「結晶トカゲは絶対に逃がしちゃ駄目だよ。クマムシもね。あと、変な敵が出てきたらすぐに教えて」
「わかりました。今日も頑張りましょう」
取り敢えず鉱石を片っ端から集める。これが女とオストラヴァの日課だった。武器強化が大好きな女は、最高の一品を求めてあらゆるダンジョンに赴く。
オストラヴァは城で彼女に助けられてからというもの、毎日こうして鉱石収集を手伝わされているのだった。初めはつるはしの使い方すらわからなかったが、今では工夫も驚くほどの採掘マニアである。
二人は剣を抜くと、周りをよく見ながら奥に進んだ。慎重になったおかげで目についた結晶トカゲは全て始末でき、鉱石収集はいつになくはかどった。
「疲れてない?」
「はい、大丈夫です。 あ、あんな所に人が……」
オストラヴァが人影を見つける。その指差す方向を見ると、マグマ溜まりのただ中に誰かが佇んでいる。だがそれは本当に人だろうか。全身が赤く、どす黒いオーラを纏っている。足音に気がついたのか、影がこちらを振り向く。
「黒ファントムよ!」
言うなり女は飛びかかった。オストラヴァは恐怖を感じるもそれに続く。
足が焼けるように熱い。それでも、この状況で背中を向けるのは危険だった。相手の装備を見れば、致命に特化しているのがよくわかる。
ファントムは女を執拗に狙っていた。ぶつかり合う剣からは火花が散る。一進一退の攻防が続き、こちらが優勢になったところで、女は一度体勢を整えるために距離を取った。
――次で決める――
剣を握る手に力を込め、腰を低くした瞬間だった。ファントムが手を振り上げると、前方にもやが発生する。
「酸の雲!?」
「危ない!」
オストラヴァは反射的に二人の間に入り込み、全身で敵の魔法を受け止める。肉体に直接のダメージはないが、鎧が急速に劣化し、徐々にその形を変えていく。
女は最初動転したが、今敵は詠唱後の硬直状態にある。これを逃すわけにはいかない。一気に間合いを詰めると、脳天めがけて剣を振り下ろした。
「なんなの! いきなり現れて……」
女はファントムが立っていた空間を睨みつけながら地団駄を踏む。無駄に神経がすり減ってしまった。
「あなたを守ろうとしたばっかりに……」
後ろから女に近づくオストラヴァ。その鎧は歪んで穴が空き、既に原型を留めていない。酸の雲にやられたのだ。
ひとまず敵のいない安全な場所に退避すると、女はオストラヴァを気づかう。
「もう! どうしてあんな危険なこと! 攻撃したのが身体の方じゃなくてよかったけど」
「すみません。あの時は何も考えられなくて」
「取り敢えず、脱いで。歪んだ鎧着てると危ないでしょ」
「えっ! でもこんな所で……」
「ほら、手伝うから」
「あっ」
「あぁ、ボロボロ……。ごめん、私のせいで。神殿帰ったら、弁償するよ」
鎧の損傷が予想以上に激しいため脱がせるのも一苦労だった。下手に動かせば、めり込んだ箇所で肌を傷つけてしまう。
「っ……ん」
「痛かった?」
「いえ……」
オストラヴァには、本当のことなど言える筈もない。人前で素肌を晒すことに慣れない彼女は、心配され、見せてみろと言われるのが恥ずかしかった。
やっとのことで装備を解除する。肌着だけになったオストラヴァは胸を押さえ、縮こまっていた。
「あ、血が……」
肌着の胸の下辺りが血で赤くなっている。脱がす時に手こずってつけたものだと思われた。女は手早く肌着も脱がし、傷に薬草を擦り込む。なぜかはわからない。触れられた箇所が熱を持つ。
「や、やめてください……っ」
「身体に傷が残ったら嫌だもんね。しみるけど、我慢しなくちゃ」
「あ、あっ……あっ……」
声が熱っぽくなっているのに気づき、女は手を止める。三日月草に副作用などあっただろうか。そんなものは聞いたことがない。
「どうしたの?」
「胸が……くすぐったくて熱くて、変なんんです。それも治してくれるんですか?」
傷の応急処置に夢中で周りが見えていなかった。胸と言われて見てみると、露わになった乳房の先端は微かに尖っている。オストラヴァは恥ずかしい部分を晒し、触られたことで感じてしまっていた。
「それは……三日月草じゃ無理ね」
「では、一生このまま……?」
火照った顔を上げて、女を見る。すがるような瞳で見られるとつらい。嗜虐心が煽られ、酷いことをしたくなる。
女は自分を嫌な奴だと思った。オストラヴァは自分を庇ってこのような状態になっているのに、その彼女をいじめたい、なんて。いつも一緒にいる友達なのに。
「もっと恥ずかしいことしないと治らないよ。それでもいい?」
これ以上に恥ずかしいこととはなんだろうか。考えてみても、無垢な彼女には何も想像できない。
それでもこのつらさが治まるなら、とオストラヴァは躊躇った後に頷いた。
小ぶりな乳房を掌で包み、それに指を食い込ませる。桃色の突起を弾く度にオストラヴァの身体はぴくりと震え、小さく喘いだ。
