幼い頃から見知った少女を、この様に抱く日が来るなんて、彼は予想だにしていなかった。
初めてであった日の彼女は、まだ片手の指で足りるほどの年齢だっただろうか。あれから幾年月。儚げな印象ばかりが目立ったあの頃の幼子はもう居ない。
随分と成長した少女を前にして、クロスは妙な感慨を抱く。
長く艶やかだった黒髪は戦闘で焼け落ちてしまったらしいが、それでもその美しさを損なったわけではない。むき出しのうなじや肩は白くほっそりとして、くっきりと浮き出た鎖骨がリナリーの華奢さを引き立てる。しなやかに伸びる手足。
ただ細いばかりではなく、女性らしい丸みを帯びさせた肢体は、薄明かりに照らされて優美なラインを描いていた。
「いい具合に育ったじゃないか」
低く喉を鳴らし、クロスはリナリーの胸元に手を這わせる。
ふっくらと形の良い膨らみをやんわり揉めば、彼女の微かに開いた唇から、吐息がこぼれた。乳房に触れる手はそのままに、彼はリナリーの首筋に唇を押し当てる。きつく吸い上げ、舌を這わせると、ぴくりと彼女の体は跳ねた。
先端を軽く摘んだり指先で扱く度、彼女は敏感に反応する。
「あ…、や、ぁ」
胸から脇腹、臍、と、徐々に下ってゆくクロスの手が内股に触れた瞬間、リナリーはびくりと体を震わせた。
それに構うことなく指先は、そのまま少女の秘所を探る。
くちゅり、そこは湿った音を響かせた。太くごつごつとした指に内側をかき回され、リナリーはいやいやをするように身を捩る。が、クロスの腕はがっちりと彼女の腰を掴み、逃げることを許さない。
「や、いや…やめて。へんになっちゃいます…っ」
「こんなに濡らしておいて、今更だろう」
くっ、と唇の端を歪めてクロスは笑う。侵入させた指を気ままに動かせば、それだけで少女は切なげな悲鳴を上げ、瞳を潤ませた。
そうして乱れる様子は、驚くほどに妖艶である。己の背筋がぞくりとざわめくのを感じ、彼は苦笑した。
そこが十分に潤っている事を確認したクロスは少女の両足を左右に大きく割り広げ、高ぶった自身を取り出してその場所へとあてがい、そうして一気に押し入った。
既にとろとろになったそこは、たやすく男の欲望を飲み込む。
「ッ――、ああぁぁっ!」
リナリーは一際高い声を上げる。挿入時の痛みを堪えるようにきつく瞑った目に、クロスは口付けた。それくらいで痛みが和らぐとは思わないが。しかし次第に気遣っている余裕は失われてゆく。
少女の柔らかく熱い内壁はみっちりとクロス自身に絡みつき、きゅうきゅうと締め付けた。早くも射精感に襲われ、彼は思わず舌打ちをする。
「ッ…おい、締め付けすぎだ。少し力を抜け」
「…んっ、ごめんなさ…げんすい…」
苦しげな呼吸の中、リナリーは、クロスの首元にぎゅっとしがみついた。信じられない質量のモノを飲み込んで苦しくないはずがないのに、それでも必死に受け止めようとするその姿は、クロスに、庇護欲と征服欲、相反する二つの思いを抱かせた。
再度舌打ちを漏らし、彼は低く喉を鳴らす。
「……手加減しねえぞ」
覚悟しておけ。
少女の耳元で囁いたのが合図。次の瞬間、激しい律動が開始される。
夜の静寂に、甘く掠れた少女の嬌声。
淫らな宴は始まったばかり。
(終)