「ゲマもぷちこも冷たいにょ、でじこをなんで起こしてくれないにょ。先にいくなんてひどいにょ。」  
玄関のドアを閉めながらでじこが言う。  
「うぅ…最近朝は寒いにょ〜。カイロ持ってくればよかったかにょ。って、そんな時間はないにょ!」  
呟きながら、くるりと百八十度高速回転し、  
「うにょわっ!」  
そのままこけた。しかも運の悪いことにしりもちをついた場所は水溜りだ。  
「にょ〜!今日はとことんついてないにょ…。」  
スカートなのと水溜りが大きくないのが幸いして、被害はほとんどパンツだけのようだ。  
「着替えてたら遅刻決定にょ。……仕方ない、こうするかにょ。」  
パンツを脱いでポケットに入れる。  
『乾いたらまたはけばいいにょ、どうせ誰も気づきゃしないにょ。』  
このときにはでじこはそう思った。  
「無駄な時間を取ったにょ。って、さっき十分前だったから……やばすぎにょ!」  
 
 
「はぁ、はぁ、ち、遅刻三秒前にょ。」  
「ほんとにぎりぎりだったわね。でも、少し休んだら仕事しなさいよ。」  
「分かってるにょ。」  
レジに向かううさだの後姿を見送りながら息を整える。  
トレードマークの大きなうさぎ尻尾がゆれていて、そのすぐ下にはリボンとスカートがひらひらしている。  
『へぇ、じっくりみたことなんかなかったけど、うさだのスカートって結構短いんだにょ。』  
突然そんなことを思いつき、そして今自分がパンツをはいてないことに思い当たった。  
思わず、翻ってもいない自分のスカートを両手で押さえる。  
「でじこ〜、何してるゲマ?」  
「ゲ、ゲマ。べ、別になんもしてないにょ。ちょっと休んでるだけにょ。」  
「おまえ、なんでスカート押さえてるのかにゅ?」  
「ぷ、ぷちこ!」  
ふよふよ浮いてるゲマならともかく下から見上げてくるぷちこは脅威だ。  
「た、単に出かけるときに急いでたからチェックしてただけにょ。」  
とっさに言い訳をする。  
「ゲマがみてあげようかゲマ?」  
「け、結構だにょ。今ちゃんとやったにょ。」  
不意に言われ、戸惑いながらも目をそらす。  
「なんで赤くなってるゲマ?」  
「そんなことないにょ、全然赤くなったりしてないにょ!」  
「そかにゅ。じゃぁ、そういうことにしておくにゅ。」  
ちょうどそのとき、店のドアが開いた。  
「あ、お客さんだにょ。」  
それをいいことにしてでじこは二人から離れる。  
「いらっしゃいませにょ……ってミナタクかにょ!?」  
「あはは…。でじこちゃんこんにちは。」  
ミナタクは頬をかきながら困ったような笑いを浮かべている。  
「うさだならレジにょ。ついでに冷やかしはお断りだにょ。」  
いつもなら胸を張って悪態の一つや二つはつくものだが、今日はそんな気になれなかった。それどころか笑いかけられたのに気後れでもしたような変な感じだ。  
「いや、ラビアンにはもう会ったんだ。だから、その、え〜と、デジレンジャーのカードで何かいいのがないかなーって。」  
 
