原田梨紗がカメラを構えている。何を撮られたか、瞬時に理解した。  
すっ、と構えたカメラをしまうと、角から覗く梨紗の顔左半分が  

にやりっ  

(――――――――!!!!)  
大助の背筋が薄ら寒くなった。ぞわぞわと鳥肌が立つような感覚。今、彼は絶望的な立場にいる。  
すすすっ、梨紗の顔が消えていく。金縛りに遭ったように動けない大助。  
「あ、…あぁぁああ!ま、待ってよ、原田さあぁぁぁん!!!」  
声を上げてようやく身体が動いた。廊下を駆けて必死に追い着こうとするが、梨紗の姿は無い。  
(どうして!どうしてこんなことになってるんだよぉ!?)  
今の自分の状況に涙が出そうな大助であった。  

結局朝のうちに梨紗と接触することはできなかった。  
学校にいる間は鞄のほうに気を配らなければならなかったので梨紗と話す機会がなかった。  
放課後になり、ようやく大助の気が軽くなった。  
(はぁ、無駄に神経をすり減らしてしまった…)  
もう今日はそのまま帰りたい気分だった。しかし、梨紗をこのまま野放しにできるはずもなかった。  
教室を見回した。既に梨紗の姿はない。  
(もう帰ったのかな…)  
「福田さん!」  
大助は教室に残っている女子の中でよく梨紗と一緒にいる福田律子に声を掛けた。  
「丹羽君、何か用?」  
「あのさ、原田さんどこに行ったか知らない?」  
「梨紗ならホームルーム終わってすぐ出てったわよ」  
「そう、ありがとう福田さん!」  
手を振って走り去る大助の後ろ姿を見てふと思った。  
(丹羽君って、結構いい男かも…)  
「って、なに考えてんの私ってば」  
顔を赤くして俯いてしまった。  

(原田さん、もう駅まで行っちゃったかな?)  
さすがにそこまで遅れをとったとは思っていないが、考えれば考えるほど悪いほうにばかり考えている。  
(明日は梨紅さんが帰ってくるっていうのに…。もっとゆっくりしておきたかったな)  
などと考えながら昇降口まで来て下駄箱を開けた。  
「っま……?」  
またか!!と言いかけて言葉を止めた。靴の上にまた何かが乗っている。しかし今度は布きれではない。  
(手紙?)  
薄い、封筒に入った手紙が入れてあった。手に取り差出人を確認した。  

丹羽君へ  

原田梨紗  

(…………)  
言い知れぬ不安が胸中をよぎったが、封を開けないことには何も進まない。  
意を決して封筒を開け中身を確認する。  
(これって、地図?)  
そこには手描きで地図が描いてあった。場所は町の外れ、意外と遠い。  
一ヶ所だけ赤い点が打ってあり、『ここに来てね(はぁと』と描かれていた。  
(……罠?)  
大袈裟すぎる表現だが、今の大助にはそれがまさしく生死に関わる一大事に思えた。  
(行くしか、ないか…)  
手紙をポケットに突っ込むと大助は記された地点まで駆けて行った。  

約20分。迷いそうになりながらもそこに着いた。  
「はぁ、はぁ、はぁ…」  
全力に近いペースで走ったためにかなり呼吸が乱れている。  
途中で梨紗に追い着けるかも、などと思っていたがその姿を見かけることは無かった。  
大助が誘い出されたところ、それは町外れの通りの、さらに脇の小道に入り、角を幾つも曲がったところだった。  
(どうしてこんなところに呼び出したりしたんだろう?)  
着いてから改めてそう思った。雰囲気も少し暗く、じめっとした空気が漂っている。  
「原田さん」  
呼んでみたが返事は返ってこない。  
「原田さーん」  
さらに幾つか角を進んで行く。  
「………っ!」  
背後から微かに人の気配を感じた。慌てて振り返ると、  
「にーわー君」  
にこっと微笑む梨紗がいた。  
「原田さん…?」  
梨紗の手に紙コップが握られていることに気付いた。  
「走ってきて喉渇いたでしょ?はいこれ」  
すっと差し出された。  
「べ、別にいいよそんなの!」  
危険を察知したのか、大助は断った。途端に梨紗の目が鋭くなった。  
「写真、ばら撒いちゃおうかな…」  
「わー、わー!!ありがたく頂くよ!!」  
「はいこれっ」  
再びにこやかな笑みを浮かべた梨紗の手から紙コップを受け取った。たっぷりと液体が注がれている。  
受け取ったはいいが、そこから口をつける気にはどうしてもなれなかった。  

