剣道の稽古を終え、火田伊織はとぼとぼと道場から自宅へと向かっていた。
伊織は小学生ではあり背は小さく、あどけない見た目をしている。
しかしながら不相応なほど同年齢の子供達と比べて大人びていてしっかりした性格をしていた。
しかし、所詮は小学生。いくら大人びているといっても、いくら『選ばれし子供』としても根っこは少年なのだ。
伊織にも他の同年齢の子が抱くような悩みがあった。今までそんな物は気にもできないほど忙しかたのだけども。
しかしようやく冒険が終って落ち着いてきたからか、そんな悩みが表面化していたのだった。
彼は恋心を抱いていた。
それが分かってから悶々と日々を過ごしていた。
剣道の稽古の際にもそれが出ているようで、その心が乱れているのを祖父に見破られていた。
「でも・・・どうしようもできないんですよね・・・」
伊織はため息を付きながら帰宅した。いつもの機敏な動きはなくのろのろと自室に向かい防具を放置した。
いつもならベランダに出て竹刀を振るうのだが、そんな気分になれなかった。
伊織はぎゅっと座布団を抱きしめ、愛しい人へと思いをはせ始めた。
すらっと伸びた健康的な脚。外ハネしたくせ毛。そして誰にでも親切な母性溢れる性格。
彼が好意を抱いていたのは、武之内空という女性だった。
それは傍から見ればあまりに不相応な恋だと笑われそうな想いだった。
なんせ空と伊織は五歳も年が離れている。
いや、五歳も年が違う夫婦なんてザラに居るのだろうが、彼の場合は訳が違う。
これが二十歳と二十五歳とかなら見た目も全く気にならないだろう。
だが彼は小さな小学生であり空は中学生なのだ。
小学生、それも低学年と中学生とではあまりに身体が違い過ぎる。
空は決して長身な中学生ではない・・・のだが、伊織と並び立った場合には年の離れた弟にしか見えまい。
そして遥かに年下の自分に空の方が男女としての愛情を抱く可能性など皆無だと言っても良かった。
しかも空にはお似合いな男性が二人はいる。
「無茶ですよね。所詮、僕は子供にすぎませんし・・・空さんとなんて・・・」
彼は例の冒険のとき、そんなに彼女と話したり関わったりしていない。
せいぜい、ダークタワーを倒す時に一緒に協力してくれたりいつぞやピヨモンのSOSを受けて一緒に西部劇を思わせるエリアに行った位だ。
しかし彼は少しだけでも一緒に過ごして分かった。彼女の誰にでも気配りするあまりに包容力のある愛情に。
初めは尊敬の念だったがそれがやがて恋心に変わるまでそう時間はかからなかった。
「諦めなきゃダメなんだ諦めなきゃ。僕と空さんじゃあまりにも不釣り合いだもの・・・」
ブツブツと呪文のように繰り返すが結局、その程度で悶々とした胸が晴れることはない。
彼の不相応な部分が諦めろと嘆くが、少年の部分はやるだけやってみろと嘆く。
その嘆きはぶつかり合いやがて一つとなった。
伊織の不相応な部分は少年のワガママで自分本位な部分を取り込み、暴走を始めようとしていた。
「・・・諦めるなんてダメですよね。だって冒険の時だって諦めなかったから勝つことができたんです」
彼のきりっとした瞳が邪悪とも取れるようなものに少しだけ変化したように見えた。
「不相応なら無理矢理にでも相応にすれば良いんだ」
伊織は決心した。尊敬してやまない亡き父や祖父の教えを粉々に打ち砕くような内容だった。
でも仕方無い。こうでもしないとこの胸の苦しみは治まることが無いであろうし。
ある日、ついに伊織は計画を実行に移すべく行動を開始した。
今彼は自分のマンションのすぐ近くでひっそりと彼女の帰りを待ち続けている。
この日を待ちわびた。母も祖父もおらずに一人きりになれるタイミングを見計らっての行動だ。
こういう日は、知り合いの家に・・・主に京の家にお邪魔したりする。
今回も一応はそう言うことになっているが、家族をだまくらかしている形だ。
彼の傍らにはビニール袋とその中にペットボトルが数本納められている。
ラベルのようなものは見当たらず、明らかに流用していると分かるそれの中身は紫色で少し気味が悪い。
