マローネとカスティル、二人は大の仲良しです。
今日も楽しくお喋りですが、マローネの話題がアッシュのことばかりでちょっとだけ嫉妬してしまうカスティルです。
が、そんな瑣末なことよりも現状で一番の問題は。
「ねぇ、マローネ」
「で、そこでアッシュが私のパンツを――って、どうしたのカスティル?」
「なんでトロッコを持ち上げてるの?」
「き、気にしないで♪ で、でね、あ、アッシュが、わ、私のパンツを――」
とはいえ、カスティルも露骨なまでに大量の油汗を流されると嫌でも気になってしまいます。
心配そうなカスティルの視線に耐えかねたのか、マローネは理由をぽつぽつと語り始めました。
「こ、こうやってたらSPDあがるかなーって…」
「SPD?」
どうやらお仕事の専門用語のようです。
カスティルにはSPDがなんなのかはわかりませんでした。
「SPD上がったら、ち、ちょっとは成長も早くなるかなぁって思って、いつも持ってるの…」
だけど、トロッコを持つ理由だけはよくわかりました。
「もうちょっと胸とか大きくなったら、アッシュも私のこと…」
それは乙女心。
炸裂するほど切ない乙女心が成せる技だったのです。
キューン。
ズキューン。
ブルバキューン。
ムッシュムラムラハゲドビーン。
「カ、カスティル!? 今なんか凄い音がしたよ!?」
「き、気にしないでマローネ、ちょっと胸が高鳴っただけだから」
「ちょっと!? 今のがちょっと!?」
「でも間違ってるわ、マローネ」
と、カスティルはおもむろにベッドの端に座っていたマローネをベッドの上へと引き込みました。
下半身が使えないぶん発達した上半身。
過剰なアドレナリン分泌による身体能力の向上。
二つの要素が引き込みには歴戦のマローネといえどもひとたまりもありません。
「え? え?」
うろたえるマローネの姿もカスティルの心を昂ぶらせます。
「あのねマローネ… 胸とかを大きくしたかったら… えっちなことをすればいいのよ!」
「えー!?」
と、どたばたしているうちにカスティルの枕の下から零れ落ちる一冊の本。
モカにいろんな人の大切なものを戻してもらったときに見つけた一冊の本。
いけないとは思いながらも表紙の女の子がマローネに似ていたことから読んでしまった一冊の本。
それには年端もいかないような外見の子(ただし18歳以上)があんな事やそんな事をされる内容が記されていたのでした。
素直で純粋なカスティルが影響されてしまうのは無理も無いことです。 間違いありません。 定説です。
「お、おかしいよ、こんなのおかしいよカスティルぅ!」
マローネの叫びもカスティルの脱衣の手を止めることはありません。
一張羅が剥かれ、可愛い桃色の乳首が顔を見せます。
「マローネ、ブラジャー、まだなの?」
カスティルの問いにマローネは顔を真っ赤にしながらも、こくりと頷きます。
「か、可愛い…」
うっとりとした表情でそう呟くと、カスティルは桃色の乳首を優しく擦ります。
「あッ!? あ、う、あ、や、やだっ」
あくまでも優しいその指使いにもかかわらず、マローネの背筋は反り返り、身体は指の動きに合わせて痙攣します。
親友にいやらしいことをされているという禁忌感がマローネを追い詰めます。
「ふふ、もうこんなに硬くなってきた… マローネってえっちだね…」
「ち、ちがっ、ひゃうッ!?」
否定の言葉は、勃起した乳首への生ぬるい舌の感触で遮られます。
「そ、そんな、きたないよかすてぃるぅ!」
親友に身体を舐められているという衝撃的な事実を目前に、ほとんど泣き声で叫びます。
そんなマローネに笑顔でカスティルは答えました。
「大丈夫」
「え、え?」
「マローネの身体に汚いところなんてないよ…」
「あ…」
否定ばかりされてきた少女にとって、己の全てを肯定するその一言は抵抗を奪い去るに十分なものでした。
全身から力が抜けます。
「い、いいのかな…」
