「……エ……」
窓の外は青い空。
「……リエ……」
白い雲。まぶしい太陽。
「……プリエ……」
ああ、それ、私の名前。
「シスター・プリエ!」
あ、誰か私のこと呼んでる…
ゴスッ
「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
頭を押さえて机の上にうずくまるプリエ。
その頭のてっぺんには、ついぞ先ほど、アルエットの右手に輝く教典が
直撃したばかりである。
痛かろう。
だが、痛みを感じた当人以外にとって、それは滑稽に見えたらしい。
というか、滑稽だ。
室内にくすくす笑いが響く。
「な、何すんのよ、いきなりっ!」
「いきなりではありません。シスター・プリエ。私はあなたの名前をもう
6回は呼んでいます」
「…マジで?」
「マジです」
ここは、聖女会の教会内の一室。主に見習いのシスターたちが女神
ポワトゥリーヌの教えを学ぶために使うことが多い。
簡単に言うと、教室とか会議室みたいなものだ。
「女神ポワトゥリーヌ様の教えはそんなに退屈ですか?シスター・プリエ」
「い、いいえ…」
「光の聖女を目指すのでしたら…」
以下、ふてくされたような表情のプリエをアルエットがくどくどと説教する
シーンは放送時間の関係で割愛させていただきます。
(この前、城に泊まりに行くとはしゃいでいましたが、行く前とはまるで
別人のよう…いつもぼんやりとして、何か悩みでもあるのかしら…)
この時、アルエットは数人のシスターを指導する立場にあったが、ことさら
異端児プリエのことが気にかかっているようだ。
とはいえ、ことある毎に反抗的な態度を取るプリエに少なからず、アルエットは
心を痛めていた。
(あら、あれはシスター・プリエの弟の…キュロットくん)
いつもは真っ先に彼の方から挨拶して来るのだが、彼もまた城から帰ってきて
やや様子がおかしい…そんな風にアルエットには見えた。
「ごきげんよう、キュロットくん」
「あ、アルエットさん…じゃなくて、ごきげんよう、シスター・アルエット」
「何か悩み事でもあるのかしら?浮かない顔をしていたみたいだけど…」
アルエットと視線が合った瞬間、キュロットは顔を真っ赤にして、慌てて
首を横に振った。
「い、いえ、そんなことは…ないです…」
じっとキュロットの目を見つめるアルエット。
キュロットは思わず、うつむいてしまった。
憧れのアルエットの顔を互いの息がかかるくらい間近に見たのは初めてだったから。
「…キュロットくん。私に嘘をついていますね?」
「……!」
「嘘はいけませんよ?キュロットくん」
「う、嘘なんてついてませんっっ」
「隠しても無駄です。ちゃんと顔に書いてあります」
慌てて顔を隠すキュロット。
「…その慌て方、怪しいですね」
「そ、そんなぁ…」
「キュロットくん、決めました。今夜、私の部屋へ来なさい。特別に女神
ポワトゥリーヌ様の教えについての補修授業を行います」
「そ、そ、そ、そ、そんなっ、ダメですよっ、シスター・アルエット!」
「遊びにいらっしゃいと言っているのではないですよ?これは、お説教です」
「で、でも…」
「お願いしているのではありません。来なさい、と言っているのです」
「……はい……」
その夜。
コンコン、とアルエットの部屋のドアをノックする音。
「開いています」
「し、失礼しますっ。シスター・アルエット」
夜だが、二人とも服装は昼と同じである。だって、補修授業だから。
「さあ、そこに座って。そんなに緊張しないで、リラックスしていいですよ」
「は、はいっ…」
憧れの人の部屋で二人きり。ドキドキのキュロットくんである。
「あなたも、あなたのお姉さんも最近、どうしたのですか。いつもぼんやりと
して…何か、悩み事でもあるのでしょう?」
「そ、それは…」
「光の聖女の名のもとに、悪魔祓い見習いのキュロットに命じます。正直に
告白なさい」
「…実は…ボク、病気なのかも知れないんです…」
「…病気?」
キュロットが何やら足の間あたりを押さえてもじもじしている。
「実は、この前からその……が、急に腫れて…変な気分になることが…」
