ラ・ピュセル 〜光の聖女伝説〜 外伝SS 
 
       「姉、ちゃんと悔い改めなさい」 
 
 
 
「ふぃ〜、イイ湯だったわあ。1日の疲れを癒す食後のひとふろ。コレよねぇ〜」 
そんなことを言いながら、バスタオル姿のプリエ姉さんが居間に入ってきた。 
と、同時にボクはいつものように視線をさりげなくそちらから逸らす。 
ほんのり朱に染まった風呂上がりのつやつやした肌。頭にはタオルを巻き濡れた髪を纏めている。 
そして身体にはイマイチ面積が足りずに要所要所をかろうじて隠してるだけのバスタオル一枚。 
生乾きの薄布越しにこれでもか、ってほど自己主張してくるメリハリのあるボディライン。 
毎度のことながら…日常生活においてこんな刺激的なモノを強制的に見せられるこっちは 
たまったものじゃない。 
思春期の青少年にとって、血の繋がりのある姉弟とはいえ妙齢の女性のあられない姿が 
どれだけ刺激的なものであるか、そこんとこ姉さんは全っ然分かっていないのだ。 
朝起きがけに、風呂上がりに、着替えの時に、トイレの時…はさすがに無いとしても 
姉さんはしょっちゅう無防備な姿で家の中を歩き回っている。 
ボクの視線や懊悩にはまるでおかまいなしで。 
そんな開放的でおおらかなところは姉さんの魅力の一つでもあるんだけれども 
それにしたってもう少し弟の目を憚って欲しいものだ。これでも男なんですから。 
姉さんに子供扱いされる事はしょっちゅうだけれど、 
これもやっぱり異性として認識されてないって事なのかも知れない。 
今日だってまたあられもない格好のまま 
「ぷはー、風呂上がりにはフルーツ牛乳よねえ、最高♪」 
とか腰に片手を当ててフルーツ牛乳いっきのみ。御満悦。 
大きな胸とかむちむちのふとももとか(言うと殺されるけど。誉めても)ぴっちり巻いたタオルが 
ちょっとズレただけで大事になりかねない危険な状態のまま 
姉さんはいつも風呂上がり30分はこうしている。 
実際、大変な事になっちゃったことも一度や二度ではないのだが、その時も別段慌ててくれないのは 
嬉しいような悲しいような、ボクとしては非常に複雑な心持ちなのであった。 
 
「さて…ボクもはいろ」 
読んでいた本をパタンと閉じると、ソファから立ち上がった。 
いつまでもこんな煩悶空間に身を置いているのはゴメンである。 
いつかみたいに、また変な気持ちになっちゃったらその後の処理に困るんだから。 
こんな時はさっさとお風呂に入り、身も心もスッキリしてしまうのが一番なのだ。 
ボクは姉さんが入ってきた戸を開け浴室に向かおうとした。 
と、そこで、 
「あーキュロットちょっと待ちなさいよ」 
ぐいっと襟首を掴まれた。後ろから。 
「ゲホッ!な゛、な゛ん゛た゛よ゛う゛プリエ姉さんー」 
むせながら言い返す。頼むから無防備なひとの襟を思いきり引っ張るのはやめて下さい。本気で落ちます。 
大体姉さんはおのれのバカ力っぷりを少しは自覚して欲しいのである…これも言うと殺されるんだけど。 
ともかく浴室に逃げるのを阻止されてしまったボクは改めて姉さんに向き直った。 
「あのさーアンタ今からおフロでしょ?」 
「…うん」 
姉さんが邪魔しなければそのつもりだったんです。するとニヤッと笑うわが姉上。 
「おフロっていいわよねー。特に運動して汗かいた後のおフロって最高よねえ〜」 
うんそれには確かに同意するよ姉さん。 
「でねキュロット、あたしはアンタにもその至福の時間を味わって貰いたいワ・ケ・よ♪」 
自称「光の聖女を目指す乙女」プリエ姉さんの、堕天使カラミティも真っ青の戦慄の微笑み。 
…あ、なんか分かってきちゃった。ヤバい。 
この眼はまさしく、長年コキ使われてきたから…もとい共に育ったからこそわかる 
「姉権限行使モード」の眼である。 
かつてこの視線を向けられてロクな目にあった者は居ない…っていうか殆ど10割ボクなんだけれど、 
とにかく今は悠長にそんなこと解説してる場合じゃなくて――― 
「じゃ、じゃあ…お風呂場まで走っていい汗かいとくねっ!」 
踵を返し浴室へとダッシュしようとするボク。 
電光石火の早業で捕獲されるボク。 
理不尽な鉄拳制裁を受けるボク。 
ああ、結局今日もこうなるのね、と嘆き悲しむ…ボク。 
「あううううううう」 
「ほーっほっほ。このプリエお姉さまから逃げようだなんていい度胸じゃないキュロット」 
突っ伏したボクの上に大きなお尻をどむにゅん、と乗せ(これも口に出すと殺されry 
勝ち誇りながら、姉さんはいつものように命令を下した。 
「おフロ上がりのマッサージをしなさい。キュロット♪」 
 
ボクはいつも姉さんにマッサージを命…頼まれる。肩揉みくらいは日常茶飯事。 
聖女会の仕事で悪霊退治なんてした日には背中や脚まで全身マッサージをさせられる事もしばしばだ。 
姉さん曰くボクの按摩の腕は「ラピュセル辞めて開業しなさい」レベルのものらしいが(ひどいや…) 
なまじそんな才能?を有していた為に 
いつもこうしてしなくてもいい奉仕労働をさせられているというワケである。 
て言うか毎日のようにやらされてれば嫌が応にも巧くなるものなんじゃないだろうか。 
タマゴが先か、ニワトリが先か。どっちにしてもボクこんな才能いらないよ。 
自由と平和と優しい姉が欲しいよ天国のお母さん。 
「んーきもちいー♪さすがキュロットねー」 
一体何がさすがなのか知らないけれど御満悦の様子。 
今ぼくは姉さんの背後に立ち、肩を揉んでいる最中である。 
ぐにぐに、もみもみ、と強弱をつけてリズム良く筋肉をほぐしてゆく。確かに今日は少々張ってるかな。 
そういえば格闘の師匠でもあるサラド神父との修行で結構しごかれたとか云ってたっけ。 
こう見えてプリエ姉さんは聖女会が誇るラ・ピュセル屈指の剛の者。 
愛を持って悪霊を改心させ浄化するよりも、神の名の元に鉄拳であの世までぶっ飛ばす方が 
性に合ってるという肉弾格闘シスターなのだ。 
その強さには今まで何度も助けてもらったし、心から頼もしく思っているけれど 
それも全てはこういった日頃の鍛練の賜物なんだよね。 
確かに結構イイカゲンで面倒臭がりなところもあるけれど 
修行やバトンの練習では手を抜く事は一切無い。 
いつでも全力でまっすぐ取り組むのがぼくの自慢の姉さん。 
だからそれを思えば、無理矢理言いつけられたこのマッサージもまんざら悪い気はしなくなってくる。 
―――いつもおつかれさま、ねえさん。 
そんな、口に出したら照れて真っ赤になった姉さんにまたぶっ叩かれそうな言葉を心の中で呟きながら 
ボクは丹念に疲れた身体を揉みほぐしてゆく。 
 
(え…? う、うわ…ッ!!) 
と、そこでボクの視界にとんでもないものが飛び込んできた。 
座っているプリエ姉さんの背後に回って肩を揉んでいるワケだけれど 
そうすると必然的に姉さんを見下ろすかたちになってしまう。 
で、そうすると、その、見えちゃうのだ。…えーと、バスタオルで隠してる中身が。 
(うわあ…ま、まずいよう姉さん…) 
俯瞰(ふかん)の視点だし姉さんはこの通りの格好だから 
豊かな胸の双房が寄せ合い出来た谷間が深くくっきりと見えている。 
しかもそれだけではなく、乾きかけのバスタオルと素肌との境界線には 
明らかに肌とは異なるピンクの部分がちらちらと覗いているのだ。 
あと数センチ布がずり落ちようものなら、姉さんのそこは完全にあらわになってしまうだろう。 
心臓が早鐘を打つ。これは見てはいけないものなのだ。 
ボクと姉さんは姉弟でしかも女神さまに仕える敬虔な聖女会の一員で。 
だから見ちゃダメだキュロット。こんな…こんな… ね、姉さんのおっぱいなんて… 
そりゃ今まで何回かチラっと見ちゃった事もあるんだけど 
でもこんな風にじっくりと見られる機会は流石に初めてで… 
見てはいけないと分かっているのに、分かっているんだけど、でも、でも、もう目が… 離せない… 
信仰心や道徳 VS 眼前の甘美なる誘惑のせめぎ合い。 
十数年の人生で培ってきたはずの倫理観は、とうとう思春期の好奇心を押さえ込む事は出来なかった。 
我ながら情けない話だけど。 
(ゴメンねプリエ姉さん…もうしませんきっとしません) 
ボクはごくりとつばを飲むと気付かれない程度にそろそろと顔を近付けてゆく。 
もう少し角度を変えればさらにハッキリと禁断の領域を拝めるハズだ。 
姉さんごめんなさい女神ポワトリーヌさまごめんなさい、ボクはいけない事をしようとしていま 
「こらキュロット」 
「うわ、わわわ!!ごごごごめんなさいっ!?」 
事もあろうか実の姉の色香に迷い、顔を近付けてじっくり見てしまおうとか考えていた弟への叱責。 
「な、何よ…そんなに謝らなくてもいいわよ。でも人の話聞きなさいよねえ」 
…ではなかったらしい、どうやら。 
ボクは遠い世界へ逝きかけていた意識を取り戻し、うう、と生返事をした。 
「肩はもういいから、次は脚と背中ね」 
すると姉さんは返答を待つまでもなく席を立ち、絨毯にうつ伏せになると 
ゆっくりと身体に巻きつけていたバスタオルを外した。 
外した。 
外した……って、えええええええ゛え゛え゛え゛え゛え゛! ? 
硬直しているぼくに追い討ちのごとく平然と云ったものだ。 
「上にのっかっていいからあたしが満足するまでじーっくり頼むわよ♪」 
 
