「俺様は超魔王なのだぞ?魔界の全てを統べる者なのだ!それなのに貴様らは…」  
「イヤっスー」  
「めんどくさいっスー」  
「ムリっスー」  
「き、きさまらぁ…」  
あーあ。またやってるよ。元々でん…陛下って悪魔の上に立って言うこと聞かせるタイプじゃないもんね。  
自分が強けりゃそれで良いってヤツ。魔界の王なんだからそれだけで良いのに、わざわざ言うこと聞かせようとするから…  
「ストッス!」  
「今回もプリニー神様辺りに立って貰えるよう、頼みに行くッス」  
「待て!貴様ら!」  
陛下の事だから負ける事は無いんだろーけど、そろそろうんざりしてそーだよね。  
…そういえば最近戦いらしい戦いもしてないし、陛下はどこでストレス発散してんだろ? それに前なら先にプリニー投げてた筈じゃないかな?うーん…  
 
あ、因みに僕エトナ様の弟子です。性別職業は不詳で。  
 
「アンタ何やってんの?」  
「あ、エトナ様」  
「あーあ。また陛下が拗ねちゃってる」  
「宥めなくていいんですか?不機嫌になって厄介事に…」  
「大丈夫じゃない?慰めるのはあたしの役目じゃないし」  
「大丈夫なんですか?」  
「うん。多分ね。あの子が居るし」  
「…?」  
「知りたいんだったら、アンタはあたしのお気に入りだから特別に教えたげるわよ?」  
「え、何がですか?」  
「はい、コレ」  
…魔王城の地図?  
「それをネタに使って良いのはあたしだけだから。じゃあね〜」  
「エ、エトナ様?」  
…行っちゃった。相変わらず謎な人だな。  
コレ、地図は地図だけど裏道マップみたい。赤○が付いてるけどここへ行けって事なのかな?うーん…  
 
まあ行かないワケには行かないよね!  
 
うわ…天井裏って時代劇みたい。僕の部屋にも繋がってたって事は、エトナ様に隠し事は出来ないな…  
大体この辺…誰の部屋だったか…結構遅い時間だし、もしかして陛下はこっそり会いに行ってるのかな?  
 
「はーい」  
あれ、ここはフロンさんの部屋?じゃあ今のノックが?  
「…邪魔しに来たぞ」  
「あ、ラハールさん。また何かあったんですか?」  
またって事は…間違いないみたい。  
「家来共がまた言うことを聞かんのだ。いい加減相手するのも疲れてきてな…」  
 
へえ…陛下でも愚痴を言ったりするんだ。なんだかんだ言っても苦労悪魔らしいし、色々大変なんだろうな。もう先代もお母様も居ないんだから相談相手が欲しいのは解るけど。  
うーん…確かにフロンさんならちゃんと聞いてくれる気はするね。いっそのこと王妃にしちゃえば良いのに。  
まあ、魔界一の奥手で有名だもんね。陛下。  
 
「じゃあ、元気づけてあげましょうか?」  
「元気づける?」  
「はい!愛を沢山あげます!」  
普通の男だったら勘違いしそうだね。  
「愛は要らん!」  
「え〜…」  
「…だが、お前なら貰ってやらん事も無いぞ」  
…あれ、ちょっと予想外の展開かも。って言うかそれって普通の意味だと誤解されるよ?  
 
「…ちゅ」  
あ、ほっぺだ。  
「い、いきなり過ぎるだろう!」  
「だって、良いって言ったじゃないですか」  
「…むぅ」  
あっちから押されたら陛下は一発で落ちちゃうね。こういう時は完全に受け身だったりするんだ。  
相手がフロンさんなのもあるんだろうけど…  
「お口でも良いですか?」  
「わ!待て!それは…」  
「それは?」  
「それは…流石に俺様からしてやる」  
 
「ん…」  
…されてる時のフロンさんの顔、幸せそうだなー。陛下は半分緊張してるみたい。確かにここを写真にするとネタになっちゃうよね。  
「…ごちそうさまでした」  
「う…む…」  
…フロンさん、可愛いー。  
 
