「どうして・・・。」  
 
アレンの顔がそんな当たり前のことを言わせるなというようなうんざりした顔に変わる。  
 
「簡単だそいつが気にくわねぇ・前からそいつは気に入らなかったんだ、人のことモヤシ、モヤシって・・アレンだっつーの!  
それに腕が片方が無いほうがおとなしくていいじゃない?」  
 
「今はそんなこと言ってる時じゃないでしょ、お願い!治してあげて・・・。」  
 
リナリーは思わず情けないすがるような声を出した、その言葉を無視し  
アレンはリナリーの顔の横から神田とラビを覗き込む  
そして、神田を嘲笑し頭をかきながら軽蔑する相手をさすように指差した。  
 
「しっかし、神田、なかなかいい様じゃないか?その傷口から向こう側の景色が見えそうだぞ・・  
魔術の施してある体とは言え、腕は生えてこない、凄まじい回復力を持つお前がそれだけの傷を負うという事は  
大量のアクマに襲われたんだろうな、そいつらに花でも贈りたいよ、いやさすがに壊したか・・  
いやぁ是非一度お会いしたかった・・・。」  
 
人を嘲るアレンの言動にリナリーは拳を握り、顔を怒りで満たして、アレンに向かって叫んだ。  
 
「ふざけてないで!治してあげて!仲間でしょ!」  
 
「知るかよ、そんな事・・。」  
 
アレンはどうやら本気で神田を治す気はないらしい。  
ラビはアレンの言動に信じられないという顔、神田はどこかやはりなというように  
憎しみのこもった、目でアレンの背中を睨みつける、リナリーは激高し手をふりあげアレンの頬に向かって振る。  
が・・アレンは瞬時に後ろに一歩下がってそれをかわす。、彼女の指の先が彼の鼻頭をかすめる  
 
「それ、結構痛いんだよ、分かる?」  
 
アレンは三人に背を向けた。  
 
「本当は治せないんじゃない?」  
 
アレンは完全に神田を見捨てどこかへ行きかけたが、リナリーの言葉に反応したように  
向きなおる。  
 
「何だと?」  
 
リナリーは珍しく挑戦的な口調でアレンを嗜める。  
どうやら挑発させて、神田の傷を治させようという作戦のようだ。  
 
「本当は治せないだけなんじゃない?偉そうなこと言っといて、傷は治せても腕は生やせないとか?」  
 
「あん?」  
 
ああ・・自分でも恥ずかしくなるくらい、安い挑発、こんなのにかかるわけ・・・。  
あれ・・アレン君、不快そうに目を吊り上げてる・・。  
 
「舐めんな、その程度だと・・。」  
 
アレンが勢いをつけて神田に指をむけると指先から青白い光線が迸る。  
一瞬攻撃されるのかと思い、身構えたが、光線は神田の傷口に当たると神田の傷口から青緑の細い糸が生えてきた  
赤い繊維がそれを包み、さらにそれを皮膚が覆い、完全な腕になった。  
 
「五分くらい感覚がぼやけているが・・まぁすぐに前のように動かせるようになる。」  
 
そう言い、彼はまた姿を消した。  
あんな安い挑発にあっさり乗ったことに疑問は感じたが今は神田の腕が治ったことを喜ぼう。  
リナリーはそう考えることにした。  
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  
 
黒教団  
 
避難できたのは千人程、その他の地にもまだ避難させる必要がある人間がいると思われるが  
できるのは現状維持がやっとだ・・いま避難してきた人間を守るために人員を割いた  
といっても、もはや避ける人員も少なく、人々を守りきることは期待できない。  
 
大元帥の元エクソシストと室長でまた会議が開かれた。  
会議室の空気は重い、そこにいるべき人間が一人いない。  
 
「アレン・ウォーカーの姿が見えないようだが・・・。」  
 
「申し訳ありません、彼は最近精神が不安定でして・・我々の命令を無視するのです。」  
 
コムイはアレンを庇うが大元帥はこんな非常時にといいたげだ・・・。  
 
リナリーが乱暴に扉を開け会議室からでる。  
 
ドーン!!  
 
