管理者ダングダングは喰世王に恭しく囁いた。
「グシシ、天地万物森羅万象を喰らう偉大なる王よ。畏れながらも注進しんぜまする」
喰世王はさも面倒だと言う風に答える。
「今、忙しいんだ。後にしてくれないかな」
喰世王は戯れの最中であった。
街から器量の良い娘をさらい、畜生に犯させる遊び。
羽をもがれたワーウィンがグリフィンに犯されている。
足を切られた踊り子が犬に犯されている。
歯を抜かれ口蓋を縫い合わされた吟憂詩人がレッドフォットに犯されている。
他にも無数の、抗う四肢すら奪われた女達が、ただただ為されるがままに犯されている。
謁見の間全てが肉欲の渦に満たされていた。
時折女を犯すのを止めて、雄達が群れる時がある。
力尽きたり舌を噛み切ったりして死んだ、女の死体を喰っているのだ。
「つまらないなぁ……」
喰世王は犯されている女に近寄り、黒き剣を振るう。
女の腕が、二の腕から斬れ飛んだ。
何が起こったのか解らないといった顔をしていた女が、徐々に痛みを理解し、悲鳴をあげようとした。
「うるさいから騒がないでね。殺すよ?」
喰世王は女の腕を拾って、一口食べた。
「貴女、なかなかおいしいよ、アハハ。ほら、楽しそうにしてよ。もっと感じて。でないと殺すよ」
女は腕の切り口からドロドロと血を流し、精一杯声を張ろうとするが、見る間に弱っていった。
集まって来た雄達が、まだ意識のある女を力任せに引き千切り、ムシャムシャと食べる。
あまりに力任せに肉を千切るせいで、血煙が上がり、喰世王の服に血の染みが付いた。
「汚いなぁ」
黒き剣が長大な邪気を纏い、城の部屋の大半毎、雄達を消滅させた。
「つまらない……」
喰世王は女の腕の肉を食みながら、ダングダングに言った。
「ねぇ、さっき何か言ってたでしょう?」
ダングダングは修羅の如き喰世王にさも嬉しそうな笑みを向け、地鳴りのような声でいった。
「ええ、申し上げまする喰世王閣下よ。実は先ほど、ついに緋涙晶が十分量精製仕りました。つきましては、別世への門戸が開通致しました」
「じゃあ、別の世界へ行けるってこと?」
「まさしく。グシシシ」
喰世王はダングダングに女の腕を放りやり、口角の血を拭った。
「いいねぇ……」
続く?