別次元の魔界。  
ラハール一行は、苦戦しながらも魔王プリエを倒すことに成功した。  
彼女の力は凄まじく、立って息をしているのは最早ラハールのみであったが、とにかく勝ちは勝ちである。  
倒れて呻いているプリエに向かい、ラハールは得意げに笑った。  
「別魔界だのと言っても、やはり俺様こそが真の魔王という訳だな。フフフ……」  
「……別に魔王なんて称号はどうでもいいけど、こんな手強い相手は久しぶりだったわ」  
「な、何!?」  
案外平気そうな顔で、プリエはむくりと身体を起こす。  
まだ抵抗するのかと、慌ててラハールは剣を抜く。が、彼女はふんと鼻で笑った。  
それから、妙にさばさばした様子でラハールを見つめる。  
「あ、どうせ負けたんだから今更じたばたしないわよ。で、どうするの?」  
「ど、どうするって……」  
「命令するなら聞いてあげるわ。あたし、借りとか作るの嫌いだから。ほら、言ってみなさいな」  
「むむ……」  
負けたくせに妙に強気なプリエに、ラハールも少々戸惑った様子だ。  
そうして、しばらく考え込んだ後。  
「よし、お前の身体で支払ってもらうことにしよう」  
「身体って……ガキンチョのクセに生意気なこと言うんじゃないの!」  
そう言うや否や、プリエは思いっきり拳でラハールの頭を殴りつけた。  
「な、何をする!?」  
何しろレベル2000である。その一撃は岩をも砕く程で、ラハールの頭には巨大なコブがこんもりと出来上がる。  
頭を押さえて、うずくまってしまった彼を見て、プリエも流石に気まずそうな顔をする。  
「……あ、ごめん。ちょっと昔のクセで」  
「む、昔のクセも何もあるか! 大体、俺様の部下として働けという意味であって、ガキンチョなどと言われる筋合いはない!」  
「え? そういう意味だったの?」  
「当たり前だ! それに、別の意味でもだな。俺様はもう立派な大人なのだから、やはりガキンチョなどと言われる筋合いはないぞ」  
「どうだか。あんた、どう見てもガキじゃない」  
あしらうような態度の彼女に、ラハールの怒りも蓄積されていく。  
 
「何を言うか。俺様はあらゆる意味でリッパな大人だ!」  
「だったら、確かめさせてもらうわよ?」  
「うむ。やってみろ……って、ちょっと待て!?」  
あっさりとラハールは押し倒される。彼女のレベルは2000で、ラハールは実のところまだ400程度。  
集団で袋叩きにして、辛うじて勝利したのだから、例えプリエが弱っていても力の差は歴然である。  
そのまま上にのしかかると、彼女はラハールのズボンに手をかけた。  
「お、おい、お前は何をするつもりだ、別次元の魔王!?」  
「プリエ。ちゃんと名前で呼んでよね」  
「そ、そういう問題ではなくてだな……」  
うろたえる少年魔王を余所に、少女の魔王は無理やり下半身を剥いていく。  
下着まで一気に引き剥がされると、ラハールのペニスがぽろんと飛び出した。  
「……って、しおれてるじゃない。やっぱりガキね」  
確かに、魔王と名乗るわりには情けないくらいだれているようだが。  
「う、うるさい! いきなり剥かれて勃起するほど俺様は鈍感ではないし、それに……」  
「それに? 何よ?」  
「お、俺様はだな……む、ムチムチな女はどうも苦手なのだ」  
「……ムチムチって」  
プリエの身体は、なかなかに豊満なものである。  
ラ・ピュセルだった頃でもそうだったし、魔王になってからはますます発達している気もする。  
ムチムチと言われて悪い気はしないが、そんなことを言ったラハールをプリエは気の毒そうな目で見下ろした。  
「あんた、それってやっぱりガキンチョってことでしょ」  
「ち、違う! これはたまたまであって、それとこれとは話が……」  
「……よし!」  
ラハールにのしかかったまま、彼女はぽんと手を打った。  
「じゃあ、あたしがあなたをちゃんとした性の道に連れ戻してあげる!」  
「違……な、何?」  
「光の聖女になる為に……って、まあ、それはともかく。迷える魂を導くのが、あたしの仕事だからね」  
「……魔王のクセに聖女とはどういう意味だ」  
「細かいことは気にしないの。それじゃ、光の聖女の名の下に、悔い改めなっさぁぁぁい!」  
「だ、だから……う、うわっ!?」  
 