「…いいの、胸を大きくするっていう大義名分があるんだから、神様もきっと許してくれるわ」
しかし、マローネは首を振ります。
「そ、そうじゃなくって、その…カスティルは、私なんかでいいのかなって…」
「…マローネ」
優しく微笑むと。
カスティルは返答のかわりにそっと唇を重ねました。
求めたのはどちらかはわかりません。
でも二人は舌を絡めました。
舌が絡みます。舌が擦れます。 舌を扱かれます。
ねっとりとした唾液が糸を引くころには二人の下着はいやらしい染みでぐっしょりになっていました。
「えっち…だね、カスティル」
「うん、えっちだね、マローネ」
見つめあいます。赤く上気した顔が、荒い息が、二人を鏡合わせのような錯覚に陥らせます。
微笑しあうと二人は下着を脱がせあいます。
「ねぇマローネ… 『貝合わせ』って知ってる?」
「ううん…」
「私も本で読んだだけなんだけどね…」
と、カスティルは自分の秘所をマローネのそれに近づけます。
「か、貝ってコレのこと…?」
隠語にただでさえ赤い顔をさらに赤くします。
「ひくひくしてるね、マローネの貝…」
「あ、え、や、やだ…! カスティルのえっち…!」
羞恥に染まる顔とはうらはらに秘所は誘うような動きを強めます。
「マローネのほうがえっちだよ…」
そういうと、カスティルは『貝』と『貝』とを『合わせ』ます。
ねっとり、ぬるりとした感触。
「か…カスティル…」
「…どうしたの?」
「…な、なんだか怖いよ…」
恐らくは感触に嫌悪感があるのでしょう。
小さい肩を振るわせるマローネに、カスティルは愛しさを抑えることが出来ません。
「すぐ、気持ちよくしてあげるから…」
そういって、カスティルはおもむろに腰を振りはじめました。
「あっ!? ああっ! カスティルぅッ!」
「どう、擦れてるでしょ、気持ちいいところ擦れてるでしょうッ!」
「うは、ひゃあんっ! いい、いい、気持ちいいよう!」
腰を振り、自分の感じるところを相手の感じるところへと擦り合わせます。
いつしかマローネの方からも腰を押し付け、振り出していました。
「ああっ! カスティル! カスティルカスティルカスティル!!」
「いい、マローネを感じる、気持ち良いようマローネぇ!」
更に腰を振り、お互いを求め合います。
「イっちゃう! イっちゃうようカスティルぅ! 怖い、怖いよう!!」
未知の感覚に怯えるマローネの小さな手を、カスティルは握り、言いました。
「一緒に…イこうね」
その言葉にマローネの顔は泣き顔に崩れたかと思うと。
折れそうほどに背筋を反らし。
その勢いで大きく擦られたクリトリスは二人を絶頂へと導きました。
「「あああッ…!」」
二人の意識は蕩け合い、真っ白になって消えていくようでした。
おばけ島。
きょろきょろと何かを探すアッシュの姿があります。
そこにマローネが帰ってきました。
「ねぇマローネ、僕の本知らない?」
「あ、あああアッシュ!? し、知らないよ」
「? なんで焦ってるんだい? さては本持っていっちゃったのマローネかい?」
「い、いや、本は知らないけど …ね、ねぇアッシュ?」
「なんだい?」
俯いて、顔を真っ赤にしながらマローネは問います。
「わ、私、ちょっと大人になったとか思ったりしない?」
「しない」
「え」
即答でした。
凍りつくマローネでしたが、アッシュは優しく続けます。
「マローネ、君は君、無理して背伸びする必要はないんだよ…」
「アッシュ…」
暖かなアッシュの言葉に、空回りした労力もなんのその、暖かな気持ちになれたマローネでした。
一方そのころ、カスティル宅。
例の本で、来るべきマローネとの再戦に向け復習を行っていたカスティルですが。
本の背に見知った人間の名をみつけてしまい、驚愕に襲われることになります。
エロ本に名前を書くのかあの男は、と。
爽やかにその男は告げました。
「だって、僕はロリコンだしね」
「え」
「スジ最高」
「え」