春休みももう残りわずか。休みが明ければお台場中学の入学式だ。  
中学校に上がったら何が変わるのだろうか。意外と変わらないものかもしれない。  
そんな事を思いながら食器を洗っていると、玄関からチャイムの音が聞こえた。  
「はい」  
ドアを開けると、そこにはヒカリが立っていた。  
「こんにちは、伊織くん。入学祝いを持ってきたんだけど……」  
意外な人物の登場に、伊織は少し緊張しながら答える。  
「ええと……、とりあえず、お茶でも煎れますから上がっていってください」  
「お邪魔します」  
行儀よく言ってヒカリが上がり、居間の方まで行く。  
「そちらの部屋が僕の部屋なので、そこで待っててください」  
「うん」  
ぱたんと音がしてドアが閉まるのを眺めながら、伊織はやかんに水を入れて火にかける。  
しまった、何にするか聞くのを忘れた。  
しかしこの家は祖父の好みを反映して洋風のものはあまりない。  
饅頭に紅茶やコーヒーも合わないだろう、と思う事にして急須に葉っぱをぱらぱら入れる。  
そしてお湯が沸くまでしばし待つ。  
 
(……それにしても)  
ヒカリがまさか家に来るとは予想外だった。  
確かに、自分も二年前にヒカリの入学祝いを渡しに行ったかもしれないが、  
あの時は母も一緒だったかもしれない。  
母親同士の世間話とデジモン同士が無邪気に遊びまわる中でじっと座っているのは  
正直、少し居心地が悪かった。  
ヒカリとは選ばれし子供の内でもどういうわけだかあまり交流がなかったので、  
何を話したらいいのかもよくわからなかった。  
それに当時からなんだか神秘的で近寄りがたいイメージを持っていたせいもあって、  
中学入学を間近に控えてより大人びて見えるヒカリの顔を胸を高鳴らせながら盗み見ていた。  
もちろん、一緒に冒険していたのだし  
明るかったり活発だったりする一面があったのも思い出すことも出来る。  
しかし、どうしてもヒカリに対する神秘的で掴み所のないイメージを捨て切れなかった。  
 
「お待たせしました」  
緑茶と饅頭を盆に乗せて部屋に入ると、ヒカリはちょこんと行儀よく座って待っていた。  
京さんなら勝手に人の本を読んだりごろごろしたりするのに……と  
少し感動しかけたが、それが伊織との距離の差なのだろう。  
「ありがとう」  
ヒカリの前に湯飲みと皿を置く。  
「どうぞ」  
いただきます、と言って食べるしぐさなどが女の子らしくてかわいいと思った。  
しばらく2人は静かにお茶を飲む。  
祖父も母も、ウパモンさえも出かけてしまっているので妙に静かだ。  
しかしそれで落ち着かないという事はなく、むしろ落ち着く感じさえした。  
やがてヒカリはお茶を飲み終わり、静かに湯飲みを床に置いて鞄の中から  
紺色の包装紙に包まれた四角い物を取り出した。  
「はい、入学祝い。開けてみて」  
「ありがとうございます」  
言われるままに包装を開けると、ボールペンとシャープペンのセットが出てきた。  
色が違うが、このデザインは見覚えがある。  
 
「ヒカリさん……」  
顔を上げると、ヒカリはにこっと笑った。  
「うん、私のとお揃いだよ。さすがに色は赤じゃないほうがいいかなって思ったけど」  
ほら、とポケットの中から軸の赤い、  
今伊織が持っているのと同じデザインのシャープペンを出してみせた。  
「伊織くんに私と同じのを使って貰いたかったんだ」  
意外な言葉に目を丸くしてヒカリを見つめる。どういう事だろうか。  
「つまりね……」  
ヒカリがゆっくりと覆い被さってきたので、伊織は押されるままに床の上に仰向けになった。  
「私、伊織くんの事が好きなの」  
そして唇に柔らかな感触が降りてきた。  
 
「んっ、ふぅっ……」  
下腹部に顔をうずめたヒカリの艶かしい吐息。  
大きくなった伊織のものが、彼女の口によって愛撫されている。  
「あ、あのっ、もういいですから……っ」  
熱く、絡みつくような刺激にたまらず伊織は声をあげた。  
このままでは出してしまいそうだ。  
「んふぅっ……。もういいの?」  
本当はもう少し続けてもらいたかったが、ヒカリの口の中を汚すのは気が引けた。  
伊織はこくりと頷いた。  
「そう?」  
残念そうに言った後、ヒカリは上着の裾に手をかけた。  
「ヒ、ヒカリさん?」  
「だって、脱がないわけにはいかないでしょ? ……本当は脱がせて欲しいけど、  
伊織くん、脱がせづらいだろうし」  
全くそのとおりなので伊織は縮こまった。  
ヒカリが上着を脱いで、白いブラジャーも外すのをじっと眺める。  
「やだ、あんまり見ないで。恥ずかしい」  
そう言いながらも、脱ぎ終わったヒカリは伊織の前に移動した。  
じろじろ見るのは失礼だと思いつつも、ついその白い裸体に目が行く。  
全体的に華奢な体の中で、胸だけがふっくらとした曲線を描いている。  
 
