「用って何だろ…?」
今日、俺は雪丸の部屋に呼ばれた。
確か…大切な話がどうとか…。
大事な事ならすぐに言ってもらいたいが、雪丸があまりに真剣な眼差しで頼んで来たので、とりあえず従う事にした。
自分の部屋を出て雪丸の部屋に行く途中、声を掛けられる。
「アデルよ、何処に行く?」
このタイミングでこいつと鉢合わせるとは…
「…雪丸の部屋だ。俺に来いって言ってるから」
「用?何の用じゃ?」
「知らん。大事な話があるらしい」
「…怪しいのぅ」
「…あのなぁ」
「まぁ良い、さっさと帰ってくるのじゃぞ。
お前の部屋で待っているからな」
…今夜も寝れないのか。
――一方、雪丸の部屋
「むぅ…アデル殿、遅いでゴザル」
どうにも落ち着かず、狭い部屋をとりあえずウロウロとする。
「今日こそ、アデル殿に本当の気持を…」
アデルにはロザリーがいる。
しかし、どうしてもアデルを諦める事が出来ない。
だから、せめて己の気持ちだけでも伝えたい、といった所だろうか。
「それで駄目ならば…潔く諦めるでゴザルか…。…それにしても遅いでゴザルな…」
ふと、透明な瓶が目に止まる。
「とりあえず、水でも飲んで落ち着くでゴザルか…」
――再び、アデル。
暗い廊下を進み、雪丸の部屋に着く。
やっと着いた…。やけに長く感じたな。
「おーい、雪丸。入るぞ?」
ドアをノックしながらそう言ってはみるものの、返事がない。
どうやらカギはかかってないらしいので、入ってみることにした。
すると、おもいっきりでかい声が部屋に響く。
「アデルどのぉー!遅いでゴザルよ!」
真っ赤な顔をした雪丸が、物凄い笑顔で飛び出してくる。
何だこいつは。めちゃくちゃ酒臭い。
「…お前、酔ってるだろ」
「何いってるでゴザルかー!水飲んでるだけでゴザルよー!…ひっく」
…水と間違えたのか。コイツ酒飲むと記憶がすっぽり抜け落ちるんだよなぁ…。しかも、大抵何かやらかすし。
「で、話って何だ?」
とりあえず聞いてみる。多分、今日聞くのは無理だろうな。
「話でゴザルかぁー?拙者は…アデルどのと結婚したいでゴザルよー…えへへへ」
どうやら、かなり重症らしい。
とりあえず、変なことする前に寝てもらうか。
「明日また聞いてやるから、今日はもう寝ろ」
そう言って、俺は雪丸を抱きかかえてベッドに横たわらせる。…思ったより軽いので、難なく運べた。
「じゃ、おやすみ」
「いっちゃダメでゴザルよー…今日は一緒に寝るでゴザルよー…」
雪丸の声だ。…頼むから帰してくれ。あいつに殺されるから。
「しょうがない、ちょっとだけだぞ」
どうせすぐ寝ると思い、俺は雪丸のベッドに座る。
…それが間違いだった。
突然、雪丸が俺に抱きつき、顔を胸にうずめてきた。
「えへへ…捕まえたでゴザル…」
長くつるつるとした黒い髪が、顎に当たる。
中々に良い感触だ。
…って、そんな事を考えてる場合じゃない。
「こら雪丸、離れろよ!」
「アデルどの、顔真っ赤でゴザルよー?」
酔っ払いには言われたくない。
とりあえず、脇に両手を抱えて引き剥がす。
「もー…アデルどのったら、胸触ったでゴザルなぁー?」
「ばっ、馬鹿野郎!そんなことしてないだろ!」
「ふふふ…かわいーでゴザルなぁ…」
そう言うと雪丸は、突然俺のズボンとパンツを引っ張った。
あまりの早業に、なすすべもなく俺の股間がお披露目される。
「うわっ、な、何すんだよ!」
「やられたら、やり返すでゴザル!」
そう言うと、雪丸は俺のブツを小さな手でしごき始める。
「おっ…こら…雪丸!やめろって!うぉっ…!」
「やめろって言う割には、息が荒いでゴザルよー?」
否定出来ないのが痛い。
俺のそれは、どんどん血が滾り、固さを増していく。
それにしても、慣れた手つきだ。
…まさか、尋問拷問の類で兄貴が教え込んだんじゃあるまいな。
「おっ……おい……雪丸……手を…止めろっ!」
「えへへ…じゃあ、次は口でしてほしいでゴザルかぁー?」
「んなっ!」
手だけでこれだ。口でされたら、それこそ即出てしまいそうな気がする…。
俺の抵抗も虚しく、雪丸の舌がちろちろとそれを舐める。
「う…」
先程とは違った、柔らかい感覚。
先端を、裏側を、丁寧に舐めていく。
そして、全体を銜えてゆっくりと顔を上下させる。
「んふ……んん…」
これはもう限界だ…。
顔はマズイと思い、とっさに雪丸を突き飛ばす。
その瞬間、白濁液が勢い良く飛び散る。
「わー…アデルどのの、すごい出てるでゴザルよっ!」
突き飛ばされた雪丸が、横になったままの体制でそれをまじまじと見つめている。
…完全に負けた気分だ。