リナリーがアレンの部屋のドアを蹴り破ると  
中でアレンは絵を描いていた、彼の絵の技術は見れたものではなかったはずだが  
描きかけの絵を見るとかなり上手、見本となっている果物に茶色を薄くかぶせて雰囲気を出している。  
アレンは自分の部屋のドアが吹き飛んだことにまるで関心がないように  
絵を見てこれからどう描き進めるか思案しているようだ。  
 
「アレン君!」  
 
その言葉を聞いてアレンは今気付きましたと表情で語る、だがリナリーを視界に入れようともしない。  
 
「何か用?」  
 
リナリーのほうを見ないで尋ねた。  
 
「会議に何で来ないの?」  
 
「面倒だ・・・だいたい今さら会議して何の意味がある・・どうせ戦争には勝てないんだ  
とっととあきらめたらどうだ?」  
 
からかうようなよう口調に惑わされずにリナリーはアレンを黙って見つめる。  
 
「あきらめる?本気で言ってるの?」  
 
「ああ、本気さ、俺の能力で向こう側の戦力を計算した、レベル4以上がすでに数億体以上いる、  
どうあがいても勝てないだろ?お前たちの会議の内容も聞かんでも大体分かる・・・  
数億体のアクマを相手にせず直接まだ分りもしない千年伯爵のアジトを短期間で割り出して  
千年伯爵だけを直接狙おうってんだろ?できるわけもねぇのに頑張っちゃって・・馬鹿じゃね?」  
 
ピキ  
 
リナリーの頭の中で何かが切れた、次の瞬間ダークブーツを発動  
 
べキャーーーン  
 
アレンを蹴り飛ばし、部屋から追放する、巻き込めれて部屋に置いてあった生活用品が共に飛翔した。  
アレンの体が美しく弧を描いて飛翔するその弧の頂点に到達するとそこで一気に蹴り落とす、彼の肉体が床に叩きつけられ床に凹みをそこを中心に  
日々が広がる、血を吐くアレンの肩に乱暴に足を乗せる、ベキッと小気味のいい音がしたが気にしない。  
 
「みんな頑張ってるの!!生の限りあがくって決めたの!!それを馬鹿にしないでよ!!」  
 
泣きながら怒っている、涙声で罵声を吐くリナリー・・  
アレンに女性に踏まれて喜ぶ趣味はないようで少し苦しそうに血を吐いて呻く・・・。  
リナリーは首元掴んで無理やりアレンを立たせた。  
周りの人はこんなリナリーは初めて見たと驚きを隠せない、騒ぎを聞き付け神田、ラビ、コムイがやってくる。  
 
「・・・んな・・。」  
 
「?」  
 
アレン何か言ったはかなく小さい声だったのでよく聞こえない、次にアレンははっきり聞こえるように  
すこし呼吸を整えた。  
 
「汚ねぇ手でさわんな!!!」  
 
アレンの咆哮があたりに響き、あたりに衝撃波が広がりリナリーや周りの者が吹き飛ばされた。  
アレンは自分の身に手を当て光で自らを包む自分の傷を癒しながら今度はアレンが罵声を吐く番だった。  
 
「いてぇだろぁが、てめぇ!!激痛だ!!おらぁ!!しかも汚ねぇ手で触りやがって覚悟しやがれ  
ただじゃおかねぇぞ!!」  
 
アレンが叫ぶたび、あたりの空間が震える、相当頭に来たようで、頭には血管が浮き出て、目は鋭い眼光を放ち  
リナリーをとらえている、アレンが手を上げると手の上の空間に光る球体が浮き出た、どんどん大きくなり  
半径一キロほどになるとボールを投げるように腕を振った、球体はリナリーに吸い寄せられるように  
まっすぐリナリーに飛んでいく・・・。  
 
ドーーーン  
 
それは横から飛んでた斬撃に弾かれた、球体は壁にぶつかり、壁は球体の中心を軸にしてぐにゃりと曲がり  
炸裂した、その光景をみてもしあれが自分に当たっていらと思いリナリーは背筋が凍った。  
 