…えー、さて、この状況を如何としたものだろうか。 
ボクの前で全裸で横たわる姉さん。背中と脚のマッサージを頼まれたボク。 
プレッシャーが効果音となり実際に聞こえてきそうだ。ド ド ド ド ド ド、って。 
うつ伏せで寝ている姉さんの一糸纏わぬうしろ姿が見える。 
健康的な肌色はまだ湯上がりの朱をほんの少し湛えて。 
頭にタオルを捲いているため露になったうなじと後れ毛も、えも言えぬ色っぽさである。 
そしてなによりも目を惹きつけてやまないのがこの凶悪なまでの柔らかな曲線。 
意外なくらいに華奢な両肩からのラインは 
背中から無駄な肉の無い腰回りを経て、ボリュームたっぷりのおしりへ。 
それをなだらかに下った先にはこれまた重量感溢れるふともものお肉がむちむちと一対。 
見ているだけで下半身の衝動が押さえきれなくなりそうだ。 
なのに、なのに、こんなものを見ながら、姉はのっかってマッサージしろと云う… 
そんな事をしたらどうなる !? ムラムラします。ムラムラするような事を……ゴゴゴゴゴ…… 
「…い、おーい!ちょっとおー、聞いてんのバカキュロットぉー!」 
「…はうっ !? 」 
以前に流行した四コマ漫画調の妄想の世界からボクを連れ戻したのは姉さんの声だった。 
見れば顔だけこっちに向けてなにやら怒鳴っているではないか。 
これはよろしくない。長年の習性で取り敢えず平謝るボク。 
「もう!なんか今日おかしいわよ、ぼーっとしちゃって。風邪でも引いてんの?顔も赤いし」 
「…本気で云っているぽいプリエ姉さんが嫌いです」 
「はあ?なんか言った?」 
「イヤ別に何も」 
こと格闘技に対しては余すところ無く発揮される天性の勘は 
なぜ感情の機微を読み取る事とかには、まるきり応用されないのだろうか。哀しくなってきた。 
そして―――ボクは覚悟を決めて、プリエ姉さんの身体の上に、またがる。 
いつぞやクレソン城のソファに腰掛けた時のような極上のクッションがボクの重みを吸収する。 
重くないかな、と少し心配したが姉さんはどうという風でもない。ならば安心だ。 
「じゃ、まず脚から…」 
「うん」 
了解を得て、脚のマッサージに入る。まずは右足から。 
それにしても…この、裸の女の人の上に乗っかっているというのは思春期の少年にとって 
あり得ないくらいの刺激である。 
ウエストのくびれ辺りにまたがっている為すぐ目の前にはプリエ姉さんのおしりが。 
大きめで形のいいヒップラインは目を逸らそうにも嫌が応に視界の中へと入ってくるワケであり 
ボクはさっきから情けないくらい硬くなっちゃった股間を姉さんの肌に密着させないよう必死なのである。 
(うわ…しかしホントにおっきいなあ…) 
目前の柔肉のかたまりは誘惑のかたまり。 
敢えてそれをなるべく見ないようにして視線はその先のふとももとふくらはぎへ。 
(ええい、煩悩退散煩悩退散ー!) 
ぐに、ぐに、と力を込めて揉みほぐしてゆく。 
肉厚のふともも部分をマッサージするのには結構力がいるのだ。 
ちなみに姉さんの必殺技はこの脚からくり出される強力な蹴りが主である。 
鍛え抜かれた健脚は確かにちょっと…けっこう…かなり太いけれども 
コンプレックス過剰なのはプリエ姉さん本人だけで 
近所のおじさんたちには大人気だったりしている。かく言うボクも、その…す、好きだし。 
日々の鍛練により研ぎすまされた必倒の蹴撃。 
闘いの場で目にする度にボクは純粋に姉さんをきれいだと思う。ふとーい足も含めてだ。 
そして、こうして直に触れてみると分かるのだが、姉さんのおみ足は存外に柔らかい。 
鍛えているからといって如何にも筋骨隆々というのではなくて 
女の子の柔らかさを十二分に備えているのだ。 
シミ一つ無い白磁の肌。お風呂上がりの清潔な、つやつやすべすべの肌。 
それでいてその下には刃物の如く研ぎ澄まされた筋肉が息衝いている。 
女性の柔らかさしなやかさと凶暴なまでの破壊力とのアンビバレンツ。 
…う、何か今、足げにされて喜びを感じる人の気持ちとか少し分かってしまったかも知れない。 
この足でだったら踏まれたりしてもまんざら悪くないかな−、とか考えてしまった自分は 
やっぱり相当に業深な人間のようです… 女神さま… 
ボクは次第に昂ってくる劣情と闘いつつ、たっぷりと水分を吸ってきたしっとりきめ細かな肌肉を 
丹念に、愛でるようにほぐしてゆく。 
むにむにむにむに、ぐにぐにぐにぐに。ふとももからふくらはぎへ。 
膝を曲げてもらい足の裏から指の先までも。右が終われば次は左へ。 
「…ん。は…あ。ん…きもちぃ…」 
時折漏らす短い呟きが何とも艶かしい。例え姉さんにはそんなつもりが無くても 
ボクに邪念があるものだから、それはやたら扇情的な響きに変換されてしまうのだ。 
疲れた筋肉を揉みほぐされるのは気持ちいいのかも知れないけど 
このすべすべ柔らかな質感に触れているのが、それにも増す甘美な至福のひとときであることなんて 
鈍感な姉さんはきっと全然分かってないんだろうなあ。 
そしてまた、こうしてプリエ姉さんの生足を余すところ無く触れるのは自分だけなのだと思うと 
奇妙な征服感と興奮がボクを襲うのであった。 
今このまま姉さんの体中に触れたい―――そんな衝動に駆られそうになる。 
だが本能の命ずるままどうぞとばかりに差し出された禁断の果実にかじりついた日には、 
奥義・妖魔粉砕竜王撃の一撃もしくは二、三撃によりボクは妖魔でもないのに跡形なく粉砕され 
天へ召される事になるであろう。 
っていうか!ボクと姉さんは姉弟!ボクと姉さんは聖職者!えええいっ!煩悩退散煩悩退散煩 
―――はあはあはあはあはあ。 
 
気が付けば倫理とか道徳というものは欲望により、いつのまにか意識の外へと追いやられている。 
これは悪魔の所為なんだ、悪い霊がボクに取り憑いて人の道を踏み外させようとしてるんだうあうあ! 
両の拳で頭をポカポカと叩く。まあ…そんなんで晴れるような邪念ではないんだけれど。 
そして、人が全身全霊で煩悩を振り払おうと努力してるのに 
「サボってんじゃないわよキュロットぉ〜」とか怒られる。ボクは今、たぶん泣いていい。 
弟の煩悩、姉知らず。 
気軽に次の命令を下す御機嫌なプリエ姉さんなのであった。 
「んー、きもちい♪ 脚はもういっか。じゃ次は背中ね」 
背中が見えるよう身体の向きを180度回転。 
ようやっとおしりとふとももの残酷な(?)誘惑から解放されたボク。 
名残惜しくはあるけれども一方でホッとした自分がいる。 
しかし…受難はまだまだ終わらない。 
窮地を脱したボクの身にはひと息付く間もなく新たな刺客が襲いくるのであった。 
(…は、) 
(はみ出してるようう、姉さーーん!!) 
心の中で絶叫してみる。だって仕方がない。 
こんな光景を見せられては実際叫ばなかっただけマシだ。 
意外なくらい華奢な両肩からのラインは背中から無駄な肉の無い腰回りを経て 
ボリュームたっぷりのおしりへ。露になったうなじと後れ毛も、えも言えぬ色っぽさであり…ってもう 
批評と観察は良いんだけれど、問題は少し視線をずらしたところにあった。 
豊かに実り過ぎたふたつのおっぱいが、自重の圧迫を受けて程よく潰れ 
自由と解放を求めるかのように横へとはみ出して来ていたのだ。 
さっきのチラリどころではない露出ぶりである。 
姉さんの大きな胸はうつ伏せに隠されてなお、その豊満さを主張していたのである。 
「じ、じ…じゃあ、いくよ」 
 両手に力を込め背中をぐっ、と圧す。瞬間「ん」と漏れる艶かしい声。 
禁断の果実にはなるべくなるべく目をやらぬように、なだらかな背へと指を這わす。 
首筋から肩甲骨をなぞり背筋から対称に掌を下ろしてゆく。 
そして腰にまで到達したら今度は今来た道を戻っていく。 
それを何度も、時おり強弱のアクセントをつけながら繰り返してゆくのだ。 
「どう…姉さん?こんな感じでいいかな」 
「んん…あん、ん、いぃ… もちょっと強くして… そうソコ当たってる…」 
「こ、これくらい?」 
「あふ…そうそう… ちょっと痛いくらいの方が気持ちぃの… んっ!」 
「ここ…固くなってるね… 姉さん」 
「うん、今日は激しかったんだもん… 念入りにほぐしてねぇ…」 
…って、どどどどういう会話だああああああああああああっっっ!!!! 
他人に聞かれたら誤解され放題な台詞の応酬をしつつボクは姉さんの注文に応えてゆく。 
実際、以心伝心と云うか、望み通りの場所にボクの指が行っているらしく 
暫くすると、後は任せるという事かプリエ姉さんはすっかり大人しくなってしまったのだった。 
(…あれ?) 
(寝ちゃった…のかな?) 
規則正しい呼吸の音だけが聞こえる。強く指圧した時だけ「ん…」という呻きが漏れるくらいで 
静寂が空間を支配していた。今ここに在るのはうたた寝してる姉さんとボクの二人だけ。 
窓で区切られた外の世界は遥か遠い場所のようで、雑踏のざわめきはとても現実味の無いものに思えた。 
(ねえさん…) 
暫し手を止め、改めてその美しい肢体を見遣る。いつも元気なプリエ姉さん。 
今は無防備に、弟であるボクに総てを預けてしまっているねえさん… 
ちらと横顔を拝む。やはりまだ眠っているようだ。 
と、自分が下に敷いている魅惑的な肉体への誘惑が再び劣情に火を灯す。 
(今なら…) 
自分でも分かるくらいはっきりと震えてる指を胸の膨らみへと這わす。 
(バレないよ、ね…) 
人指し指一本で軽く"ふにょん"とつついた後、さしたる反応も返ってこないのを確かめると 
残りの四本を加えそのまま一気に乳房を包み込んだ。 
 
(ふわ…ねえさんのおっぱい… 柔らかい… 凄い柔らかい…) 
おしりやふとももの柔軟さとは一線を画する、ケタ違いの柔らかな感触。 
そしてふにゅふにゅと押せば押しただけ返してくる心地良い弾力。 
ボクは留守になっていた左手も這わせ、両の掌で姉さんのおっぱいを蹂躙する。 
裸のままいつまでも寝かせておいたら湯冷めして風邪を引いちゃう。早く起こしてあげなきゃ――― 
そんなことを熱にうかされた頭のどこかで思いながらもボクの手指は柔らかな乳房を弄り続けた。 
目を醒まさないようそっと、そっと、卑怯に臆病に、手加減しながら。 
本当は衝動のままもっと強く揉みしだいたり、ピンクの先端にまで食指を延ばして 
大胆にこの至福を味わいたいと思ったけれど、それだけは理性を総動員させ何とか押さえた。 
心臓がバクバク言ってて股間の滾りも痛いくらいなんだけれど 
さすがに今ここでソレをどうこうはできないし。(このあとお風呂場で処理することにしよう…) 
何よりこれは決して気付かれてはいけない、ボクの独りよがりな秘事なのだから。 
弟にこんな事をされてると知ったら…姉さんはきっと怒って悲しむだろうな… 
罪悪感と背徳感、しかしそれあるゆえの快楽を否定する事はボクには出来ず 
実際は5分か10分そこらの時間だったのだろうか、永遠のようにすら感じた夢の時間は過ぎていった。 
 
