男戦士:ヨハン  
どうしようもないクズとして生まれたが  
ハングリー精神で己を鍛え続けてのしあがってきた  
殿下の家来  
 
侍:カエデ  
天才として生まれたが  
それを鼻にかける事のない努力家  
ヨハンとは共に戦う仲間である  
 
 
 
魔界と天界が友好を結ぶようになって早くも一年が経った。  
魔界では色々な事が起きた。が、俺の戦士としての日常に変わりはない。  
ただ・・・一つだけ、とても大きな、そして大切な出来事が、俺に起きた―――  
 
話は数日前に溯る。  
俺は、その日練武の洞窟で経験値稼ぎをしていた。  
獲物を求めて洞窟内を歩いていると、どこからか声がしてくる。俺にとっては聞き慣れた声。  
「この声は・・・」  
声を頼りに洞窟を進むと、ひらけた場所に出た。  
そこで一人、剣の素振りを続ける女性がいる。  
和服に身を包み、大きめの胸をサラシで押さえたなかなか刺激的な服装の女性。  
「3225!3226!3227!3228!3229!・・・」  
独特の構えから一閃を放ち、また構える。  
一回一回回数を口に出しながら、ひたすら鍛練に励むその女性・・・侍は、俺の良く知る人物だ。  
俺はそっと彼女に近づいて、素振りに集中しているところに声をかけた。  
 
「よっ。相変わらず熱心だなぁ」  
俺の声で初めて存在に気づいたのか、彼女は構えを解いてこちらを振り向く。  
「ヨハン・・・?何故ここに?」  
俺が居る事が不思議といった表情で、言葉を返してきた。  
「ここは練武の洞窟だぜ?お前と同じ目的だよ、カエデ」  
俺がそう言うと、カエデは納得したような声をあげた。  
・・・そうでなければなぜここに来るのか、という言葉は飲みこんでおく。  
 
「ふう、今日はこれくらいにしておこう」  
言いながらカエデは、自身の愛刀をおさめ、額の汗を拭った。  
その際に腕を上げたため、元々露出度の高い胸元がさらに露になる。そりゃサラシ撒いてるけど。  
なんで気にならないのだろうか。男がすぐ側にいるってのに。  
カエデには、いわゆる羞恥心ってやつが特に欠けている気がする。  
このあいだ仲間内でゲヘナの海へ行った時なんか、「こう暑いとやってられぬ」とか何とか言いながら 
サラシをとっちゃったりした事もあった。  
ついには、胸元をパタパタやり始めて・・・チラチラ見えてたから。  
なんで気にならないんだろうか・・・必死で拝もうとする男連中を捌きつつ、疑問に思った。  
 
まったく・・・暑いからってサラシなんか取るなよ・・・  
・・・と思っていたら、今まさにサラシを取ろうとしてるじゃねーか!  
「やはりムレるな・・・取ってしまおう」  
「待て!待て待て待て待て!」  
俺は必死で、サラシに手を伸ばしたカエデを制した。  
「どうした?何かあったか?」  
きょとんとした表情のカエデに俺は図らずも脱力する。  
「何かって・・・サラシを取ろうとするなよ」  
「何故だ?」  
「当たり前だろ!男が側にいるってのに、そんなことすんなよ!」  
あまりにも鈍感なカエデに、声を張り上げる。  
こうも相手が鈍いと、こっちも疲れてきてしまう。  
俺は思わず、ガクンとうなだれてはぁーっ、と深いため息をつく。  
仕方なく、俺は視線をカエデに戻した。  
そこにいたのは、俺の言葉を無視してサラシを掴むカエデ。あ、引っ張った。  
それと同時にシュルッ、という音・・・・取っちゃったよ!  
同時に形のいい乳房が揺れ、和服からチラチラ見え隠れする。  
「わーーー!何をして・・・!!」  
慌てて戻させようとした瞬間、カエデの後方で何かが動いたのが見えた。  
 
すばやい動きで近づこうとしてくる影に俺は気づき、大地を蹴って  
カエデの脇を摺り抜ける。  
腰の愛剣を握り、一文字に進みながら斬り裂いた。  
ザシュッ        肉の斬れる音が響く。  
その瞬間、確かな手応えが剣を伝わってきた。  
ぼとりという音とともに、俺の足元に魔物の死骸が落ちる。グレムリン系の魔物だ。  
身体がきれいに両断されている。我ながら中々上手く斬れたな・・・  
やがて、煙となって死骸は消滅した。  
 
