「ところでラハール様、えっちの経験はおありですか?」
「んぐっ!? ぐっ――んんっ―んぐっ!?」
「あらあら……はいどうぞ、お茶です」
「んぐんぐ―ぷはっ!! ……いきなり何を言うかっ!! 危うく親父と同じ運命を――」
「よく噛まないとだめですよ〜」
「……もうよい。で、何なのだ?」
「はい。ですからラハール様はえっちの経験がおありですか、と」
「優雅なてぃーたいむに相応しくない話題だな」
「ふと気になったもので」
「何ゆえお前にそんなことを言わねばならんのだ……」
「お言葉ですがラハール様。この魔界を統治する者とあらばいかなる点においても不備があってはいけ
ないのです」
「う、うむ」
「日頃の貴方のの行動を見ているとどうにもそっちの方面は疎いのではないかと思いまして」
「そ、そんなことは―」
「夜魔族や猫娘族の娘には相変わらず弱いですし」
「あれはあいつらの格好が破廉恥すぎるのだっ!! 奴等には羞恥心がないのかと小一時間―」
「ラハール様の方が露出激しいですけどね」
「ぐっ……」
「……やはりラハール様は経験は無いのですね?」
「ふん」
「……解りました、ここは私が一肌脱ぎましょう」
「なに?」
「私がラハール様を男にして差し上げます」
「……なっ!?」
「お気になさらずに。魔王の側近としての役目ですから……決して『役得役得♪』なんて思っていませ
んので」
「待て待て待てっ!! 勝手に話を進めるなっ!!」
「それでは、ラハール様はこれから『童貞魔王』と呼ばれてもいいんですか?」
「……意味は良く解らんが……すごく不名誉で不愉快な気がするのだが」
「そうでしょうそうでしょう。やはりこの辺りで私がふでおろしを……」
「し、しかし」
「あら、そんなに照れないでくださいな。私まで恥ずかしくなってしまいますから」
「うぅぅ……」
「まぁ……何を隠そう私も初めてですが……一通りの知識は持っていますのでご心配なく」
「……」
「それでは寝室の方に行きましょうか♪」
「……もう好きにしてくれ」