「…姉さん、終わったよ」 
「…ん、うん…」 
肩を優しく揺すってやると、寝ぼけ半分といった返事を寄越し姉さんは半身を起こした。 
そしてバスタオルを体に巻き直すと立ちあがり大きく伸びをする。 
「んうーーーーーーーん、やっぱアンタのマッサージは気持ちいいわあ、ありがと♪」 
おほめの言葉をいただく。 
今日に限ってはその言葉も素直に受け取れないんだけれど、姉さんが上機嫌なのは嬉しいことだ。 
少なからず負い目もあるし次回頼まれた時には自ら進んで引き受けてあげようかな。 
そんな事を思っているとやおら伸びてきた手がボクの両肩へと置かれた。 
「?」 
何だろうと振り返るボク。すると姉さんはそれを片手で制してそのままボクを床に座らせた。 
そして自分もまた腰を下ろす。…あ、もしかしてお返しにボクの肩でも揉んでくれるというのだろうか。 
先ほどの機嫌の良さからするとそんな展開もあるかもしれない。 
物凄ーーーーくレアなイベントなので、明日の天気に悪影響を及ぼす可能性すらあるんだけど 
それでも姉さんに肩を揉んでもらうのって何だか結構嬉しいかも知れないなあ、えへへ。 
「ねえキュロット」 
「なあにプリエ姉さん♪」 
優しい声で背後から語りかけてくる。あ、いい匂い。姉さんの横顔が肩越しに覗いてる。 
―――と、そこで唐突に2本の腕がボクの首にするりと巻き付いて交差。 
「…え゛」 
(チ、チョークスリーパー?) 
仰ぎ見た笑顔に不吉なものを感じた瞬間、その絶望的な一言は発せられた。 
「…で、アンタは何こっそりヒトの胸さわってたワケ…!? 」 
「ッッッッッッッッッッッッッッッ!!? ?」 
 
…しまった。 
 
・ ・ ・ バ レ て た 。 
 
全国一千万人の格闘技ファンのみなさんこんばんわ。実況兼解説兼人間サンドバッグのキュロットです。 
本日のメーンエベント無制限一本勝負(レフェリー無し・完全決着制) 
すでにゴングは鳴っているワケですが早くも一方的な展開となっております。 
聖女会王者プリエ選手の鮮やかなチョークスリーパーホールドが 
挑戦者キュロット選手の頸動脈をきりきりと締め付けております。これは完全に入ってますねハイ。 
おおっと、タップ、キュロット選手ここでタップだ、ギブアップです!秒殺決着です! 
しかし、これはどうした、プリエ選手、技を解かない!これは危険です、本当に――― 
 
ご っ 、ご ろ゛ざ れ゛る゛〜〜〜 
 
ボク、キュロットは12年余の人生に於いて最大の窮地に立たされていた。 
(注・後述の「「二重カッコ」」内のセリフ全てに濁点が付いているものとしてお読み下さい) 
「「ね、ねえさん… ちょっと待って…」」 
「うおらあっっ!素直に白状なさい! アタシの胸に触ってたでしょこのエロキュロットぉ〜!!」 
「「ち、違うんだよ〜ごっ誤解なんだってばぁ〜」」 
「あーん? 何よ口ごたえする気ぃ〜 !? 」 
「「じ、自分で白状しろって云ったんじゃ…」」 
「大体ねえ…ナニ喋ってるのか全然わかんないのよ!ハッキリしゃべんなさいっっっ」 
「「そ、そんな無体な…」」 
自らの腕で気管を圧迫し喋りようも無い状態に追い込んでおいてそれはあんまりです姉さん。 
つうかこのままだと唯1人血を分けた実の弟は死にます。あなたの手に掛かって死にますったら死にます。 
あっほら向こうに花畑。川岸に咲く花たちに囲まれたおとうさんとおかあさんの優しい笑顔が 
 
と、そこでようやく喉への締めつけが緩められた。…どうやら彼岸へ旅立つにはまだ早いらしい。 
しかしいつでも死刑執行可能な体勢のまま、プリエ姉さんは改めてボクを問い詰める。 
「さっきアタシの胸を触ってたわよね!さらにおしりまで! どうなの!」 
「え…えと、その。それは…そう、マッサージの一環でぐえっっ!」 
ギリギリギリギリギリ。悪夢再び。 
「もっかい聞くから正直に云いなさいね。し・た・わ・よ・ね・ !?」 
「ふ、ふわぃ…しましたごえんなさい…」 
涙目で答える。完璧にバレてしまってるようだ。言い逃れは出来そうも無い。 
一体どの辺りから気付いていたのか聞きたかったけれど、どツボに嵌まるだけなので止めておいた。 
「ったくもー。やっていい冗談と悪い冗談があるんだからね」 
「…うん」 
お説教が続く。この件に関してはまったくもって弁解のしようもないので 
ボクは俯いたまま、耳と心に打ち込まれる痛くて重い言葉を受け止めている。 
正直、後悔と自己嫌悪で逃げ出したいくらいである…やっぱり後ろめたい事なんて、するものじゃ――― 
「大体お子さまのクセに女の子の裸に興味持つなんて10年早いのよねー」 
「――――――ッッ!!」 
"お子さまのクセに"、その言葉を聞いた瞬間ボクの中が真っ白になった。 
「お子さまだから」肌を見せても別に気にしない――― 
「お子さまだから」年上の云う事は素直に聞きなさい――― 
そして、 
「お子さまだから」女の子の裸に興味を持つんじゃない――― 
 
…なんだよ、それ。 
ボクが子供だから何も知らないと思ってる。何でも云う事聞くと思ってる。 
子供だから、子供だから、子供だから。 
…なんなんだよ、それ――― 
 
「…どいよ……さん…」 
「え?」 
「ひどいよ姉さんっっ…!!」 
「キ、キュロット?」 
呆気にとられた顔でボクを見ているプリエ姉さん。 
無理もないだろう、今までお説教されて萎れていた相手が突然反撃してきたのだから。 
「なっ何がひどいのよアタシは…」 
「ボクだって!!」 
最後まで云わせない。 
ボクの言葉は、一度溢れだした言葉は、堰を切ったかのように止め処なく溢れ出していた。 
「プリエ姉さん… ボクだって男なんだよ…? 
おんなのこのハダカに興味だってあるし、あんな風に触ったりしたら凄くドキドキするんだ。 
なのに姉さんはそんなこと全然考えないで気軽に言いつけてさ… 子供だって決めつけて…! 
ひどいよ… ボクだって… ボクだって… …ねえさんのばかぁ…っ!」 
気が付けば涙がこぼれていた。情けない話だが泣いていたのだ、ボクは。 
大好きなプリエ姉さんに、男として一人前として見てもらえないという悔しさと情けなさ。 
今まで溜め込んでいたそれらは、こんなどうしようもなく格好悪いかたちで爆発してしまった。 
そして後に残るのはやはり、自分自身への嫌悪感ばかりだった… 
 
さっきまでの静寂が舞い戻り再び空間を支配する。 
だがそこにはもう高揚感など無く、ただただ気まずさがあるばかり。 
ボクも姉さんも黙ったまま身動きも取らずにいる。重い空気で四方を固められてしまったかのようだ。 
後ろに居る姉さんの顔は見えないけれど、きっと悲しい表情をしているのだろう。 
思えば、不埒な悪戯をしたうえ逆ギレして勝手に泣き出すなんて失態を晒しているのだ。 
(言葉も出ないくらい軽蔑されちゃった… 仕方無い、よね…) 
普段ならすぐ手が出る姉さんがそうしないというのも更に事の深刻さを物語る。 
自分で蒔いた種。覆水盆に還らず。ボクは何もかも空っぽになってしまったような体を起こして 
取り敢えずこの部屋から消え去ろうと思った。もういいや、どうでも。 
そう、ひとまずおフロにでも入って… 
―――ぎゅっ。 
「…え?」 
立ち上がろうとしたボクの体は柔らかな2本の腕により拘束されてしまった。 
「ごめん、キュロット」 
「え…ね、ねえさん !? 」 
耳元から、囁くような優しい声が響く。 
「そんなに色々考えてたなんて全然わかんなかった。おかあさん役、失格だね私」 
「…あ」 
鼻をくすぐる甘い匂い。ねえさんの匂い。 
「もっと理解してあげなきゃいけなかったよね、ごめん」 
胸が、キュンとする。 
「ね、ねえさん… 悪いのはボクなんだから…あやまんないでよ。こっちこそゴメンなさい」 
「ううん、ゴメンね」 
「ゴメンなさい…」 
こうなると「ボクが」「私が」のゴメン合戦である。双方譲らずに謝り合っていたら 
アタシ(ボク)の方が悪いって言ってるでしょー!という不毛な争いに発展しかけたものの 
顔を突き合わせた瞬間に何だかどうにも可笑しくて、ふたり笑い出してしまった。 
 
「そっかそっか、うんうん。キュロットも大人になってくんだなあ」 
何か納得したように、頷いている。 
腕をほどき正面に座っている姉さんはにこにこと笑ってる。そこに剣呑なものはもう無い。 
「ふふっ、じゃあ仲直りね。キュロット♪」 
―――良かった。修復不可能かとすら思った姉弟の仲だけれど 
姉さんはボクを認めてくれた。許してくれた。 
ボクももう2度と姉さんの信頼を裏切るような真似はしないだろう。 
今日を新しいスタートにして、ふたりはいつまでも仲のいい姉弟としてやっていけそうだ。 
(これからもよろしく、ねえさん…) 
「でもね、やっぱりコソコソとさわったりするのは良くないと思うワケ」 
「あ、あう…はい」 
感慨に耽っていた僕に追打ちの一撃。うう、もう言わないで下さい。充分反省しましたってば。 
その事に関しては全くその通りなので反論の余地ないんだけれど。 
そして、しかし、項垂れるボクをクスリと笑ってから、プリエ姉さんは今度こそとんでもない事を言った。 
「あの…さ、」 
「アタシの胸、さわってみる…?」 
  
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。 
 
「…は」 
「…はい?」 
 
どういう話の流れだったんだっけ。確か姉弟の仲は無事修復されこれからもヨロシクな事になって 
ボクはタイトル通りにちゃんと悔い改めたしこの長ったらしいSSもようやく「完」の文字が 
浮かぶんだろうなとか思ったり思わなかったりしていたハズだよね? 
(ところで"タイトル"とか"SS"って何だろう…) 
なのに、なのにそこで姉さんの口から発せられた言葉は――― 
 
「だ、だから! 触ってみるかって聞いてるんでしょっ」 
だ、だから!なんでそんな事言い出すのかって聞いてるんでしょっ!? と心の中で返す。 
一体何を言い出すんだこのひとは。しかも自分で言ってて恥ずかしいらしく顔赤くしちゃって。 
「ね、ねエさん何でそんなこと言うの…?」 
ああ、声がうらっ返ってる。だっていきなり変な事言うんだもん、仕方ないって。 
「何でって…キュロットが女の子のハダカに興味あるって言うからよ」 
「そ、そりゃあるケド…」 
「考えてみたんだけどさ、優しいお姉さまとしては 
弟の興味に少しくらい応えてあげよっかな〜、って。 
見たり触りたくなったとして、誰もさせてくれないでしょ?そんなの」 
それはそうだろう。例えばアルエットさんやエクレールに頼むとする。頼むと、する… 
ああああああああああああ!!! 
汚物を蔑む目でボクを見下ろす憧れの聖女の姿と 
王家不敬反逆罪で晒し首にされる己の姿を思い浮かべてボクはぶんぶんと頭を振った。 
「あのね、私だったら触りたいのに触れない、って状態はすっごく嫌だと思うの」 
確かにプリエ姉さんはそういう人だ。直情径行。猪突猛進。考えるより先に手が出てる。 
「なんか放っといて犯罪に走られても嫌だし」 
泣くぞこのやろう。 
「だからアタシでいいならさせてあげようかな…って。 
アンタだったら、その、別に触られてもあんましヤじゃないし…」 
伏し目がちに話すプリエ姉さん。普段鈍感な姉さんもさすがに恥ずかしいのか 
目線を合わせてくれようとしない。そんな姉さんは1人の女の子としてあまりにも魅力的に映った。 
でも… でも、でも…! 
ボク達は姉弟でさらには聖職者なのである。 
通常の男女交際とてある程度の節制をもって臨むべき立場なのである。 
それがそんな事をしちゃって良いのだろうかという良心の呵責は少なからずあった。 
逆に言えば、それさえなければこの衝動を抑えるものなんて何ひとつ無いのかもしれないけれど… 
ボクは自分の正直な気持ちと、同時に拭えない罪悪感の旨をそのまま打ち明けた。 
「うーん、そっか。キュロットは色々考えてるんだね」 
姉さんは宙を仰ぎ、ふーむ?という仕草をする。 
そして少しの逡巡の末、何か思い付いたらしくこちらを振り返る。 
「じゃあ…さ」 
「あ…!」 
姉さんはおもむろに首に掛けていたロザリオをはずした。 
それは信仰の証。こうしてお風呂に入る時も寝る時も外さないでいたプリエ姉さんの信仰の証――― 
チャリ…と小さな音を立てロザリオは所有者の許を離れる。 
「ね、姉さん…」 
「いまだけ―――女神さまには許してもらっちゃお?」 
「うん…」 
ゆっくりとはだけてゆくバスタオルの中の綺麗な肌に、ボクは身体ごと惹き寄せられていった…… 
 
