珍しくアグモン(今はコロモンだが)がこっちに来ていた。
昼下がりの八神家。今いるのは、太一とコロモン、ヒカリとテイルモンの二人と二匹。
これからお昼を食べるところだ。
両親がいないので、今日のお昼は太一の作るいつものオムライス。
「コロモン、残さず食えよ〜」
「うわぁ〜、いただきまーす!!」
コロモンの食欲は半端ない。
顔というか体全体を口のようにしてオムライスにものすごい勢いでかぶりつく。
当然まわりに飛び散るが、そんなのおかまいなし。
それを見て困ったというか呆れたというか、そんな顔をするヒカリとテイルモン。
テイルモンはコロモンや他のデジモンたちと比べて、おとなしく行儀よく食べる。
やはり育ちの違いなのだろうか。とその時、
「太一!」
「ん?どうした、コロモン?」
コロモンが変な顔をして震えている。
やばい、太一はとっさに判断してコロモンを抱きかかえトイレに走る。
食事中にこんなところでされてはたまらない。
なんとかトイレには間に合った。ふぅ、と一息つく太一。
「ごめんね・・・、太一・・・。」
「あー、もう、さっさとすませろよ。なんでそんな突然するのかなー」
二人のやり取りを見て笑うヒカリに、呆れるテイルモン。
ヒカリはテイルモンに尋ねる。
「ねぇ、そういえばテイルモンて、しないよね?」
「しないって、なにを?」
突然ヒカリに尋ねられ、きょとんとするテイルモン。
「いや、だから」と言ってトイレのほうを見るヒカリ。
「ヒカリ、食事中よ」
察したテイルモンが答える。
「いいじゃない、べつに。それより、テイルモンはしないよね?あたし、テイルモンのことトイレに連れて行ったりしたことないもの」
「あーもう。あたしだってするわよ、誰も見てないときに・・・!」
と、答えの途中でテイルモンが固まる。
「テイルモン?どうしたの?」
と、ヒカリが尋ねたが、次の瞬間、テイルモンは現在コロモンが使用中のトイレに向かって走り出した。
「うわ!なんだテイルモン!」
突然飛んできたテイルモンに驚く太一。
「コロモン!早くでて!」
そんな太一を無視して叫ぶテイルモン。突然したくなったのか。
「なんだ、テイルモンもかよ。ちょっと待てまだコロモンがしてるから」
そう答えるが、テイルモンは大きく震えて、そして・・・
「あ・・・ああ・ああああああああ!・・・・・ごめん・・・、ヒカリ・・・・。」
「え?・・・ええー!?テイルモン、お漏らししちゃったの!?」
普段強気なテイルモンの、パートナー(とその兄)の前でのまさかの失態。しかも。
「うわ!テイルモンでけぇ!お前、なんだこれ!?」
コロモンや、幼年期デジモンのソレとは比較にならないサイズのモノ。
いくら小型とはいえ、そこは成熟期。摂取するエネルギーの量が違えば、排泄する量も違うのだ。
「!!・・・」
真っ赤になってうつむくテイルモン。あたり一面に広がる臭い。
「ヒカリ!窓あけろ!」
あわてて叫ぶ太一。窓を開けるヒカリ。動けないテイルモン。
結局太一とヒカリの手によって、片付けられたソレは、コロモンがし終わったあとのトイレに流されたわけだが
かつてないほどの羞恥心に、テイルモンはしばらく引篭もってしまうのであった。