しかし、俺のそれは衰えることを知らない。
天に向かって直立したままだ。
「ふふ…最後までしたいでゴザルかぁー?」
雪丸はそう言うと、己の衣服を手際良く脱いでいく。
すぐに、雪丸の裸体が外気に晒された。
年の割に、小さめな乳房。
毛が全く生えていない泌裂。
恥じらいもなく、全てをこちらに見せ付けている。
そうだ、確かこいつは…酒を飲むと記憶が飛ぶんだった。
いや、ロザリー以外の女を抱くなんて、俺の流儀に反するし、…何より命がいくつあっても足りない。
そんな考えが、俺の脳内を駆け巡る。
しかし今ここにいる雪丸は、男の欲望を掴んで離さない。
…俺の負けか。
「雪丸……!」
そう叫び、雪丸を押し倒して唇を奪う。
突然の出来事に雪丸は少し驚いた表情をしたが、すぐに俺の舌に絡んで来る。
とても、とても深い口づけ。
小さな部屋に、淫らな水音が響きわたる。
唇をそっと離すと、俺と雪丸の間に銀色の糸が引いて、消えていく。
先程とは違い、雪丸の瞳はとろんとしており、何とも言えない妖しさを放っているようだ。
そっと乳房に手を添えると、弾けるように柔らかい感触が伝わってくる。
それと同時に「んっ……」
という、熱を帯びた雪丸の甘い声。
俺は、その小さな膨らみをゆっくりと揉み始める。
「あっ……ん…………ふぁ……」
酔っていたのが嘘のように、やけに大人っぽく見える。
口に含み、突起を舌でころころと転がすと、雪丸の声はさらに大きく、さらに淫らになる。
「あっ……ああっ……んっ!」
口の中に、雪丸の胸がすっぽりと収まる。
何度も何度も、いやらしく全体を舐め回す。
その度に雪丸は快感に溺れ、体全体を震わせる。
そして俺は、雪丸の足に手を運んでいき、泌所を優しく撫でると、雪丸の体がびくんと跳ね、
「ひゃああっ!」と、一層甲高い声を上げる。
既にそこは濡れており、透明な蜜を溢している。
その部分に指を入れ、俺は奥へと進んでみる。
…ちょっと狭いな。
「雪丸……感じてるのか?」
「えっ…あぁっ!…あで…るどの……いいで…ゴザルっ……きもち……いい…!」
俺の問いかけに、素直に答える雪丸。
それがまた、俺の欲望を掻き立てる。
これは…もう我慢出来ない。
「雪丸…もう入れていいか?」
指を抜きながら、俺は雪丸を求める。
「ぁっ……きてっ……」
俺のそれは、さらに固くなり、熱を持っている。
そしてそれを手で支え、先端を雪丸の裂け目にあてがい、入っていく。
ゆっくりと、優しく。
雪丸を傷つけないように。
「あぁぁっ…やぁ…あぁ!あでる…どののが…なかに…!」
だか雪丸の中は、抵抗もなく俺を受け入れる。
…どうやら、初めてではないらしい。
「お前…初めてじゃないのか?」
「あ…あにじゃ……にっ……あぁっ!んぁっ!」
…今度会ったら絞めとくか。
しかし、今はそんなことどうだっていい。
くちゅ…くちゅ…と、何とも淫らな音を立てて、俺は挿入を繰り返す。
ただ、快感を得るためだけに。
俺が動く度に、雪丸の息遣いがさらに激しさを増す。
「はぁっ…あっあっ……あんっ!きも…ち…いいっ…もっと…あぁ!」
雪丸は涙と涎を垂れ流しながら喘ぎ、俺のそれを締め付けて離さない。
「雪丸…雪丸っ!も…もう…」
「あぁん!…あぁ…なかに……いいで……はぁっ……ござる……ふぁああっ!」
その言葉を聞いた俺は、最後の時を向かえる為に、がむしゃらに腰を振る。
「っ…ああっ…はぁっ…ああぁ!あでる…どの…い…いくぅ……あぁ…ああああああぁぁっ!!」
一気に射精感が高まり、雪丸に俺のそれを深く突き刺す。
そして、俺は全てを雪丸の奥底に放った。
収まりきらなかった白濁液は中から溢れだし、シーツを汚していく。
「はぁっ…はぁっ……はぁっ……ゆ…雪丸……」
雪丸の方を見ると、既に意識を失ってしまっていた。
きっと、酔いと疲労のせいだろう。
そして俺は後処理をした後、静かに部屋を出た。
「…はぁ。それにしても雪丸があんなに凄いとは…」
「……凄いとは何がじゃ?」
…聞き慣れた声。これ…もしかして…?
俺が恐る恐る右を向くと…
「う…うわああああぁぁぁーーー!」
「黙れ。うるさいぞ」
「なっ…ロ…ロザリンドさん………なんで…ここに?」
「何で…じゃと?よくもまぁ、そんな事を言えるもんじゃ……のぅ…アデル?」
ロザリーの嫌味たっぷりな声。
…あぁ、これは…俺の人生終わったな……。
そして俺は、ロザリーの気が済むまで…朝まで付き合わされたのであった。
―完―
おまけ
「…そういえば、何か大事な事を忘れているような…まあ、気にしないが一番でゴザルか!」