「あぶなかったー」  
一息ついて俺は安堵の声をもらした。  
練武の洞窟の魔物は、俺にとってはあまり苦戦するほどの強さではない。  
しかしグレムリン系の魔物は、強い毒性を持つ粉を撒き散らす。  
俺もカエデも、エスポワールは習得していない。  
仮に毒耐性をつけていたとしても、油断は禁物だ。  
・・・妖精の粉持てよ、と言われたらどうしようもないけどさ。  
 
「大丈夫か?」  
カエデの方を向き、とりあえず聞いてみる。  
しかし当のカエデは、困ったような、納得しているような、微妙な表情だ。  
俺には、どうしてそんな表情をしているのかは分からなかった。  
「・・・やはり、ヨハンには勝てぬな」  
「へ?」  
どういう意味なんだろう。たしかに模擬戦の成績は200戦88勝75敗37分で俺の勝ちだけど。  
俺はいまいち要領を得る事が出来なかった。  
一方のカエデは、やや自嘲気味に笑みを浮かべている。  
「・・・のう、ヨハン」  
「なんだ?」  
一息おいて、カエデが口を開いた。  
「・・・私を、鍛えてはくれぬか?」  
「へ?」  
またも素っ頓狂な声を上げてしまった・・・。  
 
それくらい意外だった。カエデは、生まれた頃から天才といわれて育ったと聞く。  
しかしそれを鼻にかけることなく、常に鍛練を怠らない、努力家でもある。  
かたや俺は才に恵まれず、むしろ「クズ」とはっきり言われたほどの落ちこぼれだった。  
俺は悔しかった。その日から俺は誰よりも強くなろうと決心し、鍛練を続けてきた。  
自分より強い者に対しては、その倍以上を目指して鍛える。  
自分を負かした者がいたのなら、そいつの利点をすべて真似、自分の物にする。  
 
そうしていつしか、俺はカエデと肩を並べられるほど強くなれていた。  
どっちが強いのかは分からない。ただ、どちらかの優劣を決めるために  
カエデと戦うなどという気は、不思議と起きなかった。  
 
「鍛えるって・・・レベル上げに付き合えって事?」  
俺の言葉に、カエデは「それもあるが」と首を振った。  
「私の全てを、一から作り直していきたい。その為には、ヨハンの協力が必要・・・そう考えたのだ」  
そう言うと、カエデは、申し訳なさそうな顔をして俯いた。  
カエデがこんな表情をしたところなんて、俺は見た事がない。  
俺は少し考えてから、答えた。  
「・・・分かった」  
その言葉を聞いた途端、暗かったカエデの表情が明るくなっていく。  
「断る訳にいかねーよ。そこまで真剣にお願いされちゃ」  
「・・・ありがとう」  
カエデが珍しく頬を赤らめて言った。  
ありがとう・・・か。  
悪魔らしくない言葉・・・でも、カエデが言うのには違和感がない。  
ともかく、次の日から、さっそくレベル上げや技能修得に付き合う事となった。  
 
というわけで、俺は頼まれた通りにレベル上げに付き合っている。  
カエデの闘い方で気づいた点があればそれを指摘して、悪い所を直すようにしていく。  
意外な事にそれが多く、ちょっとした動揺すら感じた。  
 
「・・・なあ」  
休憩に入った時、俺はふと口を開いた。  
カエデは言葉で答える代わりに、俺の方へ視線を向けて来た。  
「・・・なんで、俺なんかに?」  
頼まれた時からずっと疑問だった。俺より強い奴はごまんといるし、何より教えるのは下手だ。  
だのになぜ、カエデは俺に頼もうと思ったのだろうか。  
それが気になって仕方がなかった。  
 
「・・・ヨハンだから、かのう」  
「俺・・・だから?」  
俺もカエデに視線を向ける。カエデは俺の言葉に頷き、さらに続ける。  
「ヨハンは私にとって、特別なんだ」  
特別・・・?どういうところで特別なのだろうか。古い付き合いだから?  
違う。俺よりカエデと長い付き合いの奴は多い。  
俺は必死で考えるが、答えは浮かばない。  
そんな俺に、カエデは微笑んだ。  
「・・・勝ちたかった」  
「勝ちたかった?俺に?」  
もう一度、カエデは頷いた。  
俺に勝つ?俺は、自分で自分がカエデに勝っているなんて思っていない。  
むしろカエデと俺には、才能という縮めることの出来ない間があるのだから。  
 
