〜オメガモンの部屋〜
「そう拗ねるなよ、|ギルモン《デュークモン》。」
オメガモンが薬を調合しながら
振り返らずに部屋でお茶を入れている私に言った。
「ぬぅ、折角の二人きりの時間が・・・
こんな他愛も無い事にに裂かれるなど、
いらん事ばかりしおって・・・、
少しは私の気持ちも考えたらどうだ?」
そう言いお茶を入れたマグカップを荒々しくドンッと机に置く。
それを何も言わずに啜ると黙々と作業に取り組んでいる。
その態度に半分私は腹を立て半ば怒鳴るようにして言った。
「何とか言ったらどうだ!?」
「何を言っている?
お前の気持ちを考えたからこそ俺は何も言わずに
この薬を作っているのではないのか?
それにこのままだと貴様と出来ないではないか。」
私は分かってはいたが、
その口から具体的に聞きたくて聞いた。
「えと、それってどういう意味だ?」
「こういう意味だ・・・」
「えっ!?フグッ・・・」
そう言い|アグモン《オメガモン》は先程入れた飲み物を口に含み
そのまま口に含んだ飲み物を俺と口付けて移しこんでくる。
私は|アグモン《オメガモン》と舌を絡ませると、
送り込まれてきたほろ苦い緑茶を嚥下した。
その長い接吻が終わると、|アグモン《オメガモン》は作業に戻り没頭してしまい、
私はその真意を図れず、何も言えなくなってしまった。
「お互い、究極体では兜を被っているからな。
こういうキスも出来ないだろう?
お前は恥ずかしがって兜は外さんしな・・・」
|ギルモン《デュークモン》は暫く無言のままで見つめていたが、
『馬鹿・・・』と呟くと部屋を出て行ってしまった。
俺は先程入れて貰ったはずのマグカップを手に取り飲もうとするが、
全部|ギルモン《デュークモン》に口移しであげてしまったのだった。
"馬鹿"・・・か、
「お前こそ、俺の気持ちを知らない癖に・・・、阿呆め」
俺はそう呟き赤い結晶を|徐《おもむろ》にビーカーに放り込み
再び作業に取り組み始めた・・・。
一方、大浴場にて退化した二体は
それぞれ小さな自分の体を楽しんでいた。
「フサフサしているな。」
俺は|ドルモン《アルファモン》のフサフサとした毛皮の海に
自分の青い腕を埋めていた。意外に気持ちがいいのか
|ドルモン《アルファモン》は、うっとりとした顔でされるがままになっていた。
その内に仰向けに転がると柔らかそうなお腹を見せ、
期待をその目に宿しながら俺に言った。
「お願いだ。私のお腹を撫でてくれないか?
ついでに洗ってくれると嬉しいのだが
・・・あぅぅぅぅぅ」
俺は返事をする代わりに
|ドルモン《アルファモン》の柔毛の海をグリグリと撫でていた。
恍惚の表情を浮かべている|ドルモン《アルファモン》を尻目に
俺はシャンプーをダイレクトに|ドルモン《アルファモン》にかけると
ゴシゴシと力強く擦りながらブクブクと泡を立てていた。
「気持ち良い・・・。
背中も洗ってくれないか?」
俺は仰向けの|ドルモン《アルファモン》の背中に腕を回し
半ば抱きかかえ指を鋤のようにして、
その水にぬれた柔毛を念入りに洗った。
満遍無く洗うと手桶にお湯を溜め一気に洗い流した。
洗いながら毛の間に入り込んだ泡を手で剥き
俺はお湯をかけ続けた。
お湯の滴る状態で|ドルモン《アルファモン》がこちらを見ると
満面の笑顔を湛え言った。
「次は私の番だな・・・。」
そう言い私は手元の手桶にお湯を張り
|ブイモン《アルフォース》の頭から一気にかけた。
|ブイモン《アルフォース》はいきなりの事にぶるぶると頭を振って
水気を切っていたが、いきなり思い出したかのように
持っていた垢擦りタオルを私に差し出した。
「ん?何だそれは?」
「いや、垢擦りタオル・・・」
「そんな事は知っている。
それをどうするつもりなのだ?」
私はそう言うとボディーソープをフサフサの手に付け、
グシュグシュと握り泡立て始めた。
それをみて|ブイモン《アルフォース》は察したらしく
黙ってタオルを投げ捨てると椅子に腰掛けた。
それを見届けると私は背骨のゴツゴツした背中を
自分の手の天然のタオルでスリスリと優しく擦った。
私の手が触れる度にビクビクと反応している。
私は更に強く擦り始めた。
ゴシ・・・ゴシゴシ・・・
ゴシゴシ・・・ゴシゴシゴシゴシ
私は洗っていた手を頭の方に移し
ブイモン独特の角を両手で支えるように擦った。
すると敏感なのか角を触る度に身を捩じらせている。
その手も程々に硬い胸板へと泡立てた手を当て
お腹と同時に念入りに洗う。ドクンドクンと|ブイモン《アルフォース》の
脈動が手の平を通じて伝わってくる。その命の振動が
何故か心地良くて|ブイモン《アルフォース》の割れた腹筋を
ゴシゴシとしつこいほどに強く擦っていた。
すると|ブイモン《アルフォース》は余りにくすぐったいのか
身を悶えて暴れて懇願した。
「うわっ・・・ひゃぁあ
ちょっ・・・|ドルモン《アルファモン》?