「うわ…」 
てのひらで持ち上げた乳房の質感と質量に驚いてしまう。 
こんなにも柔らかで、そして大きく重たい。 
こんな不思議で幸せな物質が自然に存在するなんて… 
まさしく神が創りし人体の奇跡というやつである。 
「ふふっ…どう? キュロット。これがおんなのこのおっぱいだよ」 
「う、うん…凄い… やわらかいよ… ねえさんやわらかい…」 
ボクが手を上下する度に姉さんのおっぱいはたゆん、と形を歪める。 
先端の乳首は瑞々しいピンク色。 
ぽっちりと可愛らしい突起が控え目に自己を主張している。 
ボクは夢中になってもう片方の手も伸ばし、目の前の双丘を愉しもうとした。 
「んぁ…」 
姉さんの甘い吐息が漏れ、両手合せて計十本の指はその愉悦を味わうべく容赦ない欲望の触手と化す。 
ぐにゅっ、むにゅっ、という至福の感触と圧迫され指と指の間から逃げようとする 
白い柔肉をみとめてボクの情欲はどんどん加速していくようだ。 
「あ…こら…もう…っ!」 
無遠慮に揉みしだかれる自分の胸に目を落としつつ 
ボクを咎める姉さんの声には強い否定は感じられない。 
ならばとばかりに麓の部分から思いきり揉み上げるようにして 
巨乳をぎゅうぎゅうと搾り出す。 
「ああん… ちょっ…もうっ… 痛いって…」 
水風船のようにぱんぱんに膨らんだおっぱいは更に大きさを増し 
頂点では桜色のつぼみが切なげに震えている。 
ピンと張った皮膚は艶々と光沢を湛え淫靡な事この上ない。 
ボクは目前に差し出された誘惑の果実にどうにも我慢できなくなり 
おもむろに顔を近付けた。 
「え…? あンやだっ…!」 
不意をつかれ慌てる姉さん、だがもう遅い。 
さながら、もぎたてにかぶりつくように豊かな乳房を口に含んだ。 
はにゅっ、という不思議な食感。このまま本当に食べてしまおうか… 
ほんのりふくいくたる甘酸っぱい香味、プリエ姉さんの味と匂い。 
今まさにその全てを味わうのだ。 
唇で柔らかな乳肉を緩やかに食みながら 
舌も指同様に触手の一本となって乳輪を、乳頭を苛む。 
「こら、こっ…こらぁ…」 
焦り声で僕の頭をわしっと掴む。今更拒絶なんてダメからね姉さん。 
ボクは吸い付いた乳首に優しく噛みついてやった。 
同時に指で責めていた右の乳首をきゅうっと摘まみ上げる。 
「んはぁっ !?」 
ビクっと電流が走ったように姉さんの肢体が痙攣した。 
そして腕と体に入れていた力がふにゃっと抜けたのを感じると 
ボクは好機とばかり嵩にかかってこのいやらしいおっぱいを責める事にした。 
ちゅう… ちゅっ… ちゅうちゅう… ちゅばっ… 
乳首を強く吸ってやる。わざと大きめの音を立て、羞恥と興奮を煽る事も忘れない。 
先端には絶え間ない舌での愛撫。 
ちろちろと蠢くそれにプリエ姉さんの体は身悶えして悦びの反応を示した。 
ときたま、吸い付いたままで乳房を引っ張ってみる。 
質量たっぷりの熟れた果実はすぐに自重に耐えきれなくなり 
ぶるんっ、と弾けるようにしてボクの唇から離れ落ちた。 
「きゃふ…! は… んはぁ… もうっ… 触るだけって… ん…云ったのに…」 
息を荒くしてプリエ姉さんが抗議する。僕もまた、息荒いままに言い返す。 
「し、舌で触ってるだけだもん… 最初にダメって…はぁ… 云われなかったもん」 
「へ、へりくつ… んあっ…!」 
再び、お留守になっていたおっぱいを口に含む。…抗議なんて出来ないくらい気持ち良くしちゃえ。 
ちうちうちうちうと連続して吸い上げると共に、執拗に指の愛撫を与え続けてきたもう片方の突起が 
こりこりした固い感触に変わっているのに気付き、ボクの情火にますます油を注ぐ… 
 
―――不思議な空間だった。 
聞えるのは荒い呼吸と甘くくぐもったような嬌声。そして断続的な愛撫の淫靡な音だけ。 
時すら動くのを忘れてしまったかのように、此処はプリエ姉さんとボクだけの世界だった。 
「…あっ… あっ… ん… あぁあ…っ …んあ…」 
かぶりを振って喘いでいた姉さんの、髪に巻いていたタオルがぱさりと落ちた。 
生乾きの赤毛がつやつや光りとても艶かしく綺麗だ。 
姉さんは…もう抵抗の素振りは見せず、今はただボクの愛撫に身を任せている。 
ある意味では先ほどのマッサージと似てるのかもしれない、姉さんを気持ち良くするボクという構図は。 
そして、こうして胸を思うまま弄んでいるとやがて 
昂揚すると同時に不思議なほど安らかな気持ちになる自分に気付いた。 
(プリエねえさんの胸… ホントにおっきくて、やわらかくて… きもちいぃな…) 
無心に目を閉じてちゅうちゅうと吸い立てる。 
(なんかこれって…アレだよなあ) 
今の状態を傍から見たら情事に及ぶ男女というよりかは母親と赤児のようかもしれない。 
(うっかり"おかあさん"って呼んじゃいそうかも…) 
そんな事を思っているとボクの頭に手が乗せられた。先ほどとは違い、そっと優しく。 
「…?」 
「ふふっ…もう… キュロットったら… そんなにおっぱい吸って…赤ちゃんみたい…」 
慈しむように頭を撫でてくれた。うわ、凄い、なんでこんなに安らぐんだろうコレ。 
こっちも何か云おうとして見上げたその顔が、快感に上気しながらもとても穏やかな笑顔が、 
あんまり愛しくてボクは思わず姉さんにきゅっと抱きついた。 
「もお、そんなに好きなの? …アタシのおっぱい」 
苦笑して問うてくる姉さんに首を縦に振り答えた。 
返事をしている間も手放すのが惜しいくらい、ボクは目の前の白い塊に魅了され尽している。 
「ふふ、だったらもうちょっとだけ好きにさせたげる」 
「…いいの?」 
「けっこうデリケートなんだから、あんまり乱暴にしないんだよ」 
「は、はいっ」 
中断していた舌と指の愛撫を再開する。あれだけ味わってなおこの柔らかさに飽くという事は無い。 
強弱を、そして緩急を、そのたびに起きる反応の差異を試すように何度も何度も。 
そうしてから所在なく持て余していた片方の手をゆっくりと姉さんの裸身に這わせてゆく。 
ウエストのくびれからおへその辺りをなぞり、一直線に目的の場所へ。 
申しわけ程度に腰に巻かれたバスタオルの中へと侵入してゆく。 
もぞり、と指先に違う感触を確認した瞬間ボクの興奮のレベルは針を振り切ってしまったようだ。 
カッと顔が、全身が熱くなるのを感じ、ボクはさらなる奥へと食指を――― 
「ちょ、ちょーーーっとまったあああっっ!!!」 
 
…壁? 
前方ゼロ距離のそこには、よく見慣れた居間の白い壁が在った。 
て、言うか…痛い、よう… 
ズルズルと崩れ落ちるボク。 
ヒビは入ったものの人型の穴が開かなかったのは不幸中の幸いなのかもしれない。 
「うわごめん、手加減するのカンペキ忘れてた…」 
タオルを巻き直し、慌てて駆け寄ってくるプリエ姉さん。 
ボクは夢うつつのなか綺麗な花畑をスキップで歩いたのち 
(懐かしいひとたちに逢えたよ…ねえさん…) 
なんとか現世への帰還を果たし、涙目で抗議した。 
「ひ、ひどいやねえさん」 
「だ、だって、だってアンタがいきなり変なトコさわるからでしょっっ」 
「えー、だってさ… 好きにしていいっていったじゃん…」 
むくれ顔でぶつくさ言ってやる。約束破ったのはそっちなんだから。 
姉さんは顔をまっかにして反撃してくる。 
「あ、あれは! もちょっとなら胸を触っててもいいわよ、って… そういう意味で」 
「そんなのわかんなかったもん」 
「長年おとーとやってんだからそんくらい分かりなさいよ!」 
「姉に似て理解力ないんですようだ」 
「うるさいばか!」 
鉄拳制裁。…こ、これだ…この暴力という理不尽がいつまでも人類を苦しめるんだ許すまじ姉の馬鹿ぢから 
非暴力を貫く孤高の平和主義者であるボクことキュロットはこの不条理に身をもって抗する事とする(1)ま 
ず部屋の隅に行きうずくまる(2)そして未練たらたら恨み言と呪詛を延々繰り返す「好きにしていいってさ 
…いったのにさ…うそついてさ…ズルイよな…ズルイよなズルイよズルイよなズルイよズルイよなズル…」 
「…ちょ、ちょっとキュロット?」 
思惑通り興味を示した対象に見せつけるかのごとく 
すかさず人指し指で床にひたすら「の」の字を描き続ける。 
さだめしボクの周囲の空間には青か黒の色をした縦線が無数に発生している事だろう。 
我ながら完璧だ。これすなわち卑屈流断末魔奥義!鬼姉単細胞泣き堕と死… 
「いつまでもウダウダしてない!」 
ゴシャァ―――あっ破られたっ? 
雪だるまのように段に重なるたんこぶ。だから暴力反対って… 言ってるのに…うう。 
そういえば今までこの人に泣き落しが通じたためしなど無いのでした。分かってました。 
そして、いつもならここで引き下がるのが常なんだけれど…でも、でもね。 
今日だけはそんな気にはまるでなれなかった。自分でも驚くくらい我を通そうとするボクが居る。 
だって、それでも今、ボクは姉さんと。 
ボクはぐっと詰め寄りプリエ姉さんの顔を覗き込む。 
「姉さん」 
「な、なによ」 
「ボク、姉さんと続きがしたい」 
きっぱりと言い切る。懺悔も悔恨も後ですればいい。今はただ自分の気持ちを、素直に。 
「え…」 
「姉さんと一緒に、もっと気持ちよくなりたい」 
瞳を逸らす姉さんの視線に割り込んで続ける。 
「そ、そんなこと…ダ、ダメでしょ…?」 
「ボクねえさんのこと好きだよ」 
「そ、そういう問題じゃないでしょっっ」 
「世界でいちばん、だいすきだよ」 
「ず、ずるいよ… もう…」 
「ロザリオ、今は外しちゃったよ…?」 
そのまま自重を預ける。ボクの軽い身体は、柔肌のクッションに ぽふっ、と受け止められた。 
胸に顔をうずめたままの姿勢でさらに問う。 
「ねえさんは… ボクなんかじゃイヤ…?」 
返事は返ってこない。 
「ねえさんは… ボクなんかきらい…?」 
自分が発する言葉に、なによりボク自身が不安を掻き立てられ 
否定も肯定も無いその空白が怖くて…涙目で、すがるように見上げた大好きなひとの顔。 
 
