昔は、この町にだってたくさんの人間がいたんだから。  
私は、人間の為に、ずっと人間の側で、過ごしてきたんだから。  
だから、人間のこと、色々知っているんだから。  
 
 
「グゾル、どう?」  
「ああ、ララ…うん、気持ちいいよ」  
にこっとほほえんで、ララがグゾルを見下ろす。  
ララはグゾルの腹の上辺りにまたがって、グゾルの胸の頂上をその細い指で執拗に触れていた。  
「ねぇ、グゾルはどこに触ってもらうのがいい?」  
「ララが触れてくれるなら、どこだって気持ちいいよ…」  
「グゾルはいつもそうっ!じゃあ、いいよ。グゾルが一番喜んでくれるとこ…」  
ララはじりじりと身体をずらして下がっていく。  
そして今度はグゾルの中心に触れる。  
細い指でさわさわと何度も往復すると、それは次第にかたちを変えていく。  
 
豊かな髪の毛先を使ってみたり、自分にできることは何か、ララは考えて試してきた。  
「んん…っグゾル…グゾル…」  
口で咥えこんで、何度もグゾルの名前を呼ぶ。  
声を発して微かに振動する口腔。それにもグゾルは喜んでくれる。  
でも、やはり指が一番うまくいく。  
だんだんグゾルのその先から溢れだすもの。  
指で掬って塗り広げていく。  
根元から絞り込むように…何度も何度もララの指が這い回る。  
「…ララっ…ララっ!」  
グゾルが吐きだして果てる。  
そうするとララはたまらなく嬉しくなる…。  
 
 
ただ、グゾルの為に、自分ができる全てのことを。  
グゾルが喜んでくれるなら…歌うだけじゃなく。側にいられるのだからどんなことでも。  
喜んで、ねぇグゾル。  
人形がたどり着いたのは愛撫。ただただ、あなた、喜んで…。  
そしてグゾルもまた、ララが世界のすべてで。  
ララと過ごすこの世界が全てで。  
 
二人だけの時間…終わりを迎えるその時まで、お互いが総てでありつづけるのだろう。  
 

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