「何よ、ちっとも元気にならないじゃない」  
左手でラハールを押さえつけたまま、プリエは彼のものを右手でしごく。  
くびれた部分を特に念入りに擦り、指先で撫で回したりもするのだが。  
「だ、だから俺様はムチムチ女は苦手と言っただろう!」  
ラハールのそれは、ちっとも反応しないのだ。  
「もう……失礼じゃない、あたしがこんなことやってるのに」  
「か、勝手に押し倒しておいてよくそんなことが言えるな」  
「身体で払えって言ったのはあんたでしょ」  
プリエも意地になってきて、指先の動きを早めていく。  
指先を絡めて見たり、あるいは軽く鈴口を刺激してみたり。  
色々と趣向を凝らしてラハールのペニスを刺激するのだが、やはり反応することはない。  
「あんた、ひょっとして病気?」  
手を止めて、疑わしそうな視線を送る。  
「ば、馬鹿者! これはその、ちょっとした手違いだ!」  
「だって、このあたしが手でやってあげてるってのに……それとも、手じゃまだ足りないの?」  
むう、とプリエは口をへの字に曲げて、身体の下のラハールを睨んだ。  
「……そもそも、こんな状況で勃起する方が不自然だろう」  
「生意気言っちゃって。あたしみたいないい女捕まえて、不自然も何もないわ」  
そうは言ってみたものの、やはりラハールのムチムチへの苦手意識はなかなか克服できないようだ。  
しばらく、プリエはその手で彼のペニスを弄んでいたものの、一息ついてから手を離す。  
「く……お、諦めたか?」  
「冗談。これでやめちゃったら納得いかないでしょ。こうなったら……」  
呟くと、彼女は胸の前で手を組む。そのまま瞳を閉じて、無心に祈り始めた。  
「女神様、女神様……ものすっごく久しぶりだけど、ちょっと力を貸して下さい……」  
すると、プリエとラハールの周囲になにやら神々しい光が立ち込める。  
「お。おい。こりゃ一体なんだ?」  
「黙って聞いてなさい」  
その光はやがて収縮し、魔王ラハールの身体へと吸い込まれていく。  
ラ・ピュセルが振るう浄化の力は、魔王となった今でも彼女に宿っているのだ。  
 