「うぅ………」  
「どうしたの?」  
梨紗が聞いてくる。早く飲め、と急かしているように大助には感じられた。  
「何も入ってないよ。匂い嗅いでみたら」  
言われるままにくんくんと鼻で匂いを嗅いでみた。  
(…ちょっと甘い匂い…。でも飲んで安全か判らない)  
未だに警戒を緩めない。だがそれで沈黙してしまうと梨紗から無言の圧力がかけられる。  
「そ、そうだ!僕の下駄箱に入ってたあれ、原田さんのでしょ。今返すよ!」  
そう言って鞄の中を探すふりをしてわざと紙コップと手から落とした。ほとんど中身ががこぼれていった。  
「あ、しまった。でもいいよ僕喉乾いてないし。はいこれ」  
一気に捲くし立てて喋り、梨紗にパンツを突き返した。  
「ありがと」  
礼を言いながらもその目は笑っていない。刺すような視線が大助に突き刺さる。  
(うぅぅ…)  
だがここで引き下がるわけにはいかない。  
「あのさ、今朝撮った写真だけど、あれどうするつもり?」  
いきなり返せとは言わずに遠回りに聞いていく。  
「あれ?そうねえ…、丹羽君が返してって言うなら返してあげてもいいけど…」  

「ほ、ほんとう!?」  
梨紗のほうからそう切り返されて逆に大助が狼狽した。腰が落ちそうになった。  
「うん、本当よ」  
「そっか、よか…った……?」  
落ちそうになった腰がそのまま戻ろうとせずに、大助は地面にへたり込んだ。  
「あ、あれ…?」  
「薬、効いてきたみたいね」  
「く、くすり……」  
意識が飛びそうになる。視界がぐにゅっと歪んで見える。  
「さっきの液体、別に飲む必要なかったの。あれって匂い嗅いだだけでころっといっちゃう代物なの」  
「あ……」  
朦朧とする意識の中で梨紗の顔が近づいてくる。  
唇が触れ合い、口内にしたが差し込まれてきた。そこで大助の意識は落ちてしまった。  
うな垂れる大助を前に梨紗が優しく囁いた。  
「これからだよ、丹羽君――――」  

大助が昏睡したところからすぐ近くのホテルに梨紗は大助を連れ込んだ。  
部屋に入ると梨紗は大助が逃げ出せないように手足をロープで縛りベッドの上に横たえた。  
(さあさあ丹羽君、楽しみましょ)  
ウキウキ気分で大助のズボンを脱がした。続いてトランクスを脱がしにかかる。  
心臓がばくばく鳴っている。この先は梨紗にとって未知の領域だ。  
梨紗の目に初めて見る男性器が飛び込んできた。皮を被り小さく萎えているそれを思わず凝視してしまう。  
(――――っは!いけないいけない)  
見とれていた自分に言い聞かせると、梨紗は鞄の中をごそごそと漁りだした。  
「あったあった」  
梨紗が取り出したのは梨紅の部屋からちょっと拝借したあの本と、さらに数種類のアイテムだ。  
熱心に本のある項目を読み耽る。読み終えると意を決したように顔を上げ、大助の足元に腰を下ろした。  
そのまま大助の股間へと顔を近づける。大助の物を眼前に捉えた。  
(ふふっ、頂きます…)  
かぷっと亀頭を口に咥え込んだ。  
「!んう…」  
与えられた微妙な刺激に大助の口から声が漏れた。それが気に入ったのか、梨紗はぺろぺろと舌を動かしだした。  

「はぅあ……!」  
大助の顔が赤らみじっとりと汗が滲んできた。呼吸が荒くなっている。  
梨紗が頭を前後に振り出した。  
「ん、ん、…じゅ、……んふ、ふん…んふぅ」  
甘ったるい息が梨紗から漏れる。次第に梨紗も気分が高まってきている。  
みるみると大助の逸物は膨れ上がり、皮が剥け、梨紗の口内いっぱいに臭い匂いが拡がった。  
「んふぅ、ん、ん、ちゅぷ…ふぁん」  
その匂いに嫌悪を示すどころかさらに梨紗の興奮が強まった。さらに勢いをつけて頭を動かす。  
「んうぅ、ふぅん、あふ…んむぅ、んんっ」  
根元から亀頭まで、嬲るように口をスライドさせる。梨紗の唾液がてらてらと大助の物を光らせる。  
唾液に混じって亀頭の先端からじわりと汁が滲み出してきた。  
多量の体液が大助のぎんぎんにいきり立った肉棒、陰嚢を伝いシーツに垂れ落ちた。  
「んはぁ…、すごい……硬くて、おっきい」  
口を離して大助の逸物をじっくりと観察した。握ってみるとそれはまさに鉄の棒のようにかちんとしている。  
その大きさは梨紅の手によって肛門に埋められたバイブより僅かに一回りほど大きい。  
見ているだけで梨紗の股間の割れ目がパンツをじんわりと湿らせてきた。  

