Introduction
――盗賊――
盗む者。その技術は芸術的ですらある。
金、物、時には生命すらをも盗み取ってしまう。
「盗られたら盗り返せ」
―― 侍 ――
己の道を進む者。失われた聖域を守護してきた者。
剣と共に生きる誇り高き者。
「私は――護るための剣になりましょう」
soul steal
「まったく簡単だったわ」
朝靄に包まれた街を、屋根づたいに駆け抜けながら自然に口元が綻んでしまう。
ついさっきとある屋敷から宝石を”盗み”出してきたからだ。
綺麗な宝石はやっぱり可愛い女の子が持たないとね。今はポケットに放り込んである
宝石を服の上から触って確認する。親指大の堅い粒。
朝靄は晴れ、朝日が差す。街の外れ、瓦の屋根。
武家屋敷。侍という剣士が住んでるはず。はずというのは私が見たこと無かったから。
何気なく庭を覗くと
日の光を浴び、彼女はいた。
剣を構え、振り、また構える。
さらり、と流れる黒髪。
キラリ、と真剣な瞳。
ぷるん、と剣を振るたび揺れる胸。
キュッ、と細い腰。
チラリ、と着物の切れ目から覗く脚。
すらり、と伸びた足。
私はいつのまにかぺたんと座り込んで魅入っていた。
稽古が終わったのか、彼女は息をつき、額の汗を拭う。そして屋根の上の私に一礼した。
ドキリとした。私に気付いているとは思わなかったから。
顔を上げ笑顔の彼女に対し私は一瞬固まり、ぎこちなく手を振り、そして駆けだした。
胸がドキドキする。顔も赤くなってるだろう。盗賊として最大の屈辱を受けた。
一目見た彼女に、魂を”盗”まれた。一目惚れしてしまった。
midnight play 1/2
家に着いてからも胸のドキドキが収まらなかった。
せっかく”盗”った宝石も上の空。ポイッとベッドに放り投げる。
「はぁ……」
ぼふ、と自分もベッドに倒れ込む。それにしても、私って同性愛趣味あったっけ?
目を閉じて、彼女を思い浮かべる。彼女の笑顔がまっさきに浮かんだ。
「ああっもうっ! 」
布団をかぶってひとまず寝ることにした。ご飯は起きてからにしよう。
彼女に抱きすくめられ、身動きできない状態で唇を貪られる。
唇を舐められ、口内に舌を入れられる。私の舌と絡み、ぬめった音を出す。
不意に彼女が離れた。互いの唇を繋ぐ糸がツー、と伸び、プツ、と聞こえないはずの音が聞こえた。彼
女は、微笑んでいる。
向かい合った彼女が私を見る。視線が上から下、また上。そして胸のところで止まる。
私も彼女の胸を見た。細長い布を巻かれただけの胸。大きい、と言うより綺麗。
と、急に彼女が私の服を脱がし、ベッドに押し倒した。
露わになった私の胸を……見る。ただ、見る。手で隠そうにも押さえつけられていて隠すことが出来な
い。彼女と比べて大きくない私の胸。恥ずかしさでいっぱいになる。
ぱさり。と彼女の黒髪が私の身体に掛かる。彼女の口が、舌が、私の胸に近づいてちゅっ。胸に……乳
首にキスをされた。次いで、舌先でつつかれ、押され、舐られる。
たったそれだけで私の乳首が固くなってくる。両手は自由になっていたが、力が抜けて動かすことが出
来ない。何故手が開いたのか……もう片方の胸を攻めるためであろう。
最初は掌で包むようにされ、次第に指で揉みしだかれる。剣を握る指で、しかし優しく。
片方を舌で、もう片方を指で嬲られる乳首は、自分でも驚くほどに固くコリコリしていた。
声にならない悲鳴を上げ、私は――
目を覚ました。