「才能など、関係はない」  
その言葉に俺はドキッとした。  
「周りから天才と言われても、私は信じられぬのだ」  
黙ってカエデの言葉に耳を澄ませる。  
「天才だからなんなのだ?たとえ天才でも、努力がなければ強くなる事など出来ぬ。  
・・・ならば、才能なぞ、関係はない」  
その通りだ、と心の中で思った。  
天才だからといって、生まれた頃から強い奴なんてこの世にはいない。  
誰だって、努力という壁を乗り越えて、初めて強さを得られる。  
天才と言われていたカエデは、それを人一倍痛感していたんだろう。  
「だから、ヨハンは・・・どんな事があっても前へ進もうとするヨハンは、私にとって特別だ」  
恥ずかしいような嬉しいような、そんな気持ちだった。  
他人からそんな風に言われた事はなかったから。  
 
言葉を一旦切ってから、何故かカエデが顔を赤くした。  
「そ、それにだな・・・」  
急にもじもじとして、らしくない。  
「頼んだ理由は、それだけじゃないんだ・・・」  
それだけ言うと、黙って俯いてしまった。  
 
あいかわらずもじもじして、指をしきりに動かしている。  
あきらかにらしくない・・・明日は星の墓場に隕石でも落ちるだろうか。  
「そ、その・・・ヨハンがそばにいると、その・・・胸が・・・熱くなるというか・・・なんという 
か・・・」  
「胸が?なんか変なの食ったか?」  
「そ、そういう事ではなくてだな・・・だから、そのぉ・・・」  
今度は語尾が伸びて来た。どことなく、熱っぽい印象を受ける。  
「大丈夫か?」  
「あ、当たり前だ・・・だから、ヨハンがいると・・・その・・・えっと・・・」  
決定的な言葉が出てこない。  
俺は頭上に?の文字が浮かぶばかりだ。  
「その・・・だからだな・・・・・そ、そうだ!」  
きちんと言葉に表現できるようになったのか、ひときわ声を強くした。  
「ヨハンが、私の側にいると・・・その・・・私はぁ・・・その・・・」  
またどもった。何回目だ?  
しばらくして、小さな声でカエデがその続きを呟いた。  
「う・・・嬉しいんだ」  
「・・・嬉しい?」  
 
以前、フロンさんと話したことがある。  
その時、俺は「愛」という感情がどういう物なのかを教えてもらった。  
『具体的には表せないんですけど・・・愛する相手がそばにいるときに胸が熱くなったり、  
とても嬉しかったり・・・そういう風に感じるんです。悪魔にだって、あるはずですよ?  
ラ、ラハールさんだって、ストレートに「お前を愛してる」なんて・・・キャ☆』  
とか、最後の方は一人悦に浸ってたな・・・  
その言葉を思い出した瞬間、俺はカエデが「愛」を感じているという事に気がついた。  
ん?ちょっと待て。カエデは俺が側にいると嬉しいといったよな?つまり・・・  
「俺!?」  
驚愕の事実だ。まさか他人、それもカエデから。  
そう認識したら、俺の方も顔が赤くなってきて、恥ずかしいような良く分からない感じがした。  
胸の奥が熱くなるような感情がこみあげる。  
・・・もしかして・・・俺も・・・  
そりゃたしかにカエデと一緒にいて嫌だなあと思った事がないけど・・・むしろ嬉しいんだけど・・・  
 
「も、もしかして・・・これが「愛」という物・・・なのか?」  
カエデの声で現実に戻された。  
本人もうすうす気付いているようだ。  
「え、ええっとだな、その、えっと・・・」  
俺もカエデに負けないくらい、顔が赤くなっている。  
すぅ〜・・・はぁ〜。OK落ち着け俺。平常心平常心。  
 
