あれからどれくらいの時間が経ったのだろう…?  
ロードに捕まってから三ヶ月は経っただろうか?  
彼女がリナリーに飽き、ここに来なくなってからは一月ほどだろうか?  
ミランダさんから腐臭がし始めたのは、つい先日からだったか?  
そして目の前で饗宴………いや、狂宴は何度催されたのだろう…?  
 
かつては千年伯爵と戦うため、そしてAKUMAを救済するためだと思っていた体だが  
普通の人間なら死ぬであろう傷を負っていても、そう簡単には死なせてもらえず、  
目の前で起きる痴態を見続けるほか何も出来ないこの体が、今となっては  
とてつもなく忌まわしいものと思えてくる。  
 
「………ゲハハ………」  
気がつくとAKUMAたちの笑い声が聴こえてきた。  
今日もまた…いや、時間の流れを把握出来ない今となっては  
前回のアレが昨日だったかなど分かりはしない。ただ、確かなのは今回もまた  
すぐ目の前でアレが行われるだろうということだけだ。  
僕は重い目蓋を上げ、ロードに着せられた西洋人形のような服であった面影など微塵も  
残していないズタボロの布切れを身に纏い、床に横たわるリナリーを見た。  
 
そこにはいつもと同じで、三体のAKUMAが陣取っていた。  
人型をした長い手を持つ黄色のAKUMAがリナリーを抱え、クラゲの様なぶよぶよした体と  
何本もの触手を持つ赤いAKUMAがリナリーの肢体にへばり付き  
それを岩石のように大きな体をした青いAKUMAが頭の悪そうな下卑た笑みを浮かべ見守る。  
もう、お馴染みとなった光景だ…  
 
「これから起こる出来事は見たくない」  
 
そう頭の何処かで思ったが、僕は三体のAKUMAに囲まれたリナリーから  
視線を外す事は出来なかった。  
 
いつものように赤いAKUMAが黄色のAKUMAに目配せし  
黄色のAKUMAがリナリーの口に手を入れ開かせる。  
「………」  
ここに囚われて以来、何の意思もみせていないリナリーは、抵抗することなく口を開いた。  
そして、その口に赤いAKUMAの触手が挿れられ、何かを嚥下させられた。  
「………んっ……はぁ…っ!」  
すると、どうだろう。先程まで人形同然だったリナリーに反応が出始めた。  
眼は潤み、頬を赤らめたのを始め、肢体全体が赤みを差し出し  
何かに耐えるよう、内股を擦り出す。  
 
…分かっている。  
こうやって何か催淫効果のあるものを飲ませ、リナリーを猥らな人形と化す。  
それが奴等の狂宴を始める準備だというのを…  
 
 

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