「本当に治るんですか……? さっきよりも苦しいっ」
「大丈夫よ。そのうちよくなるから」
こんなことをして嫌われないだろうか。嫌われて、一緒に旅ができなくなったらどうしよう。
女は思った。が、乱れる彼女を前にして、もう余計なことは考えられなかった。嫌われるのは怖いけれど、この機会を逃して可愛い彼女を見られなくなるのも嫌だった。
「ここが変なんだよね?」
「ひうっ……!」
乳首を噛み、ちゅっと音を立てて吸う。吸っていない方も摘み、くりくりとこね回す。
「あぁあ! やっ……嫌ぁ……」
「こっちは?」
下着の中に手を突っ込むと、そこはもう快楽の蜜で濡れていた。とろとろした露が指に絡みつく。こちらも脱がそうとすると、珍しくオストラヴァは抵抗した。
「やめて! やめて! そんな所見ないで……触らないで!」
ばたついた足が女の顔に当たる。本気ではないのだろうが、当たった場所が場所だけにかなり痛い。
「何よ。こんなにびしゃびしゃにしておいて」
オストラヴァの上に跨がり、強引に下着を剥ぎ取る。すかさず割れ目の上に位置する肉芽を擦り、ついばんだ。赤く濡れている芽は今までも下着でこすれていたのか、ぷっくりと膨れている。包皮を剥き上げ、隠されていた敏感な部分も舌でちろちろと刺激する。
嫌がるオストラヴァの声は完全に嬌声に変わっている。これで言われた通りに止める方が鬼畜というものだろう。
「ここ舐めるといい反応するじゃない」
「きゃあ……! あぁ、ああ!!」
裏側にも舌を這わせ、何度も円を描くように陰核をいじめる。勃起した核はこりこりと舌の上で転がり、その度に感度を高めた。
肉芽が一番の性感帯なのか、そこを集中して責めると途端に狂ったようになる。止めてと言っても腰は物欲しそうに揺れていて、彼女の肉体は既に欲に支配されていることがわかった。
「こんなに腰揺らして、何か欲しいの? ここ、随分とろとろしてるよ?」
「やあぁ! 言わないで!」
「残念だけど、指しかないの」
指を押し込むと、濡れた膣はすんなり受け入れた。まだ誰にも荒らされていないのか、指一本でもきつく締め付けてくる。
ゆっくり抜き差ししてみると、指が抜けそうになる瞬間によく締まった。出て行くなと引き留めようとしているみたいで、愛おしさが募る。
自分が男だったら、この未踏の地を踏み荒らしてやれるのに。指しか繋がれるものがないというのは寂しい話だ。
充分にほぐせば、膣には二本、三本と指が入った。それでも標準的な男性器よりもかなり細いので、たくさんくわえ込んでいる割には痛そうな素振りは見せない。
中で指をぐりぐり動かし、良い場所を探る。爪がそこをかすめると、オストラヴァの顔が快感に歪んだ。
「こんなこと、初めてでしょう。他人を受け入れた気分はどう?」
「あ……れ……私、おかしく……!?」
リズミカルな運動で一点を責めると、今までと明らかに彼女の様子が変化した。与えられる刺激が今までと異なり、動揺している。表面ではなく、身体の深部を揺さぶることにより、快感にも深みが増しているのだろう。
「気持ちよさそうだから、もっと速くするね」
手の運動を速め、力も込める。内部をえぐられる感覚に身体が仰け反る。
「あっあ……、そこっ……そこは……やあぁーっ!!」
大きく震えると、透明な露を何度もほとばしらせる。それは指の動きにあわせて放物線を描き、遠くの地面まで濡らした。オストラヴァが意識を手放してからも、そこからはちょろちょろと快楽の証が流れ出ていた。
神殿に帰還した翌日、ようやくオストラヴァの目が覚めた。失神している間に移動したため、彼女はここがどこなのかすぐにはわからないらしい。神殿に戻ってきたことを伝えると、彼女はほっと胸を撫で下ろした。
「ねえ、身体はなんともない? 痛い所とか」
女は坑道での行為を思い出しながら言った。治療という名目で、つい酷いことをしてしまった。オストラヴァは怒っているだろうか。女は自分の挙動がおかしくなっていることに気がついて、余計に焦る。
「まだ少し……奥の方がじんじんします。痛くはないんですが」
「そう……。あ、鎧、新しいの頼んでおいたよ。フリューテッドでいいんだよね」
「はい。ありがとうございます。明日には復帰できると思いますので、またお供しますね。あの……また怪我してしまったら治療をお願いしていいですか?」
顔を真っ赤にしてオストラヴァが問う。彼女の中で何かが目覚たようだ。女は心配そうな表情を浮かべながらも嬉しくなって、つい呟く。
「怪我してなくても……いつでも私はいいんだけどね」
「えっ?」
思わず漏れた本音にはっとする。いけない。これは二人の間では治療行為の一環なのだった。
「ううん、なんでもない! じゃあ、回復したらまた一緒に収集しに行こうね」
笑う女に、オストラヴァもまた笑顔で答えた。次はどこを狙っているんですか、と。