ガクッ!!  
「もういや、もういやぁぁぁ。今度はエクソシストとしてお役に立ちます?ふふ・・何それ。」  
黒の教団に就職したのはいいけど、やっぱりいきなり全てが上手くまわり始めるワケないか・・・  
その日もミランダ・ロットー(25)はエクソシストの修行がうまく行かず、周りからの冷たい視線を浴びていた。  
 
もともと逃げ足は早かったが、それだけ・・・。時間に干渉する能力者だけに、教団内から期待も大きい。  
今は、発動の範囲の広さを自由に操ることが主な修行内容で、広げるのは体力次第だが、狭くするのには相当な集中力が要った。  
上層部では吸い取った時間を無いものにできるかや、対象の時間を止めることができるかについて、さまざまな試みがなされていた。  
 
ミランダ ミランダ 不幸の女ミランダ♪モテない暗い鈍くさい♪今日も修行?どうせまたすぐダウンさ〜♪  
自分で勝手に作った替え歌を口ずさみながら、城内の階段を自室に向かってトボトボ歩いていく。  
「あーあ、YouはShockだわ・・ふふ、でもYouはMu-Shock(無職)じゃないだけマシよね・・」  
失敗とダメだしは慣れたものだが、それでもヘコむのはアレンたち2人に誓ったせい。  
何とかあの2人の役に立ちたい、その一心が今のミランダの支えだった。  
「そーいえば、任務から戻って来たらしいわね。ちょっとあいさつに行こうかしら」  
2人に会える、そう考えるとちょっとは気分が晴れてくる。  
「(またこの前はありがとう、なんて言ってくれたりして・・)」  
 
「(ダメ、ダメよ私。何考えてるの全く・・・  
      お礼を言うのは私の方じゃない!  
           それに絶対役に立ってみせるんだから・・ゼッタイゼッタイゼッタイ・・・)」  
 
ブツブツ独り言を呟きながらしばらく歩くと、アレンの部屋の前。しかし不在のようだ。  
それならしかたないと次はリナリーの部屋へ向かう。  
「いるかしら・・・あら、話し声?アレン君がいっしょなのね、ちょうどよかったわ」  
ノックしようと手を伸ばすと、なにやら深刻そうな会話。  
 
「アレン君、もう切れちゃったのぉ・・全然足りないよー」  
駄々をこねてる様子のリナリーに、  
「そ、そんな・・こと・・言われても・・・ハァハァ。連続5回はキツイです・・くっ」  
何故か息切れしているアレン。  
「結構体力作ってるんだけどなー」  
「でもちょっと長持ちするようになったねェ」  
「ホント!?」  
うれしそうなアレンの声がする。  
でもよく聞き取れないなとドアに耳を押し付けていると、ドジっ子根性炸裂。ドタッ!!と部屋になだれ込んでしまっていた。  
「きゃあああっ、誰ッ?」  
「ああああああ〜っ、ミランダさん!久しぶり」  
意外にも2人は暖かく(?)迎え入れてくれた・・のか。あの時の笑顔で、あの時の姿で・・・・・ん?  
 
「っ!・・・何、その格好は!」  
ミランダが謝ることを忘れて驚くのも当然、リナリーが裸でアレンの上に跨っていた。  
・・つまりコトの最中。いや、会話から察するにコトを済ませた後か。それに・・・5回も。  
「ごめんなさい、私ったらなんて事を・・・」  
と謝り続けるミランダだったが、  
「そうだ!ミランダの力よ!!」  
何かを思いついた様子のリナリー・・・・。  
 
「とゆーワケで、いいわね?ミランダ。できそう?」  
「ええ、うまくいくか分からないけどやってみるわ、リナリーちゃん。せめてもの恩返しにね」  
「ありがと!ミランダ」  
優しく微笑むリナリーから待ちに待った言葉を貰った。“ありがとう”これが欲しかったのだ。  
ミランダにとっては、世界を変える魔法のような言葉だ。周りが見えなくなるほど。  
すっかりアレンのことなど忘れていた。自分が何をしているのかも気にせず“ありがとう”に報いるため一心不乱に・・・  
イノセンス発動。時計よ、時間を巻き戻して―――  
「(ああ、うまく行きそうだわ)」  
「ちょ、ちょっとミランダさんやめて!リナリーもとめて下さいよ」  
抗議するアレンだったが、誰にも届かない。  
「ありがとうミランダ、ホントにありがとうミランダ!」  
そう言って意地悪く煽るリナリーの言葉に、さらに高められるミランダ。・・・既にリナリーの雌豚と化していた。  
その内、アレンの股間から薄っぺらな時計が剥がれて行く。他には変化は無い。  
ついさっき、リナリーの中に果てた時のもの、リナリーの口の中に果てた時のもの、  
様々な形相の射精が全部で5枚。それが剥がれたところでリナリーがゆっくりと言う。  
「素敵よミランダ。ありがとう。このままで耐えていてね、そしたらまた言ってあげるわ」  
「ああ・・・はい」  
「それじゃあ、アレン君覚悟はいい?2回目の1回目からいくわよ。」  
不敵な笑みを浮かべるリナリーだった。  
 
