「胸を…大きくする、という事は…」
「豊胸手術…ですか…」
「やめといたほうがいいんじゃねーか?まだぴよこには無理だろ」
ぴよこの提案にリク・カイ・クウの3人は口を揃えて否定した。
皮膚の下に脂肪やシリコンを注入する手術は成長期前の身体にはできない。
部門は違えど3人は医師。身体を壊すようなことはできない。
それが彼等の首領――ピョコラ・アナローグ3世――なら尚更のことである。
意見をまとめ、リクが口を開く。
「ピョコラ様。毎日牛乳を飲んでいれば、
きっとそのうちナイスバディなレディになれなすぞ」
しかしぴよこは口を尖らせ、
「それじゃ遅すぎるぴょ。でじこお姉ちゃんに『ぱいずり』をして困らせるんだぴょ」
「ピ、ピョコラ様っ!そのようなはしたない言葉はおやめください!!」
カイが慌てて制止する。
「じゃあカイのお胸をおっきくしてカイがやるぴょ!」
「な、なんですとーーーー!!!!」
突如炸裂するぴよこの爆弾発言。
「それならオッケーじゃねーの?試しにいっちょ、やってみっか?手術」
「それもそうだな。医学の発展には尊い犠牲もやむをえまい」
気楽に話す2人。
「正気ですか!?2人とも?いったい何を考えているのですか!?」
「何をって…カイの豊胸手術のことだろ?」
「何を言っているんだ少佐。カイ中将の性転換手術のことだろう。
なに。こう見えても私は獣医。去勢手術ならできるぞ」
眼鏡をきらめかせリクがニヤリと笑う。
「観念するんだ。我々ブラックゲマゲマ団は悪の軍団。
悪の軍団には改造手術が付き物であろう」
「や、やめてください!自分はそんな物受ける気はありません!!」
「話は聞かせてもらったよ!こんなときこそ、この俺の出番だ!」
決めポーズと共に颯爽と面茶やすしが現れた。
「なんなんですかあなたは。おもちゃの実験に付き合っている場合じゃないんです」
マッド・ドクター2人と更に面倒な人物に挟まれカイはうんざりと答えた。
「まあまあ、ブゲ団の皆さん。聞けばこちらのカイさんが女の子になりたいとか」
「そうなのです。しかし、いざ手術となるとご覧の通りでして…」
「まったく、素直じゃねーんだからよ」
「いったいいつ、誰がそのような事を言ったのですか元帥!」
カイの抗議を華麗にスルーしながら会話は進む。
「しかたありませんよ。なにしろ手術では完璧な性転換は不可能ですから。
そこで、この面茶やすしの最強発明の出番、というわけです」
左手で胸を叩き、右手は大きく後ろにかざす。
そこには宙に浮かぶ黒く歪な円筒形の物体があった。
「ほう。これはいったい何に使うものですかな?」
眼鏡の位置を直しつつ、リクは問いかける。
やすしは揚々と説明を始めた。
「これこそハイパーテクノロジーが生み出した傑作!
『完全版・雌雄反転マシーン!』〜心弾む日々が君を待っている!〜
そう、略して!
『かしマシ』ではずむ君ライフをレッツエンジョイ!
そんなわけで早速『かしマシ』スウィッチオォーン!!」
やすしは炎の雄叫びとともに装置を起動させる。
びしゅぅおぉ!
『かしマシ』から放たれた光線はカイを捕らえ、彼を内部に取り込んだ。
「いったいどうなったのですかな?」
リクが問いかける。
「ご心配なく。すぐに生まれ変わってくるはず!」
やすしの言葉に反応するかの如く空中の『かしマシ』から光線が放たれる。
その中に瞳を閉じた少女の姿。
それは光のドレスを纏い、天から舞い降りた天使のように。
リクとクウは降下してくる『彼女』の身体を受け止める。
二人の両腕の中に『彼女』の体が収まる。
白い首筋から細い肩を経てしなやかに伸びる両腕。
繊細な鎖骨のラインから滑らかな曲線を描き大きく膨らんだ乳房。
バイオリンのようなウエストのくびれのその下には本来そこにあった物がなく、
その奥に秘められた――――
「い、いかん!こら!クウ!!じっくりと眺めているんじゃない!!」
我に帰ったリクが叫ぶ。
ゆっくりと少女を地面に下ろし、リクは自分の白衣を掛ける。
「ん、うぅぅん…」
少女が瞳を開く。
「気が付いたみてぇだな。えっと…カイ?」
クウが声をかける。その語尾は無意識に上がる。
「いったい何があったのですか?少佐」
問いかけながら頭を抑えゆっくりと上体を起こし、
首元まで掛けてあった白衣が落下する。
それに合わせてカイは視線を落とし…
ぴし。
音を立てて凍りついた。
(ここは…夢?)