「おい、似非剣士邪魔すんな!!」  
 
さっきまでリナリーに向けていた目を神田にむける、神田以上にきつい目だ。  
 
「そうはいかねぇ、大元帥からの直々の指令だ。」  
 
「あん?指令?」  
 
アレンの背後にラビが回りこんで「劫火灰燼・直火判」炎を帯びた鎚をアレンに振り下ろす。  
灼熱の業火がアレンを包み、吹き飛ばす。  
 
「不穏分子、アレン・ウォーカーの抹殺だ。」  
 
この時はじめて神田はアレンの名前を言った、上からミランダやクロウリーもその様子を見ていた。  
ラビは無言でアレンが飛んだ先を観察する。  
煙が立ち上り、残り火が揺らめく。  
 
「アレン君の抹殺?どういうこと兄さん?」  
 
リナリーはコムイに詰め寄るがコムイは何も答えない。  
 
強風が吹き煙が消し飛ばされアレンが出てきた、ペッと血を吐く。  
 
「いってぇ・・」  
 
次の瞬間、今度はラビが吹き飛んだ、ラビは叫び声を上げる間もなく教団の壁を何枚も突き抜けて穴を作り見えなくなった。  
 
「指令?わかったじゃあ、もう敵でいいな?」  
 
神田が斬りかかる、アレンは小指でそれを受け止める、神田に接吻するのではないかというほど顔を近づけて  
アレンは三本の指を立て「小指と薬指、親指だけでお前を倒す」と宣言した、その言葉に神田はかつてない屈辱を感じ  
数々の斬激を繰り出す、それをアレンは涼しい顔で宣言通り小指で全て受け止める、今より強い攻撃を仕掛けようと大ぶりになった隙をついて  
アレンは神田の額の目に手をを出す、今すぐ力を吐きだしたいと震える薬指を親指がまだ駄目だと押さえつける  
力がたまるまでの間まるで時がたまったように周りの動きは遅く神田は反撃できない、早すぎるんだアレンの動きが・・  
彼のスピードは周りの時がとまったように見えるほど早いのだ、薬指は力を吐きだし神田はのけぞりぶっ飛ぶ。  
神田は白目をむいて、痙攣を起こしたが、瞬時にアレンのでこピンでへこんだ額が戻り、立ち上がった。  
アレンが上を見るとミランダがタイム・レコードを発動していた。  
 
「けし飛べ。」  
 
視線を傷がいえ向かってくる神田に視線を戻しアレンはまた先ほどの球体を出して神田に向けて発射する  
 
ミランダはタイム・アウトを発動し神田の身を円柱の光の束が包む、この円柱の中は時間の流れから切り離され  
長時間持たない代わりにどんな攻撃も通用しないはずだ・・が球体は円柱を突き破り神田に直撃した。  
今度はねじ曲がるのではなく、体中の筋肉繊維をズタズタにする内部破壊の効果だったようだ・・血をまき散らしながら  
神田は元の道をたどりまた額をへこませて白目をむいている。  
 
ミランダはもう一度時間回復を使おうとするが突然目の前にさっきまで下にいたはずのアレンがあらわれ動きが止まる。  
ものすごいスピードで動いたのか、瞬間移動とやらを使ったのかは定かではない、萎縮するミランダにアレンは優しく語りかけた。  
 
「大丈夫だ・・・お前は攻撃しねぇよ・・。」  
 
言葉使いは乱暴だが優しい口調、アレンがミランダの額を人差し指でとっつくとミランダは目を閉じ倒れた、頭を打つのを警戒し  
アレンは抱きとめ優しく床に寝かせる。  
近くにいたクロウリーがアレンに飛びかかり、アレンをはがいじめにするが余裕の表情は崩れない、首をぐいとあげて後ろにいるクロウリーの  
顔を見上げる、とアレンはまたも優しい声をクロウリーに放つ。  
 
「クロウリー・・お前を攻撃したくない・・お前を吹き飛ばすのは簡単だが、そんなことしたくないんだ  
だから・・離してくれ・・・・。」  
 
クロウリーはアレンを離した、目が明らかに動揺しており目をまわしてミランダ同様目を閉じ倒れた。  
これで戦闘可能エクソシストはリナリー・リー一人となった。  
上にいたアレンは消え、また下に姿を現す。  
 
