町のホテルに宿をとり、明日に備えて今日は休むことにした二人。
とりあえずベッドの間を布で遮ろうといったのは、アレンだった。
「こっちのほうが、お互い落ち着いて眠れますよね」
そう言われ、つくづくアレンの紳士らしさを再実感したリナリー。
別にそんなことしなくても、むしろ好きなアレンのことなら眠っている間でも見ていたい。
まだ、その想いを彼に打ち明けてはいないのだけれど。
彼なりに気を遣ったのだろうが、自分からそんな提案をした彼がおかしなことをしてくるはずもない。
リナリーにとっては少し残念な提案だったが、ここはアレンの好意を受けることにした。
「おやすみ」
リナリーはそれだけ言って、体をベッドに預けた。
アレンが布で遮ろうと言ったのには理由があった。
まず昼間にあったことで、おそらくは許してもらえたのだろうがまだ気まずいものがある。
そして何より…
(僕の理性が持たない!)
まあそうだろう。
彼とて15歳、いくら紳士らしいとはいえ、自分の隣のベッドで同年代の女性が眠っているという状況には
流石にドキリとする。ましてやリナリーのような魅力的な女性ならそれも一層だろう。
それにアレンもまた、リナリーが好きだった。
好きな女性の姿を見ながら床に就いたら、彼の心がどうなってしまうかアレン自身にも分らなかった。
とにかく早めに寝てしまいたかった。自分の理性が持つうちに…
彼女の「おやすみ」を聞いて、彼女とは逆の方向に体を傾け、アレンは眠った。