「ふふん……じゃ、ちゃんと勃たせなさい」  
「だから、俺様はお前のような女は苦手……な!?」  
プリエの言葉を聞いた途端、むくむくとラハールのペニスは起き上がってきた。  
しかも、自分のステータスを確認すると、名前の脇に『仲間になるかどうか迷っている』とまである。  
「こ、これは一体……おい、これはどういうことだ、別魔界の魔王!」  
「だからプリエって。名前で呼びなさいよ、えっと……」  
「ラハール様だ。お前こそ覚えておけ。で、なんなんだ?」  
「ふんふん。ラハールね、ラハール。ちゃんと覚えた。  
 ……何したかって、浄化したの。あんたがあたしの言うことを聞くように」  
「じょ、浄化だと!?」  
その言葉に、慌ててラハールは飛び起きようとする……が、プリエの力で押さえ込まれ、身動きは取れない。  
「お、俺様は魔王なのだぞ! それを浄化とは、なんて……」  
「まあまあ、いいじゃない。そのお陰で、ほら」  
今の今まで、ぴくりとも反応していなかったラハールのものは、この浄化の影響か、少しずつ力をみなぎらせ始めているようなのだ。  
少しずつ、ゆっくりと起き上がり始めたそれを、プリエは再び手に取る……と。  
「うっ……!」  
びく、とラハールは震えた。  
その反応を見て、プリエはにやっと笑うと、また優しくしごき始める。  
「くっ、う……や、やめ……」  
少年魔王の口から漏れたその声は、僅かに甲高く聞こえる。  
ようやく反応らしい反応を返したラハールを満足そうに見下ろして、プリエは段々指の動きを早くしていく。  
「ひっ……くっ……」  
口から漏れる声と共に、彼のペニスはどんどん固くなっていく。  
楽しそうに弄びながら、プリエは自らの胸をラハールの身体に押し付けた。  
「ほら、柔らかいでしょ」  
「う……むむ……」  
「ムチムチってのはね、悪いことじゃないんだから、あなたもちゃんと克服しなきゃ駄目なのよ」  
服の上からとはいえ、その柔らかい感触に、ようやくラハールの脳にちりちりとしたものが走り始める。  
やがて……先端から、先走りのぬるぬるとしたものが吐き出され始めると、そこでプリエは手を止めた。  
 
ようやく感じ始めていたというのに、プリエの指の動きは中断されてしまう。  
ラハールは少々不満を感じたのだが、それを口にするのがどうも悔しくて、ふいっと顔を背けた。  
「ん? どうしたの、急に」  
「う、うるさいっ。お前こそ、なんで止めたんだ?」  
その言葉を聞くと、彼女はにんまりと笑う。  
「何、続けて欲しいの?」  
「だ、誰がそんなことをっ!」  
慌てて叫ぶが、プリエはにやにやとしながら頷いているだけだ。  
「素直じゃないところがまだまだお子様なのよね。まあ、安心しなさいって。別に、終わりって訳じゃないんだから」  
「い、いや、終わっても一向に構わんのだが」  
「だから、素直になりなさいってば」  
言いながら、止めていた指を軽く動かし、ラハールのそれをしごく、と。  
「ぅあっ……う」  
彼は途端に悲鳴にも似た喘ぎを漏らしてしまい、悔しそうな顔でプリエを睨んだ。  
「ね? じゃ、もっと気持ちよくして、ちゃんと悔い改めさせてあげる」  
「や、やめろ……魔王としてのプライドというか、そういうのがだな……」  
「あたしだって魔王なんだから、いいじゃない」  
ラハールの言葉など気にもかけず、プリエはその体勢を変える。  
彼の上にのしかかったままなのは変わらないが、その顔は彼の下半身の方を向く。  
そして、ゆっくりと身体を倒し。プリエは、右手で握ったままのラハールのペニスに軽く口付けた。  
「ひぅっ」  
また、ラハールはびくんと大げさに身体を震わせる。  
敏感になっているのだろう、プリエの唇が触れただけでも軽い電撃のようなショックが身体を走った。  
「ふふん、可愛い反応してくれるわね。それじゃ、光の聖女の名の下に……」  
「さっきから、魔王のクセに聖女だとかなんとか……く、うわっ!」  
はむ、と。  
プリエは、ごく自然に、ごくあっさりと、ラハールのペニスを口に含む。  
 
