「ふぁぁ〜・・・・。」  
 
大きな欠伸をしながらアレン・ウォーカーは固い床から身を起こした。  
軽く頭を振ってから、辺りを見回す。闇────という程でもないが、曇り空で星明りも少ないせいで目が慣れるまで少し時間がかかる。  
 
アレンは、小船に乗っていた。  
 
クロス元帥を探すために仲間と一緒に中国へ向かう事になった彼は、かなり長い道程を経てやっと中国の端にある大きな河まで行き着いたのだ。  
河を下れば街まではそう時間はかからない。一行は現地の人間から安い小船を買い取って、先に進む事にした。  
 
だが、アレンは思う。いくらなんでも安物過ぎた、と。  
 
寝苦しいのは仕方ない。毛布一枚で木の板の上に転がってるんだから。  
問題はこの狭さだ。かなりギチギチで寝返りを打つのにも、周りに気を使わなければいけない。  
 
にも関わらず、どうやらその事に苦しんで寝たり起きたりを繰り返してるのは自分だけだというのが参る。  
ラピも、ブックマンも、そしてクロウリーまでもがスヤスヤと安らかな寝息を立てているのを見ると、羨ましくて仕方が無い。  
 
「みんな何で寝られるのかな・・・」  
 
アレンがそんな独り言を言っていると、雲が晴れて月明かりが差してきた。  
そして、そのとき初めて気が付いた。自分の横でリナリーが寝ている事に。  
いや、それだけなら別段どうという事もないが、今のリナリーは寝相が乱れていてあと少しでミニスカートが捲れてしまいそうな状態で寝転がっていた。  
 
「・・・・・・・!」  
 
アレンはゴクリと唾を飲み込んだ。  
自分の顔が赤くなっているのが、鏡を見なくても分かる。  
月光に照らし出されたリナリーの太ももは、白く、とても綺麗だった。  
 
アレンも一応、男性だ。  
いくら戦友とはいえ、ヒラヒラとしたミニスカートを穿いている女の子の足が気にならないはずが無い。  
ただ、紳士としてそんなジロジロと見回すような真似は出来ないので、普段はなるべく見ないように努めている。  
 
しかし、リナリーを含め全員が寝ているという状況が、そんなアレンの理性の鎖を若干緩めた。  
 
(・・・戦闘の最中って、これが捲れて中が見えちゃったりしないのかな。)  
 
素朴な疑問が頭をよぎる。  
いつも命がけなので気にしてる余裕が無かったが、アクマの何体かはそんな良い目を見たのだろうか。  
アレンはリナリーの顔を見た。よく眠っている。  
 
(・・・・馬鹿!なに考えてんだ・・・)  
 
わずかな理性がささやかなツッコみを入れるが、もう遅い。アレンはそっとリナリーの太ももに手の平で触れてみた。  
 
『ふにゅっ』  
 
(うわっ・・・柔らかいなぁ。)  
 
一度触り始めたら、もう止まれない。  
最初は撫でるように触るだけだったのが、リナリーが起きない事を確認すると、じょじょに大胆に揉むような動きに変わっていった。  
 
『むにゅ・・・むに・・・』  
 
(き、気持ちいい・・・触ってるだけでこんなに気持ちいいなんて・・・)  
 
アレンは興奮を隠しきれなかった。  
リナリーの体が極上の触感であるのは勿論のことだが  
寝ているのを良い事に『自分を信頼してくれている女の子』の体を、性欲の赴くがままに弄んでいるという背徳感が、アレンの興奮をよりいっそう強めていた。  
 
いつだって、神に背くときこそ人間は最大の快感を得るのだ。  
たまにリナリーがくすぐったそうに寝返りを打つのも、アレンは気にしなくなっていた。  
 
(・・・でも、どうしようかな。)  
 
アレンは自分の股間を見やった。  
ズボンの中でギチギチに屹立した男性自身が、早く欲望をぶちまけたいと猛っている。  
しかし、いくら何でもリナリーに挿入できるワケがない。何よりアレンには女性経験が無いのでどうしたら良いかが分からない。  
 
だからといって、リナリーの太ももを揉みながら自分でしごくのは、ちょっと寂しい気がした。  
 
(・・・大丈夫だよな。ここまでしても起きないんだもん。)  
 
アレンはそう自分に言い聞かせると、周りに気をつけながらズボンのチャックを下ろした。  
中から出てきたアレン自身は、一人でする時よりも肥大して見えた。  
 
アレンはリナリーの足を少し持ち上げた。  
そして、太ももの位置に股間を押し付け始めた。  
 
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」  
 
バレたら絶対に許される行為ではない。  
そうとしりつつ腰を動かし、リナリーの穢れ無き足に自分の汚らわしい肉棒を擦り付ける行為に没頭する。  
今のアレンは雄の本能が下す命令に逆らえなかった。あるいは、普段ずっと逆らい続けてきた分、抑圧されたものが一気に出てきたのかもしれない。  
 
亀頭から出る先走り汁がリナリーの太ももにヌルヌルと塗りたくられていく。  
少しは不快感があるのか、リナリーはたまに「うぅん・・・」と声を上げているが、目を覚ましている様子は無い。  
 
アレンは更に体勢を入れ替え、両の太ももで肉棒を挟み込んだ。  
その感触のあまりの気持ちよさに、アレンは達しそうになった。  
 
(うああ・・・リナリーの太もも気持ち良すぎるよ・・・!)  
 