くすぐったいってばぁ・・・あはははは」
|ブイモン《アルフォース》の喚きを無視すると
股間に付いた小さな物を一擦りし、手桶に張ったお湯を
自分の泡だった手と一緒に|ブイモン《アルフォース》に頭からかけてやった。
無断で敏感な部分を触られて怒りを露にしている。
後が怖くなった私は黙って謝った。
「そんなに怒るな、
隠れてないから触りやすかったのだ。」
「・・・ぃのに」
「ん?なんだ?」
「恥ずかしいのに!!!って言ったの!!!
もうちょっと照れながらやるとか・・・
その・・・俺を・・・ゆっくり押し倒すとか・・・」
「なんだ?押し倒されたいのか?」
そう言い|ドルモン《アルファモン》が私に圧し掛かり
身体の自由を奪われる。俺は空気の読めない|ドルモン《アルファモン》に
怒りを感じその胸板を拳でバンバンと叩いた。
「馬鹿!いきなりじゃなくて、
もうちょっと雰囲気を大事にするとかは無いのかよ!」
「してほしいと言ったから襲ってやったのに・・・
怒られる筋合いは無いと思うぞ?」
「馬鹿!|他人《ひと》の気も知らないで!」
俺は空気の読めない|ドルモン《アルファモン》に腹を立てながらも
この雰囲気を嫌いには、何故かしらなれなかった。
「馬鹿馬鹿と人の事を・・・
まぁ良い、私の事も楽しませてもらうからな!」
先程一戦犯ったばかりだと言うのに再び怒張して
硬くなっていた俺の物を尻尾でサワサワと触れる・・・
その異質な触感に何とも言えない快感を感じ、
毛に覆われた|ドルモン《アルファモン》をぎゅっと抱きよせた。
互いの鼓動が一つになっていく、
俺の鼓動が|ドルモン《アルファモン》の鼓動になり、
|ドルモン《アルファモン》の鼓動が俺の鼓動に・・・
その不思議な感覚に俺のデジコアが妙に強く脈動していた。
「む?これは・・・」
|ドルモン《アルファモン》がいきなりこの雰囲気をぶち破った。
「なんだよ!
お前って本当にデリカシが無いのな」
「・・・悪かったな、
いや何、ジョグレスの脈動を感じたのでな・・・」
ジョグレス?
じゃあこの心地良い脈動は・・・?
俺は頭の上に疑問符を浮かべているが、
|ドルモン《アルファモン》は俺の様子を気にせず続けた
「だが、今の私たちには関係のない事だ。
今の私たちは成長期だからな」
そうだった。成熟期以降でないとジョグレスは出来ないのだ。
体が未発達でジョグレスは出来ないのだが・・・。
あれがジョグレスの鼓動?気持ちの良い物だったな・・・
「・・・もう少しだけ、
抱きしめていていいか?」
私は切ない表情を浮かべている|ブイモン《アルフォース》に
無言で体をあずけた。本音を言うと私自身も気持ちがよかった。
力強く抱きしめられる感覚、強い鼓動・・・
多分、私と|ブイモン《アルフォース》は同じ考えだったのだろうな。
カラカラカラ・・・・
ふと、|ブイモン《アルフォース》の性器を弄くり始めた手が止まる。
入ってこようと扉を開けた|ガブモン《ドゥフトモン》を見つめる。
暫くの沈黙、流れていく時間、冷たい空気・・・
|ブイモン《アルフォース》の位置からは見えないのだろう
俺の手が止まったのに気づき強く抱きしめながら催促を求めた。
「|ドルモン《アルファモン》・・・
も、もっとぉ・・・」
その瞬間俺たちを見ていた|ガブモン《ドゥフトモン》がフェードアウトしていった。
カラカラカラカラ・・・パタン・・・
見られてしまった・・・。まぁでも、
|ガブモン《ドゥフトモン》は口が堅いから良いか・・・。
|ブイモン《アルフォース》は音がした方を見つめて言った。
「・・・?誰かいたの?」
「ガブモンが覗いてた。
多分あれはドゥフトモンだろうな。」
「ふ〜ん、変なの・・・。
でも、見られるのは嫌だから。もぅ上がろう?
続きは個室の風呂でやろうよ?」
「そうだな、元々ここには浴衣を取りに来ただけだしな。」
私はいらない考えを振り払うと|ブイモン《アルフォース》と共に大浴場を後にした。