月の照らす晩。自らの部屋のベッドの上で苦悩する少年が一人。
何でなんだ…今までこんな思いなんて…
自分が純粋な悪魔だと知った日。その日から強くなる俺の闇の部分。今まで持ち前の情熱で抑えてきた。ニセゼノンを倒したとき悪魔は消えた筈だ。なのに…反比例するように高まる俺の闇。
しかも矛先は一番傷つけたくない筈の女。
「最悪だ…」
一人呟く。欲望が高まっていくのはわかる。自らの限界が近いのも。
そろそろ俺に代わってくれてもいいんじゃないか?
内から聞こえるのは間違いなく俺の声。俺でない俺がいる。
あの女を犯したいんだろ?
「やめろ…」
気がつけば汗が滲み出していた。俺との戦い。今日でもう何日だろう?丁度一週間位だろうか?
せめて少しの間位…タガを外してもいいんじゃないのか?
傷つけたくないんだ。
お前は俺だ。お前の意志を砕くくらい簡単なんだよ。
やめろ…お前は俺だ。
そうだ。俺の意志がお前の意志なら、お前も心の奥でボロボロにしてみたいと思ってるんだろ?
そんな…
その内、元に戻してやるよ。俺が。だから…
タガを外しな。
俺の正義は闇に閉じ込められた。
「な、何をするのじゃ!」
「今日からお前の体は全部俺がもらう」
馬乗りの態勢から見下ろし告げる。彼女の部屋のベッドの上に押し倒したのだ。
此処までどうやって、何故来たか思い出せない。わかるのは
湧き上がる黒い欲望。その欲望で彼女を汚したい事だけだ。