ナレーション「ここは石産み島。  
 苦労して依頼を達成し、シマオサの元に帰ってきたマローネ。  
 しかし…報酬額は通常の三分の一ほどしかありません。  
 ちゃんと報酬をもらうようにアッシュはマローネに促すのですが…」  
マローネ「またのご利用をお待ちしています」  
シマオサ(クックック!だれが悪霊憑きなんぞに大切な金をわたすもんかい)  
ナレーション「シマオサは笑いを殺して去っていきました…」  
 
アッシュ「よくやったね。マローネ」  
マローネ「アッシュ……」  
バキッ!  
マローネ「ブッ!!」  
ドサッ  
マローネ「う………」  
ドボッ  
マローネ「むぎゅうっ!」  
ナレーション「それは突然の出来事でした。  
 あの優しかったアッシュが、マローネの顔に遠心力パンチ。  
 さらに倒れたマローネのお腹に対して容赦ない蹴りをいれたのです。  
 マローネはしばらくの間、お腹を押さえて悶え苦しみました。  
 殴られた頬は赤く腫れ上がっています。  
 やっと痛みがおさまると………」  
アッシュ「だけどねマローネ。  
 僕は君になんて言った?  
 報酬をうけとれって言ったろぉ。  
 逃がせなんていってないよ。  
 僕の言うことをきけないんならまた独りぼっちにするよ。  
 いいのかい?それで」  
ナレーション「本心でした」  
 
ナレーション「幼くして両親を失い  
 人々に悪霊憑きと、さげずまされるマローネにとって、  
 この上、さらにアッシュまでいなくなってしまうなんて…。  
 ………それは死よりも恐ろしいことでした」  
マローネ「いやぁ…!ごめんなさい…アッシュぅ…(丸文字)  
 今度はちゃんと言うこときくよぉ………」  
ギュ!  
マローネ「だからお願い…もう一人にしないでぇ…  
 私アッシュのいない世界なんて考えられないよぉ………」  
ナレーション「マローネは必死になってアッシュのズボンへとしがみつきます。  
 するとアッシュは優しく、マローネの頭を撫でました」  
アッシュ「置いていくわけがないじゃないかマローネ。  
 ぶったりして悪かったね。マローネ大丈夫かい?」  
マローネ「うん!全然平気だよ!!」  
アッシュ「よし。じゃあオバケ島に帰ろうか」  
マローネ「うん!」  
ナレーション「マローネは涙で前がよく見えません。  
 大好きなアッシュと仲直りできてよかったねマローネ」  
 
アッシュ(ヘイズ…ジャスミン…  
 君たちの娘は本当にいい子に育ってるよ………ククク)  
 
ナレーション「こうしてついにアッシュのDark値は50になりました」  
 
 
ナレーション「ここは雲島。表向きは高級なサロンです。  
 しかし、その実態は身分の高い人が用兵や請負人を雇う場所でした。  
 依頼主である風運ヶ島のシマオサにすっかり気に入られたことが嬉しくて  
 いつも以上にはりきって仕事をこなして帰ってきたマローネでしたが…」  
 
マローネ「シマオサさん!仕事は無事終わりました」  
フクロウ「そーかい。そーかい。大変だったろうね( ゚д゚)、ペッ」  
マローネ「ええ!でも、いつものことですから」  
シマオサ「そーかい。そーかい。いつものことかね( ゚д゚)、ペッ」  
 なるほど。そうやってオマエはいつも人を騙してるわけだ( ゚д゚)、ペッ  
 まったく、子供のくせにとんでもない悪党だね( ゚д゚)、ペッ」  
マローネ「えっ?」  
シマオサ「オマエ悪霊憑きなんだって( ゚д゚)、ペッ  
 島に現れた悪霊もオマエの仲間なんだって( ゚д゚)、ペッ」  
マローネ「そ…そんな」  
シマオサ「二度とそのツラ見せんじゃないよ!( ゚д゚)、ペッ  
 親の顔が見てみたいもんだね( ゚д゚)、ペッ  
 まっ、どうせロクなもんじゃないだろうけどね( ゚д゚)、ペッ」  
ナレーション「シマオサの心無い言葉に目を潤ませるマローネ…。  
 それでも、あふれそうな涙を必死に抑えました。  
 そんなマローネの気持ちを察してか、  
 アッシュは側に落ちていたLv9999の柱を拾ってきました」  
 