「・・・カエデ。俺・・・」  
俺は意を決して、カエデの肩を掴んだ。  
しっかりとカエデの眼を見据えて、口を開こうとするとまた落ち着かなくなる。  
もう一度深呼吸をして落ち着けると、俺は言葉をゆっくりと紡ぎ出すように話した。  
「俺も・・・カエデの側にいると、嬉しい」  
「え・・・?」  
「だから・・・俺も、カエデの事・・・」  
そこから先の言葉は必要なかった。  
カエデがほっとしたような顔をして、俺を見つめている。  
永い永い沈黙が二人の間に流れて・・・  
俺達の顔が段々と近づいていって・・・  
いつのまにか、唇が触れ合っていた―――  
 
ただ唇と唇と合わせるだけの単純なキス。  
眼を閉じてその感覚だけに身体を委ねる。  
よくある言葉だけど、永遠にも似た時間が、ゆっくりと過ぎていった。  
どちらからともなく、唇を離す。  
開いた眼に映ったのは、さっきと違って落ち着いたようなカエデの顔。  
ほんのり頬が上気していて、潤んだ瞳が可愛らしい。  
「・・・今の」  
カエデが口を開いた。  
「・・・・今のが、その・・・初めて、なんだ・・・」  
恥ずかしそうに視線を逸らしながら、カエデは言った。  
キスすら初めて・・・その事実は、カエデ自身の男性経験が皆無であることを表している。  
「ヨハンは・・・どうなんだ?」  
視線を逸らしたまま、俺に聞いてきた。  
 
実は、俺の方は女性の「肉体」経験なら豊富である。  
「いや、俺はそっちの経験だけ豊富だから・・・」  
苦笑いしながら返す。  
「そ、そうか・・・」  
少しだけ残念そうに、カエデは呟いた。  
俺はカエデの顔をこちらに向けさせると、もう一度口付けた。  
「んっ・・・・」  
カエデの声が、俺を少し興奮させる。  
今度は舌先でカエデの唇をこじ開け、口内へ侵入させた。  
「んんっ!?」  
そのまま口膣の中で、舌をねっとりと動かす。  
 
いきなりの事で驚いているためか、カエデは為す術もなくされるままだ。  
「んむぅ・・・ふぅっん・・・」  
俺の舌の動きに押され、ぎこちなくではあるが、カエデも舌を動かしてくれるようになった。  
互いに舌を絡める。続けるうちに、二人の唾液も混ざり合った。  
ちゅぷっ・・・ぴちゃ、くちゅ・・・・  
唇の間から粘液質な音が漏れ、耳に届く。  
不思議と扇情的な響きを持っていて、俺もカエデも、徐々に身体が火照ってくる。  
「んっう・・・んふぁ・・・」  
カエデの声が段々鼻にかかったようになり、俺は唇を離した。  
二人の口を繋ぐ唾液の糸が伸びていく。  
「い、いきなり、舌を入れるなど・・・驚いたぞ」  
そんな事を言っているが、まんざらでもない様子だ。  
 
「・・・続ける?」  
俺は確認をした。  
そういう事はまだ早いかもしれないし、カエデにその意志がないのなら続けるのは意味がない。  
カエデは、さらに頬を赤らめながら、ゆっくりと頷いた。  
その回答に満足し、俺はカエデを軽く抱き寄せた。  
「ヨハン・・・・」  
「ん?」  
不安そうな声に、俺は聞き返した。  
「その・・・優しく・・・して・・・ほしいんだ?」  
そんな事をいうカエデが凄く可愛かった。こういうのを、「愛しい」と言うのだろう。  
考えてみれば、俺がカエデの「女性」らしい部分を見るのは初めてかもしれない。  
ずっと、今まで無理をし続けていたんだろう。  
いたわるように肩を抱き寄せて、また口付け、さっきよりも激しく舌を絡め合わせる。  
「んんっ・・・んうっ、ん・・・ヨハ・・・ン・・・」  
しばらく互いの舌の感触を愉しんでから、俺はカエデの胸へ手を伸ばした。  
 
