触れたいって思ったの。  
眠りに落ちた彼のくちびる。  
だから、勝手にさわってしまったの。震えたけど・・・おさえきれなくて。  
でも、気付かれてたみたいだから・・・それならって賭けをしてみた。  
「・・・キス、しちゃったこと」  
うそ。  
彼を翻弄したいと思った。  
ほら動揺してる。さっきからだったけど、ますます。  
いまなら、もう一度触れられる。  
「・・・ゆびだよ!だまされた?」  
ああ、いま、彼はきっと私のことで頭はいっぱい。  
くちびるに触れた指先が熱い。神経が集中してるみたい。  
嬉しい。勝手に笑顔にほころぶの。  
気持ちがとまらない。  
「はやく傷、治そうね。アレンくん」  
頬にキス。したかったの。  
でも、そのままここに残れるほど、もう私の心は穏やかじゃないから。  
「じゃあね!」  
そういって逃げさるの。  
 
 
!!  
もう逃げたいのに・・・彼の腕が私をひきとめた。  
「アレンくん・・・?」  
「ああっ・・・す、すみませ・・・」  
なんでひきとめるの?・・・期待、しちゃうんだけど・・・。  
ドキドキしてるのに、どこか冷静にもなったみたい。ここに、居たい。  
「・・・アレンくん、キス・・・したいな」  
そういって近付いていく。みつめあう。彼も、私を拒まないから・・・だから。  
 

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