カイはまどろみの中にいた。
意識がはっきりとしない、感覚もあやふやな世界。
『――――めているんじゃない!』
音が聞こえた。声だったかもしれない。
いや、確かに声だ。
その音を『声』と認識すると、それをきっかけ意識が覚醒していく。
重力も感じる。自分は仰向けになっている。
この感覚は知っている。目覚める瞬間に似ている。
夢すらも見ない、深い深い眠りからの目覚めに。
「ん、うぅぅん…」
ゆっくりと目蓋をひらく。
最初に感じたのは太陽の光。それを遮るように覗きこむ2人の顔。
彼らは仲間だ。彼らの事はよく知っている。
彼らも自分の事をよく知っているはずだ。
しかし、
「気が付いたみてぇだな。えっと…カイ?」
なぜかその声は自身なさげに半疑問形になっている。
どうして自分はこんな所で横になっているのか。
「いったい何があったのですか?少佐」
疑問を口にして身体を起こすと身体に掛けてあった物が滑り落ちた。
無意識に下を向くとそこには
で っ か い お っ ぱ い 。
カイの視界いっぱいに女性の乳房が広がる。
――なぜこのような女性的なものが自分の身体に?
――いやそれ以前に何ゆえ全裸で屋外に?
――裸?外?見られタ??何ヲ!?
「ひぃ、いやあぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
カイの悲鳴が響いた。
「ひぃ、いやあぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
突如カイが悲鳴をあげる。
「お、落ち着け!カイ!」
「嫌!見ないで!何これ!?なんなの!?どうなっているの??」
「いいから落ち着くんだ!いったいどうなっているのですかッ!」
語尾を荒げ、リクはやすしを問い詰める。
「ああ、軽く混乱しているだけだから大丈夫。しばらくすれば落ち着くから」
あっけらかんと言うやすしの言葉とは裏腹にカイはどんどんヒートアップする。
「嫌ぁぁぁぁ!!」
「めからびーむ!」
突如響いた声。一瞬遅れて広がるゲル状物質。
それはカイの周囲の人物を飲み込み、一箇所に固まった。
「おぉ・まぁ・えぇ・らぁ・なぁ〜にをしているにゅ〜〜」
全身から殺気を漲らせたぷちこが現れた。
「平気かにゅ?こいつらに酷いことされたにゅ?
ぷちこが来たからもう大丈夫にゅ」
カイの元へ駆け寄り、声をかける。
「あ、ありがとう。プチ・キャラット。少し取り乱してしまいまして…」
「?ぷちこのこと知ってるにゅ?どっかで会ったかにゅ?」
ぷちこは首をかしげる。
「ああ、カイです。自分は、カイ・シュヴァイツアーです」
「…ひょっとして、あのカイなのか、にゅ…?」
顔をしかめ陰鬱とした表情でつぶやく。
「どうやら、そのようです…」
「…おまえ、その体…」
そうつぶやいてぷちこは視線を巡らす。
めからびーむに取り込まれたやすしを見つけ、
「アイツのしわざかにゅ」
即座に状況を理解した。
「はやく元に戻してください!」
カイはやすしに詰め寄る。
「えぇ〜?せっかく美人になったのにもったいな…」
「元に戻すにゅ」
「お安いご用さ!ぷちこちゃん!」
『めからびーむ』から解放されたやすしは『かしマシ』に向かい、
「スウィッチオォーン!!」
だが『かしマシ』に変化はない。
「スウィッチオォーン!!」
三度轟く炎の雄叫び。
…………………
「あれ?電池が切れちゃあ゛ぁぁぁぁぁぁ」
やすしは再び『めからびーむ』に取り込まれた。
「あのアホたれに頼ったことが間違いだったにゅ」
不機嫌モード全開でぷちこはつぶやいた。
「どうしたらいいんでしょう…」
瞳を潤ませカイがぷちこに擦り寄る。
「とりあえずここにいてもしかたないにゅ」
ぷちこは踵を返し歩き出す。
「あ、ちょっと待ってください!どこに行くのですか?」
――ひょっとしてプチ・キャラットは元に戻れる方法を知っている?――
カイは慌ててぷちこの後を追いかけた。
やがてふたりは神社の隅にたどり着いた。
「ここに元の身体に戻る方法があるのですか?」
「にゅ?ぷちこはそんなのしらないにゅ」
ぷちこはマイペースに子猫にエサを与えている。
肩すかしを喰らったカイはうなだれ、呟く。
「自分はこれからどうなるのでしょうか…」
「美人でナイスバディだから心配いらないにゅ」