勝手な感想を頭の中で述べながら、アレンはリナリーの足を使った自慰に耽った。  
彼の手は足の上を滑って、スカートの中にも侵入する。下着の上から形の良い尻を触ると、そこもグニグニと揉み始めた。  
 
(お尻も良い・・!凄い・・・リナリーの体って凄い・・・!)  
 
初めて女性の体に触れた感動がアレンを支配する。  
その行為は数分に渡って続いた。もちろんリナリーの足は先走り汁でヌメヌメとした触感になっていく。それも快楽を倍増させた。  
 
(はぁ・・・はぁ・・・ど、どこに出そうかな・・・)  
 
普通に考えたら河に向かって出せば良い。その方が証拠も匂いも残らない。  
だがアレンはもうそれでは物足りなくなっていた。  
 
(そうだ・・・リナリーの手に・・・。)  
 
アレンはリナリーの細い腕を取って、自分の股間に導いた。  
ありきたりな例えで言えば白魚のように美しい手だ。その手で自分の肉棒を握らせるかと思うと、歪んだ興奮が湧いてくる。  
綺麗なものを汚したがるのは、人間のサガなのだろう。  
 
アレンがそっとリナリーの指を肉棒に絡ませる。そして上下にすり始めた。  
 
(うぅ・・・人の手でしてもらうと・・・自分でするのと・・・全然違うな・・・。)  
 
寝ている人間の手を借りておいて結構な言い草だが、このときのアレンは最早自分が快楽を得ることしか頭に無かった。  
男の欲望のシンボルを少女の手がしごいている。袋の下から亀頭の先っぽまで、自分のよく知る女の子の手がしごいている。  
 
(うぅ・・・もうダメだ・・・。)  
 
アレンは限界に達した。  
リナリーの手で亀頭を包み込むと、その手の平に向けて思う存分精液を放つ。  
 
ビシュッ!ビシュッ!!  
 
その射精は、初めて自慰をした時と同じくらいの勢いだった。  
興奮が精液の威力を強めるのだということを、少年は初めて知った。  
 
(あぁ・・・・はぁ・・・はぁ・・・)  
 
一通り出し終わると、アレンは荒い息をついて、リナリーの手を開いてみた。  
そこには自分の精液がべっとりと付着している。  
それを見て満足する自分は変態かもしれないと、アレンはちょっと自省した。  
 
 
ここからの後始末が大変だった。  
まずリナリーの太ももの汚れをハンカチで丹念にふき取る。そのハンカチはもう匂いがきつすぎるので河に捨てた。  
手に付いた精液については多すぎてどうしようもないので、思い切ってリナリーの手ごと河に入れた。  
 
もちろんそこまですれば、さすがのリナリーも起きてしまう(今まで起きなかったことも凄いが)  
手がいきなり冷たくなったのでリナリーは飛び起きた。アレンはそれに気づかない振りをして狸寝入りを決め込む。  
 
リナリーの様子を薄めで伺ってみると、やはり手についている妙なベトベトを気にしているようだ。  
寝相の乱れで河に手を突っ込んだと解釈してくれれば、河の中の何かが付いたと思ってくれるのではないかと、アレンは期待したのだ。  
 
その通りにリナリーが考えたかは分からないが、河の水で精液を洗い落とすと、リナリーは再び何事も無かったかのように眠りに付いた。  
 
どうやら、バレずにすんだらしい。  
アレンはホッとした。  
 
翌朝、夜中まで自慰をしていたせいでアレンは寝過ごしていた。  
 
「アレンくーん、もう朝だよ。起きなきゃ、ほら。」  
「う、うーん・・・・」  
 
リナリーに揺すられてアレンは目を覚ました。  
瞼を開けて最初に飛び込んできたのは、いつものリナリーの笑顔。  
アレンは今更ながら昨日の自分がした変態行為を思い出し、恥ずかしくなった。  
 
「おはよっ」  
「おはよう・・・」  
 
リナリーの目をまともに見られず、返事だけ返す。  
 
「アレン、眠れなかったのか?すげぇクマさ」  
 
朝食代わりの携帯食料を頬張っていたラピが指摘する。  
河に映った自分の顔は、なるほど確かに「寝不足でござい」と雄弁に語っていた。  
 
「ははは・・・小船で寝るのは初めてだから・・・。」  
「私だって初めてだけど、よく眠れたよ?」  
 
リナリーの台詞に、うっかりアレンがつっこむ。  
 
「リナリーは寝過ぎ・・・・。」  
「え?何?」  
「いや、何でも・・・。」  
 
興奮が冷めてアレンは罪悪感に駆られ始めたが、同じような機会があったら自分はまたやってしまうんだろうな、とも思っていた。  
 
END  
 

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