きつく撒かれたサラシの上から、乳房を揉んでみる。  
「あっ・・・やっ・・・・」  
カエデが戸惑い気味に声を上げた。  
サラシの上からでも、敏感に反応している。  
いつまでも付けているのは窮屈だろう。サラシを掴むと、勢いよく外してやる。  
普通よりも大きめで形が整っている乳房と、薄い桜色の乳首が露になった。  
カエデは思わず頬に手を伸ばして、自身の乳房と俺の手を恥ずかしそうに見ている。  
「そんなに恥ずかしい?」  
「男に見られるのは、は、初めてだから・・・な」  
「へ?いつも暑い時なんかサラシ取って涼んでたじゃん」  
俺がそう言うと、カエデはハッとして俺の顔を見た。  
「も、もしかして・・・見てたのか?」  
「・・・は?あれをどうやれば見ないですむんだ?気にしてなかったんじゃあ・・・」  
 
言い終わるより早く、否定の声が上がった。  
「ば、馬鹿者!そんなわけないだろう!てっきり、見てないのかと・・・」  
あの状況でよく見てないからいいやなどと考えられるなあ。  
変な所でボケてる。いや、天然ってわけじゃないんだけど・・・  
「そ、それじゃあ、皆にも見られてたり・・・」  
「・・・うん」  
ボッ、と効果音がしそうなくらい顔が真っ赤になっている。  
そんなカエデの髪を撫でてやって、耳元で囁く。  
「でも、今は俺しかいないから・・・な?」  
俺の言葉に、カエデは黙ってコクンと頷いた。  
 
カエデの緊張の糸を少しずつほどくように、はじめは軽く揉みしだく。  
時折ピクッと身を震わせる。  
「あっ・・・・ん・・・あぁっ」  
そうしているうちに、段々と乳首が堅くなってきた。  
「ひゃうっ!」  
乳首を軽く指でつまんだ瞬間、電撃が走ったかのようにカエデの身体が跳ねた。  
そんな、ものすごく敏感なカエデの反応が、俺をさらに昂ぶらせる。  
出来る限り痛みを感じさせないよう気を付けて、愛撫を続ける。  
指の腹で乳首をこねくり回したり、つまんでコリコリとしたりすると、特に反応が大きい。  
「ひあぁ!あっ・・・そこ、駄目ぇ・・・」  
普段のカエデからは想像できないような、甘ったるい声。  
それを聞いて、自然と俺の鼓動も高まっていた。  
カエデの意思の強さを物語ったような瞳も、今ではまるで酔ったようにとろんとしている。  
あるいは、酔っているのだろうか、初めて感じる快感に。  
 
既にカエデの息が荒くなっていて、十分に興奮している事を示していた。  
そろそろいいかな・・・。  
俺はそう思い、左手は胸を弄りつつ、右手を下半身へと動かしていった。  
そっと袴の帯を握り、ゆっくりとほどく。  
「え、あ・・・やっ・・・!」  
それに気づいたカエデが小さく抗議の声を上げて、己の顔を手で覆う。  
袴を下ろしてみると、白い下着と、それに負けないような白い柔肌が晒された。  
カエデらしい、飾らないシンプルな下着だ。  
肉付きがよくそれでいて細身の足が、健康的な色気を醸し出している。  
「ひあっ」  
俺が太股の辺りを指でなぞると、くすぐったそうに身をよじらせて反応した。  
カエデは落ち着かないのか恥ずかしいのか、足をもじもじさせている。  
 
「やめようか?」  
カエデが首を振った。  
「恥ずかしいのだが、その・・・」  
一旦言葉を切ってから、  
「ヨ、ヨハンになら・・見られてもよいから・・・」  
と、口元を微笑ませながら言った。  
今度は俺の顔が赤くなってしまう。  
 
太股から腰へ、腰から下着の辺りへ。  
指を滑らせ柔肌の感触を愉しみながら、下着の上からそっと秘裂をなぞった。  
その瞬間、俺の指の動きを見ていたカエデの身体がさっきよりも大きく跳ねた。  
「ひゃああ!そ、そんなところ・・・触っちゃ・・・」  
 
「ここは触った事はない?」  
指を行ったり来たりさせながら、俺は耳元で囁いた。  
「あ、あるわけな・・・ふぁ・・あっ!」  
下着の上からでも、じんわりと濡れているのが分かる。  
硬くなった陰核の辺りを強く刺激すると、一際大きい声を上げて反応した。  
「あっ!ひあ・・・んあぁ!」  
俺は指の動きを止め、下着に手をかけた。  
「脱がすよ・・・」  
不安の入り混じった表情をしているカエデに声をかける。  
恐る恐る頷いたのを確認すると、俺はするっと下着を脱がせた。  
 