「ひぁっ……く、う……」  
ラハールの口からは、外見に見合った少し甲高い声が漏れる。  
男性、というよりは男の子、と言った方が似合う外見だけに、その声も状況には相応しい。  
しかし、本人にしてみればそんな声を漏らすこと自体が極めて不本意なようだ。  
「うぐぐ……お前……じゃなくて、プリエ! こんなことをして俺様が黙っているとでも……」  
「むぎゅ?」  
呼びかけられても、何しろラハールのそれを口にしているだけに声が出ない。  
結局、プリエは構わずに口の中のペニスに舌を這わせてみた。  
「うぁぁっ!」  
案の定、大げさに身体をびくつかせて、ラハールは反応する。  
「んふふふ……」  
それを見て、プリエもますます得意そうに笑う。  
そのまま舌を動かし、くびれの辺りをちろちろと舐め、刺激を続ける。  
「ぅっ……あ……や、やめ……ひっ……」  
魔王として威張り散らす姿とは程遠い、なんとも情けない声でラハールはその刺激に喘ぐ。  
これがエトナやフロンだったのなら、さぞかしからかわれもしたのだろうが。  
幸いというかなんというか。プリエは普段の彼をまだ知らない。  
それでも、先ほどまで拳を交えていた相手を翻弄するのはある種楽しいのだろう、彼女はますます念入りに舌を動かす。  
「き、貴様、こ、後悔することになる……ふぁっ」  
裏側の筋の部分を舐めてみた。それだけで、ラハールの言葉は中断させられてしまう。  
先ほどから少しずつ染み出してきた先走りも舐め取って、プリエは積極的に彼のペニスを舐め尽した。  
「くぅ……う、あ……」  
ぴくぴくとラハールの身体が痙攣する。  
それと同時に、プリエの口の中のペニスも大きくなってきて、僅かに痙攣を始めて……精を吐き出そうとしている、が。  
「……く、くそ、駄目だ、出――」  
「んっ」  
その瞬間、プリエはぐっとラハールの根元を掴み、その管を押さえる。  
 
「うぐっ!?」  
吐き出す寸前でせき止められ、びくっ、びくっとペニスは脈打った。  
痙攣して白い精を吐き出そうとするのだが、プリエの指はしっかりと根元を押さえて体内に精を押し戻させる。  
「ひっ……うぁぁ、あっ、あっ……!」  
「んんっ」  
その辺りで彼女は口を離したが、まだラハールは震えている。  
しばらく、本当に苦しそうな顔をする彼をプリエは楽しそうに見つめていた。  
 
やがて、射精しようとする勢いも衰えて、ラハールは一息ついた。  
「くう……」  
「よしよし、ちゃんと我慢したわね」  
それを見てプリエもようやくペニスを押さえていた指を離す。  
と、白い液が飛び出るが、本格的な射精の波は収まっている為に僅かにしか漏れない。  
「が、我慢したのではない! お前が無理やり……」  
「誉めてあげたのに、もう。我がままなんだから」  
「い、いい加減にしてくれ……」  
流石にぐったりとして、ラハールはそんなことを呟いた。のだが。  
「まだまだ。ちゃんとあなたを正しい性に目覚めさせてあげないと」  
「お、俺様はもう十分目覚めたんだが」  
「自分で判断できる訳ないでしょ。それに、あたしだってね……」  
そっと、プリエは身に纏っている魔王の衣を脱いでいく。  
元々、身体のラインが出るようなデザインだったが、実際に脱いでその肌を晒すとなるとまた別物のようだ。  
豊かな膨らみに、艶やかで白い肌。一見すると魔界を制覇した魔王とは思えない程に、その素肌は美しい。  
「……む、むむ」  
思わず、ムチムチは苦手だと自他ともに認めているはずのラハールも息を呑む。  
 