そして。 
その表情が。 
ボクの欲しかった答えを言葉よりも雄弁に―――語ってくれた。 
 
「…ばーか。」 
笑顔。 
 
「きらいなわけ、ないでしょ」 
抱擁。 
 
「もう…しょうがないコだねキュロットは」 
コツンとおでこを小突かれる。プリエ姉さんのおでこで。 
「ご、ごめんなさい…」 
くすくすと笑う。目の前数センチの距離で。そして。 
「目、閉じなさい」 
素直に従う。そして。 
くちびるが―――触れ合う。 
「ん…」 
柔らかな蕩けるような口唇同士の愛撫。 
このまま触れた部分から溶け合いやがて一つになってしまうのでは無いかという錯覚の中で 
ボクは誰より大好きなプリエねえさんと、想いを交わし合った… 
 
「ほら、アンタも脱ぎなさい」 
一足先にバスタオルを外し、正真正銘の全裸になったプリエ姉さん。 
恥じらいの表情のまま、それでも隠そうともせず総てをボクの目の前にさらけ出している。 
「う、うんっ」 
あせあせと服を脱いでゆく。興奮と動揺で手が震えているのが自分でも分かる。 
ズボンとスパッツとパンツをいちいち脱ぐのももどかしく、三枚をまとめてずり下げると 
すでにはち切れそうなまでに昂っていたボク自身が、布に引っ掛かってぶるんと跳ねた。 
「うわ…」 
姉さんが目を丸くする、目線の先はボクの下半身へ。 
そこにはすでに臨戦体勢の肉弾戦用格闘装備があったりなかったり。 
「す、すご…」 
こんなになっちゃってる男のモノを見るのは姉さんとて初めてだったらしい。(すこし安心) 
物珍しそうに、そして戸惑いながらも、そこから目を離せずにいるようだ。 
くすぐったくなっちゃうような視線を浴びて、ボクの興奮は更に倍加してしまう。 
えっと、こういうの、視姦っていうんだっけ? …って、されてどうするのだキュロット。 
脳内で1人ボケツッコミをやらかしていると、もう遠慮なく観察モードに入っていた姉さんが呟いた。 
「むう、前におフロで視た時はちんまりかわいかったのに…」 
「ね、ねえさんのえっち!あと人でなし!」 
「うるさい」 
ぎゃあ! タマにデコピンしようとしたよこの人。 
あのバカ力で、今の一撃がクリーンヒットしていたらどうするつもりだったのだろう。 
この歳で、しかも自分の姉と不義の行為の寸前で再起不能だなんてもはや死を択ばざるを得ない恥辱。 
可愛い弟に死ねと云うのだろうかこのふともも魔人は… 
で、姉さんは未だに自分の記憶+想像の産物と目前の現実たる物体とのギャップが埋まらないらしく 
ぶつぶつ文句をたれているのだが、そんな事よりもボクはこの体勢のまま 
いつまでもおあずけの状況を続けているつもりはないのである。 
「ねえっ! それよりも…さ、さわってみて…よ」 
「…え? あ? うん。はい…」 
自分でも分かるくらい呼吸を荒げながら少し強引に愛撫をねだる。 
それで姉さんもようやく状況を思い出し本題へと戻るのだった。 
股間の滾りは、今や遅しと与えられる快楽を待ち焦がれているのだ。 
はやくボクに触ってよプリエ姉さん。はやくボクを気持ち良くしてよプリエ姉さん… 
「えと、そ、それじゃあ…さわっちゃうね…?」 
おっかなびっくり目の前の棒へと手を伸ばす。 
プリエ姉さんのクセに畏まっちゃったりして新鮮に可愛い。(決して口に出してはいけないぞ。殺される) 
「わ、固い」 
白い手のひらがモノを包み込み、ひんやりと柔らかな感触が伝わってきた。 
「それに… すっごく、あつい。ぴくぴくしてる…」 
初めてさわる男の部分の感触に戸惑いながらも、姉さんは好奇心たっぷりにそれを堪能する。 
撫でるように。なぞるように。包むように。 
決して強くはない緩やかな刺激、それが却ってボクの快楽を引き出してゆく。 
「んあ… 姉さん… 気持ちいいよう…」 
「ん? これ? 手を動かすのがイイの?」 
少し強めに握り直して、シュッシュッとしごきあげる。 
「うあああああああ」 
自分で擦るのとは比べ物にならない快楽の刺激に身悶えてしまう。 
なんなのコレ… 同じように手でしてるだけなのに…っ! 
「あは、なんて声出してんのよ」 
ボクの昂りを知ってか摩擦はより大きく激しくなってゆく。 
「だ、だってだって」 
情けなく弁解するボクに対して更に容赦なく。 
「へえ… ふふふ。なーらー、さっきのお返し、しちゃおっかな〜」 
あ、この顔。圧倒的優位に立ったプリエ姉さんの嬉しそうな顔。 
いつもの姉権限を行使する時の表情である。…サドなんじゃなかろうかこの人。 
「ホラ、お返しだかんね〜」 
「はうううっっっっ」 
毎度の事ながらボクの生殺与奪は姉さんの手に握られてしまい 
更に文字どおり弱点も姉さんの手に握られてしまい(上下運動つき) 
ああこのまま逝くべきところに逝かされてしまうのか、と思ったその時――― 
しかし何を思ったか姉さんは手の動きを止めてしまったのだった。 
「あ、あ… ね、ねえさぁん…っ」 
我ながら、なんつー物欲しげな声を出してるんだキュロット。 
ほら見ろプリエ姉さんがすっごく満足そうな顔して見上げてる。 
こういうところが嗜虐心をくすぐるのは分かってますええ分かっていますとも。 
でも仕方ないんです声が出ちゃうんですこんな事されたら。 
だって正直、今は恥も外聞も何もかも捨てて、ただただ姉さんに可愛がって欲しいんだもん。 
だから、そんな事を誰よりも承知してる姉さんは、やっぱり予想した通りの物言いで。 
「なーに? して欲しいの? お願いは?」 
プリエねえさんのいじわるっ。 
「う、うん。おねがいだよう姉さん」 
はやくはやく続きをしてよう。 
「"美人のプリエおねえさま" は?」 
「おねがいします美人のプリエおねえさま」 
「アドリブ利かないわねえ」 
「おねがいします次期光の聖女でパプリカいち美人のプリエおねえさまぁっ」 
「ふふ。おっけ♪」 
悪戯っぽく笑うプリエ姉さん。ああこの無邪気な恍惚の表情。やっぱりこの人サドだよ。 
今度の誕生日にはRQ商会謹製ボンテージスーツを買ってあげよう。 
単細胞な頭がますます可哀想な事になるけれど(INT-20)あなたにはきっと良く似合うハズ。 
さあそして、何はともあれこれでまた気持ち良くして貰えるんだ―――と 
ボクは己の分身に再び絡み付いてくるしなやかな指の感触を期待した。 
が、しかし予想外にも姉さんは手は出さず、立ち膝のままぐいっと自分の身体を密着させてきたのだった。 
「…ねえさん?」 
「じゃ、さ。こんなの―――どう?」 
「んぅっっっっ !? 」 
股間にえもいえぬ柔らかな圧迫感。 
なんと姉さんはボクの茎を両のおっぱいで挟み込んだのである。 
圧倒的質量の柔肉がボクの欲望の塊を凶悪なまでの心地良さで包み込んでしまう。こ、これは…! 
「あ、あうう… ねえさん…っ」 
「へへっ、挟んじゃったわよ♪」 
へへっ、じゃありません挟んじゃったわよ♪ じゃありません何という恐ろしい事を。 
「やっぱ、きもちいいんだ」 
ええ気持ちいいですよ、そりゃあもう危険過ぎるくらい。 
ボクの表情を一目見ただけで意を得たりと不敵な笑みを浮かべた魔性の姉は 
双房をぐいっと持ち上げて寄せ合うと、嵩にかかって上下運動を開始するのだった。 
ずりゅっ、りゅっ、むにゅっ、ぐにゅっ… 
「あ、うああ、ダメっ、ダメ良過ぎるよううっ」 
「よしよし、思った通りね♪ じゃ、さらに」 
顔を近付け胸の谷間から辛うじて顔を出していた鈴口の先端をいきなり舌でぺろりと舐めた。 
「―――――!!」 
ぞわっ、と総身に鳥肌がたつ。そして唖然とするボクを後目に 
なんと姉さんは今舐めたソレをそのまま口の中にくわえ込んで…って、あ―――――― 
「んあああああああ〜〜〜っっ!!!」 
瞬間、脳天まで突き抜けた快楽に視界を白く灼かれ、ボクの身体はびくん、びくんと大きく跳ねた。 
その律動と下半身の収縮は同期し射精の指令が脳から精巣へと伝達する――― 
どくん、どくんどくん、どくんっ、どくんっ。 
ボクは嬌声めいた叫びと共に、姉さんの口内へと盛大に精を放っていた。 
気持ちいい…なんかもう、何もかもどうでも良くなっちゃうくらい気持ちいい… 
 