丁寧に弄ったお陰で、秘部は愛液で十分濡れていた。  
中指で直接触れてみると、カエデがビクンと身体を震わせて反応する。  
くちゅっ・・・と、淫猥な音が耳に届く。  
秘裂から陰核にかけてを指でなぞっていると、愛液がさらに溢れてくる。  
「んっ・・・ふぁあ・・・あ・・・」  
俺は、なぞるだけだった中指を、膣内へと挿入した。  
「ひああっ!?」  
初めて感じる異物感に、カエデは驚きの声を上げた。  
そのまま中を掻き回すと、反応はどんどん強くなっていく。  
「何・・・これ・・・?ああっ!駄目・・・そんなに、動かさないでぇ・・・」  
人差し指も侵入させ、さらに膣内で動かす。  
「あ、あぁっ・・・やっ、ひんっ!」  
カエデの表情に戸惑いが浮かぶ。  
俺はゆっくりと指を引きぬいて、カエデの顔の前にやった。  
絶える事なく溢れる愛液がついて、キラキラと輝いている。  
指を開いてみると、ねっとりとした糸を引く。  
「こんなになってるよ、カエデのアソコ・・・」  
羞恥心を煽るように囁くと、カエデが涙ぐみながら顔を赤くした。  
「やっ・・・そんなこと言っちゃ・・・」  
初々しい反応を見せるカエデの髪を撫でて、俺は再び愛撫を始めた。  
 
わざと音を立てるようにして膣内の指を動かす。  
「音・・ふぁ・・立てない・・んっ・・で・・あぁっ」  
途切れ途切れに言葉を発して否定するが、逆にカエデは興奮しているようだ。  
あふれ出る蜜の量が、それを物語っている。  
 
陰核を触れると、それだけでカエデは身体を震わせる。本当に敏感だ。  
「はあぁっ・・・駄目、んあっ」  
二本の指の動きを加速させ、更なる刺激を与え続けていく。  
指の先を曲げて細かく動かしていた時、ある地点でカエデがビクンと跳ねた。  
「ひああぁっ!そ、そこ、駄目・・・あぁぁ!」  
俗に言うGスポットだ。  
俺はその場所を中心的に責めていく。  
「やあぁ!あ、んぅっ!そ、そんなに動か・・・ふぁあぁ!!」  
カエデの反応が激しくなってくる。絶頂に近づいている証拠だ。  
俺はカエデの身体を固定するように抱きしめながら、最後の仕上げとばかりにかき回す。  
「あっ!あぁ、んっ!な、何・・ふぁっ!変なの・・・きちゃ・・・ああぁ!」  
おそらく、彼女が感じる初めての絶頂。感覚に戸惑うのも無理はない。  
腰がなまめかしく動いていて、それがとても淫靡な動きだった。  
 
指の動きが激しさを増して、敏感な部分をさらに刺激した瞬間・・・  
「駄目、駄目ぇ!変なふうになっちゃ・・・あっ、んあぁ・・・ふぁああああ!!」  
カエデが嬌声を上げながら、大きく身を反らせた。  
息が荒くなり、まだ小刻みに身体が震えている。  
「はっ・・・!!・・・はぁ、はぁ・・あっ・・・はっ・・・」  
力が抜けたようで、ぐったりとして俺に全身を任せている。  
俺は指を膣内から引き抜き、カエデの口元へ持っていく。  
「・・・舐めてごらん」  
俺の声が届いたのかいないのか、指をパクっと咥えて舐めまわす。  
「んっ・・ふぅ・・・・ぴちゃ・・・」  
まるで猫か何かのように舐めるその姿が、とても可愛らしかった。  
指を顎に当ててこちらを向かせると、今度は互いの舌を絡めあう。  
「んむ・・・む・・・・はぁっ」  
絶頂の余韻が残るまま、俺はカエデを抱きしめる。  
 