マローネ「あっ!アッシュ……!」  
シマオサ「ひぃ…でた悪霊!!」  
アッシュ「オイ!僕のマローネに何てこと言うんだよ。  
 ええっ!コラぁっ!」  
ゴッ!  
シマオサ「ブゲッ!」  
アッシュ「なんとか言わねェか!」  
ガコガコガコガコガコ!ベシッ!ドガーン(キラースピン)  
グルグルグルグル!バキ!ドゴーン(真・竜巻破裏剣)  
ゴンッ!シュパーン!ドゴーン(昇天激)  
マローネ「………………」  
ナレーション「やりたいほうだい…でした。  
 しかしアッシュはまだまだその手を緩めません  
 マローネの顔からも、どんどん血の気が引いていきます」  
バキバキバキバキバキ!ズドーン(胡蝶乱)  
ズバズバズバズバドカンッ!(無限断)  
ナレーション「ついにマローネがアッシュを止めに入りました」  
 
マローネ「アッシュ!もうやめてェ死んじゃうよぉ  
 もういいわ!帰りましょアッシュ」  
アッシュ「あっ!?  
 オマエのためにやってんだぞ。ナニ止めてんだよ!」  
ナレーション「アッシュは、そう答えるのが精一杯でした。  
 マローネのため、良かれ思ってやっていることなのに………。  
 何も知らない無邪気なマローネに対し、心を痛めるのでした」  
アッシュ「なめてんのか!?このチビ!!」  
ガッ!  
ナレーション「ついにアッシュの怒りの矛先は  
 マローネ…本人へと…向かってしまいました。  
 アッシュは倒れたマローネの頭を踏みつけながら言いました」  
アッシュ「そんなんだから悪霊憑きだってバカにされるんだよ!  
 オマエ、僕にも捨てられたいのか」  
ナレーション「本心…でした」  
マローネ「ごめんなさい  
 ………アッシュぅ…捨てないでぇ…」  
アッシュ「分かってんのかよぉーーーーっ!!!」  
ガシッ  
ドカッ  
バキッ  
ベキッ  
 
…  
………  
その日マローネは物置に吊るされながら泣きました  
ずっと強く生きてきたマローネでしたが  
今日ばかりはあふれる涙をこらえることができませんでした。  
 
マローネ「大丈夫よ…きっと…いつか…」  
ナレーション「今のマローネを支えるのは  
 死んだ両親がいい残した言葉だけでした………」  
 
 
ナレーション「ここはオバケ島  
 マローネは一人海岸でメソメソ泣いていました。  
 このあいだの依頼でいやしの湖島へ行ったときのことです。  
 せっかく友達になれたカスティル。  
 そのカスティルのためにいつもの100倍頑張ったのに…  
 …その結果があんなことになってしまうなんて………。  
 
 そんな傷心中のマローネに、一通のボトルメールが届きました。  
 それがカスティルからのものだと気づくと、マローネは急いでビンを開けました」  
 
カスティル『このあいだは突然マローネ帰ったときいて驚きました。  
 せっかく友達になれたと思ったのに、すぐにいなくなるなんて、とても悲しかったです。  
 でも後でお父さんから本当のことを聞きました。  
 ごめんねマローネ。お父さんの…いいえわたしのせいで、あなたを悲しい気持ちにさせてしまいました。  
 お父さんは悪くありません。全てわたしのためなのです。悪いのは全てわたしです……  
 このボトルの中にわたしが大切にしている首飾りが入っています。  
 もしも許してくれるなら、その首飾りを永遠の友情のしるしとして受け取ってください。  
 これからも、あなたの友達でいられることを心から願っています……』  
 