傍からみればグレープジュースに見えるこの液体。実は彼がこの日のために準備した特別な代物であった。
随分と前の話であるが、選ばれし子供達はデジタルワールドを復興するための活動を行ったことがある。
特にベリアルヴァンデモンとの戦いのあとはかなり世界が荒廃してしまった事もあり、復興活動で各地を転々とするだけで冒険となったほどだ。
そんな中、見つけたのがこの果実。ブドウのような色と味をしているらしいが見た目はリンゴのように見える物だった。
デジタルワールドにはデジモン以外の生物が結構生息している。伊織はサブマリモンに乗った時に海中を泳ぐ多くの魚たちを見た事がある。
これは魚類だけに限ったことではなく植物にも同じことが言えた。先輩達は冒険の際に紫色のバナナとか湖で釣った魚なんかで空腹を満たしていたと、タケルから教えられていた。
伊織たちは放課後にパソコンを通じてデジタルワールドに出入りできるので、食料は事前に用意していた。
そのためこのようなデジタルワールド特有の果実などは口にする機会が無かったのだ。
そんな事もあり復興活動のとき、好奇心旺盛な大輔とブイモンは発見した紫色の果実を口にした事がある。
だが、この果実を口にした瞬間から彼らの体に妙な変化が現れたのだ。
果実を口にした瞬間、ブイモンは幼年期へと退化してしまった。
大輔はというと見た目には全く変化も無く、本人の自覚すらも無かったのだが内部で変化が起きていた。
メンバー随一の体力と元気をもっている大輔だったが、何故か異様にまで非力になってしまったのだ。
それはまるで彼の身体能力そのものが幼児化してしまったかのようだった。
初めは疲れからかと思っていたのだが、やがてその紫の果実に原因があるという事が判明。
この果実にはデジモンを退化させる物質が含まれていて、人間が摂取してしまった場合はその体力が退化してしまうという恐ろしい物だった。
このあと、非力となってしまった大輔と進化できないブイモンは全くと言っていいほど役に立たなくなってしまった。
復興作業で一番多くの作業をこなしていた二人の脱落はかなりの痛手となり作業が大幅に遅れたのだ。
結局、最期はなんとかこの症状を直す薬草が発見されたため、めでたく大輔とブイモンは元に戻ることができた。
この一件以降、皆でこの果実は危険だから食べてはいけませんと決めて周囲のデジモン達にも警告を促して一件落着となった。
「誰もこの果実には近づこうとしませんでしたからね。採るのは簡単でしたよ・・・もうちょっと苦労するかと思ったんですが」
中身の液体を見つめながら呟く伊織。
言うまでもなくこれの正体は大輔たちを散々な目に遭わせた紫色の果実をジュースにしたものだ。
伊織は空の帰宅を待ち伏せしてこれを飲ませて好き勝手してしまおうと企んでいた。
無論、ただ飲ませるだけじゃダメである。
なんとか自宅へと連れ込まないといけない。その作戦は既に考えてある。
伊織の心臓は徐々に高鳴っていった。
計画は空が一人でやってこないと無駄に終わる。また一人きりになれる機会はいつになるかわからないのだ。
頼みますから一人で帰ってきてくださいねと祈りながら彼は待ち続けた。
初めの高揚感と緊張感は徐々に薄れ始めてきた。
暫く同じ場所で隠れ続けていたがなかなかお目当ての人物は現れない。
伊織の心には緊張感とは別に、諦めのような感情が湧き始めていた。
「やっぱり、こう都合よくいくわけないか・・・」
ボソリと呟いてせめてもう一回確認してからと、少しだけ顔を出す。
そこであるものが目に入って仰天した。
外ハネしたショートヘアの茶髪、緑色のセーラー服の女性が一人でこちらに向かってきている。
冬の時期は、女子学生とかはスカートの下にジャージを履いていたりするのだが彼女はその性格上、そんなだらしない恰好はしない。
テニスで日焼けした肌と、すらっとして、かつ鍛えられて健康的な脚が伸びている。
お目当ての人物である武之内空であった。
伊織は慌てて元の場所へと顔を引っ込めた。
み、見つかったのかな??
