(身体が…っ熱い…。なんで、こんなときにっ)
僕は笑顔の下に、必死で自分の突然の身体の熱を隠しながらミランダの話を聞いていた。
リナリーとともにこの不思議な町に入り、奇怪の原因・ミランダと接触して何度目の10月9日だろうか。
今日のミランダは、食後のお茶を僕らにふるまい、いつもより饒舌に"自分の不幸"を語っている。
そんな彼女の話を聞き、なぐさめるのはいつものことだが…いつもと違うのはやけに自分の身体が熱を発していること。
(まずい…、ざわざわする…っ)
自分の異常にいよいよ落ち着かなくなってきた時、一緒にミランダの話を聞いていたリナリーとふいに目があった。
ドクン!
(やばいっ)
とっさに目をそらす。
気付かれるわけにはいかない、しかもリナリーを見てどういうわけか身体はますます熱を持つ。
「あのっミランダ、悪いけど…今日は、僕はっもう休ませてもらいたいので…」
「そうね…っ私も、今日は…、悪いけどいいかしら?」
席を立とうとすると、リナリーも同様に解散を希望した。
僕が休むために割りあててもらった部屋へ入ると、一気に緊張がとけた。
「はぁっ…なんだってこんな…」
身体が熱い。もうひとつの僕が、すっかり熱を帯びている。
「なんなんだ、一体…」
この持て余す熱をどうすればいいのか。
「アレンくん?」
リナリーの声!
「さっき、調子悪そうだったと思って…入るよ?」
「っ駄目です!!」
と言ったのに、リナリーは部屋へ入ってきた。
リナリーがそばに来る…動悸がますます激しくなる。
「あの…ね、実は私も…その、なんか、身体が熱くて…ね」
確かにリナリーの顔も紅潮している。憂いをおびたような瞳と、目があう。
ドクドクドク… 身体がどんどん熱くなる。
「私たち、今日なにかあったかな?」
「やっぱり、あなたたちって恋人同士?」
さっきリナリーが入ってきた扉の方から、ミランダの声?
「そうよねぇ、この状態でリナリーちゃんが部屋を訪れるんだもの」
なにやら楽しそうにミランダが笑う。
「この状態…?」
僕たちはわけがわからず問いかえす。
「いいわいいわ、期待どおり。ふふふ…いいのよ楽しんで。そのかわり、私も楽しませてもらうわね」
「楽しむ…?」
「もう我慢ならないんじゃない?相手だって目の前にいるんだし。よ〜く効くのよ、あの媚薬」
「びや…っ!?」
どういうことだ、僕のこの熱はその媚薬のせい?でも一体なにがなんだって…。
「早くヤッたら?いつも以上にイイはずよ?ほら、どう…?」
そういいながらミランダはリナリーに近づき、細い首筋に指を這わせた。
「ぃや…っ」
ぴくん!とリナリーの身体が強張った。その声に僕まで反応してしまう。
そのまま両手で耳、首筋、くちびる…とリナリーの顔をつつみ込む。
「……っ…」
リナリーは拒むこともせず、頬を染めて震えている。僕はそんなリナリーから目を離せずにいる。
「ほぉら、もう感じるでしょう?これね、お隣の夫婦にも試してみたのよ。毎朝あんなケンカしているのに、これを飲ませた夜はけっこうなものだったのよ」
ミランダは左手を首筋に残し、右手は服の上からリナリーの胸をやわやわとつかむ。
「ぁ…あっ……」
リナリーの膝が震えている。
もう立っていられない。僕はベッドへ腰を落とす。リナリー……僕も触れたい。
「気づいたのよね。ずっと10月9日を繰り返していくのなら、もし自分から頑張って誰かと出会えたとしても朝が来ればまた出会う前なのよね。
そういうことを考えていたら、また何もかも嫌になって…興味本位でこれを手に入れたの。本当におもしろい効き目よ。
たまにこれを誰かに使って、楽しませてあげてね、その代わりに私もこっそり覗かせてもらうのよ。」
「はぁ……っや…」
リナリーの声、表情、震える身体…僕の身体の中でどんどん何かが渦巻いていく…
右手は胸をまさぐったまま、ミランダは左手をリナリーの太ももに落とす。
「ひぁっ…!」
リナリーは膝から力が抜けてその場へ崩れてしまった。
「僕らは…っ別にそういう関係じゃ…」
口からは振り絞ってそう言いながら、身体はリナリーにそそられて…もうどうしようもない状態になってしまったんだけれど。
「そうなの?でも、今はそんなことないでしょ?」
ミランダは力の抜けたリナリーをなんとか抱えて、僕のほうへ預けてきた。
身体中の熱におかされて、僕もリナリーもされるがままだ。
倒れこんだリナリーを受けとめるとそのまま僕自身を圧迫されて、リナリーの熱と匂いをじかに感じて…
「アレン…くん…っ」
「リナリーっ、あの…」
(駄目だ…っだめだっ!そりゃリナリーのことはかわいいなとか思っていたけど…今、はっ!)