「気分はどう?」  
まだ軽く意識が混濁しているカエデに聞いてみる。  
「頭が、ぼうっとして・・・さっきの・・・一体?」  
「イッたんだよ」  
「イッ・・・た?」  
何も知らないカエデに、分かるように説明しようと言葉を探す。  
「さっきみたいな感覚を「イク」って言うんだよ」  
「そう、か・・・」  
カエデは瞳を閉じて、俺の身体に横たわっている。  
俺はその身体をそっと抱き寄せて、それだけで何もしない。  
・・・とはいえ、俺も男だ。先程のカエデの姿に興奮したために  
男としての部分がむくりと首をあげていた。  
 
下半身の盛り上がりは気づかれていないらしい。  
カエデは、まだ少し息が荒いままだ。  
俺はここでやめておこうかと考えたが、欲望がそれを拒否した。  
「・・・続けるよ」  
それだけ告げると、カエデをそっと地面に寝かせた。  
俺は身体を動かし、自分の顔をカエデの秘裂へと近づける。  
「えっ・・・ちょ、どこを」  
カエデが言い終えるより早く、俺は舌先を秘裂にあてた。  
いまだあふれ出る愛液を舐めとりながら、少しずつ膣内へ侵入させていく。  
「あっ・・・や、何・・・舌・・・?あぁっ!」  
一回絶頂に達したためか、さっきよりも敏感に反応して身体を震わせる。  
「あっ、やっ・・・いいよぉ・・・ふぅっん・・・んああ!!」  
心ここにあらず、完璧に快楽の波に飲まれている所で、俺は舌を引き抜いた。  
「ん・・・なんで・・・」  
 
「・・・俺も、興奮しちゃってさ」  
俺がズボンをおろすと、既にいきり立ったモノが現れた。  
カエデははじめて見る男性の性器に、言葉をなくしている。  
「・・・駄目か?」  
俺の方も理性の限界に近い。  
戸惑い気味ではあったが、カエデは微笑みながらゆっくりうなずいた。  
「ヨハンに・・・捧げたいから・・・」  
俺の男としての何かが、ぞくぞくっとそそられた。  
痺れに近い感覚を覚えながら、カエデに覆い被さる。  
「辛くなったら言ってくれ。いつでもやめるからな」  
不安げなその顔を撫でるように頬に手を添え、微笑む。  
モノを秘裂にあてがいながら、気を紛らわせるために口付ける。  
 
先端から徐々に膣内へと沈んでいく。  
カエデはその巨大な異物感に快感と不安を覚えながら、俺を見上げていた。  
途中、かすかに感じる壁のような・・・感覚。  
「・・・行くよ」  
カエデがコクリとうなずいた時、俺はその膜を貫いた。  
「・・・・・・・〜〜〜〜〜〜ッ!!」  
声にならない悲鳴を上げる。  
動かすと、苦悶の表情が更に酷くなっていく。  
その表情が痛々しい。俺は、そのままゆっくりと引きぬいた。  
「・・・ぐすっ・・・うあぁ・・・」  
鳴咽を上げて、カエデが泣いた。  
とりあえず、俺はカエデを抱きしめる事しか出来なかった。  
 
やはり、その痛みには耐えられない様だ。仕方なく、俺は腰のポーチに手を入れる。  
取り出したのは、秘蔵の「おくすり」である。  
こいつには、ある回復薬と妖精の粉が混ぜられている。  
妖精の粉は通常、状態異常を回復するために使用される。  
だが・・・これは一部の戦士にのみ言われてきた秘密なのだが、もう一つの効果が存在するのだ。  
特定の薬品との混合により、痛覚の一時的な麻痺と、若干の興奮作用。  
・・・つまり、麻薬に近い効果を成すのである。  
古来から、戦士は戦闘中の痛みを忘れるためにこれを服用する、闇の利用法が存在していた。  
こいつを、口移しにカエデに飲ませる。  
「んっ・・・ごくり・・・何・・・今の・・・」  
「おくすり」  
とたんに、カエデの様子が変化した。  
 