「人間ってやつはチョロイもんだな・・・。」  
 
アレンは茫然と自分も見る、コムイに話しかける、隣にいるリナリーには何の興味もなさそうだ・・。  
 
「まるで自分が人間ではないような口ぶりだね・・・。」  
 
神田が斬りかかる、アレンは小指でそれを受け止める、神田に接吻するのではないかというほど顔を近づけて  
アレンは三本の指を立て「小指と薬指、親指だけでお前を倒す」と宣言した、その言葉に神田はかつてない屈辱を感じ  
数々の斬激を繰り出す、それをアレンは涼しい顔で宣言通り小指で全て受け止める、今より強い攻撃を仕掛けようと大ぶりになった隙をついて  
アレンは神田の額の目に手をを出す、今すぐ力を吐きだしたいと震える薬指を親指がまだ駄目だと押さえつける  
力がたまるまでの間まるで時がたまったように周りの動きは遅く神田は反撃できない、早すぎるんだアレンの動きが・・  
彼のスピードは周りの時がとまったように見えるほど早いのだ、薬指は力を吐きだし神田はのけぞりぶっ飛ぶ。  
神田は白目をむいて、痙攣を起こしたが、瞬時にアレンのでこピンでへこんだ額が戻り、立ち上がった。  
アレンが上を見るとミランダがタイム・レコードを発動していた。  
 
「けし飛べ。」  
 
視線を傷がいえ向かってくる神田に視線を戻しアレンはまた先ほどの球体を出して神田に向けて発射する  
 
ミランダはタイム・アウトを発動し神田の身を円柱の光の束が包む、この円柱の中は時間の流れから切り離され  
長時間持たない代わりにどんな攻撃も通用しないはずだ・・が球体は円柱を突き破り神田に直撃した。  
今度はねじ曲がるのではなく、体中の筋肉繊維をズタズタにする内部破壊の効果だったようだ・・血をまき散らしながら  
神田は元の道をたどりまた額をへこませて白目をむいている。  
 
ミランダはもう一度時間回復を使おうとするが突然目の前にさっきまで下にいたはずのアレンがあらわれ動きが止まる。  
ものすごいスピードで動いたのか、瞬間移動とやらを使ったのかは定かではない、萎縮するミランダにアレンは優しく語りかけた。  
 
「大丈夫だ・・・お前は攻撃しねぇよ・・。」  
 
言葉使いは乱暴だが優しい口調、アレンがミランダの額を人差し指でとっつくとミランダは目を閉じ倒れた、頭を打つのを警戒し  
アレンは抱きとめ優しく床に寝かせる。  
近くにいたクロウリーがアレンに飛びかかり、アレンをはがいじめにするが余裕の表情は崩れない、首をぐいとあげて後ろにいるクロウリーの  
顔を見上げる、とアレンはまたも優しい声をクロウリーに放つ。  
 
「クロウリー・・お前を攻撃したくない・・お前を吹き飛ばすのは簡単だが、そんなことしたくないんだ  
だから・・離してくれ・・・・。」  
 
クロウリーはアレンを離した、目が明らかに動揺しており目をまわしてミランダ同様目を閉じ倒れた。  
これで戦闘可能エクソシストはリナリー・リー一人となった。  
上にいたアレンは消え、また下に姿を現す。  
 
「人間ってやつはチョロイもんだな・・・。」  
 
アレンは茫然と自分も見る、コムイに話しかける、隣にいるリナリーには何の興味もなさそうだ・・。  
 
「まるで自分が人間ではないような口ぶりだね・・・。」  
 
コムイは冷静さを失わず目の前のアレンの姿をした得体のしれない存在を見据える。  
今までのやり取りで確信したのだこれは自分たちのよく知る、アレン・ウォーカーではないと・・・。  
 