ミランダが椅子に力なく腰掛け、目もうつろになっている隣で、ギシッギシッと軋むベッドで激しく交わるふたり。  
「うわぁ!リナリー、最初から・・飛ばしすぎです・・」  
先ほどまで、だらしなく垂れ下がっていたアレンのモノは、勢いを取り戻し、リナリーの膣内に咥えこまれていた。  
「あ・・ああん・・・はぁ、やっぱりイイよぅ。アレンくんの・・すごい・・・」  
ふたりとも初めて同士だったあの夜から、もう何度目だろう。最初は自分が優勢だったのにとアレンは思う。  
いつの頃からか、リナリーの求愛が激しくなり、今では手に、否、精力に負えないほど。  
実のところ彼女の感度は、むしろ良くなっているというのに、それでも追いつかない。  
こんな状況下でミランダの能力は、ありがたいと、アレン自身も感じていた。  
「く・・あ・・・、リナリー・・そろそろ・・・」  
「はぁ、はぁ、・・ぁぁぁン・・・わ・・たしもイクッ・・」  
「「・・・あああああっ!」」  
アレンが2回目の4回目、そしてリナリーは本日5回目を迎えた瞬間だった。  
息を整えながら、リナリーがつぶやく。  
「さっきは、4回は無理って言ったのに。結局5回できたよね?」  
「ええ!・・まだやるんですか?」  
もう勘弁してくださいと言わんばかりのアレンに、またリナリーは優しく微笑みかけて言う。  
「どうしよっかナ〜♪ふふ、それよりアレン君さぁ」  
「何ですか?」  
「ミランダが発動解いたらどうなるか覚えてる?」  
 
少し間を置いて、さーっと血の気が引いていき、青冷めるアレン。  
「え、えっと・・・」  
「自分の傷は自分で負うんだよねェ?」  
「そ、そんなー、ひどいですよ・・・僕だけ」  
目にはだんだん涙が浮かんで、今にも零れ落ちそう。その顔を見ただけでもリナリーはエクスタシーを感じてしまう。  
「一度怪我して、吸い取って、回復する前にまた怪我して、戻すとどうなるのかなー?」  
細く、白い綺麗な指で、優しく涙を拭ってやるリナリー。  
「今日は全部で9回だよ〜、頑張ってね。私、アレン君がイク時の表情かわいくてホント好きなの」  
「ま、待って下さい!体力も1度吸っちゃったから、9回できたんですよ?回復したわけじゃないのに!それをいきなり全部戻したら・・僕・・」  
今更ながら、自分の犯した過ちに気づくが、もう遅すぎた。  
「脳の記憶はつながるから、9回も耐えられないです!どうして止めてくれなかったの?」  
「この前はなんでとめたって怒ってたくせにィ。でも大丈夫!壊れても私が可愛がってあげるから、ね?」  
「ね!って・・・」  
「ありがとうミランダ、じゃあゆーーっくり戻してくれる?」  
「ち、ちょっと待っ!・・うああっ」  
リナリーの指示通り、ゆっくりと戻ってくるソレ。もう3回目の1回目なのか、2回目の5回目なのか、なんてことはどうでもいい。  
一人よがり、悶え続けるアレンの顔を優しく胸に抱きしめながら、リナリーはその表情を愛惜しげに見つめている。  
「ほら、もう少しよ、頑張って・・」  
と言っては、時々優しく口づけしながら・・・  
 
「あ・・ああ・・・ひっく・・うぅぅ・・・」  
嗚咽だけが聞こえる室内で、9回の射精を全部負ったアレンは全身の力が抜け、だらしなく口を開けて呆然としていた。  
そこへ無常の宣告―――  
「うーんサイコー、よかったわアレン君。じゃあ・・・もーいっかい♪ミランダ、9回分吸い取って!」  
今度は全部で9枚の薄っぺらな時計が剥がれていく。  
「うぅ・・ひどい・・・」  
「そんなこと言わないの、それとも10回目イク?」  
さらに怖ろしいことを言ってのけるリナリー。  
「泣かないで、ミランダまたゆっくり戻してあげてね」  
「う・・・あああ・・」  
こうして何回目かの射精時計が戻ってきて、ツケを払わされる直前だった。  
「はい、ストップ!ここで留めてミランダ」  
止まった。ミランダの不思議な時計、イノセンスは対象の時間をある瞬間で止めることが可能だった。恐るべき高等なイノセンス。  
世紀の大発見!だが、アレンの性器はイク直前で止まったまま、彼の神経を刺激し続ける。  
「うわあああああああ!」  
泣き、叫び、悶えるアレンと対照的に至福の表情のリナリー。  
いきたいのにいけない。むしろイっているのに終わらない刺激。人知を通り越した感覚がアレンを襲う。  
「いいいいいやあああああああだああああ!やめてええええええ!」  
思う存分、その様子を愛でてから  
「しょーがないなー。じゃあミランダ戻してね。あ、そうそう、ありがとね。よくできたわ」  
 
そんなことに何度つき合わされたのか。  
吸っては戻され、戻しては吸われ、そして戻ってくる射精の感覚・・・  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  
もはや嗚咽すら聞こえない室内で、  
「ありがとうミランダ。でもあなたもいい修行になったでしょ?疲れてるだろうから次で最後よ」  
そしてさらなる宣告――――  
「今度は9回分一辺に戻してあげて・・・・」  
細く目を開けて、力なく首を横に振るアレン。やがてその時は訪れた―――  
「・・・!!・・・」  
 
 
 
次の日、城内の修練場  
「ミランダさん、すごいよあんた!こりゃエクソシストの中でも最強だよ」  
「いったい昨日あれから何があったんだ?」  
明るく笑ってみせるミランダ。と、そこへ  
「た、タイヘンだー!!またエクソシストが殺られたぞォ!」  
「なにー!今度は誰だ?」  
一人の新米エクソシストの名前だったが、何人かが呟いた。  
「死ばっかりは巻き戻せないよな。死を何回も繰り返させるのは酷だぜ。」  
「確かにな、何回も逝きたくないよなー」  
「俺は何回でもイけるけどな」  
「そのイクじゃねえよ!」  
「「「がはははははは」」」  
 

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