結局こうなっちゃったな。今考えると、先にマローネが意識してくれたのか、僕が意識したのかはわからない。
ヘイズとジャスミンが死んでから、僕の時は止まっていた。正直、僕はファントムなんて言う中途半端な形でこの世に居た事を恨んでいた。ヘイズ達と一緒に、逝きたかった。
今はそう思わない。僕の止まった時に、マローネの動いている時が追いついたからだ。しっかり、お互いがそういう対象として見ることが出来る。そんな事が出来る様になったから。
「うん…」
いつも先に眠るのはマローネ。余韻に浸って、そのまま眠りに落ちる。眠っている筈なのに、体をすりよせて来たり、僕の名前を呟いたりする。
明日の朝は、これをタネにしてからかってみよう。たまには年上らしい所も見せないとね。
勿論照れ隠しだよ。お互いに。
夜風が入ってくる。常夏みたいなこの島に、流れる風は温かい。僕達以外にはファントムしかいないから、ここの窓は開け放していても問題ないんだ。
むしろ、この風は僕達の正気を奪っている気がする。あまり言いたくは無いけど、僕達に歯止めは無い。人の目を心配する必要は無いし、声を聞かれる怖さも無い。
だから…マローネも沢山成長しちゃうよね。
今の風は心地いい。僕とマローネを醒ましてくれてるみたいだ。
「アッシュぅ…」
「…ん?」
一度眠ると、普通朝まで起きないマローネが、珍しく目を覚ました。寝ぼけてるみたいだ。この時間に起きる時、マローネはどちらかの行動しか取らない。
一つは寝直す。もう一つは…
「目が覚めちゃった…」
「…そうなの?」
「うん…このままじゃ寝れないと思うの…」
「…」
「…アッシュ?」
「…はいはい」
僕もしっかり起きないといけなくなったかな。まだまだ夜は長い…みたいだ。
終わり?orz