「い、いやいや。ちょっと待て。なんでお前が脱ぐ必要がある」  
「わかんないかなー。ほら」  
プリエの手は、自らの秘所に向かって伸びた。  
それにつられてラハールの目もそこに向かう、と。  
「んっ……ふふ……」  
くちゅくちゅと、そこはもう十分過ぎる程に潤っている。  
「戦ってると、なんだか凄く興奮しちゃって……それに、あんた達ってばすっごく強かったから。  
 ま、それにちゃんと悔い改めさせるには、きちんと最後までやらないと駄目だからね」  
「……あ、い、いや、俺様は別に、そこまでしてもらう必要は感じな」  
鉄拳一閃。  
「何か言った?」  
「い、言ってない……と、思う……」  
また頭を抱えてうずくまり、今度は涙ぐんでいるラハールに、プリエはうんうんと頷いた。  
「そうそう。ちゃんと年上の言うことは聞かないと」  
「ぐぐ……こ、これが、魔王としての正しい姿……なのか?」  
暴力で言うことを聞かせるのは、考えてみれば確かに魔王としては正しいのかもしれない。  
「……俺様もまだまだ修行が足りんということか」  
何やら感慨に耽っているラハールに、プリエはまた近づいた。  
「さて、と。おりゃ」  
軽く言って、とん、と肩に手を置く。  
「うん? って、うわっ」  
声は軽いのだが、手にかかる力は大きく、すぐにラハールは押し倒されてしまう。  
そうして仰向けになった彼をまたいで、プリエはゆっくりと腰の位置を動かしていく。  
「う……ま、待て! お、お前本当に……」  
「だーかーら、ちゃんとやるって言ったじゃないの。あんまりしつこいとまた浄化するわよ?」  
「じょ、浄化はやめろ……」  
「それならいいでしょ。もう、あんまり我がまま言ってると、大きくなれないよ?」  
「う、うるさい! 背のことは言うな!」  
構わずに、彼女はラハールのペニスを掴むと、そこに自らの秘所を合わせる。  
そして……またゆっくりと、その腰を下ろしていった。  
 
くちゅ、と小さな音と共に、ラハールのものはプリエの中に呑み込まれていく。  
「んっ……!」  
あれだけ強気に出ていた割には、プリエ自身の経験はそれほどでもないらしく、中に受け入れる時の抵抗は激しい。  
もっとも、それがかえって強い衝撃を身体で受けることになり、彼女は少しだけ苦しそうではあるものの満足げに呑みこむ。  
「う、うああっ!」  
一方のラハールは、もう悪態をつく余裕もなくなっているようだ。  
彼に比べればプリエは大人の女性なのだろうが、それでも彼女の膣内はひどくきつい。  
魔王といってもまだまだ未熟なラハールに、そんなに豊富な経験がある訳でもなく。  
強すぎる締め付けに、細く高い声で喘ぐだけとなってしまう。  
「く……うんっ……」  
そして、じゅぷじゅぷとプリエの膣口はラハールを呑み込み、その半分ほどを収めるまでになった。  
そこまで来て、一旦彼女は腰を止めると――  
「行くわよ……」  
「ぅく……な、何……がっ!?」  
ずっ、と。一気に、勢いに任せて体を落下させた。  
急激にペニスは呑みこまれ、その衝撃でプリエの奥を突き上げる。  
「んあっ!」  
「ひっ……」  
体格に比べれば、ラハールのペニスは大きく、プリエの奥にもどうにか届いた。  
軽く全身を揺さぶられるような衝撃が走って、彼女もたまらない吐息を漏らす。  
それと同時に膣内では侵入者に向かって肉襞が包み込むように動き、激しく抵抗して締め付ける。  
抵抗しているはずなのに、その動きは奥へと引き込むようで、ラハールには大変な快感がもたらされた。  
「うわ……う、ぐ、な、こ、こんな……!」  
「ん……う……」  
プリエは胎内にあるものの固さに満足そうにしているのだが、入れているラハールは言葉を発することさえ覚束ない。  
「こ、こんな……こんなことが……」  
ぱくぱくと口を開閉させて、自分の上にまたがっているプリエをただ見つめる。  
 
