あれよという間に押し倒されてしまったマローネ。  
ラハールの目はすでに獣。  
マローネ「や、やめてくださいラハールさんーーー!  
 私達会ってから1週間もたってないのに、まだ、こんなの早すぎます」  
涙ぐむマローネ。  
その必死の抵抗に、少し困った表情を見せたラハール。  
 
ラハール「ならいったいどうゆうものが好みなのだ?」  
マローネ「え…………?」  
 
辺りの樹々達のざわめく音に包まれる二人。  
 
マローネ「で、ですから…その…。  
 お手をつないだり…一緒に町に買い物に行ったり…公園をお散歩したり………」  
マローネは顔を真っ赤にしながらも精一杯頭を働かせ思いつく限りを口に出した。  
ラハール「なるほど…。  
 つまりお弁当もってピクニックに行って『ランラン♪』とかしたいわけだ」  
マローネ「そうです!ピクニックで『ランラン♪』とかしたいんです!」  
ようやく和んだかのように見えた二人だったが、  
ラハールがコメカミに血管が浮かぶ。  
ラハール「くだらんっ!実にくだらんっ!!  
 なんでこの魔王ラハールさまが  
 オマエなんかとピクニックにいって『ランラン♪』などしなきゃならんのだ!  
 それよりもっと面白いことを教えてやるっ!」  
同時にマローネの乱暴に胸をわしずかみ。  
むにゅ。  
マローネ「いやあぁ!」  
 
マローネ!処女喪失の大危機ッ!!!  
 
ラハール「フハハハハ!新しい力がわきあがってくる!いい感触だ!」  
マローネ「ふぐっ!ふぐっ」  
 
ジタバタしても腕力ではとてもじゃないがラハールにはかなわない。  
 
マローネ「やめてぇ!ラハールのバカッ!最低!鬼畜!鬼!悪魔!!」  
マローネは思いつく限りの言葉の抵抗を続けたのだが…  
ラハール「フフフ…そう褒めるな。照れるではないか」  
少しは悪魔の心の琴線にも響いたかと思ったのだが、ラハールは逆に誇らしげだ。  
 
もう何を言っても通じないと思ったマローネは、あきらめて身も心も抵抗するのをやめた。  
 
「ほぅ…急に静かになったな。なかなかよい心がけだ…  
 それともあれか?心では否定しつつも体は………というヤツか…クックック」  
(ううっ…お父さん…お母さん…アッシュ…助けて…………)  
これから起こることを想像し、ラハールに見られないよう顔を横に向けて大粒の涙を流す。  
その間にも悪魔の手は、服の上から少し乱暴な感じでマローネの胸の上を弄んでいる。  
 
マローネ「うっ…あんっ…ハァハァ」  
 
マローネの体が熱く火照りだし、呼吸は荒ぶり始めた。  
 
その時である。  
マローネの体を思うがままに支配していた悪魔が動きを止めたのは…。  
 
マローネの頭に疑問符が浮かんだ。  
 
ラハール「ところでキサマ…!当然、生理は既にきておるのだろうな?」  
マローネ「えっ…」  
 
悪魔の一言で再び二人は樹々達のざわめく音に包まれた。  
マローネ「………」  
マローネは成長が遅く初潮はまだきていない。  
ひょっとして妊娠できないと知れば、流石にこの悪魔もあきらめてくれるかもしれない…。  
 
マローネ「ごめんなさい…私……実は………」  
この年になって初潮もまだなんて普通は恥ずかしくて言えないものだが、状況が状況だ…。  
マローネは正直に話すことにした。  
ラハール「………!!!」  
マローネ「………」  
ラハール「そうか…」  
マローネ「ごめんなさい」  
ラハール「………」  
 
残念そうなラハール。  
その表情は影がさし、計りきれない。  
辺りを静寂が支配する。  
 
ラハール「………………………つまり中出し、し放題ということだな!!」  
マローネ「へ?」  
ラハール「クックック…やりたい放題の世界とは聞いていたが、まさかこれほどまでとは…………!!  
 よしわかった!、この魔王ラハールさまの溶岩のように熱くはじけるもので  
 オマエのお腹を一杯にしてやるぞ!!  
 ハァ〜〜〜ハッハッハッハッ」  
マローネ「ひゃああ!  
 いやあ!そんなのいやぁあーーー!!!」  
 