まだまだ色々なトコ見せてくれないかな?陛下の反応が面白くて仕方ないよ。  
 
 
…膝枕だ。フロンさんってこういうの平気でするんだね。陛下にぴったりだ。  
「あまり怒っちゃダメですよ?やっぱり愛が大事なんです」  
「これでも最近少しは頑張っているのだがな…」  
「まだ足りません!もっと私を見習って下さい!」  
「むう…厳しいな」  
「…その代わり、頑張った分だけ私がご褒美になりますから…」  
「…ああ」  
陛下も落ち着いたモンだね。魔王になって大分だし。フロンさんに魔界の平和が掛かってるみたいだ。  
 
こう見てるとフロンさんがお母さんみたいだな。甘やかしてばっかりじゃないけど、今は甘えさせるだけ甘えさせてるね。頭撫でたり、膝をあんまり動かさないように気を使ったりしてる。きっとフロンさんは良いお嫁さんになるなぁ…  
ちょっと陛下に勿体無いくらい。  
 
「…ラハールさん?」  
「?」  
「…一緒に寝ましょうか?」  
そ、そこまでやってたの?…完璧に嫁じゃん。キスして膝枕して、陛下ってバカップル志望だったんだね…  
「…意味を解って言ってるのか?」  
「…はい。もう痛くないですから。ちょっと苦しい時はありますけど…」  
「…止めておけ。いつもお前が辛そうだ」  
「悪魔なんですから気にしないで下さい」  
「む…」  
「それにラハールさん、優しいですから…」  
「っ!」  
 
流石に顔が赤いね。二人とも。見た目だけで言うと僕達より年下に見えるのに。  
…いつのまにこんな風になってたのかな。予測は出来てたんだけどね。  
 
ん?待てよ。本当にそこまで進んでるなら…その内フロンさんが次の魔王を…  
 
いや、今は考えないでおこう。せっかくなんだし、しっかり見なきゃ。  
 
 
服の脱ぎ方は皆の夢を壊しそうだから省略ね。陛下とフロンさんは羽だけ残るんだけど。  
 
ベッドで先に待ってるのは…フロンさんか。思ったより緊張してないみたい。ちょっと顔が赤いだけだね。  
陛下の方はなんか…少し遠慮してるって言うか…  
「…入るぞ」  
「どうぞ♪」  
「い、いちいち返事をするな!」  
「ラハールさんが言ったんじゃないですか?」  
「それは…俺様も一応…」  
「…優しいんですね」  
「ば、馬鹿者!」  
いーかんじに、フロンさんが緊張を解いてるって気がするね。僕は。  
さっきの話し方じゃ、フロンさんだって余裕が無くなる筈なのに。男の子なんだから陛下がもっと頑張らないと。  
「…もう一回、お口にして貰えますか?」  
「…ああ」  
 
…今度は長いね。やっぱりフロンさんも不安なのかな?  
 
「…んっ!」  
あれ、ベッドの中が動いてる。陛下が…かな?フロンさんの体がドストライクなのは知ってるけど…  
「ラ、ラハールさんのいじわる…」  
「生意気ばかり言うお前が悪いのだ」  
「お、お胸は弱いんです!それにまだ育ち盛りだから敏感で…」  
「何!成長してるのか?!」  
「え?それは…に、人間界じゃ男の人に触られると大きくなるって聞いた事があります」  
「む…ならば控えねばならんな」  
フロンさんの体でムチムチはまず無いと思いますよ陛下。まあ確かに、せっかく好みの体なんだから崩れて欲しくないのは解るけど。  
単純にフロンさんは胸が弱いんだな…フムフム…  
「も、揉まなきゃ良いんです」  
「どういう事だ?」  
「もっとこう…上手に…」  
鍛錬ですね。陛下。応援してます。  
 
あ…シーツが取れちゃった。これでまえより見えるかな?  
 
「は、恥ずかしいですよ…」  
「…俺様は、好きだ」  
「ふっ…ふぇ?」  
「その…お前の体も好きなのだから、恥ずかしがらなくても良いのだ」  
…陛下も言うようになったね。こんなところで覗きながら感心してる僕は最低かも知れないけど。  
フロンさんの体…本当に綺麗だよ?肌は柔らかそうだし、ちっちゃくてもちゃんとおっぱいって感じがするし。見た目は陛下も子供なんだから、バランスはちょうど良いんじゃないかな?  
なんか子供同士のいけない遊びを見てるみたいだ。  
「…う〜」  
「ダメなのか?」  
「…良いです。ラハールさんですから」  
 