「デジレンジャー…、そういえば、新作が出てた気がするにょ。」  
「本当かい?」  
ミナタクの顔が輝く。  
「ト、トレーディングカードコーナーはこっちだにょ。ついてくるがいいにょ。」  
くるりと後ろを向くとコーナーに向けて歩く。  
背中を見られてる。いつもはなんでもないはずなのに、今日はなんか落ち着かない。  
「あ、でじこちゃん、ハンカチ落としたよ。」  
言われて振り向くと、いつのまにかポケットから零れ落ちたのか、くしゃっとした布の塊が足元に落ちていた。  
『そ、それはでじこのパンツにょっ!』  
「自分で取るにょっ!」  
さすがにミナタクに拾わせるわけにもいかず、慌ててしゃがみこんでそれをつかむ。  
が、ミナタクもそれをとろうとしてまさにしゃがみこむところで、  
結果。でじこのスカートのなかにミナタクの頭がすっぽり入った。  
「な、何するにょっ!!」  
「わ、わわっ。」  
でじこも大慌てだが、ミナタクはそれ以上に慌てていた。ばたばたしていたがやがてスカートのふちから顔を出す。  
「き、気づいちゃだめにょっ!」  
その顔に向けて、でじこは反射的に本音のほうを叫んでいた。  
「ご、ごめんでじこちゃん。僕気づいてないよ……え?」  
これまた反射的に答えてからミナタクが疑問符を浮かべる。  
「な、なんでもないにょ…。」  
それだけ答えるが、気恥ずかしさにミナタクの顔を正視できない。  
「こ、ここの棚が新作カードのコーナーにょ。」  
なんとか取り繕って言うも、顔がどんどん赤くなっていく。  
「でじこちゃん、ほんとにごめん。」  
「なに言ってるにょ、あたしは全然、全然気にしてないにょ。」  
『なんか調子狂うにょ〜。早く仕事済ますにょ。』  
「え〜と、デジレンジャーはたしかこの辺りに…。あれ?」  
予想してた場所にカードはなかった。  
 
「でじこちゃん、あれじゃないかなぁ?」  
ミナタクが指を差してくれた先を見ると、ものすごく高い位置にデジレンジャーマークのはいったダンボールが見えた。  
『一体誰にょ。あんな高いところに品だししたのは。』  
きょろきょろと周りを見るが、うさだは忙しそうにしてるしぷちこやゲマは見当たらない。代わりに近くに脚立を見つけた。  
『応援は頼めなさそうだし、仕方ないにょ。』  
「これで、こうして。これでいいにょ。」  
「でじこちゃん、結構高いよ。ラビアンとかゲマとか呼んだほうが…。」  
「やかましいにょ、あたし一人で出来るにょっ!」  
考えてたことをミナタクにそのままいわれて、いつもの癖で言い張った。  
そのまま脚立をあがり出す。なんか調子狂う、そのことからさっさと仕事をおわらすことしかでじこは考えてなかった。  
「そ、そうかい、ごめん。でも、危ないから下で支えててあげるよ。」  
‘下で支えててあげるよ。’【下】で…  
ぴたりと、でじこが停止する。  
「どうしたの、でじこちゃん。」  
『み、見えちゃうにょ。』  
そうは思っても言い出した手前やっぱやめますと言うのも怖気づいたみたいでいやだった。  
「う、上を見るんじゃないにょ。」  
まだ見られるような高さでないのはわかってるが、スカートを押さえながらミナタクに告げる。  
「分かった、大丈夫、下を見てるよ。」  
悪気はないんだろうが、【下】の一言ででじこはさらに顔を赤くする。  
「ぜ、絶対見るんじゃないにょ、見たらビームにょ。」  
言いつつ脚立をあがる。高さはすでにミナタクの背丈くらいだ。  
『もし上を見上げられたら…ばれちゃうにょ。』  
心臓がどきどきしてまた顔が紅潮していく。  
『し、仕事に集中、集中にょ。』  
カードのはこは脚立の天板と同じくらいの高さにあった。天板の上で立たないで済む事にちょっと安堵する。  
でじこはあがりきると、天板を跨いだ。  
『ちょ、ちょっと冷たいにょ。』  
素肌に直接触れる天板の冷たさが、今の状況をよけいに意識させる。  
 
