毎夜、頭を掠める嫌な暗闇。闇に引っ手繰られた聴覚・・・どす黒い海。  
海に浮かぶ少年。少年の右手に見える十字架。それは少女の知る白髪の  
少年だった。「アレンくん・・・!」  
少女は毛布を跳ね除けて飛び起きた。鼓動は止まらない。  
「アレンくんが・・・・・・闇に・・・」彼女は自分の肩を両手で抱えて震えた。  
急激に襲い掛かる眩暈と悪夢の残像が脳によぎる。不安が掻き消えない。  
 
 目が酷くなるんだ。マナの呪いが強くなった。勝手に蘇らせ破壊した  
少年の父親・・・。こんなはずではなかったのに・・・。  
ただ救いたかったんだ・・・救いたかったんだ・・・。  
「だから僕はエクソシストになったんだ・・・どうして今更・・・」  
少年は左目をしっかりと抑えた。  
「アレンくん・・・」少女が少年の背後から声をかける。  
少年は左目を抑えたまま彼女を振り返ると、あわてた様子で後退した。  
「リナリー。どうしたんですかこんな時間に・・・?」  
少女は少年の様子に気が付く。  
「左目・・・どうかしたの?」  
 
少年は後ずさりで彼女から距離を置こうと部屋の隅へ移動しようとした。  
「な、何でもないです!」少女の頭に再び悪夢が蘇る。海に沈んでいく少年、闇に誘われるアレン・ウォーカーの姿。夢と現実が無意識に重なった彼女は、無意識に少年の左手を両手で掴んだ。  
「待って!」彼女は少年に近づくと、俯いて身を寄せる。  
「見られたくないなら、見ないから。・・・それ以上暗い所へ行かないで・・・」  
いつもは強気な少女の姿にアレンは戸惑う。  
彼女は彼の手をしっかりと握り、その手をカタカタと振るわせた。  
「闇の中に消えないで・・・」  
「どうしたのリナリー?・・・ずっと元気がないね。何かあったんですか?  
・・・怖い夢でも見たんですか?」  
 
崩れていくホームに黒い月、黒い海・・・。沈んでいく世界・・・。  
これはリナリーの『仲間』という世界だった。崩壊していく世界。  
あなたはその海に浮かんでいるのに・・・。  
少女は涙を一筋流して少年を抱きしめた。勢いで床に倒れたアレンは、  
左手を床に付けて咄嗟に身を庇った。一瞬で全身が緊張する。  
「『世界』が滅ぶの。怖いの・・・・・・アレン君。・・・消えないで・・・」  
少女は少年の胸に顔を埋めながら、緊張する少年の気も知らずに涙をひたすら流す。  
「あの・・・リナリー・・・」アレンはティムキャンピーに目隠しをしながら  
少女をなだめようと試みた。  
「僕は大丈夫ですよ。消えたりしません・・・だから・・・」  
「手を離したら遠くへ行ってしまいそうで・・・ずっと抱きしめてて・・・」  
リナリーは倒れたアレンを更に強く抱きしめる。手を離したくはなかった。  
「アレン君・・・・・・」  
 
「リナリー・・・?」  
 
少女は涙に濡れた顔で少年を見ると、彼の唇に接吻をする。  
驚いた少年は、とっさに顔を横に背けて攻撃を中和させた。  
「駄目です、リナリー」少年は力の無い声で呟く。  
「僕達はエクソシストだ。AKUMAと人を救済するためにある存在なんだ・・・・」  
「でも私達は人間だわ」少女の言葉にアレンは顔を上げて再び彼女の涙に濡  
れた顔を覗き見る。  
「アレン君は・・・嫌なの・・・・・・?・・・私の事が嫌い?」  
「いや、べ、別に嫌とか嫌いとかじゃなくて・・・」少年は彼女から身を離そうと  
身体に力を入れたが、フッと緊張が解けた。  
彼女の潤んだ瞳をジッと見ては居られなかった。「ただ、今は・・・」  
 少女はアレンの顔を自分の方へ向けると再びアレンにキスをする。  
「怖いの・・・凄く怖いの・・・。不安なの・・・助けて・・・」  
少女は少年の頬に当てていた右手を、身体の線を添って撫で、  
アレンの股間を服越しに擦った。少年は敏感に子犬のようなうめき声を上げる。  
彼女はアレンのベルトをこじ開けるように外すと、スボンの中に手を差し込む。  
「まって・・・、まってリナリー・・・」アレンは少女の肩を持ち身体を持ち上げた、  
再び顔を背けるが、直に自身に触れたリナリーの攻撃に、顔を真っ赤に染めて、  
それ以上の言葉を発することさえできなくなる。  
「これ以上は・・・僕も・・・」  
 