「ん……うん、なかなかじゃない。あたしには強さじゃ及ばないけど、魔王を名乗るだけのことはあるわね」  
「お、お前は……くぁっ……」  
反論しようにも、うねうねと絡み付いてくるプリエの襞のせいで言葉が出ない。  
ほんの少しでも動けば、すぐにでも暴発してしまいそうなほど、ラハールの性感は高められている。  
それだと言うのに、プリエは。  
「それじゃ、そろそろ動いてもいい?」  
「な、ま、まだ、俺様は、うご……」  
「……情けないわねー」  
歯を食いしばってまで耐えているラハールを見下ろし、はぁ、とため息をついた。  
「すぐ出ちゃいそう?」  
最早恥も外聞もなく、ラハールはぶんぶんと首を縦に振る。  
そんな動きだけでもまたプリエの胎内のペニスが震え、そして電撃のような快感が彼に駆け巡る。  
「ひぅっ!」  
「仕方ないなあ……じゃ、ちょっと我慢しなさい?」  
そう言いながら、彼女はその指先をラハールの胸の上に置いた。  
そして、次の瞬間。  
「……はぁぁっ!」  
裂帛の気合と共に、少年魔王の身体の上を凄まじい速さで指が駆け巡る。  
一見すると単に撫でているようにしか見えないのだが、実際は極めて細かい動きで身体のあちこちを突いているのだ。  
「お、おい、何をしている?」  
あまりの速さの為、突かれているラハールにも何が起こっているのか理解できていない。  
「ふう……うん、これでいいわ」  
ふう、とプリエは軽く息をつく。  
取り残されたラハールは、また不服そうな表情でそんな彼女を見上げた。  
「だから、何をしたと聞いているのだ」  
「何って、ねえ」  
困った顔でプリエは少し考え込む。  
「まあ、実際にやってみるのが一番早いでしょ。それじゃ、しっかり味わってもらうからね」  
「だ、だからお前は何をしたと聞いてっ……ぅあっ!?」  
 
プリエの両腕は、ラハールの胸板に置かれて彼女の身体を支えている。  
そうやって不安定な態勢を固定しながら、彼女は――腰を上げて、ずぷずぷと胎内からペニスを抜いていく。  
「う、うくっ!」  
抜いていく時の感触が、またラハールに激しい快感をもたらす。  
ぴちゃぴちゃと、今までつながっていた部分からプリエの愛液が流れ出て、更に周りを濡らしていく。  
そして、完全に抜ける寸前まで腰を上げると、再び――  
「はぁ……んっ」  
ずん、と一気に身体を落とし、奥の奥まで呑みこむ。  
それだけでは収まらず、この上下動をプリエは勢いよく繰り返し始めた。  
「ん、いいわっ、くぅっ……ん、はぁっ」  
ずちゅ、ずちゅ、と繋がる音は大きくなる。  
「う、うああああっ! や、やめ……こ、壊れるっ……ひ、うあっ」  
その動きは、あれだけ敏感になっていたラハールにあっさりと限界を突破させるだけの快感を与えた。  
もう一度、プリエの腰がずっ、と落ちたところで、彼のペニスはぴくぴくと震え、膨張し、精を――  
「くそっ……くそ、ま、また……出っ、出……」  
「それが、無理なのよね」  
「……な、何!?」  
吐き出そうと、びく、びくっと大きく痙攣する、のに。  
「ぐうっ!? な、何故だっ……!?」  
激しい快感でもうとっくに限界は超えているはずなのに、一向にラハールのそれは精を吐き出さないのだ。  
「けいらくひこう……本来は人体にある無数の秘孔を突くことで、毒とか麻痺を治す技、なんだけどね。  
 魔界に潜って、色んな奴を相手に実験して……一子相伝の殺人拳ってくらいに改良したの」  
「……人体実験って、またお前もえげつない真似をしているな。ある意味尊敬するくらい立派な魔王だ」  
三度目の鉄拳制裁。  
「……ま。そんな理由で、ちょっとあんたの秘孔をついて……どうやっても射精しないようにした訳。  
 これなら、そう簡単にはあんたも出さないでしょうし、あたしも楽しめるからね」  
そう言われても、肝心のラハールは三重に出来たコブを抱えて言葉もないくらいに痛みで悶えているのだが。  
 