『うぅ、でも、あとちょっとの辛抱にょ。』  
自分に言い聞かせ、箱を上から引き出すとそれを抱えてなんとか脚立をおりだす。  
予想してたよりダンボールが重くて足元がふらつく。  
がたがたと脚立がゆれた。  
「でじこちゃん、大丈夫?」  
かけられた声に下を向くと、ちょうどミナタクと目が合った。  
「み、見るんじゃないって言ったにょ!」  
半ば叫ぶように言って荷物を抱えたままスカートをきつく押さえる。  
それがまずかった、致命的にバランスを崩して、板を踏み外す。  
「うにょうっ!!?」  
「うわぁっ!!」  
派手な音を立てて脚立と、それを押さえてたミナタクまで巻きこんで転倒する。  
「いたたた…にょ…。」  
「ちょっと大丈夫?」  
いつのまにレジを抜け出してきたのか、目の前にうさだがいた。  
「だ、大丈夫にょ…。」  
声に答えてから、でじこは自分が何か踏んでるのに気づいた。それに、前の辺りに生暖かい感触。  
「ちょっと、でじこ。あんたミナタク踏んでるわよ。」  
「にょわぁっ!」  
慌てて立ちあがると、その下にはミナタクの頭が仰向けの状態であった。  
「ミナタク、大丈夫?」  
うさだが、急いで助け起こす。  
でじこは少し脇によけてその様子を見ていた。ただどきどきとだけして何も話せない。  
「あ、ラビアン、ありがとう。」  
そうしていると上半身だけ起きたミナタクと、ちょうど目が合った。  
「だ、大丈夫かにょ。」  
自分が耳まで赤くなるのが理解できたが、ミナタクも同じように赤くなる。  
「う、うん。」  
ミナタクはそう言うと、困ったように視線を下に逸らす。  
 
『見られた。間違いなく気づかれたにょ。』  
その仕草からでじこは確信した。  
「ちょっとでじこ、気をつけなさいよ。ミナタク、ほんとに大丈夫?」  
「あ、うん、大丈夫だよ、ラビアン。ありがとう。」  
少しぎこちないながらもミナタクが立ちあがる。  
「あ、む、無理しちゃいけないにょ。ちょっと休んでいくにょ!」  
でじこは抱えてたダンボールを放り出すと、ミナタクの手を取って駆け出した。  
「ちょっと、あんた後片付けどうすんのよ!?」  
後ろからうさだの声がするが、そんなものに構ってられない。そのままSTAFFONLYのドアに駆け込む。  
「で、でじこちゃん、ほんとに大丈夫だよ。」  
『あたしが大丈夫じゃないにょ!』  
背中からかかる頼りない声に心の中で叫ぶ。  
でじこはミナタクを引いたまま休憩室ではなくその隣の狭い給湯室に向かう。  
「え、ちょっと、ここは休憩室じゃないんじゃぁ」  
「いいからちょっと入るにょ。」  
でじこは給湯室にミナタクを先にする形で押し込んだ。  
狭い給湯室は二人ではいるとほとんどスペースがない。  
「言うんじゃないにょ。絶対に秘密にょ。」  
口調は強いが、でじこは下を向いていた。  
「な、何のこと?」  
みえみえな態度でミナタクがとぼける。  
「見たにょ?絶対見てるにょ。しょ、正直に言うにょ。」  
脅しのつもりなのだが、恥ずかしさにミナタクを直視できないのでいまいち迫力がない。  
「み、見てないよ。僕は全然なんにも見てない。」  
気遣っているつもりなのだろうが、根が正直なためばればれだ。それがでじこの気に障った。  
「下手なうそ言うんじゃないにょっ!」  
狭い給湯室なのを忘れてミナタクにずいっと迫る。  
迫力に気おされてミナタクが下がろうとするが後ろは壁なので下がれず、かわりに足がもつれて、でじこを押し倒す形でひっくり返った。  
その拍子に右手がでじこのスカートに入り、でじこのあそこに直に触れる。  
でじこのあそこは少し熱を帯び、しめっぽかった。  
 
