「……つまらんっ!!」
ある日、魔王ラハールは叫び声をあげた。
「殿下ー、いきなり駄々こねないでくださいよ」
「誰も駄々をこねてなどおらんっ!!」
ドンッ! と自らの前にある机を叩いてまたも声を張り上げる。
「何をそんなにカリカリしてるんですかー」
饅頭を片手にお茶をすすりつつ、エトナはあまり興味なさそうに聞いた。
「これがカリカリせずにいられるかっ! 何なんだこの膨大な紙の量は……」
机にうず高く積まれた紙、紙、紙。
それを指さしてラハールは忌々しげに言い放った。
「だから言ったじゃないですかー。魔王引継ぎとかのもろもろの書類はさっさと片付けたほうがいいですよー、って」
「ぐぐぅ……」
確かに、言われた。
とりあえず魔王になった時、書類云々のことはエトナに忠告されていたのだ。
しかし―
「し、仕方なかろう? 色々と忙しかったのだっ!!」
天界との和解、人間界への進出、別魔界の魔王との対決、父を苦戦させた悪魔の封印……その他いろいろ。
「確かにそうですけどねー。でもこのままじゃみんなに魔王として認めてもらえませんよー?」
「何っ!? あのバールとかいうへぼ悪魔もしばき倒した『超魔王』である俺様がかっ!?」
「今の殿下じゃ、あくまで『自称超魔王』ですよ。しかもこの前、緑の髪の女の子に負けたじゃないですか」
イヴォワールでのことである。
「あっ……あれはただ単に油断しただけであってだな……」
「はいはい。解りましたから早く書類を片付けてくださいねー」
「うぅ……がーっっっっっくぁwせdfrgtyふじこlp;!!」
「ふーん、132時間か……まぁ我慢した方かな?」
「やってられるかーっ!! エトナ!! 後はお前に任せたぞ!!」
「ちょっと殿下、どこ行く気なんですかー」
「練武の洞窟だっ!! このままでは体がなまってしまうわっ!!」
「はぁ、それならアタシに任せてください」
「む? 何かいい案でもあるのか?」
「はいはい、それはもう……おいで、アンタ達」
「「「「「はーい」」」」」
「……なんだ貴様ら? 妙な服装だな」
「この娘達はですねー、殿下のためにつくったアタシ直属の特殊部隊なんです」 *グッドエンディングイラストV参照
「ふむ、お前にしては珍しいことを……それでその部下とやらがどう役に立つというのだ?」
「それはですねー…………さっ、やっておしまい♪」
「「「「「はーい♪」」」」」
「む? 俺様をつかんでどうす―うわなにをするやめ
「要は暴れる元気が無くなればいいわけですから、まぁせいぜいがんばってくださいねー」
「ちょっ―こいつら力つよ
「フロンちゃんとプリエにも声かけておきますんでー」
「待てコラ エト
「気が向いたらアタシも参加しますんで、それではごゆっくり〜」
「ぁぁぁぁぁぁ……」
ガチャ―バタン
……ガチャ
「殿下ー、やっぱりあの娘も呼びます?」