カイの問いかけにぷちこが答える。
「そうではなく!この身体をどうやって元に戻すか、ということです!」
「なっちゃったものはどうしようもないにゅ。これから女としてがんばるにゅ」
「他人事だと思って気楽に言ってくれますね。」
カイの口調が荒くなる。ぷちこは怯まずにカイの目をまっすぐ見つめ、
「女の身体も悪いもんじゃないにゅ。その良さの1部を教えてやるにゅ」
そう言うとぷちこは白衣の中に飛び込んだ。
カイはその勢いに押されるように仰向けに倒れる。
「ひゃっ!?ちょ、何をするのです?」
抗議を無視してぷちこはカイの乳房に吸い付き、口の中で乳首を転がす。
「ひゃあぁぅ!あ!や、そこ…」
カイは初めての感覚に戸惑う。
小さな手のひらが乳房を揉み、舌と乳首が唾液と一緒に絡まりあう。
胸から体の内部を通じて押し寄せる電流のような快楽。
「は、あ、ぁふぅぅぅん…」
快楽に溺れそうになるのを歯を食いしばり耐える。
ぷちこは胸から口を離し、カイの唇に吸い付いた。
「ひ、あ、んむ…」
そのままぷちこはカイの歯列を舌でこじ開け、口内を蹂躙する。
最初は抵抗していたカイの舌が徐々に動き出す。
舌を触れ合わせ、絡ませあい、唾液を混合し、お互いを貪るかの如く。
口内からの麻酔薬のような陶酔感。
身体の奥から湧き出す衝動が液体となり秘裂の中心部から湧き出してくる。
カイは押し寄せる快楽の波に飲み込まれていった。
ぷちこがカイの唇から離れるとお互いの唾液が糸を引いて首筋から
胸元まで垂れ落ちる。
「えっちな光景です、ね…」
ぷちこはカイの上に跨り、脇腹に唇を押し当てる。
「ぁうっ!んひぃ!!」
胸のときよりもさらに強い電撃が脊髄を迸る。
唾液を含んだ柔らかな唇は伸縮を繰り返しながら脇腹をなぞり、
骨盤のラインに沿って下腹部へと進んでいく。
「あっ!はぁっ!や、ひゃぁぅぁ…」
じりじりと這っていくぷちこの唇。向かう先にあるのは――陰裂。
――あそこに触られたら、もっと気持ちよくなれる――
――これ以上感じたら壊れてしまう――
相反する2つの思考が同時によぎる。
しかしぷちこの唇は陰裂にたどり着く寸前で方向転換し、下腹部を彷徨う。
――まだなの?なんで、そっちに行ってしまうの?――
「お願い…もっとぉ、下の方…」
こらえきれずにカイは囁く。
ぷちこの唇は蠢きながらゆっくりと陰阜へと這い進む。
「あ、は、はや、くぅ…」
吐息が襞にかかり、小さな乱気流を起こす。
唇を窄め秘唇を抉じ開け、僅かに湿る窪みに唾液と舌を割り込ませる。
「ひゃぁあぁあぁう!い、はぁ!あう、あぅぁぅぁぅぁうぅ…」
身体の中心部から容赦なく押し寄せる快感の雷撃。
剥き出しの神経に電極を繋いだかのように脊髄を掛け上がり頭蓋の内で弾ける。
処女膜を破らないよう、慎重にときほぐすように、
痙攣する膣口に舌先を浅く挿入し、すばやく引き抜く。
はじめはゆっくりと、徐々にペースをあげてゆく。
「ああぁっ!ふぁあうっ!いひぃ、んあっ」
やがてストロークを長くとり、より深く、より奥へと。
「は、あぁぁおぉあぁぁぁっ」
粘液にまみれた唇と陰唇が絡み合い、
体内に侵入してくる柔らかい舌。
それはぴったりと閉じていた膣壁を掘り進むかのように。
単調な直進運動から舌先を丸め、側面を抉り、
膣壁の襞をひとつひとつなぞる。
「きゃぁぅうっ!は、ぅあっ!あひぃ!ひゃぁあぅっ!」
カイの背中が大きく弓なりにしなる。
膣から舌をゆっくりと引き抜き小陰唇を舌先で弾きながら
陰梃を含み、吸引する。同時に指先は膣壁の上側を突く。
「いひぃっ!あぁあぁっ!ひゃ、あぁぁああぁああっぁぁぁぁああぁ!!!」
ぷちこは素早く体を離す。
カイの全身が硬直し、大きく3回痙攣した後、ゆっくりと弛緩した。
「はぁ、はぁ、はぁ…く、癖に、なりそうです…」
「カラダの悩みは解決にゅ。後は、あいつらの出番にゅ」
ぷちこが指した方向には
「あ〜!!カイ〜!やっと見つけたぴょ〜!」
「なに?どこですか!?ピョコラ様!」
「でかした!ぴよこ!!」
走り来る仲間の姿。
「ピョコラ様!元帥!少佐!」
ぴよこがカイの胸に飛びつく。
「まったく、どこ行ってたんだよ。探したんだぜ」
「無事だったか?」
「みんな…」
クウがカイの肩に手を置き、声をかける。
「さ!帰ろうぜ!俺達の家へ!
女になっても俺達は仲間なんだからよ!!」