今度はそろ〜っと、顔を出して彼女の方を見やる。彼女は特にこちらに気づいている様子では無かった。
学生鞄に加えてテニスラケットとウェアの入っているだろう大きめなスポーツバッグを抱えている。
結構、荷物が多いのに彼女はそれが当然だという風に歩き続けている。
伊織は彼女の姿を確認すると、じいっとその場で待ち続けた。
まだ早い。もう少し・・・もう少し・・・。心臓がドキドキと高鳴る。
空が伊織の前を素通りしていく。
(よし・・・気付かれてないみたいですね・・・)
空が素通りして伊織の隠れている場所から少し離れた所で彼は行動を開始した。
彼はその場から離れると自宅のあるマンションへとまっすぐに駆け出した。
「痛っ!!」
背後でか細い悲鳴が聞こえて、武之内空は慌てて振り向いた。
そんな離れて無い場所で伊織が前のめりに転倒している。
彼女は伊織の姿を認めるとそちらへと駆け出した。
「伊織君!?だ、大丈夫?」
ニヤリと伊織は口の端を少しだけ上げて笑った。
ほうら、やっぱり思ったとおり。
この女はお人よしで出しゃばりで身の程知らず。仲間のちょっとした危機ですら見逃せない人なんだ。
作戦は上手くいっている。伊織は気持ちを落ち着けて、演技を続ける。
「あっ・・・空さん・・・こんにちわ・・・僕なら大丈夫で・・・つぅっ!?」
言おうとしたところで伊織は顔を歪めた。演技ではなく本当に痛みが走ったのだ。
ゆっくりと体勢を体育座りへと変えるとズボンの裾からまくり上げる。演技とは言え派手に転んでしまった結果、本当に膝を擦りむいてしまったようだ。
思ったとおり露になった膝から血が流れていた。冷たい風がそれを煽りヒリヒリと痛む。
「怪我してるじゃない!待ってて、消毒液と絆創膏持ってるから・・・」
「い、いえ・・・このくらい平気です」
「ダメよ。きちんと消毒しなきゃ」
スポーツバッグから消毒液を取り出して伊織の膝へ吹きかける。
傷口に染みて伊織は顔をしかめた。それを見ながら空は心配げな表情をする。
「ゴメン、大丈夫?痛くない?」
「大丈夫です。ありがとうございます空さん」
仕上げにと絆創膏を貼っている空に対して礼を述べる伊織。
そしてこう続けた。
「申し訳ございませんが・・・その・・・少し足首も痛めちゃったみたいで・・・」
「ほ、本当に?大丈夫。心配しないで。エアーサロンパス持ってるから」
チッ。心の中で舌打ちする。
まあいいや。どうにでも誤魔化せます。所詮は痛みなんて自己申告ですからね。
ひんやりとした霧は足首に心地よかった。無論、足首を痛めたとか嘘八百なのだがここが最大のチャンスだ。
「どんな感じ?もう歩ける?」
「ええ・・・だいぶ良くなりました。ですが、その・・・差し支えなければ家まで運んでは貰えないでしょうか・・・」
「マンションはすぐそこね。分かったわ。あまり無茶しちゃ足首に悪いからね。剣道にも支障がでるかもしれないし」
「あ、ありがとうございます」
思ってた以上に上手く行った。あとは部屋に行きそしてこのジュースを飲ませれば作戦完了。
いや、それから始まりか・・・。
「荷物はこれだけ?」
ペットボトルが数本入った伊織の荷物をひょいっと持ち上げる空。
「あっ、はい。すみません空さん。僕の不注意で・・・」
「いいのよ気にしないで。さ、負ぶってあげるわ」
空さんは実に力強い人だ。と伊織は思った。
自分の学生鞄やラケット、バッグに加えて伊織の荷物を片手で持ちながら、伊織を背負っているのだ。
伊織は興奮していた。万事うまく行ってる上、空と密着した状態なのだ。
空はもう片方の手で伊織のお尻を支えてずり落ちないようにしていた。
さすがにきつい体勢なのか、何度か手の位置を変えたりして一点に負担が集中するのを防いでいる。
