そう言って隣をぽんぽんと叩くので、促されるままに腰掛けた。  
湯上りのリナリーからは、シャンプーと混じった女の甘い香りがする。  
 
「…イヤだったらちゃんと言ってね」  
 
そう言うとリナリーはオレを押し倒した。  
 
「リ、リナリー!?」  
 
胸に圧しかかりながら右手は手早くジッパーを下ろし、  
下着越しのモノをゆるくしごきながら首筋にキスを降らす。  
 
「ちょ、待った…んっ!?」  
 
なだめようとする唇をリナリーのそれが塞ぎ、  
緩んでいた隙間から舌が挿入ってくる。  
唾液で十分にぬめったそれは、口腔内の隅々を舐めまわしている。  
その間も、下で蠢く右手の動きも休ませない。  
 
ヤバい。  
やけに手際よく的確な攻めに、そのまま身を任せてしまいそうになる。  
いや、ダメさダメさ!じじいの教えを忘れたか?  
訳もなく近づいてくる女なんていないんさ!  
 
「…や、やめろ!」  
 
身を捩り、唇をずらして強い口調で言い放つ。  
リナリーはビクリと身を強張らせた。  
 
「…ッ…!ごめんな、さい…」  
 
俯く瞳に涙が滲む。  
震える肩からは深い自己嫌悪が伺えた。  
オレは起き上がって言った。  
 
「その…強く言ってごめんな?でも、こういうのはだめだろ…やっぱ。」  
 
リナリーは答えない。ただ俯いているだけ。  
沈黙が生まれる。  
 
「…理由とか、聞かないからさ。もう寝ろよ」  
 
情緒が日ごろから割と不安定なのは知っていた。  
リナリーは人の死に慣れることを知らない。  
最も戦場に向かないタイプだから、人よりストレスを多く感じてしまうんだろう。  
さっきまでの状態も、そのストレスと混乱が生んだものだろう…  
だからリナリーの本心ではない。  
 
格好良くいなしながら、一週間溜め込んでいた性欲は、  
噛み付くような攻めで既にガチガチになっていたが。  
 
「オレももう寝るさ。だからリナリーも、なっ?」  
 
リナリーが寝たあとで一人で処理しよう。  
情けない決意をしつつリナリーを自分のベッドから押し出すように促す。  
すると、  
 
「ダメなの…」  
「え?」  
「これじゃ、眠れない…」  
 
オレの目をじっと見ながら、硬くなったものを指先で撫ぜる。  
そして股間に顔を寄せると、それを取り出して唇に挟んだ。  
 
やわらかな舌が亀頭のふちをなぞるように一周し、尖らせた舌先で鈴口をほじる。  
裏筋と亀頭の境目をざらついた舌の表が行き来する。  
汁でてらてらと淫猥に光る唇がペニスを咥えなおし、  
その間も長く美しい指が幹を絶え間なく刺激していた。  
強い快感に抵抗を忘れ、荒い息が漏れる。  
 
「く、うっ…リナ、リ…!」  
 
深く咥えこみ、吸引しながら頭を引く。  
そのとどめのような一撃に、たまらず精を放った。  
 

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