「どこが腫れるのかしら?聞こえませんでしたよ?」
「…お、おチンチンが…」
顔からオメガフレアでも吹き出そうな恥ずかしさをこらえ、小さな声で
キュロットが答えた。
しかし、アルエットは天使のような笑顔で悪魔のような言葉を吐いた。
「聞こえませんでしたよ?どこが腫れるのですか?」
「ぼ、ボクのおチンチンが!腫れているんです…」
「そう…。今も腫れているのかしら?」
「!」
キュロットは、まるで心臓でも殴打されたかのようなショックを受けた。
言葉にするだけでも恥ずかしいのに、このうえ、自分の恥ずかしい部分を
見せろ、と言っているのだ。憧れのシスター・アルエットが。
「答えなさい。どうなんですか?」
「…腫れています…シスター・アルエット…ボクは病気なのでしょうか…」
「キュロットくん。下にはいているものを脱いで見せてごらんなさい」
「だ、ダメですよっ、シスター・アルエット!そんなっ…」
「病気かどうか、診てみます。さあ、立ってお脱ぎなさい」
「…は、はい…」
「あ、あのシスター・アルエット…」
「これは随分と腫れていますね…顔も随分と赤い…苦しそうですね」
「はい…やっぱり、ボクは…病気なんでしょうか…」
今まで、キュロットの膨張した股間のものをしげしげと見つめていた
アルエットだが、その視線を上げ、キュロットの目を真剣に見つめる。
少し間を置いて、アルエットは微笑みながら答えた。
「いいえ、これは病気ではありません。キュロットくんが男の子として
成長しているという証拠ですよ」
「えっ?」
「あなたは、男の子です。あなたも大人になったら、結婚して、あなたの
伴侶となる女性との間に子供を作ることになります」
「は、はい…」
「子を作り、育むことは自然のこと。しかし…」
アルエットがキュロットから視線を逸らし、うつむく。
「世の中には、神聖な子供を作るという儀式を邪な目的で行うものがいます」
「それは、どういうことでしょうか?」
「そうですね。それは、これから教えてあげましょう。あなたも一人の男性と
して学んでおいた方がいいですからね」
そう言って、アルエットはぎゅっと先ほどから出しっぱなしのキュロットの
ものを握った。
「っっっ!!」
いきなりのことに驚くキュロット。そして、びくんとするアレ。
そんなキュロットを見て、優しそうな笑みを浮かべたアルエットは握った
その手の力を少し緩めた。
「フフ、驚かせてしまったかしら?」
「び、びっくりしましたよ、シスター・アルエット」
「…でも…気持ち良かったのでしょう?」
真っ赤だったキュロットの顔が更に赤くなる。
「…は、はい…」
「このように、快楽を伴うあまり、子供を作るという目的を忘れ、悦楽のみに
溺れてしまう人もいます。それは、ポワトゥリーヌ様の禁じていること…」
「はい…」
「キュロットくんは、そんな人になってはいけませんよ?」
「はいっ」
「では、続けましょうか…。そこで、じっとしていてくださいね」
そう言うと、アルエットはキュロットの見ている前で着衣を緩め出した。
「あ、し、し、シスター・アルエット!」
「黙って見ていなさい」
そして、アルエットはキュロットの目の前で一糸纏わぬ姿となった。
「…きれいです…シスター・アルエット…」
「ありがとう。そうやって、女性を褒めてあげる事も大切ですよ」
着やせするタイプなのだろうか、普段は決して目立たないアルエットの
しかし、目の前にすると実に豊かに見える胸がキュロットに迫る。
そして、躰を密着させながら、キュロットのおでこに、耳たぶに、首筋に、
肩に、そして、胸にとそっと口づけるアルエット。
「あ、シスター・アルエット…すごく…むずむずしますっ…っぅっ…」
「あまり大きい声を立ててはいけませんよ?フフフ…」
そして、キュロットの首筋に舌を這わせるアルエット。
「シスター・アルエット…すごく気持ちいいですっ…気持ちいいですっ」
そして、直立してなすがままにされていたキュロットをベッドに押し倒す。
「シスター・アルエット…」
「さあ、私がしたみたいにしてごらんなさい。気持ち良くしてもらうだけ
