結局.。  
今回のイノセンス情報はハズレに終わった。それでも向かった先に悪魔は潜んで居り、戦闘が始まる。  
どれくらい経ったのだろう。リナリーはフーッと深く息をつき、辺りを見回した。  
もう、襲い掛かってくるモノの気配はしなかった。  
「ハズレ・・・だった、ね。」  
疲労の色濃く見える顔つきに精一杯明るい笑顔を貼り付け、リナリーは神田に微笑んだ。  
先程の戦いで負ったのだろう。彼女の団服は所々破け、短いスカートから覗く剥き出しの太ももには赤く、血液が滲んでいた。  
「チッ・・・さっさと引き上げるぞ。」  
神田は六幻を鞘に納め、くるりとリナリーに背を向け歩き出した。  
彼女を視界に留めるのを拒むかの様に素早く。  
すぐに治るとはいえ、自分も少々傷を負ってしまったようだ。  
やけにリナリーの笑顔が、痛々しい身体が太ももが瞳にちらついた。  
「まっ・・・て、カンダ・・・!」  
自分の後ろを懸命に追ってこようと小走りな足音が聞こえる。  
しかし、その音は不規則で、足にかなりのダメージを負ったのだとイヤでも気づかされる。  
「・・・オラッ、」  
「えっ・・・?キャッ」  
神田は一度その場で足を止め、自分のすぐ後ろまで来ていたリナリーをまるでお姫様のように抱きかかえ、再び歩き出した。  
・・・ガラにも無い事を・・・  
脳裏に。あの白髪の、自分が【モヤシ】と呼称する男と片目を隠した男の会話がよぎった。  
『可愛いなぁ、リナリー。このむっさい教団であの笑顔には癒されますよ。』  
『あの足は反則さぁ、あんな細っそいのに対・アクマ武器だもんさ。じっくり見てて蹴られたら一溜まりもないさ。』  
ふざけた事を抜かしやがって・・・その時神田は無視を決め込み蕎麦を啜っていた。  
常に命を張って戦う戦場に浮ついた感情など無用。  
自分がソレについて気に留める事など一生ない・・・と、思っていたのに。  
「あ、あの、カンダ!・・・自分で・・・歩けるから!!」  
頬を赤く染め、自分の胸にしがみつくリナリーの声に、神田の思考は引き戻された。  
「―――・・・」  
「エクソシスト様。・・・・戻る手段が有りません。今日は此処に泊まって明朝、すぐに出発しましょう。」  
神田が声を発するよりも早く、ファインダーから二人に声が掛かった。  
 
無事、宿を確保。しばしの休息を得るためそれぞれに部屋が割り当てられた。  
神田は腰に下げていた六幻を備え付けのサイドテーブルに立てかけ、ふと扉の向こう気配を感じた。  
 