ラハールは先ほどよりも乱暴にマローネの胸を揉みしだいていく。  
 
マローネ「んっ…んあっ…くっ…ああーーー!」  
このままの調子で続けられると、マローネの理性もそろそろ限界だ。  
 
その時である  
今までざわついていた木々は、一瞬で静かになると、  
遥か空のかなたにエメラルドの色の光の帯が現れた。  
伸び上がり、しなり、滝のように落ちてくる。  
変幻自在の必殺剣。  
大次元断!!!  
 
「かにみそーーーーー!!」  
 
どがーーーーーーーん  
 
光はオバケ島を横断するように落ちて、マローネとラハールはその衝撃で吹き飛んだ。  
 
どしゃ!  
 
砂浜に落ちたマローネ  
その上にラハールが落ちてきた。  
マローネ「むぎゅう!」  
マローネはラハールのクッションになってつぶれてしまった。  
 
フロン「な、何やってるんですかラハールさん!!!」  
魔剣良綱をもったフロンが恐ろしい形相で飛んできた。  
 
ラハール「フ、フロン!!!!」  
フロン「私がいない間に、またこんな小娘に手をだしてぇ!  
 キー!くやしぃ」  
 
あまりの悔しさにハンカチを噛むフロン。  
 
へなへなと腰を抜かしているマローネ。  
マローネ「…わ…わたしの家がぁ……………うわぁぁぁん!」  
マローネの家は先ほどの大次元断のせいでで消滅…。  
マローネは涙を噴水のように放出中。  
真っ二つになったオバケ島のえぐられた場所に海水が流れ始めた。  
 
ラハールとフロンは、そんなマローネに見向きもせず口論中。  
突然、身支度を開始するフロン。  
 
ラハール「オ、オイ!フロン!どこに行く気だ?」  
フロン「天界に帰らせていただきます!  
 ラハールさんはあの人間とせいぜいイチャイチャしてればいいでしょ!ふんっ」  
ラハール「ま、まて!待ってくれ…!!」  
フロン「本当にそう思うなら神様に向かって懺悔してください」  
ラハール「なっ!!!オ、オレ様は悪魔だぞ!そんなことが出来るか!!!」  
フロン「………サヨナラ(冷え切った目で)」  
ラハール「ま、待ってくれ!フロォォン!」  
 
マローネ「うっ…ううっ…そんなぁ…ラハールさん…  
 …私のこと…置いていっちゃうんですね…?」  
ラハール「うっ!!」  
フロンを追おうとするラハールの後ろから、すがるようなマローネの泣き声。  
捨てられた子猫のような眼差しで、じっとラハールを見つめている。  
家を失い、錯乱気味のマローネはラハールでもいいから慰めてもらいたかったのだ。  
フロン「フン!」  
煮え繰らない態度のラハールに愛想とつかしたフロンは構わずその場を去り始めた。  
 
二人の中間に挟まれ、おろおろするラハール。  
二兎追うものは一兎も得ず。  
フロンとマローネ………究極の選択。  
いつも力づくで物事を解決してきたラハールにとって、  
ここまで頭を悩ましたことは生まれて初めてだった。  
 
マローネ(ラハールさん…)  
フロン(ラハールさん…)  
 
ラハールの決断に息を呑む二人。  
 
ラハール「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」  
 
ラハールは突然叫びはじめると  
そのまま、ものすごい勢いで海上をつっ走ってどこかに行ってしまった。  
どうやらラハールの頭では決断不可能で、その場から逃げ出してしまったようだ…。  
 
マローネ(そんなぁ…ラハールさぁん…)  
フロン(ひどいです……ラハールさん…)  
 
後に残された二人は、地平線の彼方に消えたラハールを  
ただ呆然と見続けるしかなかった…。  
そんな二人をヤシの木の上から見守るエトナ。  
 
エトナ「あらら。まだまだ修羅場は続きそうね♪」  
アッシュ「ふぐっふぐっ」  
 
続く。  
 

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