少女の指の動きが早くなるにつれ、  
少年は自分の自我が崩壊していくような気がした。  
 
<僕だって、リナリーが好きだ。でも僕はエクソシストだ。個人的な感情なんてずっと抑えていくつもりだった・・・・・・>  
少年は自分の自身を握った少女の手を掴み取ると、上体を勢いよく起こして逆に彼女を床に押し倒す。左手でしっかりと彼女の腕を固定し、それを離したくは無かった。  
「知りませんよ・・・・・・」  
「アレン君・・・?」リナリーは唐突な出来事に驚いて少年を見つめる。  
「僕も男ですから」少年はそう言うと、あまった右手で少女のドレスを荒々しく首から剥くように引き裂き、激しくキスをする。  
<止まらない・・・脈打つ欲望すべてが僕の中で暴走する・・・>  
少年は、殆ど本能的に少女のスカートの中に手を差し込み、  
下着の隙間から指で陰部を弄った。更々と滑りの悪い水のような液が僅かに  
指に付着する以外、彼女には苦痛しかなかった。火照った身体に媚びれ付くような  
わずらわしい上着を脱いだ彼は、彼女の中に指を強引に突っ込み、  
出し入れをして無理やり湿らせようと試み、少女はは少年に押さえつけられた腕を  
振り払おうと悲痛に喘ぐ。  
「痛い・・・アレン君・・・・・・」  
<駄目だ・・・止まらない・・・>  
少女の頬に手を当ててキスをしながら、少年は起立したペニスを  
膣の入り口に擦り付けた。  
「待って・・・」  
<・・・止まらない・・・>  
彼女の声も届かないかのごとく、彼はゆっくりと腰を沈めながら膣壁を確実に抉った。  
そのゆったりとした進入は、少女に苦痛を与えたようだった。  
しっかりと根元まで差し込むと、少年は深いため息を付き、  
彼女の口をふさぐようにキスをしながら胸をほぐす。  
 
「リナリー・・・・・・」少年はそれだけで、危うく迸られそうになった。  
甘く狭い肉の壁に包まれた自身に快楽が集中し、少女の苦痛に歪んだ顔さえも  
美しく見えるほどだった。その中を摩擦する度に息を飲み、  
少女は死んでしまうのでは無いかと思えるほどに赤くなった顔で息を切らて、  
我慢できなくなった小動物のような喘ぎ声を漏らし、さらに少年は興奮した。  
彼女の乳房が胸に触れ、抱きかかえた細い身体を繋ぐ自分の身体が  
痙攣に近い快楽を呼び起こし始めると、少女は再び手を離そうともがきながら、  
それが無理だと分かると、少年の露出した肩に噛み付いた。  
アレンは小さく喘いだが、心臓の音の高まりと平行するように出し入れの速度を速め、  
性器が擦れ合う音と、自分でも信じられないほど高い声が口から漏れるのを感じた。  
やがて目もくらむような快感と共に興奮の瞬間が少年を襲い、絶頂に達した少年は、  
少女の中で射精した。  
激しい吐息で、少年はぐったりと少女を抱きしめると、ようやく彼女の両手を解放して彼女を見た。  
彼女はずっと快楽の変わりに恐怖を感じていたのだろうと、少年は彼女の表情から次第に理解していった。  
性器を抜いて解放された少女は、横を向いて両手で顔を押さえた。  
おののきのような時間が過ぎ去り、少年には罪悪感と、  
欲望に負けた羞恥心が残った。  
「すいません、リナリー・・・・・」  
「平気よ・・・・」少女は強気に返した。  
暗く深い悪夢は次第に彼女の中で薄れ始めていたのかも知れない。  
 
少年は、目の前の少女をしっかりと守ってやりたいと思った。  
 

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