そのおかげで伊織はお尻を撫でまわされているような形であり、さらにわざとらしく空の背中に押し付けたモノが上下して布越しに擦りつけられた。
無論、伊織が気をつければそんな事にはならないのだけど空が全く気にしてないのを良いことにずっと押しつけていた。
首に回した腕はしっかりと放さないように巻き付け、綺麗なうなじへと顔を埋めてみた。
つんと元気に跳ねた髪からは石鹸の良い匂いが漂ってきた。華道の娘ゆえかお花の香りもする。
しかしセーラー服の裾の方からは、部活の後からか汗臭くてしょっぱい香りが漂っている。
伊織は剣道をやっているのでこの手の匂いには慣れていた。
むしろ空の生々しさを強調する匂いで興奮させられた。
「伊織君、今日家の人は?」
空が訪ねてきた。
「実は母も祖父も今日は外出してるんです」
「じゃあ一人でお留守番を?」
「はい」
「しっかりしてるわねえ。さすがは伊織くんね」
「いえ・・・そんな・・・」
「この荷物は?ジュースかしら。だけどラベルが無かったようだけど・・・」
「ああ、あれは皆で手作りしたブドウジュースなんですよ。アルマジモンにあげるとすっごく喜んでくれるんです」
「そうなんだ。あの子、結構食いしん坊だったわね」
バカな女ですね。あなたが飲む事になるのに。そして僕に服従する羽目になるんですよ。
伊織は空のすぐ背後で邪悪な、獲物をいたぶる様な笑みを浮かべた。
これから空を好き勝手にできる・・・。
じゅるりと舌舐めずりした。
この匂いも体も全部僕のものに・・・。
部屋へとたどり着くと、空は救急箱を拝借。
伊織の痛めた(と言い張っている)足首の固定を始めた。元サッカー部で元テニス部の彼女にとって手慣れた作業だ。
まずは土ふまずの辺りから足の甲を包帯で巻き、そのあと包帯を引っ張り足首へと巻き付けていく。
捻挫した時の処置であり、こうして固定すれば治りが早くなるのだ。
無論、伊織は空を部屋に連れ込むために嘘をついてるわけだが、手際の良さに素直に感心してしまった。
「すごいですね空さん・・・こんな難しそうなのを簡単にやってしまうなんて」
「うふふ、慣れよ。小学生の頃はサッカーで足を酷使してたからね。今思えば男の子に混じって無茶したなあって思うわ」
「今日はありがとうございます空さん。何かお礼をしたいんですが・・・」
「御礼なんていらないわよ伊織君。困ってたら助け合うのが仲間でしょ?」
思ったとおり、遠慮する空。
だがここは意地でも通さないとすべて台無しになる。ここまで来たんだからやるしかない。
「いえ、そう言うわけには・・・そうだ。このジュース、飲んでみませんか?」
「このジュースって手作りのやつ?そんな・・・悪いわよ、アルマジモンに作ってあげたんでしょう」
「構いません。それに、少し味見して感想を聞かせてほしいんです。空さんは料理もお上手だと聞くのでぜひ参考にしたいんです」
う〜んと唸った空はしばし悩む。
だがこう可愛い後輩に頼まれてはNOと言えないのが彼女の性。
「分かったわ。じゃあ御言葉に甘えて飲ませてもらうわね」
そのままがぶ飲みするのは行儀が悪いと、空は持参していた水筒の蓋を取るとそこに例のジュースを注いだ。
伊織はさすがにドキドキしながらその様子を見守った。
空はある程度蓋に注ぐと、ゆっくりと口に流し込んだ。下品な音は一切立てないが、ごくごくと空の咽が動いて液体が彼女の体へと流れ込んでいくのがハッキリわかる。
伊織は作戦成功を確信して思わず叫びそうになった。それをぐっとこらえて訪ねてみる。
「お味は・・・どうですか・・・?」
「・・・うん、すごく美味しいわ。お世辞じゃなくて本当にね。あえて言うなら・・・ちょっと味が濃い目かな」