「君は・・なんだ・・・・?」  
 
アレンはその質問を待ってましたとばかりに口元を歪め、不敵な笑みを作り答えた。  
 
 
「神だ・・・。」  
 
短くそう告げる、その言葉には不思議な威厳が感じられた、周りで様子をうかがっていた人々はその不思議なカリスマ性に  
涙を流し、頭を垂れた。  
 
「どういうことだ・・・?」  
 
「俺は・・・・。」  
 
アレンは手を広げながらあたりに教師が熱弁をふるうような口調で話す。  
 
「俺は戦い続けた・・・親に捨てられ、義父に拾い上げられ、その義父も病に倒れ、俺を置いて逝った・・・  
俺は禁忌に走り義父を二度死なせた、そしてクロス・マリアンに会いエクソシストになる道を選んだ、  
それが義父に対する償いにもなり、それが苦しみもがく自分自身を救う道だと信じてきたからだ!」  
 
最後の言葉だけは叫ぶように声を張り上げていった、まるで多くの人間にそれを言い聞かせるように・・。  
アレンは顔を下げコムイの顔を再び見る、その目は冷たく冷え切っている。  
 
「だが・・ここにいて絶望の淵に堕ちた、完全なる闇・・・這い上がる気力も失い  
時間の感覚さえ忘れてしまった・・・そして・・運悪くロード・キャメロットに出くわして  
精神を破壊されてしまった・・。」  
 
アレン君がおかしくなったのはロードのせいだったんだ・・・。  
 
リナリーは悲しそうな眼でコムイのほうを見ているアレンを見た、でもこれで安心したような気にもなった  
これで彼女の中にある、アレン・ウォーカーは傷つかない。  
 
「俺はこのままなにもかもわからなくなってしまいたい・・そして死んでしまいたいとさえ思った・・  
しかし・・薄れ行く意識の中・・神に出会ったのだ!!」  
 
ここからさらにアレンの言葉は変化していく、まるでここにいる人間をわざと怒らせようとしているように癇に障る  
詭弁さで語る。  
 
「そして俺自身も神の力を与えられ、どんなものをも意のままにする力をふるうに至ったのだ!  
貴様ら人間とは格が違う!たかが人間がこの神を抹殺しようなど・・・笑止!!!」  
 
突然アレンの髪が生え際からリナリーが夢で見たように黒くなっていった  
眼の色が変わり凶暴な肉食獣のように瞳孔が細く鋭くなる。  
 
『Vooooooo!!Vuoooooooooooo!!!Vaoooooooooo!!!』  
 
この世のものとは思えない叫び声をあげるアレン。  
その顔にリナリーの記憶に残る、やさしい面影はない・・・。  
 
『さぁ人間ども!!俺を滅ぼせるか!?』  
 
アレンの声を別の低い声が混ぜたような声  
後ろに気配が・・・  
 
「滅ぼしてやるよ!」  
 
「!?」  
 
傷だらけのラビが戻ってきた・・が一瞬でねじ伏せられると先ほどアレンがリナリーにやられたように  
肩を乱暴に踏みつけられた。  
 
「ぐっ!!」  
 
「人間がこの神に勝てると思ったか?」  
 
薄笑いを浮かべたままアレンの声でそう言うと一歩下がってラビを見下ろす  
ラビはアレンを涙目で見上げる。  
 
「おい、泣くのか?ブックマン Jr. ・・感情を殺し歴史を観察するのがお前の使命だろ?」  
 
もう・・俺たちの思いはお前には届かないのか・・・?  
 
アレンはおもむろにラビの体を蹴り飛ばした。  
飛んでいくラビを見ながら「職務怠慢だぞ・・。」と呟いた。  
飛んでくるラビを回り込んで抱きとめる、顔をみるとラビは死んでいた・・。  
頭を強打しすぎ、ダメージが肉体の許容範囲を超えたのだ。  
 
「ラビ・・・・。」  
 
リナリーは涙を流しながら「あらら・・少しやりすぎたかな?」と人一人死んだこと大した  
ことでもないように言うアレンを睨みつける。  
 
「何が神よ・・・この人殺し!!!」  
 
その悲痛な叫びはあたりに響いた、それを聞いてアレンは笑いと驚きが混じったような顔になった。  
口元は笑っているが、目が笑っていないのでそう見える。  
そして突然噴き出したように笑い始めた神の声で・・。  
 
『HAHHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAAAAAA!!』  
 
吐しゃ物をまき散らすような笑いに皆が恐れを抱く中、リナリーだけはアレンを睨み続ける  
そして声はどんどん人のそれへと戻っていき、黒く変色した髪も茶色に戻っていく・・。  
 