 

意識の深淵、深く深くそこに堕ちていたものが徐々に浮き上がってきた。  
(んー・・・)  
久々に肉体に宿ったそれは大きく伸びをしようとして、そこで身体が自由に動かない、拘束されていることに気付いた。  
(おおぅ!?なんだなんだ、一体どうなってやがる?)  
少し狼狽し、すぐに自分が下半身を剥かれていることを認識した。剥いた本人である梨紗も見えた。  
(梨紗!おい大助、どうなってんだよこれは?!)  
だが大助の意識はその呼びかけに応えなかった。  
(ちっきしょー、どうしておれが梨紗に拘束されてんだよ!)  
今自分が置かれている状況を何とか把握しようとして、そして気付いた。  
びんっと反り返った逸物のサイズがダークのものより幾らか小さいことに。  
(…ってことは、ひょっとして今は大助の身体のままか)  
どうしてこんな状況に?と一瞬考えそうになったがすぐに思い至った。  
(なるほど。俺に梨紗を喰わせるためにこんな状況を作ってくれたのか、大助のやつ…)  
かなり、というかほとんど間違った解釈であるが、好色ダークがこの機を逃すはずが無かった。  
(身体が大助ってのが不満だけどな。巧くやらねえと梨紅のやつが泣くからな…)  

「あの、原田さん」  
大助の声に梨紗は顔を上げた。  
「目が覚めた?」  
「うん…とりあえず拘束解いてくれないかな?」  
ダークならこの程度すぐに外せるが、身体が大助ということで下手なことはできない。  
「ダメよ。だって丹羽君逃げるかもしれないでしょ」  
(逃げる?何だか俺が思ったより随分めんどくさいことになってやがるな)  
「逃げたりしないよ。このままじゃ僕何もできないじゃないか」  
「丹羽君は何もしなくていいの。私がするんだから」  
(おいおい!俺はMッ気なんてねえぞ!)  
「ま、待ってよ待って!僕、攻められるのなんて好きじゃないよ!」  
「あら、さっき気持ち良さそうに呻いてたのは丹羽君じゃない」  
(うがー、違ぇよ!ぁあ、ったく!)  
もどかしい思いでいっぱいのダークだが、梨紗は大助を攻める気満々である。  
梨紗の細い指が大助の亀頭へ触れた。  
「うッ!あぁ…な、何だよこりゃ……」  
外気に触れる機会が滅多に無い大助のそれは僅かの刺激で激しい快感を与えてくる。  
久しく感じたことの無い刺激にダークは声を出した。  
「ほらぁ、やっぱり丹羽君は攻められるほうが似合ってるわ」  
「ちっ、違……!」  
(畜生!大助のやつ、もっと梨紅とやってりゃこんな情けねえ声出さずにすんだのによお!…って、それもそれで複雑だな)  
などと考えているうちに梨紗の手が大助の逸物を扱き始めた。  
「っはあぁッ!っくしょーがぁ……」  
不意を突かれたように与えられる刺激。腹につくほどに逸物は反り返り、がちがちに硬くなった。  
その中でダークは悪態をついた。  
(こうなったらとことん快楽を味わわせてやるからな、覚悟しろよ梨紗!)  