「…んぐ ?  んん…っ !? んーんーんーーー!」 
そして何故かプリエ姉さんが目を丸くして大慌てで唸り出した。 
…おいおい。 
まさかとは思うけど、自分でやっといてこの事態を予測していなかったんじゃ。 
大量に流れ込んでくる未知の何かに驚き思わず口を離そうとする。あ、今そんな事したら… 
びゅくっ、びゅるっ、びゅるる、びゅくんっ。 
白い放物線を描き、口腔に納まりきらなかったボクの精液が 
姉さんの髪に、顔に、躯に、容赦なく襲い掛かった。 
「やっ、やぁんっ!もお!」 
手で払うも時遅く、豊満な肢体を欲望の残滓が染め上げてゆく。 
ボクの吐き出した穢らわしい白濁が、サラサラの綺麗な髪も、あどけない顔も 
大きなおっぱいも、柔らかいふとももも全部汚してる…姉さんの体中をべとべとに汚しちゃってる… 
射精を終えたばかりだというのに目の前の光景があまりにも扇情的で 
ボクの熱く昏い滾りは萎えるどころかむしろ新たな焔と化して燃えあがるようだった。 
「げほげへげほ! んもうっ、なんなのよう〜」 
半泣きで汚れた体を拭おうとする姉さん。ボクはそばにあったバスタオルを手に取りしゃがんだ。 
「もしかして…ホントに知らなかったの?」 
タオルで白色の欲望を延ばしまんべんなく肌に擦り込んでゆく。こうしてどさくさ紛れに体中を犯す。 
「こんなん出るなんて思わなかったわよ!うええ、にがっ」 
そんなボクの興奮も知らず、口の中にまだ残っているのだろう精の味に顔をしかめてる。 
なんだよ、ひとの事さんざんお子さま扱いしておいて、自分だって全然子供なんだもんなあ。 
難儀してる姿を後目に思わずくすっと笑ってしまった。かわいいな、子供っぽい姉さん。 
しかしそれならばさっきの技は一体どこで覚えてきたんだろう? 野生動物の本能というヤツであろうか。 
うーん、やっぱり恐るべしかもしれない…プリエペシエ16歳。 
「男はね、気持ち良くなるとさっきのが出ちゃうんだよ」 
「ああ、あれがセ−エキっていうのね」 
言葉だけは知ってたらしい。 
「ねえさんがあんまり気持ち良くするからだよ?」 
「むう、そう云われると…まあ、悪い気はしないけど。しかしすごい匂いねコレ」 
複雑な乙女心らしい。 
しかし自分の奉仕で相手を気持ち良くしたという満足感なのか 
機嫌はまんざらでもないようだ。良かった、怒らせちゃったら続きも何も無いもんね。 
ボクは、ぐい、と寄り掛かって続きを催促する。 
「ね…まだしたいよ、もっと」 
「アンタねえ…あんだけ出しといてまだ足りないワケ?」 
だってホラ、と股間の滾りを見せつける。 
「ねえさんの体がえっちすぎるんだもん」 
「中年オヤジかおのれはっ」 
苦笑しながらもソレに手を這わすプリエ姉さん。何だかんだ云って乗り気なのである。 
「さ、なら次はどうしよっか?」 
発情した雌の表情で問う。今すぐこのまま最後まで行ってしまっても良かったのだが 
ボクは再度、おっぱいによる奉仕を所望した。先ほどは不意打ちに不覚をとったが今度は2回戦。 
あの快感をもっとじっくりと味わえるはずである。さっきの一度だけではまるで物足りない。 
もっともっと姉さんの胸と口の感触を愉しんでみたかったのである。 
「もう、ホンッットに、おっぱい好きだよね〜キュロットは」 
笑いながら再び先の姿勢をとる。未だ萎える事を知らない怒張を胸に導くと 
再び柔らかな圧迫感が襲ってきた。 
ぐに、ぐにゅっ、ずりゅっ、ずりゅっ。 
先ほどの射精と唾液が潤滑油となり、1度目を上回る滑らかさでしごきあげられてゆく。 
単純な上下運動だけではなく両の乳房を別々に動かしてみたり 
固くなった乳首にカリ裏を擦り付けてみたり、姉さんの乳奉仕は留まるところを知らない。 
「んむ、ん… んむっ、ちゅっ… れろ…」 
そこにさらに加えられる口での攻撃。(口撃とでも呼ぶべきか) 
唇で優しく敏感な部分を食みながら、その舌はちろちろと尿道への侵入をはかろうとする。 
「んあ、あぁぁ、気、持ちぃいよう…」 
なす術ない快感の連続技にボクは早くもダウン寸前である。 
今出したばかりだから少しは持つのではと思ったが 
姉さんの反則的な猛攻の前には、ただただ己の甘さを思い知らされるばかりであった。 
「しっかしさあ、コレ」 
縦長の楕円と型を変えた二つのおっぱいで肉棒をぐにぐにとねぶり回しながら姉さんが唐突に洩らす。 
亀頭へと這わせていた舌から唾液とボクの液とが混じり合い、つうと糸を引き垂れた。 
「なんていうか… 平均よりかなり、その、大きいんじゃない?」 
いきなり何を。 
「う、うん。実はサラド神父と一緒にお風呂入った時、"うまなみ"とか云われた」 
ウマナミナノネー あなたとっても。 謎の歌まで歌われた。 
「う、馬… まあ馬のおちんちんなんて見たことないケド」 
「あ。でも、姉さんのおっぱいだって、牛みたいだよ?」 
「うっうるさいわね!ぶつよ!!」 
ぶたれた。アッパーで。ていうか、ぶってから云うな。 
「…でもあれね。ウチの血筋なのかもね」 
「何が」 
「だから…馬とか牛とか」 
「先祖代々動物なの?」 
「……」 
ぷっ、とふたり吹き出してしまった。 
こんな背徳的な、淫靡なことをしているのになんか和気あいあい。でもそんな空気がとても心地いい。 
エッチな気持ちに変わりはないんだけれど、寝ている姉さんに悪戯した時の興奮とは全く別の物だ。 
「でも、さ…」 
奉仕を続けながら姉さんが呟く。 
「アタシの胸ではみ出しちゃうんじゃ、他のコには無理かもね、コレ」 
確かに、「爆乳」という形容がぴったりくるのであろうプリエ姉さんのボリュームをもってしても 
ボクの「馬並み」は深い深い(胸の)渓谷よりなお顔を覗かせているのである。 
あくまで記憶の内でだが、今まで姉さんよりも胸の大きい女の子を見た事はない。 
…あ、胸囲と腰回りとがサイズを競い合ってるような淑女の御歴々は隅の方に置いとくとして。 
確かにプリエ姉さんのふくよかなおっぱいは、まるでボクの為にこしらえられたかのような 
抜群の密着感で、途方も無い快楽を与えてくれるのであった。 
「まーったく。こんなにおっきくなっちゃって」 
ボクの亀頭に目を落としたまま愛おしそうに云う。 
「えっちなわるいコだねキュロットは」 
優しくなじられる。ああ、ヤバいよ、ぞくぞくしちゃう変態さんなボク。 
「ね、ねえさんじゃないとムリなんだから…これからもねえさんがしてよ…」 
うわ何言ってるんだろう。しかし姉さんは嫌がる風でも困る風でもなくて 
「ふふ、どうしよっかな♪」なんて云っちゃって。 
「ねえキュロット」 
「なあに?」 
「私はあんたのおねえちゃんで、おかあさん代わりだよね」 
「うん…」 
「ついでにさ、…恋人代わりにもなっちゃおっか?」 
「え?」 
「に、2度も言わせないでよっ… は恥ずかしいでしょ…」 
大照れのプリエ姉さん。うわ、可愛い。どうしよう。 
ボクの返事なんて最初から決まっているワケで、迷わず「うん」って告げると 
少しだけ不安そうな顔してた姉さんが笑顔に戻ってくれる。 
強気な事云う割には以外と自分に自信が無かったりする所があって、そこがまた…かわいいんだ。 
そしておろそかになっていた股間への奉仕にまた専念する。 
「よし、今度は全部飲んであげるね」 
「え !?」 
「飛び散るのヤだもん、髪につくとベタベタして取れないし」 
それに、と続けて 
「かわいいキュロットのだったら苦くてもおいしいよ」 
「…ッ!」 
そして姉さんがスパートをかける。正直今のセリフだけで逝きそうになってしまったボクだが 
激しさを増す摩擦運動と温かい唇と舌の愛撫で射精の欲求がさらに急激に昇りつめてきた。 
「う、あ、ああ…っ、でるっ! あああああああっ!」 
我慢も抵抗も出来ず、ボクはまたもや遠慮無しにプリエ姉さんの口内に欲望をぶちまけた。 
どくどくと精液の奔流が小さな口を犯してゆく。姉さんは目を閉じて一心にそれを飲み込んでいる。 
「ん… く… んぐっ、ごくっ、ごくっ…」 
咽を鳴らしながら口の中の粘液と格闘しているようだ。少し心配になったので名前を呼ぶと 
目を開けてウインクしてくれた。嚥下するのにも慣れたか表情にも険しいものは無い。 
「んむっ、うん、ん、んく、れろ」 
大方を飲み干してボクの性器にこびり付いた分までも舐め取ってくれる。 
ああ、普段は奉仕とか労働とかいう言葉とは縁遠い姉さんがこんなにまで…! 
不肖キュロットペシエ12歳。生涯の頂点に達した今、いつ死のうとも1片の悔い無しッッ! 
「ぷは」 
感動と恍惚に片腕を挙げ震えていると、後始末を終えた姉さんが無邪気な顔で得意げに云ってきた。 
「へへ、のんじゃった」 
 