「ははははははは・・・・・。」  
 
やがて笑いは収まり・・・ひどく冷え切った眼でリナリーも見る。  
リナリーがラビを抱きかかえている光景を見る中、一瞬だけ彼の目が親に見捨てられた子供のような  
悲しみの光を帯びたがリナリーはそれに気づかない。  
 
「・・・やーめた・・・。」  
 
遊び疲れた子供のようにそう言うと手を振りあたりを銀色の光で包む。  
そして光が消えると辺りはリナリーがアレンを蹴り飛ばす前に戻っていた。  
リナリーは驚きあたりをきょろきょろ伺う・・神田も自分の腕の中にいるラビも傷が癒えていた。  
影が差したのに気付き顔を上げるとアレンが佇んでいる。  
 
「元同士よ・・最後のよしみだ・・一つ願いをかなえてやろう・・・。」  
 
「・・・・・・。」  
 
突然の申し出に少し混乱するリナリーにアレンはこんなのはどうだと提案する。  
 
「この世のすべての黄金なんてどうだ?・・・・それとも一国の姫にしてやろうか?」  
 
一人で子供のようにはしゃぐアレンを悲しそうな眼でリナリー見つめる「そんなものいらない」と言った。  
アレンは聞く前から答えがわかっていたような気がした。  
 
「なるほど・・富や名声より、愛ってわけね、いいだろう・・お前ののぞ・・・。」  
 
「帰って来て・・・。」  
 
「あん?」  
 
エクソシストとしてはここで千年伯爵の抹殺を願うのが正解かもしれないけど・・・  
あたしには本当の世界より大事なものがある・・  
あたしの世界の大切なピースのあなたに戻ってきてほしい・・・。  
 
「帰って来て・・アレン君。」  
 
この時はじめてアレンは驚いた、心底完全に驚いた・・・だが・・。  
 
「無理だな・・俺の精神はもう壊れている、二度と戻りはしない・・・  
お前の望むアレン・ウォーカーにはもう戻れない・・・戻りたくもないしね・・・。」  
 
リナリーはうなだれ力なく「じゃあ・・・もういい・・・消えて・・二度とあたしたちの前に姿を現さないで・・・。」  
と言った。  
 
「わかった・・・。」  
 
アレンが手を地面にむける。  
 
「神が嘆けば天は荒れ・・・神が怒れば大地が揺れる・・・神が望めば世界はそれを形作る・・  
我ここに望む、この器に命を吹き込まん。」  
 
その言葉には歌うような響きがあり、あたりに染み込んでいく・・・。  
 
アレンを中心に竜巻が起こる、竜巻の中にいるのにアレンの声は不思議とよく聞こえた。  
竜巻が収まると白銀の鱗を持つドラゴンが現れたその姿は美しくとがった顎、まっすぐに伸びだ角  
きれいに並んだ牙、エメラルドのようにゆらめく光を放つ瞳。  
 
「我と共に生き、我と共に朽ち果てよ・・・と呪文はここまでだ・・・。」  
 
アレンはドラゴンの頭に飛び乗った、皆はさんざんアレンに驚かされたというのにさらに茫然と  
その様子を見てい、あごの繊維を切られたようにだらしなく口を開けている。  
 
「お前の名前は何がいいかな・・・?そうだウラヌスと名づけよう・・異国の地で天空の神と呼ばれるものの名だ!」  
 
アレンは手を伸ばし、その先から剣を出現させた、神ノ道化の退魔の剣だ、剣の柄をつかむと  
彼は同士に激を飛ばすように叫んだ。  
 
「共に闘おーーーーう!!」  
 
ウラヌスと名付けられたドラゴンは答えるように火を噴いた  
そしてアレンを乗せたままドラゴンは飛び去る(壁に穴を出現させてそこを通り、穴はすぐに閉じた。)  
 
後に残された黒の教団の面々はアレンとドラゴンが消えた先を仰いでいた。  
誰となく、誰もが口をそろえて言った。  
 
「結局、あいつ何だったんだ?」  
 

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