あのころは〜♪まぶしすぎた微笑み〜♪強い〜憧れ〜♪(略)〜♪  
 
マローネ「カスティルは…カスティルはまだ友達でいてくれるの?  
 こんなわたしで…こんなわたしでもいいの?」  
 
ナレーション「マローネは胸からこみあげてくるものが熱いものを押さえきれませんでした」  
 
カスティル『追伸。つい先日、私の部屋に火炎瓶がなげつけられました。  
 幸いにして小さなボヤだけですんだのですが、  
 こんな恐ろしいことをする人が、近くにいると思うと怖くて夜も怖くて眠れません。  
 ゴメンね。マローネ。こんなこと書いても困っちゃうよね。  
 でも誰かに聞いてほしかったの…』  
マローネ「!!!」  
アッシュ「フーン。ザマぁないな。そう思うだろマローネも」  
 
ナレーション「マローネは背中に寒気に似たものを感じました」  
 
マローネ「ア…アッシュ?」  
 
ナレーション「その手には心なしか…火炎瓶が握り締められていました」  
 そこからマローネはどんな想像をしているのか、見る見るうちに顔面が蒼白していきます。  
 アッシュはすでに気づいていました」  
 
アッシュ「………空気が。  
 ………乾燥してるからねェ…………。  
 ……僕達も………十分注意しないといけないね…………火の元には…」  
 
ゴゴゴゴゴゴゴゴ(効果音)  
 
マローネ(!!!!!  
 ア…アッシュ…あなたまさか…!?  
 い、いえ…私の考えすぎよね……。そ…そうよ、ただの偶然よ………)  
 
ナレーション「マローネは怯えながらも笑顔で答えました」  
 
マローネ「うん。そうだねアッシュ」  
 
ナレーション「そして、これ以上アッシュを疑うのは  
 いけない子だと思い、マローネは考えるのをやめました」  
 
アッシュ「どうしたのマローネ?  
 カスティルからの手紙がヤケに嬉しそうじゃないか?」  
マローネ「エ…?」  
アッシュ「僕といるのにそんなにカスティルのことがそんなに気になるのかい?  
 さっさと忘れよう。  
 ヤツらが僕たちに何をしたかわかってるだろ?」  
マローネ「…でも、カスティルは初めて私のお友達になってくれたんだよ!」  
 
ナレーション「アッシュは驚きました  
 マローネがアッシュに反抗したのは初めてのことでした。  
 反抗的なマローネに対し  
 アッシュは髪の毛をつかみ、耳元で脅すように言いました」  
 
アッシュ「お友達だぁ?  
 その”友達”から報酬せしめようとしたのは誰だよっ!」  
 
ナレーション「アッシュの言葉がマローネの胸に突き刺さりました。  
 お金目当てにカスティルを助けようとした  
 そんな風におもわれたことに、ひどく悲しい気持ちになりました  
 そして自分がクロームであり、それが仕方ないとわかったとき  
 やるせない気持ちでいっぱいになったのです」  
 
アッシュ「もう、オマエの友達なんてどこにも居無いんだよっ  
 あんなことされて許すバカがどこにいる?んん?」  
 
ナレーション「そういうとアッシュは  
 マローネからカスティルからの手紙を取り上げて、ビリビリに引き裂きました  
 そしてさらにペンダントを海に投げ飛ばすのでした」  
 
ボチャン。  
 
マローネ「あ………」  
 
ナレーション「ペンダントが海の藻屑となる様を、ただ呆然と見守るマローネでした」  
アッシュ「それより、今日は僕からプレゼントだよマローネ」  
マローネ「エ…?ア、アッシュ…これ…」  
アッシュ「よく似合ってるよ。マローネ」  
ナレーション「それは 1の1 マローネと書かれたスクール水着(首輪つき)でした」  
アッシュ「それを着ていれば、きっとみんなもキミのことを好きになってくれるはずさ」  
 
ナレーション「マローネはあまりの喜びに胸がつまったかどうか知りませんが  
 すぐに返事ができませんでした」  
 
マローネ「………。  
 ………あ…ありがとう…アッシュ…(棒読み)」  
 
こうしてマローネとカスティルは友達になれませんでした  
マローネは今日という日を一生忘れないでしょう。  
 
もうクロームなんてやめてしまいたい  
マローネは心の中で叫びました。  
 

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