ぐあ。 
 
ぶちっ。 
 
その笑顔でボクの中の何かが切れ、弾けとんだ。 
「…ね」 
「ね?」 
「…ねねね、ねえさあんっっっっっ」 
ダメだもう我慢できません。理性グッバイ。突撃マイハート。今から獣になりますボク。 
勢い任せにプリエ姉さんを押し倒しその上に覆い被さる。 
うおおー! のんじゃった、じゃねえ−! えろすぎるんじゃーこのふともも魔人ぐぁーー! 
「わわちょっとぉ…んぅ…っ」 
問答無用。何か云おうとした姉さんの口をキスで塞ぎ、そのまま舌を入れてしまう。 
「んんっ? んーんー! ん…」 
腔内をまんべんなく舐め回す。するとそこで妙な違和感を覚えた。 
なんだろコレ…って、ああ、なんだ。ボクの精液じゃんか。 
まさか自分の白濁の味を知る事になろうとは思わなかったけれど 
気狂いじみた衝動に駆られた今のボクには、この背徳的な苦味さえも情欲の火を煽る追風となった。 
舌では口腔をじっくりと舐りながら両の手はそれぞれが快楽を求めて這い回る。左手で胸を揉みしだき 
右手は今度こそ――さっきお預けをくらわされた―――下半身の秘所へと伸びてゆく。 
「…ん? んんーーっ!!」 
抗議の声なんて無視無視。うっすら柔らかな茂みを荒々しく踏み越え 
ボクの指先は未踏の地へととうとう辿り着いた。 
くちゅ…っ。 
「!」 
指先に触れた質感。ぬるぬるした液体の質感。 
ねえさん―――濡れてる。 
そうか、こんなになってるのを知られたくなくて必死で抵抗したんだな。 
ならばとばかりにそこを触り、さらに恥ずかしい思いをさせてあげようとした刹那 
「んーっ!んーんー!…ぷはあっ!」 
あれ、あんまりしつこく抵抗するから口枷が外れちゃった。 
姉さんが顔を真っ赤にしてボクをきっ、と睨みつける。 
「ばか! いきなりあにすんのよっ!」 
「何って…エッチなこと」 
鼻先を突き合わせて反論。不思議なほど物おじしない自分。寧ろ弱気なのは姉さんの方。 
「こ、この…!」 
「姉さんだって、感じちゃってるんでしょ?」 
「んあっ !? 」 
もう蜜で溢れてる肉壷を掻き回してやる。くちゅくちゅと音を立て抗せぬ快感を自白していた。 
「ほら、こんなにぐちょぐちょじゃないか」 
「んあ…もう… 怒るよ…っ! ダメ…ダメぇ… ふああ…っ」 
どう見ても怒っているように見えないんですけど。視線合わせないようにして息荒くしてさ。 
バレバレの本心と弱気な態度に調子づいてボクは更に卑猥な言葉で苛む。 
「本当にいやらしいんだねプリエ姉さんは。 
ボクのおちんちんしゃぶりながらアソコをぐちょぐちょに濡らしてたんだ」 
「そ、そんな…事… やん、ダメ、指、入れないで…」 
その間も膣内を責める事は忘れない。少し激しくしてやれば気持ち良くて抵抗なんて出来ないんだから。 
ボクはそこで今さらながら姉さんの秘部をちゃんと拝んでいない事に気付き 
体を起こすと、両のふとももをぐいと割り開いてソコを露にした。 
「やっ、やああんっ!」 
でんぐりがえしみたいな姿勢を取らせて動きを封じ、両手で剥き出しの陰部に触れる。 
「へーえ… こんな風なんだ、姉さんのアソコ」 
左右対称に指を這わせ拡げてやると、てらてらと淫靡に濡れ光るピンク色の器官が 
にちゃりと音を立て眼前に曝された。 
「やああ… 見ちゃダメえ…っ!」 
見るどころか指を入れて好き放題に掻き回してやるんだけどね。こんな風に。 
「んあああああっっ !? 」 
ふふふ、姉さんったらそんなに気持ち良がっちゃって。と、…おや。 
(これはなんだろ?) 
ふと秘部の真ん中に座す突起状の部分に気付いた。 
包皮に護られたそれは淫水にぬめり、ひくひくと蠢いている。 
指で弄ってやると姉さんが再び暴れだした。大焦りで全身をくねらせ拒絶しようとする。 
「だっダメ…! そ、そこは触ったらだめ…! おねがい…」 
…そっか、ここ弱いんだ。 
いつもならいざ知らず、悪い霊に取りつかれでもしたかのような今のボクには 
そんな懇願は寧ろ逆効果。これが巷で噂の*コンファインシステム。(全然違います) 
ボクは鏡を見ずとも邪悪と判る笑みを浮かべると、容赦なく肉芽の薄皮を剥いてやった。 
「ふあっ !?」 
体温で包まれてた粘膜には少々刺激的だったろうか。まだ少し冷たい春の外気に晒され 
草花の新芽にも似た小さな触覚は怯えるようにひくついていた。 
これでもはや姉さんの秘密の部分は残さず暴きたてられたというワケだ。 
初めて見た女の子のアソコは、想像してたほどに綺麗なモノとは言えなかったけど 
しかしその器官の敏感さ、繊細さそしてか弱さは、なるほど女の子そのもので 
ボクは自分の中の雄の部分がこれまでに無いほど昂ってくるのを強く実感していた。 
「はあ… はあ… キュロットぉ… こんなの… 恥ずかしいよう…」 
触れるたび、指を動かすたび切なそうに喘ぐ。 
ボクはすっかり彼女の全てを征服した気になった。そして恥じらうように震えている 
今さっき露にした肉の芽――この時まだクリトリスって名は知らなかったんだけど――に欲望のまま 
舌を這わせてやった。 
「あ !?  こっ、こらダメぇっっ―――あんっ!」 
ふふふ、可愛い姉さん。もっと虐めてあげるね。 
舌で思うさま嬲った突起に今度は優しく歯を立ててやる。 
「――――――ッ!!」 
その瞬間異変は起きた。プリエ姉さんの躯がびくん、びくん、と跳ねる。 
「んうっ! はっ… あああ… あああああっ…」 
脱力しきってしまったかのような弱々しい叫びを洩らし、姉さんの身体はくたっと弛緩した。 
「…ねえさん?」 
はあ、はあ、と全身で荒い息をついている。 
…ああそうか、ボクは直感で確信した。 
「イっちゃったんだね、ねえさん…」 
いまだ夢うつつの中に居る姉さんの横に這ったまま移り頭を撫でる。 
羞恥と快楽の溶け合ったその顔は淫らに美しい。そんな彼女を全て我が物にしてしまいたかった。 
そしてボクは姉さんの片足をぐいと持ち上げると、再び露になった秘部へと自らのモノをあてがう。 
男の器官と女の器官。本来繋がるべくして造られたそれが今まさに繋がろうとしている事に 
ボクは心臓が破裂しそうなほどの興奮を覚えていた。 
あと数センチだ、姉さんを貫いてボクは男になる…腰をさらにぐぐっと突き出して 
亀頭の先に粘膜の温かさを感じたところで、しかし、ボクの挿入は止まってしまった。 
 
「…どいよ、キュロット…」 
 
…え!?  
 
「ひどいよ」 
 
―――ねえさんが、ないてた。 
 
切なさと非難が混じり合ったような顔で、プリエ姉さんは確かに両目に大粒の涙を湛えていた。 
強気な姉さんが泣くなんて、いつ以来のことだろうか。 
いや、それにしたってこんな哀しげな、複雑な表情は…記憶に無い。 
初めて見るボクの知らない姉さんに激しく動揺していると、次の瞬間には 
涙を拭うようにして腕で顔を隠してしまったのだった。 
 
「…ばか」 
暫しの沈黙のあとで、ぼそっと呟く。 
 
「初めて…なんだから」 
 
「少しはやさしくしろ…ばか」  
 
「あ…」 
今まで猛るように情欲を煽り立てていた凶暴なものが、たちまちのうちに消えていった。 
そうだ… ボクは… 何をしてるんだ… 
ボクも姉さんも、望んでたのはこんなのじゃなかったハズなのに 
ぼ、ぼくはすきなひとに―――は、はじめてのおんなのこになんてこと――― 
後悔の波が怒濤のように押し寄せて来た。血がのぼった頭を冷やすかのごとく体温が下がるのが分かる。 
呆然とする弟の顔は見えないだろう、姉さんはそのまま言葉を紡ぐ。 
「…けっこう怖いんだかんね、これでもさ」 
腕で隠した下の表情は読み取れない。 
「でも、キュロットになら、って思ったんだよ」 
淡々とした口調がいっそう鋭く胸をえぐる。 
「あ… あぅ…ぁ… うぁ」 
ろくに言葉も出ないボクの身体はただガタガタと震え 
「…う、ぁ、ね、ねぇさ… ごめ…」 
やっとそれだけの言葉をしぼり出すと同時に 
視界がぐにゃりと歪み、喉が渇き目鼻の奥が熱くなり、そして 
 
ぎゅむ。 
 
やわらかくてあたたかいもので包み込まれた。 
「…もう」 
ねえさんの、おおきな、胸――― 
「ばかキュロット」 
「ふ、ふえええええええん」 
臆面もなくまた泣いてしまった。馬鹿みたいに。 
「アンタが泣いてどうすんのよ」 
苦笑するプリエ姉さん。こらこら、って。とは云え涙でロクに顔も見えないのだが。 
「ご、ごめ…なさ… ひっく…」 
しゃっくりと嗚咽でまともに喋れないし。 
「もお…泣くほど謝るなら最初からしないの」 
小さな子に諭すよう優しく頭を撫でながら。お母さんみたいに。 
それから姉さんは、泣き止むまでの間ずっとボクのことを…抱きしめてくれていた。 
 
「あのねキュロット。女の子はね、"初めて"って特別なモノなの。 
一生の思い出だから、素敵な思い出にしたいでしょ?」 
「…うん」 
ようやっと落ち着いたボクと向かい合い、姉さんが云う。 
「…なーのにさぁ、全ッ然優しくしてくんないんだもんなあ〜」 
「あうあうあう」 
ごめんなさいごめんなさい生きててごめんなさいボクはぼくはぼ 
くすくす笑い、額をこつんと付ける。爛漫ないつもの笑顔だ。 
「もう、ちゃんとリードしてよね。お・と・こ・の・こ♪」 
ひょっとしなくても、からかわれてるボク。でもこんなふうに軽口を叩いてくる辺り 
すっかりいつもの元気さを取り戻してくれたようで、ホッとした。(今のは冗談になってないですが) 
本当に…出来の悪い弟でごめんね、ねえさん。 
そこでやおら、「よし」と気合いを入れボクを見据えるプリエ姉さん。 
「じゃ、キスのところからやりなおし! …ね?」 
「う、うん!」 
改めて。 
目を閉じた姉さんの唇に優しく触れ、背に両手を回して抱きしめた。 
 