「アレ、く…っはぁ……あつい、の…。たす…けて?」
ドクン!!
(僕だって…っくるしいんだよ!?)
僕はリナリーを一気に引き寄せて、ちからの限り抱きしめた。
深くくちびるを合わせたのは…どちらからだったのか。
「んっ……ふ…ぁっ……はぁ…」
互いにくちびるを啄んでとまらない。
リナリーのくちづけは柔らかくて…あつくて…なんて気持ちがいいんだろう。
キスをしたまま僕は後ろへ倒れ込む。僕の上にリナリーが重なって、それでも僕らはくちづけをやめられなかった。
だってリナリーは僕の肩を必死に掴んで放さないんだから。
どこまでが自分の口なのかもわからないくらい……ずっとこの気持ちよさにふけっていた。
「うふふふ…!いいわぁ…」
ミランダの声にはっと意識を引き戻されて、僕らはとまった。リナリーのくちびるがゆっくりと離れていき、かすかにつながった糸から滴がおちるのを感じる。
「ぁ……、ごめ…」
リナリーがそう言って目線を外す。でもその手は相変わらず僕を放さずに震えている。
自分で身体を支えないリナリーは僕と密着していて、眼前には白い首筋。降り注ぐ黒髪がくすぐったい。
「リナリー…」
そうつぶやいたくちびるを耳に触れさせると、またぴくっとリナリーが反応した。
「ゃ…あ、…アレンく……」
そのまま耳に、首筋にくちづける。胸は僕の身体に押し付けられているから、僕はリナリーの背中にまわしていた腕をだんだんとさげていき、太腿に指を滑らせた。
「あ…ぁ……!」
全身を震えさせて、リナリーの太腿が僕の右足を挟んで締め付けた。右手は僕の襟元からかすかに侵入を試みている。
リナリーの吐くあつい息。それに併せて上下する身体。リナリーの熱も、厚みも、重みも、声も、堪らない。
でも何よりも堪らないのは、僕自身に押し付けられた太腿なんだ。
熱く張り詰めたそこの感覚を、リナリーは感じているんだろうか。
僕はすべすべした太腿を楽しんでいた指を再び上へと引き上げていった。ミニスカートの中の、隠された泉をめざして。
くちゅ…
思っていた以上に、そこは下着の上からでもしっとりとしていて暖かかった。
くすくすと、時折ミランダの声が響く。
そう、でももう止まらないんだ。下着の端から指を差し入れると、熱い泉はしとどに濡れて蜜を溢れさせていた。
ぬるぬるとした水に導かれて、僕はリナリーの中へ指を沈めた。リナリーはたやすく指を飲み込んでいく。
「ぁ…ぁ…はぁ……」
中で動かすたびに、リナリーは身体をはねさせる。
「うふふふ…リナリーちゃん、気持ちよさそうね…」
「…っや、いやぁ……!」
ミランダに言われてリナリーは首を振る。
でも、リナリーの中の僕の指はしっかりと感じている。ミランダが側にいることを感じるたびに、リナリーの身体が反応していることを。
くすくすくす…
…っ黙ってよミランダ!リナリーを責めているのは、僕なんだ…っ!