「ちょっと、聞いてるの!?」  
「……き、聞かせないようにしたのはどこの誰だ」  
「もう、そんな態度ならこっちで勝手に楽しませてもらうからね」  
「だ、ちょ、ちょっと待て……って、お前という奴……わぁっ!?」  
言葉通りに、プリエはじゅぷじゅぷと腰を動かし始めた。  
「ん、はぁっ……結構、固くてっ……ん、いいじゃないっ」  
瞳を閉じて、彼女は満足そうに胎内のラハールを噛み締めている。  
秘孔の影響か、彼のペニスはどんどん固くなって鉄の棒のように鋭くプリエの膣内を貫き、子宮口にまで届くほどだ。  
「ひ、ぐうっ……あ、あああっ、やっ……やめ、やめっ……!」  
一方で、翻弄されるラハールはまったくたまったものではない。  
限界などとっくに突破して、人知を超えたような快感が走っているというのに、射精だけは出来ないのだから。  
先走りのどろりとした粘液は出ていくが、肝心の精はどこかに閉じ込められているかのようにこみ上げてこない。  
「あ……ん、いいわ、ラハール……ん、あたしも気持ちいい……」  
上のプリエは存分にラハールの熱く硬いものを味わって、心地良さそうに身体全体で堪能している。  
じゅぷじゅぷ、と繋がっている場所からはとろっとしたものが流れ出て、二人の接合部をぐちゃぐちゃにとろけさせていく。  
「だっ……出させて、くれっ……く、ぐうっ!」  
プリエの膣内は、激しい抵抗とともに複雑な動きでラハールを歓待する。  
内部は外に漏れ出す以上の愛液と先走りで充分以上に潤っており、出し入れも随分スムーズになった。  
それがますますラハールにも強い快感を与えるのだが、今の彼のペニスはただ硬く、熱くなるだけの棒である。  
プリエにとっては、それがいつまでも硬いままで、自分の肉を抉り、貫くのは都合のいい話だ。  
しかし、ラハールには凄まじい快感が、終わり無い悪夢となって責め立てて来る。  
ほとんど一方的にプリエはラハールのペニスを貪り、上に乗ったままでぐっちゅ、ぐっちゅと動き続ける。  
 
「あ、んぁっ、くっ。ん、そろそろっ……あたしも、いい、かなっ……!」  
自分だけで動いていたせいか、プリエが高まるのには少々時間がかかった。  
もう、ラハールは果ての無い快感に意識を飛ばしかけ、朦朧としてしまっている。  
だから、そろそろと言われても反応のしようがない、のだが。  
 
「……じゃ、あんたももう終わりにしてあげるから」  
「え……う、ぐ……ひっ……く」  
言葉にならない反応を返すラハールに、プリエは軽くため息をつく。  
そして。  
「……ふぅっ!」  
勢いをつけて、ずちゅっと膣内のペニスを抜いていき――  
完全に抜ける、その寸前で一瞬止まる。それと同時に、彼女は右手をラハールの額に置いた。  
「よしっ……光の聖女の名の下にっ!」  
人差し指を、彼の額の真ん中に突き立てる――と、同時に。  
「うあぁっ!!」  
ず、ぐちゅうっ……今までで一番深く、強く、自らの胎内にラハールを呑みこむ。  
「あ……あ、な、あっ……ぐおっ!?」  
ラハールも、プリエの突いた秘孔によってようやく射精の封印から逃れることが出来て――  
ぴゅるっ……ぴゅ、ぴゅるるるるるるっ!  
「あ……あ、あ……う、あ……」  
うめき声と共に、凄まじい量の精液をプリエの膣内へ、子宮口へと浴びせかける。  
「ふふ……沢山ね、すっごく……」  
実に満足そうにそれを受け取って、彼女は目を閉じて微笑む。  
びゅっ……びゅる、びゅ……  
繋がっている場所から白く濁った液体があふれ出しても、まだラハールの射精は止まる気配はなかった。  
 
「むう……う、うむむ……」  
精液の勢いが止まるとともに、ラハールは目を覚ます。  
「はぁ……ん、あたしも満足……」  
「……え?」  
そこで、ようやく自分の置かれている状況を思い出し、ラハールはひどく慌てて身をよじった。  
 