「ご、ごめんっ!!」  
ミナタクが飛び起きてスカートから手を抜こうとするのを、でじこはその手を握って引き止めた。  
ちょっと赤く、潤んだ目でミナタクのほうを見る。  
「さ、さわってもいいいにょ。で、でも、ほんとに絶対言わないで欲しいにょ。お願いするにょ。」  
始めて見るしおらしい態度のでじこにミナタクは固まった。  
「さ、触るんなら早く触るがいいにょっ。」  
「う、うん。」  
断るつもりであったのだが、もう答えてしまっていた。  
遠慮がちに、でじこのわれめのすぐよこ辺りを人差し指で往復させる。  
「ぅ…」  
それだけで感じてきたのか、でじこが声を漏らす。  
ミナタクはしばらくの間われめのそとがわ、中に入るかはいらないかの微妙なところを円をえがくように刺激しつづけた。  
「ん…、は…」  
でじこは壁に手をついて顔だけミナタクへ向けている。少し眉をゆがませて、顔は赤い。まるで誘うような表情だ。  
それがミナタクの本能を刺激した。むらむらと何かが沸き起こってくる。  
ミナタクが、クリトリスを指で軽く擦った。  
「ひゃぁっ!…ん……。」  
「でじこちゃん、結構敏感なんだね。」  
「ぁ…、そ、そんなことっ…、んぁっ!」  
再びミナタクが擦りあげる。  
「だってほら、こんなに濡れてる。もう手がびしょびしょだよ。」  
「だ、だって…ミナタクがっ…ふぁ!」  
でじこが答えるのを遮るように、今度は軽く触れる。  
「下着がなくてよかったね、あったら、きっとびしょびしょだよ。」  
でじこが赤くなっている顔をさらに赤くした。  
「い、言うんじゃ、ない、にょっ。あ、あたしは、好き、でっ、はぁっ、はいてなかったわけじゃぁ、ないにょっ。」  
でじこが答える間も指を止めることなく陰唇から内側の花弁へ向けてゆっくり円をえがいていく。  
 
「そんなこと言っても、あんまり説得力ないよ。」  
「あぅ、出かけるとき、水溜りがっ、それでっ、ぬれてっ…ふぅうっ…」  
ミナタクが開いている左手ででじこを抱き寄せた。  
「それで…?」  
「時間がなかったにょ、それでっ。ひぁっ!」  
ミナタクがでじこの袖のボタンをはずし、左手をなかへもぐり込ませた。その手の冷たさに声をあげる。  
「それで、はかないで来たの?」  
聞きながら、でじこの乳首をつまむ。それはまだ未発達ながらもちゃんと立っていた。  
「んぁっ!そ、そうだにょうぅぅっ。」  
ミナタクがそれをコリコリと転がす。小さいながらも感度は良好のようだ。  
「やぁっ…や、んん、だからっ、みんなにはっ…内緒に。」  
ゆっくりと人差し指で円を描いていた右手が、一点で止まり、そのまま静かに前進する。  
「ふ、ふあぁぁっ、ぁぁ、んんん…」  
緩やかな螺旋を描いて指がなかへ入って行く。  
「んっ…あぁっ、ひゃぁぁ…んむぅ…。」  
なかで、指が動いて、たまらずに喘ぐ。足から力が抜け、ミナタクに寄りかかった。  
「でじこちゃん、ちゃんと立たないと倒れちゃうよ。」  
「んぁっ、はぁぁぁ、や、はぁっ、ん」  
ミナタクは右手を抜くと、今度はまた左手で乳首をいじり始めた。  
抜いた手はお尻のほうに回し、慎重に指を突き入れていく。  
「ふぁ…ぁぅぅぅっ…な、何してるにょっ!」  
快感と恥ずかしさででじこはもう涙目だ。  
ミナタクは答えず、お尻に立てた指をなかでくりくりとまわし出した。  
「や…やめるにょっ、ふぁぁ、そんなとこっ、」  
「でじこちゃん。ほら、ちゃんと立たないと。」  
指を止めることなくミナタクが意地悪く言う。  
「む、むりだにょっ、たてるわけないにょっ!はぁっ…」  
「じゃぁ、ささえてあげるよ」  
ミナタクはズボンを下ろした、勃起した男性器があらわになる。  
 