リナリーの中から指を引き抜くと、今度は僕が覆いかぶさるようにしてリナリーを組み敷いた。
指に絡みついた蜜をリナリーの目の前で舐め取ると、上着を脱いでミランダの方へ投げ捨てた。
「お願いだ……出て行ってくれないかな…?」
言いながらも、僕は構わずリナリーの服を開いていく。
「…わかったわ、あなたたちの目の前からは、消えてあげる」
そういってミランダは姿を消したが、扉がパタンと閉じる音は聞こえなかったような気がした。
「リナリー、ここも、随分待っていたみたいですね…?」
露わになった胸の頂上で、蕾はすっかり硬くなっていた。
「はぁ…っ、やぁあ……」
くちづけて舌先で転がすと、リナリーの腰がもどかしそうに動く。
もうひとつの蕾を指で摘みながら、空いた手を降ろしていき、今度は泉の手前の芽に触れる。
「ふぁ…あっ!」
今までより少し大きくリナリーの声が響いた。
「ここが…イイですか?」
僕が膝に手を置いて割り開くと、リナリーは恥ずかしそうに一層身体をくねらせる。
「あ、ぁ…っやぁ…アレン、くんっ…」
しっとり吸い付くような肌に触れているのも気持ちいいんだけど…僕は身体をずらして舌で芽に触れる。
「ぁ…んんっ…」
余計に乱れた声が響く…そうだね、こっちの方がいいみたいだ。
泉の溝に触れるか触れないかの刺激を与えると、指をいざないたいかのように花唇がひくひくと蠢く。
指を沈めると、内側から絡み付いて奥へと運ばれてるみたいで。
「リナリー…僕を離したくないみたいなんですけど…?」
「ぁああ…っ」
また絡み付いてくる。僕は舌で刺激を与えていた芽を軽く吸いあげた。
「んあぁ…んっ!」
リナリーの背が浮いて一瞬強張った後に、全身のちからが抜けた。
「軽く…イっちゃいましたか?……でも僕も、もう…ちょっと、ヤバイです…」
「…はあぁ……」
深く息をついてリナリーが僕をみつめる。
僕自身をリナリーにあてがい、少しずつ沈めていった。
「っや…はぁ……ぁ…あ…っ」
指よりも大きい圧迫感に、リナリーは僕の背中にやった手にちからを込める。
「全部…飲み込みましたよ…?」
そう言われてリナリーの中はまたやわやわと蠢いた。
「はっ…あ、んんぁ…っ!」
僕が動くたびにリナリーが声をあげる。
「ん、くっ…!」
もうすぐ達するかと思ったときに、僕はギリギリまで引き抜いたところで動きを止めた。
「…ぁ…?アレ…ンく……」
リナリーが途惑いの瞳をむける。ほら、君はすっかり虜なの…?
僕はつながったままリナリーを膝に座らせるかたちで起き上がった。
「やっ…はぁ…っ!」
リナリーは自分の重みでまた僕を深く受け入れる。
僕は再び固く立ちあがった蕾に唇を触れる。
「可愛い…リナリー…」
そういいながら、ゆっくりリナリーの中をぐるりとかきまわした。
「ん…ぁぁ……」
リナリーはもどかしそうに眉を寄せる。
さっきまで、もうすぐイきそうだったからか…リナリーはもどかしそうに僕を呼ぶ。
「ぁ…アレン…くん」
「さっき…扉が閉じる音がしなかった、と思わない…?」
リナリーの瞳が見開かれて、内側は一気に僕を締め付ける。
「…っく!」
達するかと思ったところをなんとかこらえて、僕はリナリーの膝を抱えるように再び押し倒した。
「っや…はあぁ…ぁあ……ん、ぁあっ!」
突き上げるたびにリナリーは可愛い声を響かせる。
さっきよりも、ずっといい声だよ…?
そんなリナリーをみて、僕自身もどんどん高まっていく…
「あ…っ、は……んあぁぁ…っ!」
一際高い声でリナリーが達した瞬間に、きつく締め付けられる中を引き抜いて僕も一気に白濁をはきだした。
ほんのりと朱に染まる肌に…白く散ってこぼれる液に、リナリーの指がかすかに触れた…。
また10月9日の朝が来た。
でも、ミランダだけじゃなく、僕たちにとっても昨日とは別の、また新しい10月9日なんだ。
僕たち2人は、本当に気まずくてどうしようもなかったんだけど…お互いに昨日の自分はいつもと違った、ということでなんとか今日を生きるしかないということになった。
…そう、そもそもあれは媚薬…のせいであってっ!
「ミランダ…っ!」
「あら…アレンくん、おはよう…ふふ」
「…っその!昨日の、く、薬!渡してください!!」
「薬…?やだ、…欲しいの!?」
「ちちちっ違いますよ!!あ、あんなものっ処分しましょう、処分!!」
「ないわよ、今は。」
「…は?!」
「だって、もともとの10月9日に私はあんなもの持ってないもの。使いたいって時は、ちょっと調達するのよ。
朝になったらまた買う前に戻ってるってこと。そうしょっちゅうは…使わないわよ?」
「二度とそんなものっ人に使わないでくださいっ!」
早く任務を終えよう…リナリーと更に問題解決に励むことを誓い合った。