豪華なホテルの一室に可憐な少女の声が響く。  
 「ルル=ベル様!ルル=ベル様!起きてくださぁい!!」  
 
 ミミは両手をパタパタと身体の横でじたばたさせながら必死に主人の起床を促していた。  
 早く起きてもらわないとせっかく淹れたミルクがぬるくなってしまう。  
 「ルル=ベル様ぁ!」  
 なかなか起きない主人にミミがしびれを切らしそうになりかけた頃にようやく、薄い帳の向こうでこちらに背を向けていたルル=ベル様が首を動かしてミミの方を向いた。  
 そしてそれを追うようにゆったりと身体も反転させる。  
 
 「もう起きている」  
 「だったらもっと早く言ってくださいよぉ」  
 むう、と口を尖らせて抗議するが毎回聞く耳も持つ様子は皆無である。  
 
 「さぁて、ルル=ベル様!今日こそエクソシスト達をやっつけにいきましょうよ」  
 ミミはえいえいおー、などと意気込んでみるが、ルル=ベル様はしばらくこちらを見たまま何もしゃべらない。  
 しばらくして無言のままのそりとこちらに腕を伸ばしてきた。  
 いつものように爪磨きを要求しているのだろう。朝の貴重な時間をこんなことに使わせるなんて、相変わらず気まぐれな人だ。  
 ミルクはまた淹れなおさなくちゃいけないなとぼんやり考えながらミミは大きくため息をつく。  
 失礼します、とベッドの脇に跪き、横になったままのルル=ベル様の伸ばされた手をとった。  
 
 かしゅりかしゅりといった爪を磨く微かな音と時折ルル=ベル様が身じろぎするときに鳴る衣擦れの音だけがミミの耳に届く。  
 ふと視線を横にずらせば、シルクから微かに透けて見える肌色。  
 薄いシーツはその身体を隠してはいても浮き上がるラインまでは隠し切れていない。  
 胸から腰、そして太ももにかけての起伏に富んだラインが非常に生々しい。  
 見慣れたはずのその肢体だったけれど、たった少し薄布をのければ素肌に触れられることにミミは思わず欲情した。  
 爪ヤスリ傍らに置き、爪を磨き終わった方の手にそっとキスを落とす。  
 訝しげにルル=ベル様が一瞬こちらを睨んだけれど、ミミは気にせず透き通るように白く細い手首に舌を這わした。  
 舌先でチロチロとくすぐるように青く浮き出た血管をなぞる。  
 滑らかな肌をひたすら舐め続けるミミ。  
 私の方が猫みたい、そう思いながら上目遣いでルル=ベル様の様子を伺うがいつもと変わらないポーカーフェイスのままで何を考えているのかはわからなかった。  
 
 舌が進行し、肘裏あたりまできたところでルル=ベル様が緩やかな動作で腕を引っ込めようとしたけれど、 ミミは逃がさない。  
 腕を捕らえたまま膝立ちの状態になって上から覆いかぶさるようにミミはルル=ベル様に顔を近づけた。  
 じぃ、とそのまま数刻ルル=ベル様の様子を伺ってから口付ける。  
 
 拒絶は、なかった。  
 
 その事実に嬉しくなったミミの行動はさらに大胆になる。  
 薄く開いた唇の隙間から舌を差し入れてルル=ベルのそれに絡めるが、おざなり程度にしか反応を返してくれないルル=ベル様に自然と眉尻が下がってしまう。  
 
 拒絶しなかったのはただ、面倒だったからだったのだろうか。  
 半ばムキになって舌を軽く噛んでみたり吸ってみたりと試行錯誤を繰り返すがルル=ベル様はろくに反応を返してくれなかった。  
 
 ミミは諦めてルル=ベル様から顔を離す。  
 つ、とその間に銀糸がつたった。ルル=ベル様の口の端に垂れたそれを舐めとる。  
 そしてミミは真っ直ぐな視線をルル=ベル様に向けた。  
 
 「ルル=べ「ミミ」  
   
「ふぇ?」  
 
 気がついたらもう視線の先には天井と不機嫌そうなルル=ベル様のお顔しか見えなくて。  
 いつの間にか形勢は逆転逆転大逆転。痛いくらいの強い力で組み敷かれてしまった。  
 ご機嫌を損ねてしまったかと、いまさらながらにミミはあたふたする。  
 「ル・・・ルル=ベル様・・・」  
 あはは、とごまかすように笑ってみせたが、ミミを取り押さえるルル=ベル様の力は一向に弱まらない。  
 どうしたものかと組み敷かれたままミミは俯いていたが、メイド服の胸の部分を掴まれたのに気付いて顔をそちらに向けた。  
 はて、と不審に思った瞬間乱暴にそこからメイド服を引きちぎられた。  
 
 「え、えええええ、ルルルルルル=ベル様!?」  
 ミミが慌てふためいている間にもビリビリと服が布きれと化してあたりに散らされていく。  
 いつの間にか袖や腰回りの縫製の固い部分だけを残して全て破られてしまった。  
 
 「ルル=ベル様、ミミはそんなにご機嫌を損ね、てしまいましたか・・・?」  
 びくびくとしながら尋ねてみる。  
 すると、ルル=ベル様は不機嫌そうな声で  
 「ミミ、中途半端なことはしないで」  
 と、小さく宣った。  
 「え?―――――ふああ」  
 