 

ダークの手が器用にロープを解いていく。  
(へへ、この程度で俺を縛れると思うなよ)  
梨紗は大助の逸物を弄るのに夢中で気付いていない。ダークは何もせずにその様子を見ている。  
梨紗の小さな口が大助のそれを含んだ。  
「んふぅ、ふう」  
口内で生暖かな息が亀頭を刺激する。  
「いいよ…気持ちいいよ原田さん」  
梨紗の頭が上下に動く。ぞくぞくと快感が背中を駆けていく。  
「原田さん、僕もう我慢できないよ!」  
「ぷぁ…?な、なに…きゃっ!」  
とうとうダークが梨紗を押し倒した。自由になった大助の手で梨紗の股間を弄る。  
「は…あ、だ…だめ、丹羽君!」  
「ここまでしておいて引こうっていうの?」  
指が梨紗の割れ目をショーツ越しに撫でる。  
「ん…あ、あぁ……感じて、きちゃうよ……」  
「ああ、本当だ。もう濡れてきてるよ」  
ぴちゃぴちゃと指に粘液が絡み付いてくる。  
「これだけ濡れてりゃもう入れても平気だよね」  
ダークは梨紗のショーツをずり下げて大助のモノを小さな秘裂に押し当てた。  
「あ…に、丹羽君、そこ、だめぇ……」  
腰を捻って梨紗は逃れた。そしてダークのほうに尻を突き出してきた。  
「ねえ、こっち…こっちに入れて」  
梨紗がねだったのは梨紅の手によって開発された肛門だった。  
(うぉっ!マジかよ梨紗のやつ…。ケツでしてほしいなんて、妙な性癖持ってやがるな)  
「じゃあこっちを使わせてもらうよ」  
今度は梨紗の肛門へと逸物を押し当てた。  

「それじゃ……いくよ」  
突き出した腰は思ったよりすんなりとスライドした。  
「っはあぁ!き、きてる、きてるよおぉぉッ!!」  
突っ掛かることなく根元まで飲み込まれた。膣壁とは違う腸壁の感触がまだまだ未熟な大助を攻め立てる。  
(っくぅあぁ!こんなんじゃすぐイッちまうじゃねえか)  
込み上げる射精感を必死に堪えてダークは腰を引いた。逃がすまいとするように梨紗の肛門が吸い付いてきた。  
スピードを上げて大助の腰と梨紗の尻がぶつかり合う。梨紗の喘ぎ声とぱしんぱしんという音が響く。  
「くぅ、もう限界かよ……」  
びくんっと肉棒が梨紗の肛門の中で暴れた。大量の精を梨紗の中に放出した。  
「は、は、…はぁぁ……もう、終わり?」  
(えぇ、お前は満足してねえのかよ!?)  
ちょっとだけショックを受けたダークであった。  
「え……あ、んん………?」  
梨紗の中で萎えきっていたとばかり思っていたそれが、僅か数十秒で再び硬くなりだした。  
「へ?は、あぁ……わ、私の中で…大きくなって……」  
(………若いっていいなー…)  
感慨深くそう思ってしまったダークだが、すぐに気を取り直した。  
(っしゃ!これならすぐにイかなくてすむだろ)  

大助の腰がまた動き出した。中に吐き出した精子のおかげでよりスムーズに動いている。  
「ん、は、あぁ、い、いいよ!丹羽君!もっと…もっとぉ!!」  
「っは、はは。原田さんって、えっちだね」  
梨紗の腰を掴んでさらに攻め立てる。皺が伸びきった肛門が切れそうなほどに激しい。  
「ひっ、ぐぅぅ、…んあぁ…ら、らめぇ……」  
顔を愉悦に歪ませる梨紗の呂律は回っていない。  
「ふぁ、は、あぁ…い、っちゃう……あ、あああぁぁ!!」  
絶叫とともに梨紗の割れ目からは熱い愛液がぽたぽたと垂れ落ち、膣の収縮に合わせて肛門もきつく締まった。  
「な、中に出すよっ!!」  
肛門の締め付けに堪えられずにダークは二度目の射精を迎えた。再び梨紗の直腸に精子が注がれた。  
「っふう。結構気持ちよかったよ、原田さん。……原田さん?おい、おい梨紗!」  
完全に気を失っている。梨紗は何も反応を示さない。  
「っへへ、そんなに俺のテクが良かったのか?」  
少し得意げにダークは言った。そしてその視線が梨紗の鞄のところで止まった。  
(ん、なんだありゃ?)  
乱雑に取り出された荷物の中に、一冊の本と数種類のアイテムがある。  
ダークはそのうちの一つを手に取った。  
「お、こりゃ媚薬じゃねーか。面白いもん持ってるじゃん」  
蓋を開けるとダークは一気に飲み干した。その効果はすぐに表れてきた。  
胸が熱くなる。体温が急上昇したのが判る。興奮も次第に高まり、二度の射精を繰り返したモノが三度反り返った。  
「うー、きたきたぁ!っふっかーーつ!!」  
精力マックス、性欲魔人ダークの本領発揮である。  