遠慮がちにノックされた扉を開くと、そこには申し訳なさそうに小さく佇むリナリーの姿。  
神田はしばらくリナリーの瞳を見つめ、顎だけで合図し入室を許可した。  
「・・・手当て、するわね。」  
リナリーからホッと緊張の解けた笑みが毀れた。  
時間が時間な為満足に明かりも付けられず、蝋燭の頼りない光が二人を柔らかく包み込む。  
追い返す事も出来た。傷らしい傷は、既に治りかけているのだから。  
普段ならば差し伸べてくる彼女の手を跳ね除けている筈だ。  
しかし、今日はなぜか受け入れてしまった。こんな真夜中部屋に招き入れれば男と女、二人きりだというのに。  
理由は自分にも分からない。  
優しく照らされたリナリーの顔を眺めながら、気持ちを整理させようと息を止め、臍の下辺りに力を込めた。  
しかし力を込めて尚、押し込み損ねた熱が疼きだす。  
リナリーの細く、柔らかな指先が自分の肌に触れるのがただ心地良い。  
黙って処置を受けていると、リナリーの口が遠慮がちに開かれた。  
「さっきはありがとう。・・・・うれしかったよ。」  
真っ直ぐに。自分だけをその瞳に写し、リナリーは恥ずかしげに微笑んだ。  
何かが、自分の胸の奥で膨れ上がり神田はフイ、と目線を逸らした。  
見ては、いけない。  
これ以上彼女の瞳を見つめれば自分を制御することは容易でないだろう。  
神田はもう一度臍の下に力を込めた。  
「どうしたの?」  
神田のそっけない態度は普段から見慣れていた筈なのに、今日、これまで見せ付けられた態度から急変したように思えて、リナリーは神田の顔を覗きこんだ。  
「・・・終わったなら、出て行け。」  
顔に伸ばされた手を掴み、冷たい瞳でリナリーを見た。これ以上、自分に関わるなと警告の意味も込め。  
「なっ・・・どうしたの?私、何かした?」  
しかしリナリーは動かない。  
自分は知っていた筈だ。リナリーは自分がどんなそっけない態度を見せ付けても決して怯むことをしない。  
ましてや理不尽な態度で返せば、なお自分にかかって来るのは安易に想像出来たのに。  
肩にリナリーの手がかかる。  
顔を覗きこまれた拍子に彼女の黒髪がさらりと視界の端で揺れ、ふわりと彼女の香りがした。  
「カン・・・ダッ!?」  
一瞬でリナリーの手首を掴み細い腰を抱き寄せ腕の中に閉じ込めた。トクン、と胸にリナリーの鼓動が伝わった。  
「ど・・・どうした・・・の?」  
訳がわからずリナリーは離れようと神田の胸に手を当て押した。しかし神田の腕から力は抜けず、更にきつく抱きしめられる。  
「ね、カンダ・・・。離し、て?」  
その願に答えは無い。  
どれくらいの時間、抱きしめられてていたのだろう。実際にはそんなに長くはないかもしれない。  
声を出すのも、息をする事さえ拒むくらいきつく抱きしめられ、リナリーの思考はぐるぐるとしていた。  
「・・・ないの、かよっ」  
「・・・え?」  
 
低く呟かれた言葉はリナリーに届かない。  
具合が悪いのかも、と勝手に解釈したリナリーは神田の顔を見ようと身体を捩る。  
「!!」  
予想だにしていなかった強い視線に捕らわれリナリーはそのまま唇を奪われた。  
「ンッ・・・ッ・・・・!・・・ッ!!」  
顎に手を掛け上を向かせれば自然とリナリーの唇が開く。その隙間に舌をねじ込み彼女を引きずりだした。  
初めてなのか、それとも慣れていないだけか。神田が口腔内を貪っていると息苦しさの為、リナリーの呼吸が上がっていく。  
胸に当てられたリナリーの手の平がしっとり汗ばんできた。  
うっすら開けられた瞳に浮かべられた雫を見つけ、神田は此処までだ・・・と、唇を離した。  
かくん、と崩れそうな身体を支えてリナリーの息が整うのを待った。ここで非難を浴び、彼女が部屋を出て行くならそれまで。  
これから先、彼女は自分と距離を置くようになるだろう。  
しかし、受け入れられてしまったら・・・?  
リナリーの腕が首に絡みつき、潤んだ瞳が自分を写す。  
「・・・っ・・!!」  
神田はリナリーに口付けしベッドへ倒れ込んだ。  
「んっ・・・ふっ、・・・!」  
先程より、一層深く舌を差し入れ唇を貪りながらリナリーの上着を脱がす。  
のけぞった白い首筋に舌を這わせ鎖骨まで吸い付けばリナリーの身体が震えた。  
「カン・・・ダ・・・ッ・・・」  
神田の手の平が乳房の上でゆっくりと円を描く。チュ・・・と肌を啄ばむ音、布が擦れリナリの胸の先端が立ち上がってきた。  
「はぁ、は・・・あっ・・・!!ダメ・・ッ・・」  
神田はリナリーの両胸を揉みしだきながら片方の突起を指でつまみ、もう片方の突起を口の中に含み舌で転がしてやると、リナリーの膝がモジモジと擦れ腰が揺れ出した。  
 
 
 
 

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