「えっ・・何・・?あっ、やっ・・・」  
処女膜を破られた痛みを麻痺させ、同時に性的興奮も及ぼす。  
魔法のおくすりである。  
カエデが我慢できなそうに、脚をもじもじさせ始めた。  
「痛くないだろ?」  
微笑む俺に、カエデがどこか惚けた表情を返す。  
「ふぁ・・・あ・・・やだ、何かへ・・・んぅ」  
舌を絡ませながら、再度覆い被さる。  
それだけで、秘部から溢れる愛液の量は増えていた。  
全くもって薬とは恐ろしいものだ・・・  
「ヨハン・・・ぁっ・・・あはぁ!!」  
難なく膣内へ入れる事ができた。  
効果が十二分にでているらしく、カエデが明らかに快感を感じている。  
「・・・動い、てぇ・・・」  
自分から腰を動かしたいといったカエデを制しつつ、言われるままに腰を動かす。  
俺の耳に届くほど、その淫靡な音は響いた。  
しかも、締め付けがものすごい。  
「こりゃ、あんまり長く持たないかも・・・」  
短期決戦、俺は初回から早めに突いた。  
 
「あっ!あんっあっあっ・・・んはぁあ!!」  
締め付けが尋常じゃない。  
これは選択を誤ったかもしれない・・・少量でここまでの効果とは。  
ともかく、当初の目的通りカエデは痛みはなんら感じていない様だ。  
むしろ、今までよりも淫らに腰を振ってくる。  
「ヨハン、もっとぉ・・・ああっ!」  
カエデが俺のモノを求めて乱れている・・・そんな姿を見ているのが自分だけというのが不思議と俺を 
興奮させた。  
負けじと限界まで引き、一気に貫く。しゃくりあげる。小刻みに突く。  
そうして様々に突き方を変えることで、なんとかカエデを絶頂に導こうと努力している。  
「あはぁっ!それ、いいよっ!んっああ!」  
いつのまにか髪を結わいていた紐がほどけ、踝までありそうな髪が広がって揺れる。  
汗をかいているためべっとりと髪が肌についたその光景も、俺の性欲をかきたてる材料となった。  
「ヨハンっ、あんっ、あっあっ、もう、限界・・・だよぉ・・・はあぁぁ!!」  
「俺も限界・・・出すよ」  
最後の力を込めて、ラストスパートに入った。  
 
もし我慢していなければ、三回は出しただろうか。  
そのくらい、カエデの膣の締め付けと、その乱れ方は強かった。  
「あっ、んんっ!あはぁっ・・・!!ヨハ・・・ン!ふぁああ!」  
言葉が伝えられないくらい、互いに快楽の限界に来ている。  
確認代わりに一度口付けると、俺は溢れんばかりの白濁液を解放した。  
「あっ・・・ああっ!!ふぁ、ふぁああああああ!!!」  
一度目の絶頂と同じ。  
違う所があるなら、カエデが戸惑いではなく歓喜の表情になっていることと、俺も果てたこと。  
その嬌声を合図に、二度、三度と、俺のモノが爆ぜた。  
「うあっ・・・は・・・!」  
ずぅっと我慢していた故か、比較にならないほどの快感である。  
「あんっ!はっ・・・あああ!」  
その感触を感じてか感じてないか、カエデも同様に跳ねた。  
達してすぐのため互いに言葉もなく、息も荒いまま抱き合うことしができなかった。  
 
まあ、とはいえ俺も戦士として鍛えてるので、一発二発でどうにかなりはしない。  
これでも絶論、馬チンなんぞ目じゃないぜ!みたいな。  
・・・と、惚けたままの表情だったカエデが我に返り、ガバッとおきあがった。  
「ヨ、ヨハン!な、なんて物を飲ませてくれたのだ・・・!」  
頬を真っ赤にして怒るカエデの額に口付ける。  
「いいじゃん。あの時のカエデ、可愛かったぜ」  
「ば、馬鹿者!!そのようなことを言って、私をはぐらかそうとしても・・・んぅ!?」  
今度は唇を奪った。ついでに舌を入れ込むと、反抗しつつもカエデの瞳はとろんとなった。  
悪戯な笑みを浮かべつつ、唇を離す。  
「な、何をいきなりするのだ!」  
「ほら、そうやっていちいちうるさいと、また黙らしちまうぜ?」  
「ばっ・・・!んぐっ・・んふ・・ん・・・」  
こんなふうに、馬鹿なことしたり言い合ったりする時間っていいなあ・・・  
自分から舌を絡めてきたカエデを抱きしめつつ、俺は思った。  
願わくば、この時が永遠であるように、そしてこの女性(ひと)と共に道を歩むことを・・・  
「・・・カエデ」  
「ヨハン・・・」  
 
             「「もう、離れない・・・」」  
                                        了  
 

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