 ルル=ベル様の手がミミの露になった小さな膨らみにかかる。  
 そして既にぷくりとしていた先端を転がし始めた。  
 ミミが静止してもらおうとルル=ベル様の腕に自分の腕をかける。しかしルル=ベル様はその腕にも、お返しとばかりにその指先に舌を這わせてきた。  
 そしてもう片方の手はミミの秘部に伸ばされる。  
「ひゃん、ぁあ」  
 入り口をなぞるように指が往き来し、時折円を描く。そうして指に蜜を絡ませると中に指を1本埋めていった。  
 指の侵入を拒むかのようにミミのそこはきつい。  
 それでも構わずに指を進めていくとやがて抵抗に突き当たった。  
 「ルル=ベル様、痛いですっ」  
 そうミミが訴えるが、あろうことかルル=ベル様はミミが手入れしたばかりの爪でカリカリとその抵抗を引っ掻き始めた。  
 「あっ、ひっ、痛い、痛いですって、ルル=ベル様ぁ」  
 ミミがそう抗議の声を上げても構わずにぬちぬちと狭い内部をかき混ぜ続ける。  
 そして指の本数を増やして乱暴に抜き差しを繰り返した。  
 「ひぎ、いや、いた、ぃ、いたいいたいで・・・すっ・・・ひぁあ」  
 ひっきりなしに続く痛みにミミの瞳からボロボロと涙がこぼれる。  
 「ひぅ、あ、ああああ!」  
 
 最後に深くまで突いた指がぷち、と小さく何かを突き破った。  
 ルル=ベル様は膣口から細く流れ出た血を指で救って口に運ぶ。  
 そして背にまわっていたミミの腕を掴むと自分の秘部に導いた。  
 
 濡れて、いた。  
 
 そのままルル=ベル様はミミの指を使って自分のそこを弄り出した。  
 ミミもできるだけ気持ち良くなってもらえるようにと懸命に指を動かす。  
 ルル=ベル様が短く息を吐いた。  
 
 さっきの、中途半端なことはしないで、というのはせっかく盛り上がってきたのに止めようとしたから怒ったのだろうか。  
 (・・・なら何か反応してくれればよかったのに)  
 
 ミミは憮然とする。そして気がつくとルル=ベル様の顔が目前にあった。  
 
 「挿れるわよ」  
 「・・・挿れ、る?」  
 
 慌ててミミが目線を下にするとルル=ベル様のそこにいきり立つ怒張があった。  
 
 「え、ちょっとルル=ベル様、こんなことに変身能力の無駄使いは・・・ていうかちょっと、ま、待ってくださぁい・・・!」  
 
 初めて見るものではあったが、それがあまりに大きいことはミミにも理解できた。  
 
 「そんなの、入りませ・・・ひいぃあ・・・!!」  
 ミミの懇願を聞き入れず、ルル=ベル様は腰を進める。  
 「ひ、痛ぁ」  
 ミミのそこは酷く広がり、ぎちぎちとルル=ベル様のものを締め付けた。  
 「狭いわね」  
 なんてことない、そんな様子でしれっとルル=ベル様は言い放ち、腰を打ちつけ始めた。  
 はじめのうちはミミもうるさいくらいに痛い、と騒ぎたてていたがルル=ベル様がある一点をかすめた瞬間に、あぅ、と喘ぎ声をもらした。  
 それをきっかけにしだいにミミは自分から快感を求めて身体をくねらせるようになる。  
 
 「ああ、やぁ、んんぅ」  
 
 鼻から抜けるような声。  
 くぅ、と切なそうに鳴いてルル=ベル様の動きが速くなる。  
 
 「あ、あ、ルル=ベルさっまぁ・・・なにか何か来ちゃいま す ふあぁあ・・・」  
 
 
 とどめとばかりにルル=ベル様がミミのクリトリスを爪で引っ掻いたのと同時にひときわ高い声をあげてミミは果て、収縮したミミに締め付けられてルル=ベル様も中に白濁を吐き出した。  
 
***  
 
 「ミミは痛かった、ですけど、き、気持ち良かったです」  
 「そう。私も」  
 
 事後、沈黙に耐えられずにミミが真っ赤な顔でそう告げると、ルル=ベル様は小さく微笑んだ。  
 
  はじめて みた ルル=ベルさまの えがお  
 
 ほんの少し口角を上げる程度の変化だったけれど、ミミにはそれはとても満足そうな笑みに見えた。  
 
 「今日はエクソシスト退治お休みにしちゃいます?」  
 
 なんだかとても満たされたようなふわふわした気分で大好きなルル=ベル様に抱きつき、情事の余韻に浸ろうとミミが提案する、が、  
 
 「何を言ってるの」  
 
 軽くあしらわれ、ルル=ベル様はシーツを身体に巻きつけてベッドから出て行ってしまった。  
 
 「ルル=ベル様、どこへ?」  
 「シャワー」  
 
 「ミミも一緒に入りたいです!」  
 
 じゃあ、と表情を輝かせてミミはルル=ベル様に続こうとする。  
 しかしそれも、いいからそのへんの布片づけておいて、と一蹴されてしまった。  
 
 はああ、と大きなため息をつきとりあえず無残に散らかった元は自分のメイド服だった布きれをひとつつまみあげる。  
 どう頑張って縫い合わせてももとにはもどらないだろう。  
 着替えを取りに隣にあてがわれた自分の部屋に戻ろうと廊下に続くドアに手をかけ、そしてここでようやく自分が裸同然の恰好であったことに思い当った。  
 このままじゃ自室にも戻れない。あたりを見回すと、壁際にルル=ベル様のスーツが掛かっているのを発見した。  
 今だけ、とそれを拝借したミミがいろいろ流れ出たものでパンツスーツを汚していまい、こっぴどいお仕置きをされるのはまた、別の話。  
 
 
 

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