「さってと、あとのアイテムは…ローションに、ローターにアナルバイブか…」  
それら全てを手に取った。まずはローションをたっぷりと気絶している梨紗の股間部に塗りたくる。  
膣、腸内にも注ぎ込んだ。  
そしてローターを肛門の奥へ押し込んでスイッチを入れ、さらにバイブで栓をした。  
「準備完了。梨紗、お前の処女は俺が貰うぜ」  
そして自分の逸物を梨紗の中に押し込もうとした時に気付いた。  
「――――おぉ、俺の身体だ」  
股間についている肉棒のサイズがさっきまでより二周り以上大きくなっていた。  
(つーことは、後で適当に魔力使って梨紗の記憶いじってやれば面倒起きなくて済むじゃねーか!)  
「よっしゃ!俄然犯る気出てきたぜ!」  
ダークの巨根が梨紗の小振りな陰唇を割って少しずつ進入しだした。  
ローションが塗ってあるとはいえ流石にサイズ差がありすぎるためにスムーズにいかない。  
「まあ傷ついたら後で治してやるから、今だけ我慢してくれよ…な、っと!」  
無理矢理挿入する。途中でつっかえそうになったがそのまま奥まで押し込み、梨紗の顔が苦痛に歪んだ。  

「ふー、こりゃきついぜ」  
梨紗の腰を押さえつけてダークが腰を振る。  
結合部から飛び散る飛沫には白濁の液と、それに混ざった薄桃色の液があった。  
正常位だけでは飽き足らず、自分が思ったとおりの体位にと移行する。  
まるで玩具、ダッチワイフのようなことを梨紗はさせられている。  
使い込まれたダークの逸物はなかなか絶頂を迎えず、ただその時が来るまで梨紗を攻め続ける。  
梨紗の膣口はダークに蹂躪されすでにがばがばな状態になっている。ダークが治さない限りはゆるゆるなままだろう。  
裏筋には腸内に挿入したローターの振動がぷるぷると伝わってくる。  
膣道を何度も往復させるうちに、ようやくダークに射精感が込み上げてきた。  
ダークの手が梨紗の陰核をくりくりと刺激する。びくっと梨紗の身体が反応した。  
「はぁ…いいぞ、そろそろイきそうだ…」  
陰核を刺激する指が強まった。執拗に、嬲るように攻め立てる。  
「…あ、ぁぁ……」  
梨紗が小さく声を漏らすと同時、ダークの巨根を握りつぶすような勢いで膣壁が縮み上がった。  
「くぅぁっ!」  
堪らずダークが腰を引いた。挿入されていたものが引き抜かれた瞬間、びくっ!びくっ!とそれが大量の精子を梨紗の腹の上にぶちまけた。  
「はあ、はあ、……ふぅ…。中出しできねえってのがちょっと癪だけどな、へへ」  
それでも梨紗の身体にかなり満足したダークはいそいそと後片付けを開始した。  

 
 

「――――うわああぁぁぁ!!!!」  
布団をがばっと跳ね上げて大助は目を覚ました。汗がじっとりと肌にこびり付いている。  
まるで悪夢でも見た後のようだ。  
「はあ、はあ、はあ、………ここは?」  
大助の頭は混乱していた。今日何をしていたかよく思い出せなかったからだ。  
(えっと、今日は確か金曜日で…それで、うーん………、そうだ!明日梨紅さんが帰ってくるんだ!)  
慌てて時計を確認する。時刻は11時を指している。まだ今は金曜日である。  
(でも、僕今日は何をしてたんだっけ?……ねえダーク)  
(ん?なんだよ)  
(今日僕が何してたか判る?)  
(んなこと俺が覚えてるわけねーだろ。ふぁ…、今日は疲れてんだ、もう寝るぞ)  
(あ、ちょっと!……ったくぅ)  
ダークの態度に不満を感じた。記憶が混乱しているのはダークが何かしたせいかもしれない。  
しかしダークに答える気が無い今、心配してもしょうがないということで大助はそのまま布団に潜り込んだ。  
(明日、何か変わったことがあったら絶対ダークに事情聞かなきゃな……)  
そして大助は眠りに落ちていく。明日帰ってくる梨紅のことを思いながら。  

 
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