「そうですか・・・じゃあ今度はもうちょっと擂り潰す量を減らしてみようかな」
「まあ、この辺は個人の好みになるからね。アルマジモンは濃い味の方が好きかも知れないでしょ?」
何気ない会話を交わすが伊織は内心、飛び上がりたいほどの嬉しさだった。
ここまで上手くいくなんて。
さあ、浮かれるのはそろそろ終わり。ここからが本番なのだから・・・。
手当が終ると空は帰宅しようと立ち上がった。
「それじゃ、もう大丈夫ね。ジュース御馳走様。もし何かあったら、連絡してね。それじゃ、お邪魔しました」
「・・・っ、待ってください!!」
「?どうしたの伊織君??」
立ち上がろうとしたところで慌てて伊織が静止する。
すると次の瞬間、伊織は空の胸元へと飛び込むようにして抱き付いた。
空は突然の事に怪訝な表情。
「い、伊織くん?」
伊織は空に甘えるようにして抱き付くと、精一杯哀れな子供を演じた。
「・・・僕・・・今日・・・一人で大丈夫って言ったけど・・・本当はすごく寂しいんです・・・」
「強がって出かけてもいいって言ったけど・・・っく・・・寂しくて・・・お願いします空さん。もう少しだけ・・・一緒に・・・」
我ながら迫真の演技だと心の中でつぶやく。
そして空の反応は予想通りだった。彼女は、伊織の小さな頭を優しく撫で始める。
「・・・分かったわ。もう少し・・・ううん、寂しくなくなるまで一緒にいてあげる」
空は元来世話好きな女性だ。伊織のような小さな子の甘えには特に弱い。
溢れんばかりの母性本能を激しく擽られるのだろう。まさに愛情の紋章の持ち主に相応しい人物であった。
・・・皮肉なことに、それが自分からやすやすと餌食になっていく原因を作っているのだが。
伊織は抱きついたまま、空の胸の中で目を閉じた。
とても暖かくて心地よかった。
伊織は彼女の太ももの上にちょこんと座り、暫くお互いに抱き合った姿勢となった。
空は優しく伊織の背中を撫でている。
と、空は次の瞬間に異質な感触を脇腹に感じた。
何か冷たいものが当たってひんやりとした感触が初めに現れた。
そのあと徐々にくすぐったい様なそれでいて這いまわる様な気味の悪い感触だ。
「あっ!?ちょっ・・・と・・・伊織君!!?」
伊織は抱き合っていた腕を徐々に下へと移動させると、空のセーラー服の下からもぞもぞと手を侵入させた。
アンダーを一緒に捲りあげて空の地肌へと触れて指を這わせた。
暖かくて柔らかい感触がとても気持ちが良かった。
そして侵入させたそれを徐々に徐々に・・・上の方へと這わせていく・・・。
空は服の上から伊織の腕をとっさに掴んだ。
「な、何をするの伊織君!?」
「・・・空さん・・・僕は・・・」
小さく呟くとそのままぎゅううっと空を抱きしめた。
思わず空は、うっと呻いた。
空は必死に抵抗を始めるがどうにもならなかった。例の果実の効果が現れて著しく非力と化していた。
そんな事を知る由もない空は混乱と恐怖を感じ始めている。
「空さん・・・空さんは・・・可愛いですね」
妖しく呟くとそのまま押し倒す。抵抗むなしく、非力になった空はあっさりと小さな子に押し倒された。
空を寝かせると伊織は彼女の横へと体を移動させた。
手は服の中へと新入させていたとうとう胸へと達していた。
少しだけ大きな乳房をブラジャーごと摘まむと、ゆっくりと感触を楽しむように揉む。
「んああっ・・・やめっ・・・きゃん!!」
「喘ぎ声ですか。僕、初めて聞きましたよ」
揉みしだきつつ、伊織は空の耳たぶをしゃぶった。
ペチャピチャクチャクチャとワザとらしく卑猥な音を立てる。空はそのたびに甘く鳴いた。
「あっ・・・ふっ!!い・・・お・・・り・・・くん・・・」
「ふふふ、嫌らしい声ですね空さん」
冷酷に笑いながら耳に息を吹きかける。
空はぶるぶる震え始めた。