「ガル……。あの、最近なぜ、そのように背中を丸めているのです?」
「いえ、何でもありませんアストラエア様。どうかお気になさらず」
「妙に、内股気味ですし、その、いつも股間の辺りに手を……。
どこか、体の具合が、収まらないのでは」
「いえ、私はいたって健康です。どうかご心配なく」
「……打ち明けてはくださらないのですか。
貴方が少しでも楽になるよう、お手伝いしたいと思っているのです……」
「いえ、アストラエア様の御手をわずらわせるようなものは決して」
「手がよいのですか? やはりあの、口に含むのだろうかと思っていました」
「口などと、とんでもない! ……すでに見抜いておいでなのですね。ならば告白いたします。
ずっと、ひそかに願っておりました。いつの日か貴女に、これに触れていただくことが叶えば、と」
「ああ、ガル……! ならば、心の準備はできています……!」
「お言葉、至福の極みです。その御手で可愛がられる様を想像すると、胸が熱くなります。
ただ、生まれたての姿は、初めてですと少々抵抗があるかも知れません」
「そのようなことは決してありません。ガル、私は……」
「実はもう、ぴくぴくと動くのを感じるのです。
早く出たくてたまらない様子ですが、この過程も貴重な経験。あせらず自然にまかせましょう」
「ガル、ガル、もう……待つことなど何もないのです。どうか私に、ありのままを見せてください!」
「あっ、いけませんアストラエア様! ご無体な! あああっ!」
――パリン! ぴぃぴぃぴぃ
「……ふぅ。どうやら無事にたまごが孵ったようです」
「……ひよこ……」
「沼に流れ着いたところを見つけてこっそり温めていたのです。
ふ化に失敗すれば貴女が哀しまれるだろうと思い、ふせておりました。どうかお許しを。
さあ、どうぞ御手にとって存分に慈しんでください!」
「…………美味しそう」
「えっ」
――たまごはさみ・消沈したままおわり――