深い眠りに引きずられていきそうにぐい、と引っ張られたような感覚の後。
ふと、背中にあたるやわらかい感触に神田は覚醒した。
「…お前、いい加減にしろ…。」
「……」
ああ、またか。
背中にしがみつくやわらかな温み。
神田が教団に来てから、ずっと、兄妹のように己の後ろをついて離れない、
泣いてばかりいた、小さな少女。
実の兄であるコムイが教団入りしてからは少しず笑顔も見せるようになっていたが
それでも泣き虫は変わらない。臆病なのは変わらない。
「おい、リナリー…もうガキじゃねえんだ。自分の部屋で寝ろ。」
ふるふるとリナリーが首を振ったのがわかった。
はあっ…。
神田はため息をつく。
幼いころからずっと、リナリーとは一緒だった。
夜が、暗闇が怖いといって怯える彼女とベッドを共にしたことは数え切れない。
しかし、彼女はもう14歳。自分とて、何も分からなかった幼い子どものままではない。
相変わらずぎゅう、としがみついてくリナリーに困ったように神田は告げる。
「いつまでもガキじゃねえだろ。」
「…神田は私が嫌いになったんだ…」
「そうじゃ、ねえよ。」
「…じゃあいい。ラビのところに行く。」」
「…はっ?おまえ、何言ってんだ?」
「だってラビが、夜オレんとこ来てもいいさって、言ってたもん。」
「…おまっ・・・真に受けてるんじゃねえよ!あんな奴のトコ夜行ったら
何されるかわかってんのか!?」
「…どういうこと…?」
彼女に向き直って噛み付くような剣幕でまくしたてた神田に不思議そうにリナリーは問う。
相変わらず体は密着したままだ。
神田の胸板には成長しかけたリナリーのやわらかな胸の感触。
甘い、匂い。
「…本当に、わかんねえのかよ、お前…」
「…・・・・」
不思議そうに首をかしげたリナリーの、黒い大きな瞳が、不安げに瞬いたのを見て、
神田は己の理性がガラガラと、音をたてて崩れていくのを感じた。
「…わかった。じゃあ、教えてやるよ。こんな時間に男の部屋に来るとどんなことになるのかをな。」
口元に不敵な笑みを浮かべ、にやりとわらった神田に、なぜかリナリーは背中にぞくりとくるような寒気を感じて
神田の胸から飛びのこうとしたが、すでに遅し。
がっちりと抱え込まれ、シーツにその身を縫い取られ。
両手を拘束されて、すぐに神田の唇が、リナリーのそこに振ってくる。
-
「んっ…んうっ…やっ・・・」
深く、吐息まで貪るように神田の唇が、リナリーの唇を、口内を蹂躙する。
歯列をなぞり、舌が侵入し、唾液まで吸い取るように、深く、深く─。
「…カ、ンダ…」
息も絶え絶えに己を見上げるリナリーがいとおしい。
その濡れた瞳に、尚一層理性を壊されて、神田はリナリーの寝巻きに手をかけた。
「…あっ…。」
万歳をさせるように手をあげさせると、ネグリジェはするりと脱げてしまった。
まだ成長しきらない、白い女体に、眩暈がするような感覚に陥って、神田は、膨らみかけた乳房を、
そっと片手で包み込み、片方は唇を寄せた。