「ぐ、こ、こら! さっさとどかんか、貴様!」  
「……もうちょっとムードってものを大切にしてもらいたいんだけど。  
 ま、ガキンチョだから仕方ないかな」  
「だからガキンチョと言うなと何度言えば分かる!」  
がなり立てるラハールの顔は、また随分と紅くなっているようだが。  
「あれ、照れてる?」  
「う、ううううるさい!」  
「ホントにガキなんだから……はいはい。ほら、どけるわよ」  
やれやれと大げさにため息をつくと、プリエはこぽ……と小さく音を立ててラハールのペニスを抜いた。  
すっかり力を失って、最初の時よりもだらりと垂れ下がってしまっている。  
それでも、精液と愛液、諸々の体液でどろどろに汚れたそれは、最初の時よりもある意味大人と言えなくも無い。  
「ふう……う、ん……」  
それと共に、プリエは下腹部に手をあてて、ぴくりと身体を痙攣させた。  
すると、今しがたラハールのものを抜いた場所から、どろどろとした白い粘液が零れ落ちてくる。  
「ほら、こんなに出ちゃったんだから」  
「そ、それはお前があんなことを……」  
「それでも、さ」  
ラハールの言葉を途中で遮って、プリエはぐいっと顔を彼に近づけた。  
「な、何だ?」  
「ふふん……」  
更に、上半身ごとのしかかり――その乳房を、ラハールに押し付ける。  
「うぉっ!? ……って、あれ?」  
「どう? まだ苦手?」  
「あ……う、うむ……」  
少しだけ驚いたようだったが、前ほどにはうろたえないですむ。  
「……一応、ある程度は、その……克服できた、ようだな」  
「ほらっ。あたしのお陰でしょ?」  
 
「それはそうなのだろうが、お前な……」  
「へへ、やっぱりあたしが一番っ。うんうんっ」  
何が楽しいのやら、プリエはまったく愉快そうに満面の笑みを浮かべている。  
「……れ、礼は言わんぞ。お前が勝手にやったんだからな」  
「あら。どんな理由があっても、いいことをされたらお礼を言うのは当たり前でしょ。  
 ほら、ちゃんと言いなさい、ありがとうって」  
「……ば、馬鹿者! 魔王がありがとうなどと言えるものか!  
 だ、大体、俺様はそういう言葉……前向きな言葉なんかは、その、苦手なのだ!」  
「へえええ。苦手、ね」  
そう言ったプリエの瞳がきらりと輝いたのを、ラハールはしっかり見てしまった。  
思わず、彼女から遠ざかろうとじたばた足掻く――が、例によってしっかりと身体を固定されている。  
「それじゃ……そっちも克服させてあげようかな」  
「ひっ……必要ない! と、というか、そろそろ俺様は夕食の時間だから城に帰らねば――」  
ラハールの首根っこが、ぐい、と掴まれる。  
「……逃がさないわよ?」  
にっこりと笑って、プリエはラハールを見つめた。もとい睨んだ。  
「た……助け……」  
「魔王が人に助けを求めちゃ駄目よ。その辺りも、先輩魔王としてしっかり教育してあげないと」  
凄まじく泣きたい気分になるラハールに対して、プリエはどこか別の方向への情熱を燃やす。  
「よし! 光の聖女になるために! 迷える魔王の魂を、しっかり地獄の果てまで導いてやるわ!  
 覚悟しなさい、魔王ラハール……光の聖女の、名の下に!」  
「エ……エトナ! フロン! ゴードン! ジェニファー! サーズディ! カーチス!  
 誰でもいいから俺様を助けろぉぉ!」  
別次元の魔界の、霊素と闇の地場溢れる聖域に――  
魔王の孤独な魂の叫びが、誰にも届かないというのに響き渡ったとか渡らなかったとか。  
 

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