ではなく、相手のことを慈しみ、気持ち良くしてあげるのです」
「は、はい…。失礼します…」
おそるおそるアルエットに口づけを始めるキュロット。
キュロットがアルエットのしたことをぎこちなく再現している間に、
アルエットの指はキュロットの股で腫れに腫れまくっているものへと
伸びていた。
そして、ゆっくりと優しくしごきだす。
「あうっっ」
思わず、キュロットの動きが止まる。
「…誰がやめていいと言いましたか?」
「ご、ごめんなさい、シスター・アルエット…」
赤ん坊のように夢中でアルエットの胸に吸いつくキュロット。
「そう…素敵ですよ、キュロットくん…」
ものから手を離し、キュロットの頭を両手で抱きかかえるアルエット。
「アルエットさんの…おっぱいの先がとがってきました…」
「それは、私が気持ち良いと感じている証拠ですよ。ほら…」
身体を少し離し、アルエットは自らの股間をキュロットに見せた。
「女性は、気持ち良くしてもらうと、ここが濡れてくるのです」
「…シスター・アルエット…ここ、腫れてます…」
そう言ってキュロットはアルエットの陰核をそっと舐めた。
「…ふぁぅっ…」
アルエットの身体がびくんっとはねた。
「し、シスター・アルエット?」
「…続けて、キュロットくん。続けなさい…」
「は、はい…」
最初は、自分の陰核を懸命に舐め続けるキュロットの頭を撫でていた
アルエットだったが。
「キュロットくん、横になりなさい」
「は、はい…」
そして、アルエットはキュロットの陰茎の先に口づけした後、そっと
先の方から舌を這わせていった。
「さあ、キュロットくんも続けて…」
横になり、俗にいう陰陽大極図…まあ、シックスナインの姿勢で互いの
性器に愛撫を続ける二人。
「う…はあっ…ぅあぁっ…」
「んっ…」
やがて、アルエットがキュロットのものを口に含み、唇と舌で刺激を
始めると…
びゅくっびゅくっ…
「んんっっ…」
我慢しきれなくなったキュロットがアルエットの口内で射精した。
「あ…う…シスター・アルエット…」
絶頂に達したキュロットに、アルエットの笑顔が迫る。
「ん…」
アルエットの柔らかい唇が、キュロットの唇に触れた。
同時に、キュロットの口内に温かくどろりとした液体が流れ込んでくる。
「んんっ?!…んーっんーーーっ」
戸惑うキュロットを見て女神のような笑みを浮かべるアルエット。
「ゴホッ、ゲホッ」
アルエットが唇を離した瞬間、キュロットは自らの精液を吐き出した。
「まあ、いけない子ですね…でも、ちょうどいいから、ご覧なさい。この白いものが
命の源の一つです。これを女性のここに…」
自らの愛液とキュロットの唾液がしたたりそうな程潤った陰唇を見せる。
「ここに注ぐことで、生命を生み出すための儀式が完了するのです」
「…はい…」
「シスター・アルエット…実際に、女の人のそこに…挿れるとどんな感じが
するのでしょうか…」
「キュロットくん。私とあなたは結婚していないから、この続きをすると
いうことは女神ポワトゥリーヌ様の教えに背くことになります。今日
学んだことは、あなたが快楽に溺れ、道を踏み外さないための教えです。
それを忘れないように…」
「はい…」
「女性のここには、純潔の証があります。婚姻前にその証を捨てることは
罪です。わかりましたね?」
「…わかりました…」
そんなキュロットを見てアルエットは胸に高鳴りを覚えていた。
(シスター・プリエもあんな顔をするのかしら…)
「では、今夜の勉強はここまでです。落ち着いたら、自分のお部屋に
帰りなさい。あと、服を着る前に、そこのタオルで身体をきちんと
拭くのですよ?」
「あ、あのっ…シスター・アルエット…」
「何ですか?」
「も、もし、今日教えていただいたことを忘れてしまいそうになったら、
ボクはどうしたらいいでしょうか?」
そんなキュロットの頭をそっと撫でてアルエットは言った。
「そんな時はまた私の部屋にいらっしゃい」
「は、はいっ!」
「ただし、淫らな行為に心を奪われすぎてはいけませんよ?ポワトゥリーヌ様
は、常に私たちのことを見ていらっしゃいます」