「ちょ、ちょっと待つにょっ!そ、そんなっ、ふぁぁっ。」  
「前じゃないけど…いやかい?だったら止めるよ。」  
ミナタクの言葉にでじこは一瞬躊躇したが  
「ぁ…ぅ、んっ、あ、す、好きにするがいいにょっ!」  
真っ赤になって叫んだ。  
「じゃぁ、いれるよ。」  
「…ぁ…んあぁぁっ!あくぅぅぅっ!いぃぃぃっ…」  
想定外の刺激が来て、でじこは苦痛の悲鳴を上げた。  
「でじこちゃんのお尻すごい……すごく…締まるよ。」  
でじこのお尻は半ば以上ミナタクのものをのみ込んでいる。そのままミナタクはゆっくり腰を回す。  
「ひぁぁぁっ!んぁぁっ!あぅぅぅ!…ぁくっ…」  
「ちょっと、痛かったかな…、気持ちよく、させてあげるね。」  
でじこの耳元で言いながら右手の指を前へ、でじこの膣のなかへ差し入れる。  
「な、何にょ?…あっ、あふっ……」  
ミナタクは内壁を擦るように右手の指を出し入れしだした。  
「は、っ、いぃっ、んんんっ、ふぁぁぁぁっ、んぅ…」  
ミナタクは出し入れするスピードをますます早める、左手はずっと乳首を責めたままだ。  
「は、はやっ、過ぎ…、はぁっ、んぁぁ…ぃい、んん……はぁぁぁ…」  
押し寄せる快楽の波に打ち消されたのか、でじこの表情や声から苦痛の色は消えていく。  
「すごい…、でじこちゃん、こんな…奥まで、」  
ミナタクのものはいつしか根元まででじこの中に入るようになっていた。  
でじこのほうは、前と後ろと胸から生み出されていく快感とも痛みとも判別できない圧倒的に強い感覚に目を瞑ってひたすら耐えている。  
しかしミナタクが腰を動かすたび、指を出し入れするたび、乳首をぎゅうっとつねるたびにその口からは紛れもない嬌声が上がる。  
「しっかり支えてあげるからね。」  
耳元でささやかれた一言で、でじこは自分の足から力が抜けていることに気づいた。  
『おしりと、乳首で…支えられてる。……しかも…かき混ぜられながら……』  
そのことの自覚すら快楽を生み出す要因となっていく。  
「んぁぁっ!ぅぁっ…ふぁぁっ!も、もう限界にょっ!!」  
「僕も…そろそろ…かな…。」  
腰をうごかしているミナタクも呟く。  
「ん、ぁぁ…、はぁっ、ひぁぁぁぁぁっ!!」  
自身が上げた声より少し遅れて、でじこは自分の中に熱い塊が放たれるのを感じた。  
 
お尻の中に出されながら達した後、でじこは床に崩れると話す余裕もないほど喘ぎながら空気を求めた。  
ミナタクはでじこの背中をさすったりしながら落ちつくまで待ち、それから遠慮がちに口を開く。  
「だいじょうぶ?でじこちゃん。」  
「大丈夫なわけないにょ。腰が抜けたにょ。それに…なかで、しかもお尻に出すなんて酷いにょ。」  
まだぐったりはしているものの、返ってきた口調はいつも通りのでじこだった。  
「ごめん、でじこちゃん。」  
「なんだかミナタクは今日そればっかだにょ。それよりみんなに見つかる前に、後片付けするにょ。」  
給湯室の床には大きな水溜りが出来ている。  
「そうだね。」  
腰が抜けて動けないでじこを抱えあげる。  
「でも、でじこにこんなことをしていいのかにょ?あんまり浮気してると、うさだに嫌われるにょ。」  
でじこが少し意地悪な笑みを浮かべる。  
「うん、気をつけるよ。」  
『……全く、底抜けに素直な人ですにょ。素直な人は欲望にも忠実なのかにょ?』  
反論してくると思ったのに肩透かしを食らってでじこは思った。  
ミナタクが休憩室の長いすにでじこをそっと寝かせる。  
「ほんとにごめん。他に痛いところとかない?」  
正直を言えばお尻が少しひりひりする感じではあったが、でじこは首を振った。  
「じゃぁ、僕は後片付けしてくるから。」  
ミナタクが立てかけてあったモップを手に取る。  
「…もし、本当にうさだに嫌われたなら……」  
でじこが呟いた気がしてミナタクが振り返る。  
「え?」  
しかしでじこは反応せずに背を向けて寝ていた。  
ミナタクが給湯室へ消える。  
「…いいにょ。うさだとうまくいくことを祈ってやるにょ。」  
聞こえないことは承知しながら台詞を口にすると、でじこは目を閉じた。  
 

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