「ん… ちゅ… ちゅっ」 
軽く触れ合うだけのキス。何度も繰り返し、やがてどちらからともなく舌を絡める。 
粘っこい音を洩らしつつ互いの口腔をまさぐり合うように求めた。 
舌と舌が別の生き物のごとく蠕動し言葉にならぬ快楽を囁きあう。 
ひとしきり味わうとボクは唇を離して、姉さんの身体を横たえながら告げた。 
「じゃあいくよ…姉さん」 
「うん。やさしく、ね」 
まだ少し不安げな顔。ボクはもう一度、軽くくちづけてあげると 
覆い被さるように身体を重ねて下半身同士を密着させた。 
「あ…」 
ボクが姉さんのソコに感じたのと同じ温度を、姉さんもまた感じているのだろう。 
互いの器官はそれぞれいつの間にだか昂奮を取り戻し、しとどに濡れたそれらが優しく触れ合った。 
微かに漏らす吐息に苦痛が無いのを感じると、ボクはそのまま一気に姉さんの秘奥へと侵入してゆく。 
「くっ…うう、あぁ…!」 
熱くなった粘膜にモノが包み込まれた瞬間、絡みつき締めつけるような快感が脳を突き抜けた。 
口とおっぱいでしてもらった時の気持ち良さも未知の領域だったけれど 
この… 挿入の快楽はっ… なんて云うかもう、筆舌に尽くし難いと云うか… 
「ん、あ…! んはあああぁぁぁ…っ!」 
途中で一瞬挿入に抵抗を覚え、背中に絡めた姉さんの腕にぎゅっと力が込もる。 
掠れたような喘ぎに、声を殺そうとしてるのが分かった。 
「ね、ねえさん…だいじょうぶ?」 
「ん…だいじょぶ。思ったよりかは平気…」 
強がり、なのだろうか。 
「日頃から痛いの慣れてるしね」 
痛いんじゃん! 
やっぱり止めようかと思った瞬間、自分から腰をぐいっと押しつけるようにして 
姉さんはさらに奥へとボクを誘った。慌てる弟の両頬に手を添えて 
「こら、責任持って気持ちよくしなさい」 
…艶っぽい笑顔で命令されてしまった。 
そ、そんな風に云われてしまっては、男としてはその、頑張るしかないのでありまして 
「わかった… いっぱい気持ち良くしたげるね、ねえさん…」 
ボクはまず、先ほどさんざん愉しんだ爆乳に指を這わす。 
下に敷いた姉さんの両の乳房を寄せ集めるように揉みあげ、 
ぴんと張った乳首同士を擦り合せるとまとめてそれにしゃぶりついた。 
「…んあっ!?」 
2ついっぺんに責めてくるのは予想外だったのだろう、びくっと躯を震わせ姉さんが悶える。 
舌の上でぴんぴんに勃起した双子の乳頭を縦横に転がし嬲る、舐(ねぶ)る、愛でる。 
痛みなんて忘れるくらいに、ボクが姉さんを気持ちよくしてあげるんだ… 
その豊満な体中に快楽を刻み込むように、夢中で愛撫を、奉仕を続けてゆく――― 
胸に続いて手を伸ばしたのは秘裂の突起だった。 
姉さんとボクが繋がっている、そのすぐ上で切なくひくついた女の子の急所… 
上半身では相変わらず左手と唇で執拗に乳房を責めたて 
厭らしい右手は柔らかな躯のラインを手探りで下へ下へとなぞって 
再度姉さんの敏感を弄ぼうとする。 
「あ… はぁ… はぅ… ふぅ…」 
ゆっくりとした控えめの抽送を続けるソコに、指が触れた。 
じゅぷじゅぷと孔から溢れ出す愛液を掬いとって滑(ぬめ)らせた指を花弁に当てると 
それだけで姉さんの身体がびくりと震えた。 
「ま、またそこ… 弄る、のぉ…?」 
非難とも不安とも、そして期待とも取れる瞳でボクを見つめてくるプリエ姉さん。 
「だめ? もう乱暴にしたり、しないよ?」 
「う、ぅん… でも、クリは、感じ過ぎちゃうから…」 
うつむいて視線を逸らし、頬を染めながら 
「やさしく…さわってね」 
お許しをいただいた。 
にゅるり、と粘液にまみれた包皮を掻き分け剥き出した肉色の触角。 
敏感過ぎるそれを指の腹で挟みつぶし、全体を撫でまわす。 
「ふ、ふぁ…ぁあ、らめ、らめぇ…」 
くにゃりと全身が弛緩しボク自身をきゅうきゅうと締め付けていた膣さえその蠕動を弱めた。 
(あ…) 
媚肉の圧迫と摩擦が与えてくれる快楽を甘受し続けていた肉棒は物足りなさを覚え 
それを不服としてか右手の指は無意識に愛撫の手を強めていた。 
ぎゅうぅ、ぬりゅ…ぬりゅっ。 
「…っ!?  は…ぅぁ…! き、きゅろ…らめぇ…!!!」 
瞬間ボクの股間を襲う、痛いくらいの締めつけ。 
ぎゅうぅぅぅぅ、って、さっきの悪戯へのお返しのように。 
「う…!く…ぁ」 
快感が脳を灼く。初めての気遣いから緩やかな刺激に甘んじていたところに 
この突然の強襲である。先ほどの2回が無かったらまず間違いなく昇天していただろう。 
て云うか全力で中出ししてしまう勢いだった…危ない危なひ… 
姉さんはどうやら今ので軽く達してしまったようだ、まだ視線が虚空をさまよっている。 
「も、もう〜どこが優しくなのよ… こんにゃろ…」 
こつんと額を小突かれる。 
「はわわ…ご、ゴメンなさい」 
「ホントすけべ」 
くすりと笑う。悪態をつきながらも語調には優しいものがあった。 
数回息をつき呼吸を整えると我に戻ったか、ボクの両頬にすっと手を当て云う。 
「そろそろ…強くしてみよっか」 
「え、でも」 
期待すると同時に、さすがに躊躇してしまう。 
そんなボクを見透かすような笑みで両腕を腰に回すと自分から動かしてきた。 
ずずずぅっ、と突然より深くに誘われ思わず呻き声が漏れてしまう。 
「は… キュロってば、女の子みたいな声出して」 
そんな弟の媚態を見る姉さんの目は…熱にうかされた、発情期の牝のようで。 
「あう、姉さん… そんなに激しくして、大丈夫な…の?」 
「うん。エッチな誰かさんのおかげかな。さ… へへ、一緒に…気持ち良くなろ?」 
へへ、だって。かっ、かわいい… そしてボクの愛撫で感じてくれたんだ、とても嬉しい。 
少しだけ自分が誇らしかった。姉さんに負担がないならもうボクらを阻むものは無い。 
ここからはふたり気兼ねなく、気の済むまで互いの快楽を貪り尽くすのだ。 
自分の快楽が相手の快楽にもなる、その一体感はとても暖かくて、温かくて 
きっとかけがえのないものに違いなかった。 
「キス…」「ん…」 
再度意志を確認するように唇を交わし体勢を変える。 
仰向けになったボクの上に姉さんが跨がり、ゆっくりと腰を落とした。 
「う、ぅぁは…ぁぁ…」 
直立した肉棒が再び桃紅色の肉孔に呑み込まれてゆく。 
貫通したばかりで男に慣れていないハズのそれは、びっくりするほどの順応性でボクを受け入れた。 
「ぃあ… んぅ…っ!」 
両脚を徐々に滑らせ、ある程度まで深く繋がると姉さんは一気に腰を落とした。 
ずん、と感じる人ひとりの重みと摩擦の刺激。その衝撃に二人そろって息を漏らす。 
「は…」「ぐ…」 
馬乗り状態の姉さんに云ってやった。 
「プリエねえさん…おもすg」「やきぶた」 
両手で首絞められた。もお…ぜめで最後まで云わぜでぐだざいねえざん 
「こんなに、お肉がついてるからだ…」 
「あ…」 
目の前で、たぷたぷたゆたう乳房に手を当て、猫が戯れるように弾く。 
柔らかにぶつかり合ったそれは重たそうにゆさゆさと揺れた。 
「ん… やん」 
下に向いた乳首をひっぱったところで抗議の声。構わずボクの手は下半身を圧迫する肉厚のおしりへ。 
「こ、こらちょっと… もう〜」 
さわさわ、むにむに。すべすべした白桃の尻のあとはご自慢(?)のふとももだ。 
「くすぐっ…たいわよ、ぁん、ばか」 
羞恥に身体をくねらせる姉さんをくまなく触診してやる。 
「ねえさんのからだ、えっちな肉つき過ぎ」 
「…そ、そんなこ…と」 
ない事も無いのは本人がいちばん良く分かっているだろう。 
おしりとふとももをわし掴み、下から抽送のリズムを刻むと 
プリエ姉さんの豊満なからだの全部が弾むように同調する。 
「あっ、は! や、ダメ…っ」 
短い喘ぎに合わせて飽和状態の膣内はぐりぐりと掻き回され、更なる快楽の連鎖を生んだ。 
すぐに姉さんも自ら腰を使い出し、2つの異なる回転がぶつかり合うたび、結合部からは 
ふたりが混ざさった体液がじゅぶじゅぶと音を立て溢れてボクの上に淫らな水たまりをつくってゆく。 
「はぁ…はぁ… ねぇ、キュロは… もうちょっと…痩せてる女の子が好き?」 
気にしてくれてるのだろうか。なんにせよボクは即答する。 
「うぅん、ねえさんのえっちなお肉が…すき」 
乗ると重いけど、と付け足して笑顔でドツかれた後、ボクらは両の手と手を重ね指を絡ませた。 
 
「んっ…はっ…ふっ、ふ…っ! あっ…はっ…はっ、あっ…!」 
プリエ姉さんの腰づかいとボクの突き上げるタイミングが徐々にぴったり重なっていく。 
2人が2人とも同時にいちばん気持ち良い瞬間を、感覚だけですり合わせているのだ。 
長年過ごし相手の事を知り尽くした実の姉弟、だからなのだろうか。 
さしたる時間も掛からずに僕らは一つになった。相手の快楽の瞬間がそのまま自分のそれに――― 
肉体の相性と云うものがあるならこれ以上はとても無いと思った。 
最奥まで達すると同時に柔らかな膣圧で包み込まれ、肉壁の感触を先端に感じたあと今度は 
カリの部分で孔内を引っ掻き抉るようにしながら後退する。全長があわや抜けきるかと云うところで 
腰を突き出し――と同時に膣内が収縮し――今しがた居た最奥へと再び杭が打ち付けられる。 
正確な機械のように何度も何度も、熱ばんだ身体同士がぶつかり合って臨界へと向かう… 
「ふぁ、ふああぁぁっ…!キュロ、あたし、初めてなのに… こんな…感じてるよう…!」 
「はぁ、はぁ、はぁ…! ねえさん、ボクも、ボクも…っ」 
霞がかった思考のなか、うわ言のように互いに呼びかけ合い、焦点定まらぬ視線を交わしあい 
そして己の限界が近いことを自覚する。 
「ねぇさん… ボク、もう…」 
射精の意志を伝える。ひとかけ残った最後の理性で。 
姉さんはその言葉に頷くと―――そのまま前傾になりボクの背に腕を回してきた。 
何してるんだよ姉さん、そんなに抱きつかれたら離れられないよ、抜けないだろ。中で出ちゃ――― 
焦って身体をよじろうとするボクの耳もとで、甘く、そしてはっきりと囁いた。 
 
「膣内(なか)で… 一緒に行こ? キュロット―――」 
 
――――――!! 
ぷちん、と何かが弾けてまた目の前が白くなる。 
(―――プリエ……ねえさん……!) 
絶頂の叫びがあがった。それはボクの声なのか、姉さんの声なのか、2人のものだったろうか… 
マヒした五感を包む大きな安堵と、ちり…と焼け付く微かな罪悪感の痛みと 
どくん、どくんと姉さんに流れ込んでゆく熱い熱い奔流と… 
ただただ空白に塗られていく瞬間の意識の中でボクは、女神さまの姿を見たような気がした。 
その面影はどこか姉さんのようで… また僕らの事を優しくたしなめる母さんのようにも―――視えた。 
 
 
「ねえ… 後悔してる?」 
うつぶせのまま、両腕に載せた顔をこちらに向けプリエ姉さんが云う。 
時刻はもう明け方近い。 
何処からか遠く、鳥の啼く声が聴こえた。 
ボクは少し擦り寄ると、ううん、とだけ答える。 
姉さんは少しだけ困った顔をして「少しは後悔しなさいよね」と微笑んだ。 
…後悔なんて、なにもない。 
この時になってするくらいならば、ボクには何度も引き返せる場所があったハズだ。 
それら全てに見ない振りをして、ここまで来て、今更後悔をして、僕らは何を得るだろうか。 
何も得はしないだろう。 
だから…僕たちはこれでいいのだ。 
さっきの一瞬。答えた瞬間に姉さんが安堵の息を吐いたのにボクは気付いた。 
きっと姉さんは…怖かったんだろう。己の信仰を裏切るような事をしてしまったから。 
そして弟のボクを道ならぬ道に誘い込んでしまったと思い、少なからず悔いているのだ。 
―――そんなことないよ、姉さんは悪くない。悪いのはボクだから――― 
その言葉をあえて呑み込んだ。 
罪の意識はきっと消える事はない。その後ろめたい十字架を背負い生きる事が僕らの罰なのだと思う。 
でも、それでも、ボクとプリエ姉さんは独りではないのだ。 
こうして手を伸ばせば、温かなぬくもりがそこには在って。 
「ん…どした?」 
指先に触れたボクを優しく呼ぶ。 
優しい、愛おしい声。このひとはボクの姉さんで、お母さん代理で、そして恋人…代理で。 
 
「手、つないで寝てもいい…?」 
「いーよ」 
 
ぎゅ。 
…あたたかい。 
 
手のひらから流れ込む体温は、身体だけでなくこんなにも心を暖かに安らかにしてくれる。 
禁忌ならばどこまでも隠し抜こう。罪ならば罰に甘んじよう。 
例え姉弟であろうと、今ボクが姉さんを好きでいるこの気持ちは嘘じゃないんだ…そしてプリエ姉さんも。 
もう一度身体を寄せあい、子供のような軽いキスを交わしてから囁く。 
「おやすみ」 
「おやすみなさい」 
姉弟で瞳を閉じた。つないだ指先だけは離さぬよう、そっと、ぎゅっと握り合ったまま。 
世界はしばし暗闇に溶け、もうじき次の朝が訪れるだろう。 
永遠に続く夜は無いように、全ては等しく変化しやがて終わりの時が来るのだ。 
それは罪の傷跡と共に心に刺さった小さな小さな刺―――ボクは、眠りに途切れる寸前の意識で願う。 
 
 
―――だから女神さま、僕たちにもう少しだけ時間をください。 
 
―――今はまだ、姉さんの温かさの中に包まれていたいから。 
 
―――そして女神さま、僕たちにもう少しだけ慈悲をください。 
 
―――この出来の悪い姉弟が悔い改める―――その日まで――― 
 
 
新しい朝を告げる陽のひかりが、小さなロザリオに反射して…優しく煌めいていた。 
 
 
 
       「姉、ちゃんと悔い改めなさい」  
 
             ―Fin― 

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