ゼノンの所在ついに判明!!
「…だってよ。どうする?」
7畳半の部屋にちゃぶ台とテレビ一つ。決してアクターレの実家ではありません。
そのテレビの近くにあぐらをかいて座っている戦士♂。
剣がやや弱体化したのと拳の強化で序盤使いにくい印象を受けた彼…ディンゴはテレビを見ながら呟く。
あぐらの上には今回胸が揺れてるのか揺れてないのか分からない立ち絵と「ぽこん☆」で一大センセーションを巻き起こしそうな星魔法使い♀…ミルがすやすやと眠っている。
とても幸せそうで、その寝顔は大きなお友達が見たら親衛隊を作りかねない勢いだ。
「決まってる」
部屋の片隅でひたすら魔王の剣を研ぐ一人のソードマスター。
いくら敵が強くても無明殺なら殺れる!!と意気込んで攻撃が当たらず返り討ちに遭うのもお約束。
「ゼノンを倒してこの7畳半の部屋から抜け出す。マイホームは俺の夢だ」
装備にギブスと靴が常時付いている彼…バウトは研ぎ終えた剣を鞘に納めて口を開く。
「そんなに抜け出したいならその剣を売ればいいんじゃないですか?」
「うんうん。僕もそう思う」
外からのドアを開けてアーチャーと盗賊が姿を表す。
今回弓の復活でステージクリア後に涎を垂らしながら喜ぶ姿が印象的。
それでありながら、説明書では胸がペタンコである事に理由がつけられた悲しい職業。
「断る。これは武士の魂だ。無くした時は自害する」
バウトがアーチャー…エリィに反論するが、横の盗賊がすかさず口を開いた。
「それじゃあ、どれで自害するの?」
「…包丁で十分だ」
「まっさか〜。武士は体面社会なんだから、幕府とかに「包丁で自害しました」とかいうのはみっともないよ」
「…むう」
ふふん、と勝ち誇らしげな顔を浮かべる盗賊と黙りこむバウト。
幕府がそもそも無いから体面社会もへったくれもないのだが、ギブスを付けているせいか、そこまで頭が回らない。
うはうはハンドを大量に購入→レジェンドアイテムゲットに一役買っている盗賊。
SPDとHITを強化すれば後方から狙撃の鬼と化す。そんな彼女…マリナ。
「そんな事やってる場合じゃないだろうがよ。今頃ゼノン倒すために魔王がわんさか来てるぜ」
テレビの電源を切ってこちらに向き直るディンゴ。無論、ミルは膝の上。
「…どうします?」
鋭い瞳のエリィの言葉に、笑みを浮かべて立ち上がるバウト。
「何の為に今までアイテム界に潜ってきた?移動力を上げ、射程を上げ、上昇率を伸ばし、セラフィックボウを一度はペタンコアロー、二度目は貧乳の弓と改名した」
「それは余計です!!」
顔を真っ赤にして叫ぶエリィ。横からまぁまぁ、とマリナがなだめる。
「…それもこの日の為だ。どうせやるならデカい事で夢を達成したい。そのワガママにみんなよく付き合ってくれた」
みんなが真剣な表情をするなか、ミルだけが寝息を立てている。とてもかわいい。
「…さて、もう思い残す事はないな?」
一名を除いて皆が頷く。
「よし…行くか!!」
「アクターレ氏の嘘だったらしいですよ」
『ええぇぇぇぇっ!?』
アデル達の戦いの裏には、こういった人々がいたのかもしれない…