伊織はごくりとつばを飲み込んだ。  
「さっ、触ってもいいですか……?」  
「うん」  
許可が出たので、白いふくらみに手を添えた。すべすべとしていて、  
ちょっと力を入れただけでやわらかくへこむ。  
「あっ……」  
「大丈夫ですか?」  
「……うん。気持ちいいだけだから」  
ヒカリがあっさりと微笑むので、逆に伊織の方が照れてしまった。  
それでも、目の前の誘惑には抗いがたく、伊織は手の動きを再開させる。  
「んっ……あぁっ……」  
頬を赤らめ、ヒカリがきゅ、と伊織の背中にしがみつく。  
自然、胸と胸とが密着して、その間で遠慮がちに触れているだけだった伊織の手が  
ヒカリの胸に押し付けられた。  
手のひらにちょうどよく収まる大きさの柔らかい感触と、  
その中心に位置する桜色の突起。  
押し当てられた事で踏ん切りがついたので、伊織はその突起を軽くつまんだ。  
「あんっ!」  
そしてそのまま、さっきよりも力を入れてヒカリの胸を揉む。  
「あっ、んくっ、やぁっ!」  
だんだんと声が大きくなっていくのに合わせて、ヒカリが身をよじる。  
隣に聞こえてしまうのではないか、と心の片隅で心配しながら  
白い首筋に舌を這わせた。  
「ひゃうっ」  
予想外だったのか、勢いよく体を跳ねさせた後にヒカリは目を丸くして伊織を見た。  
そしてその唇に再び口付ける。  
ヒカリの神秘的な所、掴み所のない所。交流はないながらもそういう所がひどく気になっていた。  
それはきっと彼女の事が好きだからなのだろう。  
唐突に気付いた。  
「ん……」  
差し入れられた舌に、自分の舌を絡める。  
ねっとりとした刺激に頭がぼうっとなりつつも、伊織は再び乳房へ手をやる。  
 
「んふう……」  
先ほどよりも突起が固くなった気がする。乳房の柔らかさとの対比が面白く、  
軽くつまんだり、ボタンでも押すようにしていじってみる。  
「ん、んふっ……」  
ヒカリは切なげな吐息を漏らして、もぞもぞと腰を動かす。  
伊織は唇を離すと、スカートの中に手を入れて下着に手をかけた。  
力を入れなくても、簡単に引きおろすことが出来た。  
少し、恥ずかしそうにヒカリが身じろぎする。  
「大丈夫ですから」  
なんの根拠もないのに、そう言ってみた。  
「……うん」  
それでもヒカリはけなげに微笑む。  
「伊織くんが相手なら安心だから」  
そして足を少しだけ開かせる。  
「出来るだけ見ないでね」  
そうは言われても、やはり少しくらいは見てしまうものだろう。  
透明な粘液でべたべたになっているのがわかり、頭がくらくらしてきた。  
「……それじゃ、入れます」  
「……うん」  
もう一度、ヒカリは微笑んだ。  
入り口に自分のものをあてがって、ゆっくりと入れる。  
伊織自身に怯えがあるのと押し返す力があるせいでなかなか進まない。  
それに。  
「あっ、伊織く、い、いたっ……んん、抜いちゃダメ!」  
こんな苦しそうなヒカリを目の前にして、そんな事をしていいのだろうか。  
抜いちゃダメ、と言うが本当にいいのだろうか。  
そんな戸惑いが伊織の頭の中をぐるぐると駆け巡る。  
「伊織くん、私、大丈夫だから」  
かすかな微笑を浮かべてそう言われてはもう後には引けない。  
伊織は再び腰に力を入れた。  
「んっ……くうぅっ」  
 
ヒカリの中はとてもきつく、熱い。  
そして頭がおかしくなりそうなほどに気持ちよかった。  
「……動きます」  
宣言して、ゆっくり腰を前後に動かし始める。  
「んぅっ」  
背中に回されたヒカリの手に更に力がこもる。  
「ヒカリさんっ」  
腰を動かすたび、水音が響き、蜜が溢れ出す。そして蜜の分泌により、  
更に腰が激しく動き、淫猥な水音も増す。  
そんないたちごっこのような事も、やがて終わりの予感が近づく。  
「す、すみませ……、もう、出そう……」  
中に出してはいけないと、慌てて引き抜く。  
「うっ……ああぁっ!」  
白濁した液が、ヒカリの体に勢い良く放出された。  
「あ……」  
放心したようなため息。  
ぼんやりとした目で、普段自分の使っているベッドに裸で横たわっているヒカリ。  
とてもいやらしい光景に見えた。  
 
 
「それじゃ、もう帰るね。シーツ汚しちゃってごめんね。それとシャワーありがとう」  
あれから、順番にお風呂に入って、シーツも新しいものへと取り替えた。  
終わった直後はなんだか疲れていたヒカリの顔も、  
温かいシャワーのせいか少し回復したようだ。  
「はい」  
「お母さんによろしく言っておいてね」  
「はい」  
「それじゃあ、ね」  
玄関で靴を履きおわって顔を上げたヒカリに名残惜しそうな視線を向ける。  
「……はい」  
そんな伊織に、ヒカリは微笑み返す。  
「そんな顔しないで。また会えばいいんだから」  
「はい」  
そのまま出て行くヒカリを見送りかけたが、ふと足を踏み出す。  
「どうしたの?」  
「送っていきます」  
「ありがと」  
そして2人は歩き出した。  
 
<終わり>  
 

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