 
あ、また触ってる。フロンさんって本当可愛い声してるね。それに色気が入っちゃうんだから、魅力的な人だと思う。この良さ、陛下には解らないだろうな。  
「ら、ラハールさんは…」  
「む?」  
「私のおっぱい好きですよね?」  
「な、何を言っているのだ!」  
「だって、こういう時も寝てる時も…」  
「言うな!」  
ぺたんこが好きなのはどれくらい本気なんだろう?陛下が夢中になってたのはなんとなく解るけど…  
「ひゃん!」  
あ、食べちゃった。  
「ふ…ふあぁ」  
…きっとよく言うあなたにされてると思っただけで…って感じなんだろうな。フロンさんって尽くすよね。  
 
おや、態勢が変わってる。いよいよかな?  
 
ここからじゃ肝心な所は見えないから、そこはフロンさんの表情で掴まないと。  
 
「くっ…」  
「んっ…」  
「もう痛くは…ないのだな?」  
「はい…少しずつ慣れちゃいました…」  
「では…動くぞ」  
思ったより冷静みたい。出来れば一番最初のを見たかったな。涙が見たい訳じゃないけど、そっちの方が貴重だし。  
今でも陛下が気をつけてるのは解るんだけどね。  
 
「ふぃ…んっ」  
もしかしてフロンさん、声我慢してる?一生懸命お口を閉じてる気がするんだけど。  
陛下に気を使ってるのかな?微妙に秘密みたいだし、あまり大きな声は出さない方が良いとか思ってたり?  
「ふぅぅ…!」  
あーあー。可哀相だよ。助けてあげなよ陛下。  
「ふ…ぁっ」  
「フロン?」  
「な、なんでもありません…」  
「…?」  
「ん…ぁっ」  
女の子の体はデリケートで敏感なんだから、早く気付いてあげないと…  
「…こっちを向け」  
「…んっ?」  
 
あ…キスで止めちゃった。陛下にしては上出来かな。  
 
 
…終わったみたい。陛下の動きが止まったトコ見ると。  
フロンさん、最後まで我慢してたね。あなたのおかげで陛下の秘密はバレずにすんでますよ?  
秘密にしてる理由は解んないんだけどね。  
「…ラハールさん?」  
あれ?寝息が聞こえる。陛下寝ちゃったのかな?こういう時は余韻に浸りながら相手の事を思いやったりするのに。  
「こーゆー時優しくしてくれないと拗ねちゃいますよー?」  
 
…陛下を許して下さい。フロンさん。まだまだ陛下の方が子供みたいです…  
 
「…仕方ないですね」  
「…すぅ」  
「…お疲れ様でした。明日も頑張って下さいね…」  
頭なんか撫でちゃってるね。本当、フロンさんって天使みたい。  
…元天使か。  
 
「…母上」  
え?寝言…だよね。陛下の寝言にしちゃ可愛すぎる気もするけど…  
「ラハールさん、本当は凄く優しいんですよ…?思い通りにいかなくて、イライラして、ついつい怖い魔王さんになっちゃいますけど…」  
…  
「お母さんにもお父さんにも、誰にも相談出来ないのに魔界を守るって大変なお仕事をしてる、凄い悪魔さんなんです」  
…そうだよね。権力者ゆえにって。陛下はいつも玉座に居ないといけなくなったし…  
「私が出来るのはこれくらいなんです。少しでもラハールさんが安心できるように、一緒に寝てあげるとか、お話を聞いてあげるとか…」  
…  
「本当はお母さんに甘えたい時もあったんだと思います。でもそれは叶わないから…だからせめて、私なんかで良かったら、一緒に居てあげたいんです」  
 
 
「だからあなたも、出来るだけラハールさんを助けてくれると嬉しいです」  
 
…気付いてたんだフロンさん。今夜はもう帰った方が良いよね。見逃してくれるみたいだし。  
フロンさん、陛下が心底大好きなんだな。  
まるでお母さんみたい。  
…あ、だから陛下は魅かれたんだろうな。あんなに優しくて、あんなに思いやってくれる。僕なんかが言えるワケないけど、やっぱり陛下の側に居て欲しいよ。  
僕も陛下嫌いじゃないから。  
 
 
 
「ん…フロン?」  
「あれ、起こしちゃいましたか?」  
「ん…いや…怖い夢を見てな」  
「…私はここにいますから、安心して眠って下さい」  
「…ああ」  
「…ちゃんと一緒に居ますからね。ラハールさん」  
 
 

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